オープン期間とクローズ期間に基づいた会計カレンダーについて
通常使用している期首と期末の日付に基づいて会計期間構成を設定し、この会計期間を複数組み合わせることでカレンダーを作成できます。このような会計カレンダーにより、さまざまな取引タイプ、元帳グループ、元帳コード、およびビジネス ユニットについての取引を転記する期間が定義されます。カレンダーには、会計環境に応じて、元帳コード、元帳グループ、およびビジネス ユニットも設定します。
PeopleSoft 一般会計はさまざまなカレンダーをサポートしており、実績用のカレンダー、予算や予測のアクティビティ用のカレンダーのほか、レポートや取引の特殊なニーズに対応したカレンダーを作成することができます。元帳に対して一度にアクティブにできるカレンダーは 1 つだけです。
PeopleSoft システムでは、次に示すカレンダー定義オプションが使用されます。
フィールドまたはコントロール |
定義 |
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カレンダー ビルダー |
詳細カレンダーなどの他のカレンダーを作成するための土台となる、基本のカレンダーを作成するために使用します。 |
詳細カレンダー |
会計年度における会計期間の数と期間、および各期間の開始日と終了日を含めた詳細カレンダーを定義します。このオプションにより、カレンダーの調整期間も指定されます。転記は、元帳グループのカレンダーに直接結び付けられます。取引は、仕訳日に対応するオープン期間と、仕訳ヘッダーで指定する調整期間に転記されます。期間と年度は、いつでもいくつでもオープンにできます。資産管理を使用する場合は、定義した詳細カレンダーに基づいて減価償却配賦を設定できます。 |
要約カレンダー |
(オプション) 要約カレンダーは、四半期のレポートや半期のレビューなどの照会やレポートの目的で、詳細カレンダーの期間をグループ化するために使用します。詳細元帳への仕訳の転記を制御するために使用するのが詳細カレンダーなのに対し、要約元帳を使用する要約カレンダーは、詳細カレンダーの期間全体にわたるデータをさらにまとめるために使用します。要約元帳データの会計期間は、定義する要約カレンダーの期間に対応します。詳細カレンダーを要約元帳と関連付けることはできますが、要約カレンダーを詳細元帳と一緒に使用することはできません。 |
ビジネス カレンダー |
(オプション) 祝日や休業日を設定する、ビジネス (営業日) カレンダーを作成するために使用します。このカレンダーを 1 つ以上定義したら、一般会計定義 - 定義ページにある [休日リスト ID] フィールドのビジネス ユニットにリンクします。ビジネス カレンダーを認識するのは、元帳テンプレート - レコード定義ページで、標準元帳テンプレートのデフォルト元帳タイプが設定された元帳だけです。 仕訳入力ページで仕訳を入力するとき、または仕訳ジェネレータ処理 (FS_JGEN) を実行するときに、システムによって、仕訳日が営業日になるようにこの日付が編集されます。仕訳編集処理 (GL_JEDIT) によって仕訳日がチェックされ、この日が該当するビジネス カレンダーの営業日に当たることが確認されます。この処理によって仕訳日が営業日ではないことが検出されると、その仕訳はエラーとしてマークされます。仕訳日は変更できないため、仕訳のコピー機能を使用してその仕訳を別の日にコピーし、元の仕訳 (エラー状態としてマークされた仕訳) を削除します。 逆仕訳の場合は、仕訳転記処理 (GL_JP) ではなく仕訳編集処理によって逆仕訳日が入力されます。仕訳ヘッダーの逆仕訳日に [翌期末] または [翌期首] を選択した場合、その日が営業日に当たらないときは仕訳編集処理によって日付が変更されます。[翌期首] を選択した場合は、翌期間の最初の有効な営業日が使用されます。[翌期末] を選択した場合は、翌期間の最後の有効な営業日が使用されます。 逆仕訳の特定の仕訳日は、仕訳入力ページを使用して仕訳を入力した場合にのみ入力できます。日付を指定する場合、システムがその時点の日付を編集し、有効な営業日の入力を求めます。 コミットメント コントロール予算で使用する、会計用および非会計用の詳細予算期間カレンダーを手動で定義するために使用します。 |
予算期間カレンダー |
コミットメント コントロール予算で使用する、会計用および非会計用の詳細予算期間カレンダーを手動で定義するために使用します。 |
予算期間カレンダー ビルダー |
コミットメント コントロール予算で使用する、予算期間カレンダーを自動的に定義するために使用します。 |
要約予算期間カレンダー |
事前定義された詳細予算期間カレンダーに基づいて、コミットメント コントロール予算で使用する要約予算期間カレンダーを作成するために使用します。 |
スケジュール オプション |
さまざまなアクティビティのスケジュール オプションを定義するために使用します。 |
調整期間数は、実務に合った調整を取り込むのに必要な数 (最大 3 桁) を設定できます。これらの調整期間は、詳細カレンダーで定義します。たとえば、ある年の前期、後期、通年のように、年内の異なる部分に対して調整を取り込むように調整期間を設定できます。また、ある監督者が所属する部門の仕訳に対する監督者関連の調整用、内部監査に基づいた調整用、外部監査に基づいた調整用、税務当局に関連する調整用のように、異なる種類の調整を取り込むように調整期間を設定することもできます。
一般会計には、期間ごとまたは年度ごとの結果を損なわないようにするため、標準のカレンダー期間にはない次の特別期間があります。これらの期間は、レポート、照会、または要約元帳などのその他の処理を実行するときに含めることができます。
フィールドまたはコントロール |
定義 |
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期首残 |
繰越残高金額や各年度の期首時点での残高を保存するために使用します。貸借対照表の勘定科目の場合、これは開始残高を表します。損益計算書の勘定科目は通常ゼロになりますが、この期間には、締め処理ルールの損益繰越オプションのページで指定する、チャートフィールドに対するその日までの変更分の合計を含めることができます。一般会計では、この期間は締め処理のときにのみ更新されます。 |
調整期間 998 |
調整入力を保存するために使用します。他の調整期間を作成して、デフォルトの調整期間の代替期間または追加期間として使用できます。仕訳入力の際に、仕訳入力 - ヘッダー ページにある調整入力チェック ボックスをオンにして、調整入力であることを示します。 |
期間 999 |
年度末締めの結果を保存するために使用します。剰余金に対する今年の純利益を入力するための、年度末締め処理入力をここに転記します。一般会計では、この期間は締め処理のときにのみ更新されます。 |
注: 調整期間は、会計期間 1 から 12 に対応して、901 から 912 のように連続して設定します。
一般会計の元帳には、ビジネス ユニットおよび元帳グループ用のカレンダーに定義された各会計期間のアクティビティが含まれています。各ビジネス ユニットと元帳グループに関連付けられたカレンダーに従い、各期間の開始日と終了日が決定されます。また、ビジネス ユニット、取引タイプ、元帳グループ、および元帳コードごとに、どの期間がオープンになっている (取引を転記できる) かが指定されます。
PeopleSoft アプリケーションの多くは、関連付けられている一般会計のビジネス ユニットのカレンダーとオープン期間に基づいて、そのアプリケーション自体のオープン期間を定義します。一般会計で、あるビジネス ユニットの期間がクローズされると、そのビジネス ユニットに関連付けられた全てのアプリケーションも同時にクローズされ、クローズされた期間に取引を入力することができなくなります。これは、財務諸表の作成後に入力が記録されないようにするためです。
また、異なる (多くの場合には競合する) 会計原則に従って、1 つのビジネス ユニットに対する会計取引を 1 つの元帳に記録し、これらの入力を政府機関や規制機関が公布するさまざまなルールに準拠しながら管理することもできます。複数の GAAP (一般に公正妥当と認められた会計原則) を使用するため、PeopleSoft システムでは台帳コードと元帳コードを使用して 1 つの元帳に対して複数のサブセットが作成されます。これにより、取引を複数のサブセットに同時に入力しながら、各サブセットに該当する会計原則に従って、それぞれの残高を管理することが可能になります。これらの台帳コードと元帳コードにより、前期間調整の作成が容易になります。
PeopleSoft システムによって定義される取引タイプを使用すると、一般会計の仕訳入力と個別のアプリケーションの取引の両方について、どの取引がオープンの状態でどれがクローズの状態かを制御し、ビジネス サイクル内でさらに処理を進めることができます。
次に示す PeopleSoft アプリケーションでは、一般会計や他のアプリケーションのオープン期間の日付範囲とは異なる日付範囲を指定できます。個別のオープン期間の範囲を設定できるアプリケーションの場合、オープン期間は各ビジネス ユニットに対して定義されます。アプリケーションのオープン期間に対する日付範囲は、関連付けられた一般会計ビジネス ユニットに対するオープン期間の日付範囲と同じにすることも、別の範囲にすることもできます。アプリケーションに対するこれらの日付は、ラグ日数を入力するか、オープン期間の開始日と終了日を変えることで変更できます。
資産管理
請求管理
経費管理
買掛金管理
売掛金管理
プロジェクト コスト管理
在庫管理
ラグ日数は、期首、期末、またはその両方に設定できます。期首のラグ日数を入力すると、オープン期間の開始年度と期間にラグ日数を足した結果に基づいて、最初の開始日が計算されます。たとえば、オープン期間の開始年度と期間が 2003 年の第 2 期で、その期間の最初の日が (関連付けられている一般会計ビジネス ユニットに定義されているように) 2003 年 4 月 1 日であるとします。買掛金管理 (AP) のラグ日数に -3 と入力すると、買掛金のオープン期間の最初の日は、2003 年 3 月 29 日と計算されます。終了ラグ日数の場合も、同じように計算されます。
開始ラグ日数には、その会計期間の一般会計の開始日より前の会計期間に含まれる取引を入力できます。終了ラグ日数は、会計期間の一般会計の終了日より前に、その会計期間を終了します。アプリケーションで計算された終了日後の日付に入力したアプリケーションの取引は、その期間が一般会計でまだオープンであっても、次の期間に適用されます。
ラグ日数に指定できるのは、ゼロまたは負の数字のみです。これにより、アプリケーションのオープン期間終了日 (つまり、期間の締め日) が、関連付けられた一般会計のビジネス ユニットに割り当てられた期間の締め日よりも後に意図せず定義されないようにできます。
お客様によっては、独自の台帳が必要な法人が複数ある場合があります。その結果、元帳とビジネス ユニットの数が膨大になり、それぞれのビジネス ユニットと元帳グループのオープン期間を個別に更新するのではなく、一括で更新を実行する機能が必要になります。一括更新を使用すると、多数のビジネス ユニットと元帳グループのオープン期間を同時に変更できます。また、一般会計に対して行ったマス チェンジを、他のアプリケーションに移動できます。
オープン期間の個別更新と一括更新
設定したオープン期間は、次のいずれかの方法で更新できます。
オープン期間更新ページまたはオープン期間一括更新ページを使用して、(アプリケーションの) ビジネス ユニットごと、または (一般会計の) ビジネス ユニットと元帳グループごとに個別に更新する。
オープン期間一括更新ページを使用して、(アプリケーションの) ビジネス ユニット全体、または (一般会計の) ビジネス ユニットと元帳グループ全体に対して一括更新する。
オープン期間一括更新ページの移動機能を使用して、アプリケーションのオープン期間を一括更新する。
この機能は、一般会計のオープン期間の変更を、他のアプリケーションに移動します。
仕訳入力は、オープン期間一括更新ページまたはオープン期間ページで定義されたオープン期間に対してのみ転記します。
アプリケーションのオープン期間の日付範囲をラグ日数を使用して定義すると、一括更新の実行時に明らかなメリットがあります。入力した期間の開始日と終了日は、アプリケーション内の各ビジネス ユニットと取引タイプに適用されます。各ビジネス ユニットにラグ日数が定義されている場合、ラグ日数は変わらず、アプリケーションの日付範囲は、関連付けられている一般会計ビジネス ユニットの日付範囲に対して相対的に計算されます。たとえば、オープン期間の最初の日が 20X3 年 4 月 1 日でラグ日数が –3 の場合、アプリケーションの期間開始日は 20X3 年 3 月 29 日になります。期間開始日を 20X3 年 4 月 5 日に変更してもラグ日数 -3 は引き続き適用され、アプリケーションの期間開始日は 20X3 年 4 月 2 日になります。ラグ日数を使用すると、1 つの変更を複数のビジネス ユニットに反映できますが、期間の開始日と終了日をビジネス ユニットごとに変えることもできます。
ユニット |
一般会計期間の開始 |
ラグ日数 |
計算後のアプリケーション期間の開始日 |
変更後の一般会計期間の開始日 (一括更新) |
ラグ日数 (変更なし) |
新しいアプリケーション期間の開始日 (一括更新後) |
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US004 |
20X3 年 4 月 1 日 |
–3 |
20X3 年 3 月 29 日 |
20X3 年 5 月 1 日 |
–3 |
20X3 年 4 月 28 日 |
US005 |
20X3 年 4 月 1 日 |
0 |
20X3 年 4 月 1 日 |
20X3 年 5 月 1 日 |
0 |
20X3 年 5 月 1 日 |
US006 |
20X3 年 4 月 1 日 |
–2 |
20X2 年 3 月 30 日 |
20X3 年 5 月 1 日 |
–2 |
20X3 年 4 月 29 日 |
注: ここでは、ビジネス ユニットにビジネス カレンダーが関連付けられていないことを前提としています。
アプリケーション ビジネス ユニットの期間開始日と終了日として、関連付けられている一般会計ビジネス ユニットとは異なる日付を定義する別の方法として、別の期間開始日と終了日を入力する方法があります。結果は同じですが、一括更新のメリットは失われます。
注: クローズ済期間に調整を加える必要がある場合は、その期間を再オープンし、その期間の元帳または仕訳が既にアーカイブ済みの場合は、調整を行う前にアーカイブ済みの元帳または仕訳を復元します。