VSM 6 は、VSM 6 と VLE アプライアンス間の直接接続およびマルチポートディレクタスイッチ接続と、ほかの VSM 6 または VSM 5 VTSS への CLINK をサポートしています。
VSM 6 は VLE トラフィックと CLINK トラフィックを分離しません。接続性のある RoIP ポートがどちらにも使用されます。
これらの接続を定義するには、VSM 6 がレプリケーション (アウト) に使用する RoIP ポートとターゲットへの ippath を定義する必要があります。
図6-1 に示すとおり、各 VSM 6 ノードには 12 個の Ethernet ポートがあります。これらのポート割り当ては VSM 6 サーバーノードに Solaris 11.1 以上がインストールされていることを前提としています。
ポート 0 (NET0) は、ユーザーインタフェース接続 (CLI、GUI、ECAM over IP) に使用されます。
ポート 1 (NET1)、ポート 3 (NET3)、ポート 6 (IPM2)、およびポート 7 (Cluster2) はクラスタサポートのためノード間で接続されます。
ポート 2 (NET2) は保守担当者による直接接続のために予約されている専用の保守ポートです。
ポート 4、5、8、および 9 (REP1、REP2、REP3、および REP4) は、IP レプリケーション用途で顧客定義のネットワークに接続するときに使用できます。
ポート 10 (ASR) はアウトバウンド ASR に使用できます。
ポート 11 (JBOD) はサーバーを、スタック内でサーバーより上にある最初のディスクシェルフに接続します。
一般的なネットワークポートシナリオを示します。
シナリオ 1: データセンター内で VSM 5 IFF ポートと VSM 6 レプリケーションポートを接続します。
直接接続はネットワークケーブルによるインタフェース間のポイントツーポイントになります。インタフェース接続は同じネットワーク上です。このシナリオでは、可能な接続は 1 つのみです。ゲートウェイは必要ありません。静的ルーティングは必要ありません。
シナリオ 2: データセンター内で VSM 5 IFF ポートおよび VLE ポートを VSM 6 レプリケーションポートに接続します。
スイッチ経由でインタフェース間を接続し、インタフェース接続は同じネットワーク上です。1 対多の接続が可能です。ゲートウェイは必要ありません。静的ルーティングは必要ありません。
シナリオ 3: VSM 6 レプリケーションポートをリモートデータセンター内の VSM 6 レプリケーションポートに接続する、またはリモートサポートサイトへの ASR 接続を設定します。
インタフェースはゲートウェイ経由で接続され、インタフェース接続は異なるネットワーク上です。1 対多の接続が可能です。ゲートウェイが必要です。顧客側での分離が不可能でターゲットまでのルートが複数ある場合、静的ルーティングが必要になる場合があります。
1 つ、2 つ、または 3 つすべてのシナリオを実装できるような状態で、VSM 6 ノードを環境内に構成できます。
図6-2 に示すノード構成例は、これらの 3 シナリオすべてに対応します。
最初のレプリケーションポート (ネットワーク A) はローカルの VSM 5 IFF ポートに直接接続されています。
2 番目のレプリケーションポート (ネットワーク B) はスイッチ経由でローカル VLE ポートに接続されています。
3 番目のレプリケーションポート (ネットワーク C) のターゲットは異なるネットワーク上にあるリモート VLE ポートです。
4 番目のレプリケーションポート (ネットワーク D) のターゲットは異なるネットワーク上にあるリモート VSM 6 ポートのレプリケーションポートです。
ASR トラフィック (ネットワーク Z) は Oracle に送信されます。
表6-1 に示すとおり、顧客ネットワーク上で構成する VSM 6 ノードのレプリケーションポートと ASR ポートは、一意の別個のネットワークに所属している必要があります。
表6-1 顧客ネットワーク上に構成するポートには別個のネットワークが必要
場所 |
デバイス |
リンク |
機能 |
顧客ネットワーク |
別個のネットワーク |
---|---|---|---|---|---|
PCIE4 |
nxge0 |
net4 |
レプリケーション |
はい |
はい |
PCIE4 |
nxge1 |
net5 |
レプリケーション |
はい |
はい |
PCIE5 |
nxge4 |
net8 |
レプリケーション |
はい |
はい |
PCIE5 |
nxge5 |
net9 |
レプリケーション |
はい |
はい |
PCIE5 |
nxge6 |
net10 |
自動サービスリクエスト |
はい |
はい |
表6-2 は、それぞれが 254 個の IP アドレスを持つ 2 つのネットワークを示しています。この範囲の IP アドレスを持つポートが複数ある場合、それらのポートは同じサブネット上にあることになります。
表6-2 接頭辞長が /24 (254 個の IP アドレス) の 2 つのネットワーク
ネットワーク |
ネットマスク |
接頭辞長 |
IP アドレスの範囲 | ブロードキャスト IP アドレス |
---|---|---|---|---|
192.168.1.0 |
255.255.255.0 |
/24 |
192.168.1.1 - 192.168.1.254 |
192.168.1.255 |
192.168.2.0 |
255.255.255.0 |
/24 |
192.168.2.1 - 192.168.2.254 |
192.168.2.255 |
192.168.1.10/24 および 192.168.1.25/24 のアドレスを持つポートは同じネットワーク上にあります。
192.168.1.10/24 および 192.168.2.25/24 のアドレスを持つポートは同じネットワーク上にはありません。
接頭辞長を増やすとネットマスクが変わり、192.168.1.0 ネットワークがさらに細かいネットワークまたはサブネットに分割されます。たとえば 表6-3 のように、接頭辞長を /28 に変更すると、各サブネットのホスト数が 254 から 14 まで減ります。
注記:
初期構成プロセスでは、拡張に関する将来のニーズを考慮する必要があります。あとから接頭辞を減らすことは隣接ネットワークに影響を及ぼすため、IP アドレスを有効にしたままポートが異なるネットワークに所属し続けるよう、影響を受けるすべてのポートでネットワークを再構成しなければならなくなります。接頭辞 |
ネットマスク |
各サブネットのホスト IP アドレス | サブネットサイズに関する考慮事項 |
---|---|---|---|
/24 |
255.255.255.0 |
254 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 254 個 |
/25 |
255.255.255.128 |
126 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 126 個 |
/26 |
255.255.255.192 |
62 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 62 個 |
/27 |
255.255.255.224 |
30 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 30 個 |
/28 |
255.255.255.240 |
14 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 14 個 |
/29 |
255.255.255.248 |
6 |
レプリケーション、VLE、および VSM5 ポートはサブネット内で最大 6 個 |
/30 |
255.255.255.252 |
2 |
サブネット内の 1 つの VSM 6 ノードにつき、レプリケーション、VLE、または VSM5 ポートが最大 1 個 |
表6-4 に示すとおり、ネットワークの接頭辞長を /28 に変更すると、192.168.1.10/24 のアドレスを持つポートと 192.168.1.25/24 のアドレスを持つポートは同じネットワークに所属しなくなります。
表6-4 /28 のネットワーク接頭辞 (14 個の IP アドレス) を持つ 2 つのネットワーク
ネットワーク |
ネットマスク |
接頭辞長 |
IP アドレスの範囲 | ブロードキャスト IP アドレス |
---|---|---|---|---|
192.168.1.0 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.1 - 192.168.1.14 |
192.168.1.15 |
192.168.1.16 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.17 - 192.168.1.30 |
192.168.1.31 |
警告:
VSM 6 サーバーノードで構成したネットワークを顧客サイトのインフラストラクチャーがサポートしている必要があります。ポートを構成し顧客ネットワークのインフラストラクチャーに接続しただけで、トラフィックが適切にルーティングされるとは限りません。
表6-5 は、特定の 1 つのネットワーク上で最大 14 個のネットワークポート (VSM 6、VSM 5、および VLE ポートを合わせて) に対応できる /28 ネットワークを示しています。ASR ポートは、Oracle へのルートを持つ、さらに範囲が広い /23 顧客ネットワーク上にあります。
注記:
両方の VSM 6 ノードは別々に独立して構成されます。ノードのレプリケーションポートと ASR ポートの所属先は、同じでも別でもどちらでも構いません。たとえば Node1 の REP1 ポートと Node 2 の REP1 ポートの所属先は、同じでも別でもどちらでも構いません。ポート |
ネットワーク |
ネットマスク |
長さ |
IP アドレスの範囲 | ブロードキャストアドレス |
---|---|---|---|---|---|
REP1 |
192.168.1.0 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.1 - 192.168.1.14 |
192.168.1.15 |
REP2 |
192.168.1.16 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.17 - 192.168.1.30 |
192.168.1.31 |
REP3 |
192.168.1.32 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.33 - 192.168.1.46 |
192.168.1.47 |
REP4 |
192.168.1.48 |
255.255.255.240 |
/28 |
192.168.1.49 - 192.168.1.62 |
192.168.1.63 |
ASR |
10.80.142.0 |
255.255.254.0 |
/23 |
10.80.142.1 - 10.80.143.254 |
10.80.143.255 |
表6-6 は、ローカル VSM 6 ポートとさまざまなターゲットネットワークポート間のサンプルレイアウトを示したもので、顧客が付与した IP アドレスを使用しています。
表6-6 VSM 6 ノード 1 のポートとターゲットネットワークポートのサンプルレイアウト
ポート (ノード 1) | IP アドレス | シナリオ |
ゲートウェイ |
ターゲットポート |
ターゲットアドレス |
---|---|---|---|---|---|
VSM6-REP1 |
192.168.1.1/28 |
1 (ネット A) |
該当なし |
ローカル -VSM5 |
192.168.1.6/28 |
VSM6-REP2 |
192.168.1.17/28 |
2 (ネット B) |
該当なし |
ローカル -VLE |
192.168.1.30/28 |
VSM6-REP3 |
192.168.1.33/28 |
3 (ネット C) |
192.168.1.46 |
リモート -VLE |
172.27.1.17/28 |
VSM6-REP4 |
192.168.1.49/28 |
3 (ネット D) |
192.168.1.62 |
リモート -VSM 6 |
172.27.2.22/28 |
VSM6-ASR |
10.80.143.16/23 |
3 (ネット Z) |
10.80.143.254 |
Oracle- サポート |
Oracle- サポート |
表6-7 は、ノード 1 と同じサブネット上のポートを持つノード 2 を示しています。
注記:
リモート -VLE およびリモート -VSM 向けのトラフィックを両方の VSM6-REP3 または VSM6-Rep4 からルーティングできる場合、静的ルーティングが必要になる場合があります。したがって、ゲートウェイが必須となります。表6-7 VSM 6 ノード 2 のポートとターゲットネットワークポートのサンプルレイアウト
ポート (ノード 2) | IP アドレス | シナリオ |
ゲートウェイ |
ターゲットポート |
ターゲットアドレス |
---|---|---|---|---|---|
VSM6-REP1 |
192.168.1.2/28 |
1 (ネット A) |
該当なし |
ローカル -VSM5 |
192.168.1.7/28 |
VSM6-REP2 |
192.168.1.18/28 |
2 (ネット B) |
該当なし |
ローカル -VLE |
192.168.1.30/28 |
VSM6-REP3 |
192.168.1.34/28 |
3 (ネット C) |
192.168.1.46 |
リモート -VLE |
172.27.1.17/28 |
VSM6-REP4 |
192.168.1.50/28 |
3 (ネット D) |
192.168.1.62 |
リモート -VSM 6 |
172.27.2.22/28 |
VSM6-ASR |
10.80.143.17/23 |
3 (ネット Z) |
10.80.143.254 |
Oracle- サポート |
Oracle- サポート |
次の例は、VSM 6 と VLE または VTSS との間の IP 接続を示しています。
各例には次が含まれています。
デバイス間の接続
VSM 6 への接続を定義する CLI コマンド
VTCS 構成への VSM 6 接続を定義する VTCS コマンド
RoIP として定義されている各ポートは、VSM 6 からの単純なルート (アウト) です。
定義されている RoIP ルートの数は、vRTD/CLINK に定義されている IPPATH とは関係ありません。
複数の RoIP ポートは帯域幅と回復力を与えます。
VTCS は、VSM 6 CLI 内で使用された IPPATH コマンドで定義されたターゲットの VLE 名を使用します。各 IPPATH は VSM 6 から VSM ターゲットへの単なるルート (アウト) です。
vRTD は IPIF id を持つ IP デバイスとして VTCS に定義されます。
IPIF id は宛先を参照するための用途では使用されませんが、VTCS 構文ルールを満たすために必要です。各 IPIF id は、VTCS で定義されている各 VSM 6 内で一意であり、有効な構文である必要があります。
VTCS では合計で 16 個の IPIF id が許可されるため、各 VSM 6 は組み合わせを問わず最大で合計 16 個の IP vRTD/CLINK を持つことができます。
VTCS および VSM 6 は、CLINK 定義上の VSM パートナーと IPPATH コマンドの VTSS ターゲット名を使用して CLINK をリンクします。各 IPPATH は VSM 6 から VSM ターゲットへの単なるルート (アウト) です。
VTCS はすべての VSM 6 CLINK を IP デバイスであると見なします。
CLINK は IPIF id を持つ IP デバイスとして VTCS に定義されます。
IPIF id は宛先を参照するための用途では使用されませんが、VTCS 構文ルールを満たすために必要です。各 IPIF id は、VTCS で定義されている各 VSM 6 内で一意である必要があります。
VTCS では合計で 16 個の IPIF id が許可されるため、各 VSM 6 は組み合わせを問わず最大で合計 16 個の IP vRTD/CLINK を持つことができます。
VTCS では単一の IPPATH に対しても複数の CLINK を定義できます。VTCS への CLINK をできるだけ多く定義することが最良事例とされています。