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Oracle® Fusion Middleware DICOMコンポーネントの構成と使用
11gリリース1 (11.1.1)
E49669-01
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1 概要

Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM)は、医用画像分野で使用される画像ファイル・フォーマットおよびネットワーク・プロトコルを指定するための標準規格です。Picture Archiving and Communications Systems (PACS)は、DICOMネットワーク・プロトコルを使用してDICOMフォーマットの医用画像を格納および転送するために設計されています。

医用画像デバイス(CTスキャナやX線機器など)は、1つ以上のPACSと通信して画像を格納します。次に、健康管理の専門家が、DICOMビューア・アプリケーションを使用して画像を確認し、PACSに問い合せて関連する患者情報を取得します。

DICOMサポートは、Oracle WebCenter Contentに統合され、コンテンツ・サーバー・ユーザーにDICOM画像へのアクセス権が付与されています。この統合によって、最初はPACSまたはローカル・ファイル・システムに格納されている画像を、コンテンツ・サーバーを使用して管理できます。統合されているDICOMサポートは、Oracle Databaseの機能の1つであるOracle Multimedia DICOMの機能に基づいています。

この項は、次の項目で構成されています。

1.1 Oracle Multimedia DICOMとWebCenter Contentの統合

Oracle WebCenter Contentと統合されたDICOMサポートは、Oracle Multimedia DICOM (Oracle Databaseの画像、音声、動画および医用画像データを効率的に管理および取得できるOracle Databaseの機能の1つ)に基づいています。Oracle MultimediaによるDICOMコンテンツの包括的なサポートには、健康管理および生命科学のオープンでスケーラブルなアーカイブおよびアプリケーションを可能にするセキュリティ、適合性、メタデータおよび処理機能の豊富なセットが含まれます。

DICOM機能をOracle WebCenter Contentと組み合せることで、コンテンツ・サーバー・ユーザーは、PACSまたはローカル・ファイル・システムから画像をインポートし、画像に関連するメタデータを抽出し、サムネイル・ビューを生成してWebCenter Contentに格納できます。ユーザーは、PACSに格納されているDICOM画像にWADO (Web Access to DICOM Persistent Objects)準拠のURLを通じてアクセスすることもできます。

画像から抽出されたDICOMメタデータは、コンテンツ・サーバーのカスタム・メタデータ・フィールドにマップされます。その場所で、ユーザーは必要に応じて管理できます。これによって、画像情報とメタデータを検索および取得するための共通インタフェースを持つ一連のPACSの統合ビューが提供されます。

WebCenter ContentのDICOMサポートには、次の2つの主な要素があります。

PACSなどのDICOMクライアントのセットを管理するようにOracle DICOMプロトコル・アダプタを構成すると、アダプタによって、管理対象クライアントのセットが定期的に問い合され、新しいDICOM画像の存在が確認されます。新しい画像が検出されると、アダプタは、画像を取得し、WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントを使用してそれらをコンテンツ・サーバーにチェックインします。

構成に応じて、次のタイプのコンテンツがチェックインされます。

画像は、コンテンツ・サーバーへの格納後、標準サービスを通じて、またはDICOMネットワーク・プロトコルを介したDICOMアダプタからアクセスできます。

overview.gifの説明が続きます
図overview.gifの説明

1.1.1 Oracle DICOMプロトコル・アダプタ

Oracle DICOMプロトコル・アダプタ・スイートは、ビューアやPACSなどのDICOMクライアントと通信します。これは、WebCenter Contentと対話し、これらの通信に基づいた操作を実行して、画像の格納、問合せ、コンテンツ・サーバー・リポジトリからの取得を行います。

このスイートは、WebLogic Application Serverの中間層で実行される3つのWebLogicアプリケーションで構成されます。これらのアプリケーションは、PACS、ビューアおよび他のDICOMクライアントと通信します。

  • Oracle DICOMプロトコル・アダプタ: スイートのコア・アプリケーションです。これは、標準のDICOMクライアント(PACSやDICOMビューアなど)とWebCenter Contentの間のブリッジとして機能します。

  • Oracle DICOMクローラ: アダプタのスケジュール・サービスです。これは、DICOMプロトコルを使用して定期的にPACSのセットを問い合せ、新しいDICOM画像またはDICOMメタデータ(あるいはその両方)をWebCenter Contentにインポートします。

  • Oracle DICOM WADOプロキシ: WADO形式のURLを通じてリモートDICOMクライアント(PACSなど)からDICOM画像を取得するために使用されるサービスです。

チェックイン時に、DICOM画像に対してコンテンツ・サーバー・エントリが必ず作成されます。スイートは、チェックインされたDICOM画像のメタデータのみを管理するように、または実際の画像も管理するように構成できます。これは、WADOリンクを管理して元の画像の場所を示すように構成することもできます。

詳細は、第2章「Oracle DICOMプロトコル・アダプタのインストールおよび構成」を参照してください。

1.1.2 WebCenter用のOracle DICOMコンポーネント

WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントがコンテンツ・サーバーにインストールされて有効化されると、チェックイン・フィルタの実装によってリポジトリ内の画像の格納と処理を管理するために使用されます。DICOMコンポーネントは、コンテンツ・サーバー・サービスのコレクションであり、ユーザーはDICOMコンテンツをチェックインして処理したり、DICOMチェックイン・サービスの動作を構成できます。

詳細は、第3章「WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントのインストールおよび構成」を参照してください。

1.2 使用方法のシナリオ

コンテンツ・サーバーは、DICOM画像または画像とメタデータの中央リポジトリとして機能します。これは、画像が複数のPACS間に分散することがあるDICOMの従来の使用方法とは異なります。

2つの一般的な使用方法のシナリオは次のとおりです。

どちらのシナリオでも、インポートに使用するすべてのPACSの接続詳細を使用してOracle DICOMクローラを構成できます。PACSから戻される画像を制限するフィルタとして機能するDICOM問合せが、構成内の各PACSに関連付けられます。たとえば、日次ベースでPACSを問い合せて、前日以降にPACSに追加されたすべての画像を取得するようにクローラを構成できます。

また、WebCenter用のOracle DICOMコンポーネントは、画像のインポート時にコンテンツ・サーバーに保持する要素のメタデータ・マッピングを含めるように構成できます。

これら2つのシナリオを構成する方法の詳細は、2.4項「サンプル構成シナリオ」を参照してください。

1.3 スケーラビリティ

DICOMクローラは、DICOMクライアント(PACSなど)の特定のセットを管理するように構成できます。セット内のDICOMクライアントごとに、DICOMクローラは、定期的にクライアントを問い合せ、最後の問合せ以降に追加された新しい画像を検出する必要があります。DICOMプロトコルでは、新しい画像の追加といったイベントの非同期通知に登録するメカニズムを指定しないため、このタイプのポーリングが必要です。

このアーキテクチャ上の制約によって、DICOMクローラは、100クライアント未満のサイズのDICOMクライアントのセットを管理するようにスケーリングする必要があります。これより負荷が高くなると、すべてのDICOMクライアントが問い合される結果、実際の更新がない場合でもネットワークが停滞する不要なトラフィックが発生するリスクが生じます。