3 構成

この章では、ACSLS エージェントパラメータに設定できる構成設定について説明し、ACSLS エージェントに対する重要なシステムレベルの SNMP V1 パラメータについて詳述します。

AcslsAgtd.cfg ファイル

このアプリケーションのいくつかの動作パラメータは、ACSLS SNMP エージェントのユーザーによって調整できます。最上位の ACSNMP ディレクトリに、2 つの構成ファイル AcslsAgtd.cfg および AcslsAgtd.url を見つけることができます。

ほとんどの構成設定は、AcslsAgtd.cfg ファイルで定義されています。このファイルでは、8 つのパラメータを設定できます。各変数の値はコロンとセミコロンの間に置かれます。複数の値が定義される場合、値はコンマで区切られます。

  • DEST:;

    このパラメータは、ACSLS SNMP エージェントからの特定のトラップメッセージを待機するさまざまな宛先サーバーのホスト名または IP アドレスを定義します。すべての宛先をコロンとセミコロンの間に配置し、宛先はコンマで区切ります。

    DEST:localhost,host2,host3,123.45.67.89;
    
  • SNMP_PORT:161; および SNMP_TRAP_PORT:162;

    これらは ACSLS SNMP Agent からの通信のデフォルトポート設定です。これらのポートがほかのアプリケーションによって使用されている場合、管理者は必要に応じて ACSLS エージェントのポート番号を再定義できます。

  • SNMP_COMMUNITY:;

    ここで定義するコミュニティーは、さらに net-snmp 構成ファイル snmpd.conf 内で V1 rocommunity として一覧表示されている必要があります。コミュニティーが定義されていない場合、エージェントからのトラップは、非推奨の public の読み取り専用コミュニティーを使用して識別されます。出荷時の設定は、acs_user です。

  • MIN_RATE:15;

    この設定では、ACSLS SNMP Agent が MIB を更新するために ACSLS をプローブすることが許可される頻度の制限を定義します。MIN_RATE 値は 15 秒以上に設定しておくことをお勧めします。

  • CURR_RATE:60;

    これは ACSLS MIB を更新するために使用される実際の SNMP ポーリングレートです。この設定は必要に応じて加減できます。ポーリングレートを低くしてプローブの頻度を高くすると、トラップおよび snmpget リクエストに対する応答がより正確かつ最新のものになります。ただし、各プローブでは、ACSLS SNMP Agent は MIB 全体のすべてのオブジェクトについてのステータス問い合わせを ACSLS に送信します。その結果、MIB に数百もの OID がある大規模なライブラリコンプレックスでは、SNMP ポーリングレートが低いと全体的な ACSLS パフォーマンスに対して有害なコストとなる可能性があります。

  • ACS_TRAP_LEVEL:;

    このパラメータは、ACSLS エージェントから構成済みリスナーにブロードキャストされるトラップについて定義される報告レベルです。ここでの設定のレベルは、情報の少ないサイレントの状態から完全な情報提供までの範囲にわたります。

    1 SILENT - エージェント起動トラップメッセージのみが送信されます。

    2 ERROR - 起動後に、エラーに関するメッセージのみが送信されます。

    3 WARNING - 起動後に、エラーおよびオフラインステータスの変更が報告されます。

    4 INFO - 起動、エラーメッセージ、およびすべてのステータス変更が報告されます。

    5 UNCLASSIFIED - 上記のすべてのメッセージと情報メッセージが報告されます。

    エージェントによって検出された ACS_TRAP_LEVEL フィールドが空白であるか形式に誤りがある場合、デフォルトで UNCLASSIFIED になり、すべてのトラップメッセージがブロードキャストされます。出荷時の設定は、INFO です。

  • AGENT_LOG_LEVEL:;

    この設定は、AcslsAgtd.log 内のレコードメッセージの詳細レベルを定義します。指定可能な設定は 4 つあります。

    1 SILENT - ログにメッセージを作成しません。

    2 ERROR - エラーメッセージのみ報告します。

    3 WARNING - エラーおよびステータス通知のみ報告します。

    4 DEBUG - 詳細なソフトウェアデバッグメッセージを出力します。

    出荷時の設定は WARNING です。

上記の構成設定への変更は、ACSLS エージェントが再起動するまで有効になりません。

AcslsAgtd.url ファイル

AcslsAgtd.url ファイルは管理アプリケーションが ACSLS エージェントを識別するために使用する特定の URL を保持します。このパラメータは大多数のアプリケーションではほとんど使用されず、設定は通常空のままになります。管理アプリケーションに URL が必要である場合、値はこのファイル内で式 AGENT_URL_ENTRY のあとに設定されます。設定されると、URL は標準の snmpget を使用するリモートの SNMP クライアントによって検出できます。

# snmpget -v1 -c acs_user localhost 1.3.6.1.4.1.1211.1.11.1.4.0

システムレベルの構成設定

AcslsAgtd.cfg および AcslsAgtd.url に設定された値は ACSLS SNMP Agent 内のパラメータだけに適用されますが、ACSLS エージェントが使用できるほかのシステムレベルの設定があります。これらは snmpd.conf ファイルに定義されています。このファイルの場所はシステムによって異なる場合があります。

Linux システムの場合、このファイルは /etc/opt//snmpsnmpd.conf で確実に見つけることができます。

Solaris システムの場合、snmpd.conf を見つけるもっとも良い方法は、net-snmp SMF サービスについての config-file/entities プロパティーを一覧表示することです。

# svccfg -s net-snmp listprop config-file/entities

このコマンドによって localhost の場所を使用した URL が作成され、通常は /etc/ ディレクトリの下に指定されます。

ACSLS エージェントは V1 SNMP プロトコルからのみ設計されているため、ACSLS エージェント用の V1 パラメータを snmpd.conf 内で定義する必要があります。ACSLS MIB には読み取り専用オブジェクトが排他的に含まれているため、V1 の rocommunity をこのファイル内に定義する必要があります。セキュリティー上の理由から、public などのよく知られたコミュニティー名を避けることが賢明です。選択した名前は規則に対して制限されません。

ほかの V1 パラメータを定義しなければならない場合もあります。サンプルの snmpd.conf ファイルは ACSNMP/install ディレクトリで見つけることができます。このファイルには、SNMP V1 プロトコルに必要不可欠な各パラメータの定義のサンプルのリストが含まれています。