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Oracle® Fusion Middleware管理者ガイド
11g リリース1 (11.1.1.9)
B60984-10
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18 環境のバックアップ

この章では、Oracle Fusion Middlewareの推奨されるバックアップ戦略およびその手順について説明します。

この章には次のトピックが含まれます:

18.1 環境のバックアップの概要

第17.3.3項で説明するように、Oracle Fusion Middleware環境のバックアップでは次の推奨される戦略を使用する必要があります。

  • オンライン・バックアップを実行する場合、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、第3.4.2項で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。

  • Oracle Fusion Middlewareをインストールしたらすぐに、全体オフライン・バックアップを行います。全体バックアップの実行の詳細は、第18.3.1項を参照してください。

  • 管理上の変更を行った後、および定期的に、ランタイム・アーティファクトのバックアップを実行します。ランタイム・アーティファクトのバックアップは夜間に行うことをお薦めします。ランタイム・アーティファクトのバックアップの実行の詳細は、第18.3.2項を参照してください。

  • アップグレードやパッチの適用、次のいずれかのファイルの変更など、大きな変更を行った後には、新たな全体バックアップを実行します。

    MW_HOME/wlserver_n/common/nodemanager/nodemanager.properties
    MW_HOME/wlserver_n/common/bin/wlsifconfig.sh
    MW_HOME/wlserver_n/common/bin/setPatchEnv.sh
    MW_HOME/wlserver_n/common/bin/commEnv.sh
    

    全体バックアップの実行の詳細は、第18.3.1項を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第18.4項を参照してください。

  • バックアップを作成したら、そのアーカイブ・ファイルに一意の名前を付けます。名前に日時を付加することを検討してください。たとえば、Middlewareホームのバックアップを2013年4月20日に作成した場合は、そのバックアップに次の名前を付けます。

    mw_home_backup_042013.tar
    

図18-1のフロー・チャートは、特定の状況に適したバックアップのタイプを判断する方法の概要を示しています。

図18-1 バックアップのタイプを判断するためのフロー・チャート

図18-1の説明が続きます
「図18-1 バックアップのタイプを判断するためのフロー・チャート」の説明

18.2 データのバックアップに関する制限事項

次の点に注意してください。

  • LDAPバックアップ: 組込みのLDAPを使用する場合、LDAPデータのバックアップ中にセキュリティ・プロバイダの構成を更新しないでください。ldapディレクトリ・ツリーのバックアップ中に変更があると(たとえば、管理者がユーザーを追加するなど)、ldapfilesサブディレクトリのバックアップは一貫性が損なわれる場合があります。LDAPのバックアップ手順の詳細は、「WebLogic Server管理サーバーの起動と停止」を参照してください。

  • Java Transaction API (JTA): JTAトランザクション・ログのバックアップおよびリストアはお薦めしません。

  • Audit Framework: Oracle Fusion Middleware Audit Frameworkを、データベースにデータを書き込むように構成している場合は、バス・ストップ内のローカル・ファイルはバックアップしないでください(各コンポーネントから発生する監査対象イベントは、バス・ストップと呼ばれるリポジトリに格納されます。Oracle WebLogic Serverには、それぞれ独自のバス・ストップがあります。データはこのファイル内に永続的に置くか集中リポジトリにアップロードでき、集中リポジトリからは、レコードを表示したりレポート作成に使用したりできます)。

    ローカル・ファイルをバックアップする場合、重複レコードがデータベースにアップロードされます。つまり、バス・ストップの作成時にデータベースにアップロードされ、その後ファイルをリストアしたときに再度アップロードされます。

    バス・ストップのローカル・ファイルのデフォルトの場所は次のとおりです。

    • Javaコンポーネントの場合:

      DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/auditlogs/component_type
      
    • システム・コンポーネントの場合(Oracle HTTP ServerやOracle Internet Directoryなど):

      ORACLE_INSTANCE/auditlogs/component_type/component_name
      

    Oracle Fusion Middleware監査フレームワークおよびバス・ストップの詳細は、『アプリケーション・セキュリティ・ガイド』の監査の構成と管理に関する項を参照してください。

18.3 バックアップの実行

次の各項の説明に従って、全体オフライン・バックアップまたはランタイム・アーティファクトのオンラインまたはオフライン・バックアップを実行できます。

18.3.1 全体オフライン・バックアップの実行

全体オフライン・バックアップを行うには、Oracle Fusion Middlewareのファイルが含まれているディレクトリをコピーします。

第17.3項の説明に従って、アーカイブ用のツールを使用して、ソースMiddlewareホームをアーカイブおよび圧縮します。

次の手順を実行します。

  1. Middlewareホームのプロセスをすべて停止します。たとえば、管理対象サーバー、管理サーバー、およびMiddlewareホームで実行されているOracleインスタンスを停止します。

  2. すべてのホスト上のMiddlewareホーム(MW_HOME)をバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf mw_home_backup_042013.tar MW_HOME/*
    (Windows) jar cf mw_home_backup_042013.jar MW_HOME\*
    
  3. ドメインがMiddlewareホーム内に見つからない場合は、管理サーバーのドメインを個別にバックアップします。これによって、Oracle SOA SuiteやOracle WebCenterポータルなどのJavaコンポーネントがバックアップされます。

    次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf domain_home_backup_042013.tar DOMAIN_HOME/*
    (Windows) jar cf domain_home_backup_042013.jar DOMAIN_HOME\*
      
    

    ほとんどの場合、管理対象サーバーのディレクトリを個別にバックアップする必要はありません。管理サーバーのドメインには管理対象サーバーに関する情報が格納されているためです。管理対象サーバーの環境をカスタマイズしている場合は、管理対象サーバーのディレクトリをバックアップします。バックアップが必要なものの詳細は、第17.5項を参照してください。

  4. Oracleインスタンス・ホームがMiddlewareホーム内に見つからない場合は、Oracleインスタンス・ホームをバックアップします。Oracleインスタンス・ホームには、Oracle HTTP ServerやOracle Internet Directoryなどのシステム・コンポーネントに関する構成情報が含まれています(システム・コンポーネントの一覧は、第3.5.2項を参照)。

    次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf sc_home_backup_042013.tar ORACLE_INSTANCE/*
    (Windows) jar cf sc_home_backup_042013.jar ORACLE_INSTANCE\*
    
  5. 管理対象サーバーがドメイン内に見つからない場合は、管理対象サーバーのディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf mg1_home_backup_042013.tar server_name/*
    (Windows) jar cf mgl_home_backup_042013.jar server_name\*
    
  6. OraInventoryディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    tar -cf Inven_home_backup_042013.tar /scratch/oracle/OraInventory
    
  7. LinuxおよびUNIXの場合は、oraInst.locファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    (Linux and IBM AIX) /etc
    (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
    
  8. LinuxおよびUNIXの場合は、oratabファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    /etc
    
  9. Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、環境で使用されているデータベースをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  10. Windowsの場合は、第18.3.3項の説明に従って、Windowsレジストリ・エントリをエクスポートする必要があります。

  11. 「構成の解放」をWebLogic Server管理コンソールでクリックして、WebLogic Server構成のロックを解除します。

  12. Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第18.4項を参照してください。

18.3.2 ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行

ランタイム・アーティファクト(第17.3.2項を参照)のバックアップは、定期的に、また第17.3.3項で説明している時点で実行する必要があります。

ランタイム・アーティファクトをバックアップする手順は次のとおりです。

  1. バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、第3.4.2項で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。

  2. 管理サーバーのドメイン・ディレクトリをバックアップします。これによって、Oracle SOA SuiteやOracle WebCenterポータルなどのJavaコンポーネントがバックアップされます。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf domain_home_backup_042013.tar DOMAIN_HOME/*
    (Windows) xcopy c:\DOMAIN_HOME e:\domain_home_backup_042013 /s /e /i /h
    

    Oracle Portal、Oracle Reports、Oracle Forms ServicesおよびOracle Business Intelligence Discovererの場合は、管理サーバーのドメイン・ディレクトリ以外にも、管理対象サーバーのディレクトリをバックアップする必要があります。

  3. Oracleインスタンス・ホームをバックアップします。これによって、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントがバックアップされます。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf sc_home_backup_042013.tar ORACLE_INSTANCE/*
    (Windows) xcopy c:\ORACLE_INSTANCE e:\sc_home_backup_042013/s /e /i /h
    
  4. Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、データベース・リポジトリをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  5. 「構成の解放」をWebLogic Server管理コンソールでクリックして、Oracle WebLogic Server構成のロックを解除します。

  6. Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第18.4項を参照してください。

18.3.3 Windowsレジストリ・エントリのバックアップ

Windowsの場合、Oracle Fusion Middlewareに関連するWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。バックアップするキーは、インストールされているコンポーネントによって異なります。

キーをエクスポートするには、次のコマンドを使用します。

regedit /E  FileName Key

次のエントリをエクスポートします。

  • すべてのコンポーネント向けに、次のレジストリ・キーをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Oracle
    
  • Oracle Web Cacheなどのシステム・コンポーネント、およびOracle BI Enterprise Editionがインストールされている場合は、次のレジストリ・キー内のOracleで始まる各ノードをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\Services
    

    例:

    regedit /E C:\oracleSMP.reg HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services\Oracleagent10gAgentSNMPPeerEncapsulator 
    

    各キーには一意のファイル名を使用します。

  • Oracle BI EEがインストールされている場合は、次のレジストリ・キーをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ODBC
    

    例:

    regedit /E C:\oracleregistry.reg HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ODBC
    

キーのエクスポートにはレジストリ・エディタを使用することもできます。詳細は、レジストリ・エディタのヘルプを参照してください。

18.4 Oracle Fusion Middleware構成の記録の作成

Oracle Fusion Middleware環境のリストアおよびリカバリが必要な場合は、必要なすべての情報を入手し、対処することが重要です。これは、特にOracle Fusion Middleware環境全体(またはその一部)を新しいディスクまたはホストに再構成する必要があるような、ハードウェアの損失が発生した場合に当てはまります。

この項で説明されている情報を含む、Oracle Fusion Middleware環境の最新記録を維持管理する必要があります。この情報は、印刷物と電子形式の両方で保管してください。電子形式のデータは、Oracle Fusion Middleware環境とはまったく別のホストまたは電子メール・システム上に格納する必要があります。

Oracle Fusion Middlewareのハードウェアおよびソフトウェア構成の記録には、次のものが含まれます。

  • 環境内のホストごとに次の情報が必要です。

    • ホスト名

    • 仮想ホスト名(存在する場合)

    • ドメイン名

    • IPアドレス

    • ハードウェア・プラットフォーム

    • オペレーティング・システムのリリース・レベルおよびパッチ情報

  • 環境内のOracle Fusion Middlewareインストールごとに次の情報が必要です。

    • インストールのタイプ(Oracle SOA Suiteなど)

    • インストールが常駐するホスト

    • Oracleホームを所有するオペレーティング・システム・ユーザーのユーザー名、ユーザーID番号、グループ名、グループID番号、環境プロファイルおよびシェル・タイプ(/etc/passwdおよび/etc/groupエントリ)

    • ディレクトリ構造、マウント・ポイントと、Middlewareホーム、Oracle共通ホーム、Oracleホーム、Oracle WebLogic Serverドメイン・ホーム(Middlewareホームのuser_projectsディレクトリに配置されていない場合)およびOracleインスタンス・ホームのフルパス

    • インストールで使用されるディスク領域の量

    • インストールで使用されるポート番号

  • コンポーネントのメタデータを格納しているデータベースに関して、次の情報が必要です。

    • ホスト名

    • データベースのバージョンとパッチ・レベル

    • 基本言語

    • 文字セット

    • グローバル・データベース名

    • SID

    • リスニング・ポート