Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築 11gリリース1 (11.1.1.9.0) E50013-05 |
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この章では、ポータルを他の言語に翻訳する方法について説明します。WebCenter Portalには、アプリケーション・レベル、ポータル・レベルおよびユーザー・レベルで言語選択についての制御機能が用意されています。
この章の内容は、次のとおりです。
権限: この章のタスクを実行するには、ポータル・モデレータが付与するポータル・レベルの権限 権限の詳細は、第29.1項「ポータルのロールと権限について」を参照してください。 |
ポータルが1つ以上の国のユーザーに表示される場合、ユーザーが選択した言語とロケールに基づいてローカライズされたコンテンツを表示するようにポータルを構成できます。たとえば、ページがイタリアで表示されることがわかっている場合、(ブラウザ、ユーザー・プリファレンス、ポータルまたはアプリケーション設定で)イタリア語が選択されたときに、ページのテキストの文字列がイタリア語で表示されるように、ページをローカライズできます。
また、ロケールの選択では、選択されたロケールに適用可能な書式に関する特別な考慮事項も適用されます。これらの考慮事項には、たとえば、情報が一般的に左から右または右から左のどちらで表示されるか、数字がどのように表現されるか(金銭に関する情報など)などが含まれます。
この項の内容は、次のとおりです。
WebCenter Portalには主に次の3種類の情報が表示されますが、それぞれ翻訳では異なる処理をします。
ユーザー・インタフェース(UI)要素。図61-1に示すような、フィールドやボタン・ラベル、シードされたボイラープレート・テキストなどがあります。
ユーザー入力メタデータ。図61-2に示すようなポータル名やページ名などです。
ユーザーが追加したコンテンツ。お知らせ、ドキュメント、ディスカッション・フォーラム・コンテンツなどがあります。
翻訳に関しては、情報のタイプごとに、次のように異なる処理が行われます。
UI要素には、28の言語と100の異なるロケールに対応するデフォルトの翻訳が含まれています。デフォルトのUIテキストが会社のニーズに適していなかったり、会社が追加の言語のサポートを必要とする場合は、システム管理者がこのテキストを含む文字列ファイルを編集できます。
ユーザーが入力したメタデータの翻訳は、UI要素を翻訳するのと同じ方法で、システム管理者が文字列ファイルを編集することにより行うことができます。
ユーザーが追加したコンテンツは、寄稿するユーザーが使用する言語で表示されるのが一般的ですが、システム管理者がコンテンツ・プレゼンタを使用して翻訳済コンテンツを表示する方法もあります。
翻訳された情報がブラウザでレンダリングされる際の言語は、表示言語によって制御されます。
インターネットでは通常、ユーザーがアクセスする各種のWebサイトで使用される表示言語は、ブラウザの設定によって制御されます。ただし、WebCenter Portalには、アプリケーション・レベル、ポータル・レベルおよびユーザー・レベルで言語選択を制御する追加機能が用意されています。WebCenter Portalの表示言語設定についての優先順位は、最下位から最上位の順で次のようになっています。
ブラウザ設定: ユーザーのブラウザのプリファレンスで選択された言語です。この設定の変更方法はブラウザのドキュメントに説明されています。
アプリケーション設定: システム管理者により構成された、アプリケーションのデフォルト言語です。詳細は、Oracle WebCenter Portalの管理のデフォルト表示言語の選択に関する項を参照してください。
ポータルのデフォルト言語: ポータル・モデレータが特定のポータルに設定した言語です。詳細は、第7.3.9項「ポータルの表示言語の設定」を参照してください。この設定は、ホーム・ポータルの表示言語の決定の際には考慮されません。
ユーザー・プリファレンスの設定: ユーザーが個人のプリファレンスの設定で選択する言語です。詳細は、Oracle WebCenter Portalの管理の優先表示言語の設定に関する項を参照してください。
「言語の変更」タスク・フロー: ユーザーが「言語の変更」タスク・フローで選択する言語です。
グローバル言語スイッチャ(パブリックCookie): パブリック・ユーザー、つまりWebCenter Portalにログインしていないユーザーが、ポータルの「ようこそ」ページで選択できるセッション言語です。セッション言語は、Cookieの有効期間の間保持されます。ユーザーがブラウザのCookieを消去すると、セッション言語も消去されます。
これらすべての設定の組合せに基づいて、ポータルの表示言語がログイン前、ログイン後およびログアウト後に計算されます。
注意: 現在のスコープ(つまりデフォルトのポータル言語)が設定されている場合、前述の優先順位には例外があります。 |
WebCenter Portalには、28の言語および100のロケール用のランタイム翻訳が用意されています。
表61-1は、WebCenter Portalでデフォルトで使用できる28言語すべてを示しています。ユーザーは、特定の言語に関連付けられたロケールを選択することもできます。たとえば、言語をアラビア語に変更して、この言語グループ内でアルジェリア、バーレーン、ジブチなど20の異なるロケールから選択できます。
表61-1 WebCenter Portalで使用できる言語
AからGe | GrからRo | RuからT |
---|---|---|
アラビア語 |
ギリシャ語 |
ロシア語 |
ポルトガル語(ブラジル) |
ヘブライ語 |
中国語(簡体字) |
チェコ語 |
ハンガリー語 |
スロバキア語 |
デンマーク語 |
イタリア語 |
スペイン語 |
オランダ語 |
日本語 |
スウェーデン語 |
英語 |
韓国語 |
タイ語 |
フィンランド語 |
ノルウェー語 |
中国語(繁体字) |
フランス語 |
ポーランド語 |
トルコ語 |
フランス語(カナダ) |
ポルトガル語 |
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ドイツ語 |
ルーマニア語 |
注意: Oracle Enterprise Managerをはじめとするツールなど、WebCenter Portalにサービスを提供する管理層では、WebCenter Portalで使用可能な言語のサブセットが提供されます。それらを次に示します。
ディスカッション機能は、Jiveアプリケーションを使用します。WebCenter PortalにバンドルされているJiveアプリケーションは、デフォルトで、英語とスペイン語をサポートします。表61-1にリストされているその他の言語はサポートされません。ただし、Jiveはユーザー独自の翻訳ファイルを受け入れます。詳細は、Jiveのドキュメント・サイトを参照してください。この情報は、Jiveアプリケーションのユーザー・インタフェースに明示されています。 |
注意: ページレット・プロデューサ管理UIでは、9つの管理言語とオランダ語をサポートしています。 |
WebCenter Portalでは、言語に各国固有のバージョンがある場合があります。たとえばフランス語には、フランス語(ベルギー)、フランス語(カナダ)、フランス語(スイス)などの変異形があります。ポータルは、特定言語のすべての変異形での翻訳が必要な場合があります。WebCenter Portalでは、ベース翻訳スコープのリソース・バンドル・ファイルに翻訳がフォール・バックする、翻訳のフォールバック・メカニズムをサポートしています。たとえば、ポータルをフランス語(fr)のすべての変異形で翻訳する必要があるとします。
WebCenter Portalの表示言語をフランス語(カナダ)に設定する際(コード「fr_CA」で表される)、「fr」用の翻訳のみが提供されている場合は、フォールバック・メカニズムによりその翻訳が「fr_CA」から「fr」にフォール・バックされます。この場合、ユーザー指定のメタデータはscope-resource-bundle_fr.xlf
ファイルから取得された翻訳でレンダリングされます。
WebCenter Portalの表示言語が「fr_CA」で、「fr」用の翻訳が提供されていない場合は、フォールバック・メカニズムにより翻訳がベース・スコープのリソース・バンドルにフォール・バックされます。この場合、ユーザー指定のメタデータはscope-resource-bundle.xlf
ファイルから取得された翻訳でレンダリングされます。
WebCenter Portalで表示される言語を構成するには、管理者、ポータル・モデレータまたはユーザーのいずれであるかに応じて、使用可能な次のオプションから選択できます。
システム管理者はWebCenter Portalでデフォルトで表示される言語と、WebCenter Portal UIで選択可能な言語を構成できます。詳細は、Oracle WebCenter Portalの管理のデフォルト表示言語の選択に関する項を参照してください。
ポータル・モデレータはその特定のポータルでデフォルトで表示される言語と、そのポータルのUIで選択可能な言語を構成できます。詳細は、第7.3.9項「ポータルの表示言語の設定」を参照してください。
ユーザーは、WebCenter Portalにログインすると常に適用される言語のプリファレンスを選択できます。詳細は、Oracle WebCenter Portalの管理の優先表示言語の設定に関する項を参照してください。
注意: WebCenter Portalが実行されているサーバーで、WebCenter Portalで設定されている言語プリファレンスのキャラクタ・セットがサポートされていない場合は、ポータルに関連する出力情報は、文字化けするか疑問符で表示されます。この問題を回避するため、ユーザーはセッション言語またはユーザー個人の言語プリファレンスをEnglish に変更できます。これにより、新しいログ・ファイル情報が作成されます。このログ・ファイルは、通常、$WCP_DOMAIN /servers/WC_Spaces/logs にあります。 |
この項では、「言語の変更」タスク・フローをページに追加することにより、ユーザーが言語を選択できるようにする方法について説明します。内容は、次のとおりです。
「言語の変更」タスク・フローを任意のページ(ホーム・ポータルのページ、ポータルのページ、またはビジネス・ロール・ページ)に追加することで、UIを表示する際の言語をユーザーが選択できるようになります。
「言語の変更」タスク・フローをページに追加するには、次の手順を実行します。
編集モードでページを開きます(第12.4.3項「ページ・エディタ(コンポーザ)でのページのオープン」を参照してください)。
注意: デフォルトで、ビュー・スイッチャはに設定され、コンポーザの「デザイン」ビューには、インライン・リソース・カタログを示したページが表示されます。 |
「言語の変更」タスク・フローをリソース・カタログで探します。
「言語の変更」タスク・フローの横にある「追加」をクリックします。
「保存」をクリックして変更を保存します。
「言語の変更」タスク・フローには、関連するプロパティがあります。このプロパティには、十分な権限を持つユーザーがコンポーザの「コンポーネント・プロパティ」ダイアログからアクセスできます(図61-4)。
「コンポーネント・プロパティ」ダイアログの詳細は、第14.3項「コンポーネント・プロパティの変更」を参照してください。
次の項では、「言語の変更」タスク・フローのプロパティについての情報を提供し、「パラメータ」タブのプロパティについて説明します。
デフォルトのタスク・フロー・コンテンツは、「コンポーネント・プロパティ」ダイアログの「パラメータ」タブ上のプロパティによって制御されます。このタブのパラメータの詳細は、第61.3.2.2項「「言語の変更」タスク・フロー・パラメータ」を参照してください。一部のタスク・フローでは、このタブのパラメータにより、ページ・パラメータやページ定義変数へのタスク・フローの結付けが容易になります。ページとコンポーネントの結付けの詳細は、第19章「ページ、タスク・フロー、ポートレットおよびADFコンポーネントの結付け」を参照してください。
「表示オプション」タブ、「スタイル」タブおよび「コンテンツ・スタイル」タブのプロパティを変更すると、すべてのユーザーのタスク・フローの外観と動作に影響します。これらのプロパティは、すべてのタスク・フローに共通しています。詳細は、第14.3項「コンポーネント・プロパティの変更」を参照してください。
「イベント」タブの内容は、タスク・フローでサポートされているイベントによって異なります。詳細は、第14.3.7項「コンポーネントのコンテキスト・イベントの使用」を参照してください。
「パラメータ」タブと「表示オプション」タブのすべてのプロパティから式言語(EL)エディタにアクセスできます。ELエディタを使用すると、定数値のかわりに変数値を選択または指定できます。プロパティの横にあるアイコンをクリックし、「式ビルダー」を選択してエディタを開きます。
注意: 「コンポーネント・プロパティ」ダイアログの汎用の「表示オプション」タブでELを入力する際、閉じ大カッコがないなど無効な構文が検出された場合にのみ、パーサーはエラーを報告します。検証は構文に対してのみ行われ、式の値に対しては行われません。汎用の表示オプションとは、表14-1「表示オプション・プロパティ」に掲載されているオプションです。汎用以外の表示オプションには、ELの検証は行われません。 |
EL式に関してサポートが必要な場合、アプリケーション開発者がEL式を提供できます。詳細は、Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発の式言語式に関する付録を参照してください。
表61-2は、「言語の変更」タスク・フローに固有のパラメータについて説明しています。
この項では、特定の文字列または特定のポータルの文字列を編集する方法を、文字列のリソース・キーを確認する方法とポータルのGUIDを確認する方法を含めて説明します。この項の内容は、次のとおりです。
特定の文字列や特定のポータルの文字列のみを編集することが必要になる場合があります。このタスクを実行するには、該当する文字列やスペースに関連付けられた値を確認する必要があります。その後、必要な文字列をポータル固有のリソース・バンドルで編集する必要があります。ポータル固有のリソース・バンドルの編集方法の詳細は、Oracle WebCenter Portalの管理の「複数言語ポータルの管理」を参照してください。
特定の文字列を編集する場合、その文字列を文字列ファイル内で見つけるために、文字列のリソース・キーが必要になります。
文字列のリソース・キーを確認する手順は、次のとおりです。
Composerでページまたはリソースを開きます。詳細は、第21.4項「ページ・テンプレートの編集」を参照してください。
編集する文字列を含むコンポーネントの編集アイコン(レンチ)をクリックします。
「コンポーネント・プロパティ」ダイアログで、「表示オプション」タブをクリックします。
リソース・キーは、「テキスト」ボックス内のテキストの最後の部分です。
たとえば、図61-5は、Announcementsコンポーネントのリソース・キーを示しています。「Announcements」という文字列を編集する場合は、リソース・キーANNOUNCEMENTS.TITLE
を記録します。
特定のポータルのUIテキストやユーザー入力メタデータを編集する場合、ポータルのGUIDを確認する必要があります。
ポータルのGUIDを確認するには:
編集する文字列を含むポータルに移動します。
「アクション」メニューをクリックし、「情報」を選択して、「ポータル」を選択します。
「ポータルについて」ダイアログで、「内部ID」の値を書き留めます(図61-6)。
翻訳されたコンテンツを表示するには、表示言語を参照するコンテンツ・プレゼンタ・テンプレートを作成した後、コンテンツを言語固有のフォルダから表示する必要があります。コンテンツ・プレゼンタ・テンプレートの作成の詳細は、Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発の「コンテンツ・プレゼンタ表示テンプレートの作成」を参照してください。