グローバル ペイロール (日本) システムの設定について

この項では、グローバル ペイロール (日本) の配布エレメントがどのように設定されているかについての一般情報を説明します。また、システムの使用方法および設定方法についての注意や警告もいくつか説明します。

この項では、次の作業を行う方法について説明します。

  • 基本給およびその他の PeopleSoft HR データの使用。

  • 支給元の定義。

  • 支給タイプの設定。

  • カレンダー グループ ID の設定。

  • 遡及支払い計算について。

  • 配布された書込み可能アレイの使用。

  • 支給の属性の設定 (給与)。

  • 支給の属性の設定 (賞与)。

  • 時間管理用変数の設定。

グローバル ペイロール (日本) のアプリケーションは、HR アプリケーションで入力された会社データおよび従業員の個人データや職務データを使用するように設計されています。給与計算処理に必要な HR データを管理するために使用するグローバル ペイロールのルール、Structured Query Report (SQR) およびアプリケーション エンジン プログラムが提供されています。

基本給の給与レート コードのマッピング

基本給の計算において、グローバル ペイロール (日本) では、HR で給与レート コードを使用して定義された、従業員の給与パッケージが使用されます。サンプル データとして、3 つの汎用レート コード (J08 から J10) がグローバル ペイロール (日本) 用に提供されています。これらの給与レート コードは、ヒューマン リソース管理の 3 つの汎用基本給レート コード (J08 から J10) にマッピングされています。マッピング先となるヒューマン リソース管理の給与レート コードで、「給与レート コード」テーブルの「固定的賃金」チェック ボックスが選択されていれば、必要に応じてこれらの給与レート コードを追加、再マッピングおよび修正できます。

支給元とは、給与計算の観点から組織を法的に定義したもので、受給者に支給を行う責任のある組織のことです。この組織と支給元は同一である場合がよくあります。それぞれの組織の支給元を定義するには、グローバル ペイロール コア アプリケーションの支給元コンポーネントを使用します。

組織の社会保険事業所、労働保険事業所および所得税/住民税の納付元事業所が支給元より小さい組織の場合、このトピックで説明する「納付元事業所」ページでこれを定義します。定義されている支給元が、社会保険、労働保険、所得税および住民税のそれぞれの納付元事業所と同一であっても、これらに対する納付元事業所を少なくとも 1 つずつ定義する必要があります。

グローバル ペイロール (日本) では、従業員の支給タイプを指定するために変数 ER VR PAY TYPE を使用しています。標準では、フォーミュラ ER FM BASE RATE は、HR の職務データの給与レコードにある従業員の給与周期を基に、この変数に値を割り当てます。日本用の有効な HR の給与周期には次のものがあります。

フィールドまたはコントロール

定義

M (月次)

超過勤務手当の支給対象外であり、月単位で給与を支給される従業員用。

JM (月次 - 日本)

超過勤務手当の支給対象であり、月単位で給与を支給される従業員用。

D (日次)

日給ベースで給与が支給される従業員用。

H (時間毎)

時給ベースで給与が支給される従業員用。

注: 超過勤務手当の支給対象であり、月単位で給与が支給される従業員に対し、HR の「職務データ」の「給与データ」ページで JM の周期が割り当てられていることを確認する必要があります。

それぞれの組織および給与計算処理期間にとって意義のあるカレンダー グループ ID を設定する必要があります。カレンダー グループで持つことができる実行タイプは、それぞれ 1 つのみです。これは、通常の給与、賞与、年末調整または退職金のそれぞれの給与計算ごとに、固有のカレンダー グループ ID を設定する必要があることを意味します。サンプル データとして、PeopleSoft から、給与、賞与、賞与年調、給与年調、単独年調および退職金の 6 つの実行タイプが提供されています。

グローバル ペイロール (日本) のアプリケーションでは、基本給の遡及変更を処理するために必要なエレメントが提供されています。次に、遡及変更がアプリケーションによって処理される方法の概要を示します。

  • ヒューマン リソース管理の職務データの給与レコード (COMPENSATION) が変更されると、基本給の遡及処理が行われます。

    このレコードは職務データ レコードの子レコードなので、給与レコードと職務データ レコードのどちらかが変更されると、遡及処理が行われます。

  • 次のエレメントが、遡及処理で調整されます。

    • ER BASE PAYM

    • ER BASE PAYD

    • ER BASE PAYH

    • ER OVERTIME

    • ER OT ABVLMT

    • ER NIGHT

    • ER HOLIDAY

    • ER HOLNIG

    • ER TAED RED

    • ER SPLE RED

    • ER ABS RED

    • ER SCLE RED

    • SC REM S01

    • SC REM S02

    • SC REM S03

    • SC REM S04

    • SC REM S05

    • SC REM S06

    • SC REM S07

    • SC REM S08

    • SC REM S09

    • SC REM S10

    • SC REM S11

    • SC REM S12

  • 社会保険処理では、報酬月額の計算および随時改定の資格判定の際に遡及変更の履歴が調査されます。

注: HR のレコードに遡及データ行を追加する場合は、新しい行に繰り越すデータを持つ行にカーソルを合わせておく必要があります。挿入した行に入力した新しいデータを、その行の後に来る既存のデータ行に繰り越したい場合は、既存のデータ行を手動で更新する必要があります。

支給キー

日本の組織において、日本用の給与計算を設定している場合は、支給キーを使用しないことをお薦めします。

エレメント分割に関する注意

グローバル ペイロールの分割機能は使用しないことをお薦めします。分割はレポートに出力されるデータに影響を与える恐れがあるため、分割を使用する場合は、問題が起こらないようにすべてのレポート出力を十分に検討する必要があります。

グローバル ペイロール (日本) では、次のような書込み可能アレイが用意されています

  • GPJP 書込み可能アレイ (GPJP_WA)。

    このアレイには、PeopleSoft アプリケーション エンジンおよび SQR プログラムで使用されるデータが格納されます。

  • 社会保険レポート給与データ書込み可能アレイ (GPJP_WA_SC_RPT_SAL)。

    このアレイには、社会保険レポートの作成で使用される給与データが格納されます。

  • 社会保険レポート賞与データ書込み可能アレイ (GPJP_WA_SC_RPT_BON)。

    このアレイには、社会保険レポートの作成で使用される賞与データが格納されます。

グローバル ペイロール (日本) で使用する支給エレメントを新しく作成する場合、その属性も設定する必要があります。給与の支給エレメントには、次のような属性があります。

  • 課税対象または課税対象外。

  • 現金支給または現物支給。

  • 現金報酬または現物報酬。

  • 賃金。

  • 固定的賃金。

  • 超過勤務手当計算基準。

  • 減額計算基準。

これらの属性は、支給エレメントを適切な累計に追加することで設定します。

属性

累計

説明

課税対象

課税対象外

ER AC TAX PAY SAL

ER AC NTAX PAY SAL

課税対象の給与支給総額。

課税対象外の給与支給総額。

現金支給

現物支給

ER AC CASH SAL

ER AC NCASH SAL

給与の現金支給総額。

給与の現物支給総額。

現金報酬

現物報酬

ER AC CASH REM SAL

ER AC NCSH REM SAL

給与の現金報酬総額。

給与の現物報酬総額。

賃金

ER AC TTL WAGE SAL

給与の賃金総額。

固定的賃金

ER AC FIX WAGE SAL

給与の固定的賃金総額。

超過勤務手当計算基準

ER AC PRM BASE SAL

給与の超過勤務割増し基礎額。

減額計算基準

ER AC RED BASE SAL

給与の減額基礎額。

たとえば、課税対象、現物支給、現物報酬、賃金、固定的賃金および超過勤務手当計算基準の属性を持つ支給エレメントの場合、このエレメントを累計 ER AC TAX PAY SAL、ER AC NCASH SAL、ER AC NCSH REM SAL、ER AC TTL WAGE SAL、ER AC FIX WAGE SAL、ER AC PRM BASE SAL に追加します。

グローバル ペイロール (日本) で使用する賞与の支給エレメントを新しく作成する場合、その属性も設定する必要があります。

属性

累計

説明

課税対象

ER AC TAX PAY

課税対象の賞与支給総額。

賃金

ER AC TTL WAGE BON

賞与の賃金総額。

現金支給

現物支給

ER AC CASH BON

ER AC NCASH BON

賞与の現金支給総額。

賞与の現物支給総額。

現金報酬

現物報酬

ER AC CASH REM BON

ER AC NCASH REM BO

賞与の現金報酬総額。

賞与の現物報酬総額。

賞与の支給エレメントには、課税対象および賃金の属性が必要です。賞与の支給エレメントは、累計 ER AC TAX PAY BON (課税対象の賞与支給総額) および ER AC TTL WAGE BON (賞与の賃金総額) に追加する必要があります。さらに、現金の賞与の場合は、ER AC CASH BON および ER AC CASH REM BON に追加する必要があります。現物の賞与の場合は、ER AC NCASH BON および ER AC NCASH REM BO に追加する必要があります。

配布された変数をそれぞれの組織のビジネス ルールに適合させるには、変数の環境設定を行う必要があります。この設定を行うと、支給期間ごとに各従業員の時間データが入力できるようになり、給与計算が実行できます。

ここでは、変数の設定方法を説明します。

  1. 超過勤務および休暇欠勤に対する変数を設定します。

    • PeopleSoft では、4 つの超過勤務の変数と 4 つの休暇欠勤による減額の変数を配布しています。変数を追加して、追加の超過勤務および休暇欠勤タイプを管理できます。

    • PeopleSoft ではその他に、有給休暇取得や代替休暇など、時間データを管理するための 5 つの変数が配布されています。また、PeopleSoft では、ポジティブ入力で時間データを入力するために、これらの変数のそれぞれに対し、ダミーの支給エレメントを配布しています。

    • 超過勤務の割増し率および減額率に対応する変数を定義します。

    • 超過勤務手当、休暇欠勤減額またはその他の給与計算を計算するために変数を追加して使用する場合は、その内容に応じて、フォーミュラおよびその他のルールの作成や変更を行う必要があります。

  2. 当年度から先に有給休暇を消費する組織の場合、変数 AO VR PR PRI FLAG の配布時の値を変更します。

  3. 10 月以外の月に有給休暇を付与している組織の場合、変数 AO VR ENT MONTHS の配布時の値を変更します。

  4. それぞれの組織の有給休暇の付与スケジュールを設定します。

    PeopleSoft では、勤務期間に応じた有給休暇付与のスケジュールを設定するために、4 つの変数が配布されています。

    • それぞれの組織の休暇付与スケジュールに適合させるために、必要に応じて勤務期間を評価する新しい変数を追加したり、ルールを定義します。

    • それぞれの変数に関連付けられた有給休暇付与の日数を定義します。

    • 前年度の未取得の有給休暇が有給休暇付与の時点で無効になる場合は、変数 AO VR PTO EXP FLAG のデフォルト値を変更します。