1 概要

この章では、Oracle の StorageTek LTFS-LE ソフトウェアについて紹介し、典型的な LTFS-LE 構成に含まれるコンポーネントについて説明します。

次のトピックがあります。

LTFS-LE の概要

Oracle の StorageTek Linear Tape File System、Library Edition (LTFS-LE) ソフトウェアは、Oracle StorageTek テープライブラリに格納されるデータのファイルシステムインタフェースを提供します。クライアントシステムは、ディスクストレージや 1 つの大規模ディスクまたはフラッシュドライブであるかのように、テープライブラリの内容にアクセスできます。

LTFS-LE は、専用の Linux サーバー上に存在し、LTFS-LE システムのパフォーマンスをモニターしたり各種の管理タスクを実行したりするために使用できるブラウザベースのユーザーインタフェースを備えています。

LTFS-LE は、Oracle のオープンソース Linear Tape File System, Open Edition (LTFS-OE) ソフトウェア上に構築され、ライブラリレベルでのファイルアクセスを実現します。

また、LTFS-LE には、LTFS-LE をユーザーアプリケーションまたはソフトウェアコンポーネントと統合できるようにする Web サービス API が組み込まれています。詳細は、『LTFS-LE Web サービスアプリケーションプログラミングインタフェースプログラマーズガイド』を参照してください。

LTFS-LE の利点

LTFS-LE には、ファイルアクセスや可搬性における利点があります。

ファイルアクセス

LTFS-LE では、テープに格納されたデータに対する直接ファイルシステムアクセスを提供しているため、ディスクキャッシュまたはサードパーティーのバックアップまたはアーカイブアプリケーションは必要ありません。LTFS-LE により、アプリケーションでは Samba (CIFS) などの標準のファイルシステムネットワーキングプロトコル経由でアクセス可能な POSIX 対応インタフェースを使用して、ファイルをテープに直接読み書きできます。

LTFS-LE では、グローバル名前空間を構築して、すべてのファイルをカタログ化し、個々のファイルからライブラリ内のテープボリュームへのマッピングおよび個々のボリュームおよびドライブの場所のステータスを維持します。このグローバル名前空間は、カートリッジがマウントされていない場合でもアクセスできます。

ファイルの可搬性

LTFS-LE では、自己記述型フォーマットでテープにファイルを書き込めるオープンソース LTFS 2.2 フォーマットを利用しているため、ボリュームの内容を判断するために特定のアプリケーションは必要ありません。

自己記述型 LTFS フォーマットのテープボリュームは、2 つのパーティションで構成されます。

  • メタデータ用パーティション

    テープの先頭にあるこの小さいパーティションは、テープカートリッジに格納されるユーザーデータに関する説明情報を保持します。メタデータは、すべてのファイルを階層ディレクトリ構造で整理し、実際の格納データを検索およびアクセスできるようにします。

  • データ用パーティション

    この大きなパーティションは、テープカートリッジに格納される実際のデータを保持します。

ボリュームがテープドライブにロードされると、完全なファイルフォルダイメージが表示されます。ファイル構造は、メタデータ用パーティションから取得され、未加工のファイルの内容はデータ用パーティションから取得されます。

LTFS-LE システムコンポーネント

典型的な LTFS-LE 構成の主なコンポーネントを次の図に示します。

図1-1 LTFS-LE システムコンポーネント

図1-1 の説明が続きます
説明: 図1-1 LTFS-LE システムコンポーネント

図1-1 に示すように、典型的な LTFS-LE 構成には、次の層にグループ化できるいくつかのコンポーネントが含まれています。

  • ストレージ層

  • アプリケーション層

  • クライアント層

具体的な LTFS-LE ソフトウェアおよびハードウェア要件については、『Linear Tape File System、Library Edition 計画およびインストールガイド』を参照してください。

ストレージ層

ストレージ層は、次のコンポーネントで構成されます。

  • ライブラリ

    LTFS-LE では、次のライブラリがサポートされます。

    • Oracle StorageTek SL150

      ACSLS ではパーティション化された SL150 はサポートされません。ACSLS は SL150 のパーティション化を妨げませんが、パーティション化を行なって ACSLS に対してパーティションを構成しようとした場合、エラーが発生することがあります。詳細は、StorageTek Automated Cartridge System Library Software の管理者ガイドで SL150 の ACSLS サポートについて参照してください。

      SL150 を使用する場合は、SL150 構成の設定で「Library Volume Label Format」リストコントロール設定が「Trim last 2 characters」(デフォルト) に設定されていることを確認します。

      詳細は、『StorageTek SL150 Module Tape Library ユーザーズガイド』を参照してください。

    • Oracle StorageTek SL3000

    • Oracle StorageTek SL8500

  • テープドライブ (および関連メディア)

    LTFS-LE では、LTO 5、LTO6、LTO 7、T10000C、および T10000D テープドライブがサポートされます。ただし、LTFS-LE では、LTFS-LE パーティション (または、これがパーティション化されていない場合はライブラリ) 内で T10000C および T10000D テープドライブを混在させることはできません。

    サポートされているテープドライブの詳細は、『Linear Tape File System, Library Edition 計画およびインストールガイド』を参照してください。

    LTFS-LE では、次のテープドライブをサポートしています。

    • Oracle StorageTek T10000C または T10000D

      LTFS-LE は、LTFS-LE パーティション (またはこれがパーティション化されていない場合はライブラリ) 内の T10000C および T10000D テープドライブの混在をサポートしません

    • HP-LTO 5

    • HP-LTO 6

    • HP-LTO 7

    • IBM-LTO 5

    • IBM-LTO 6

    • IBM-LTO 7

  • ファイバ SAN スイッチ

    ストレージエリアネットワーク (SAN) スイッチは、複数のテープドライブを LTFS-LE サーバーに接続します。

  • ACSLS サーバー

    Oracle の自動カートリッジサブシステムライブラリソフトウェア (ACSLS) は、SL3000 または SL8500 テープライブラリを管理します。ACSLS は、専用の Solaris SPARC または Solaris x86 サーバープラットフォームで実行されます。

    LTFS-LE は ACSLS と通信して、ライブラリの内容に関する情報を取得し、テープのマウント、マウント解除、エンター、イジェクトなどのライブラリ操作を実行するように ACSLS に指示します。

    LTFS-LE には、ACSLS の制限バージョンが含まれています。

    注記:

    オプションで、LTFS-LE サーバー上に最新パッチが適用された ACSLS 8.4 を共同ホストできます。これは、SL150 ライブラリでのみサポートされます。詳細は、LTFS-LE サーバー上での ACSLS の共同ホストを参照してください。

アプリケーション層

アプリケーション層は、Oracle Linux Server Edition Release 6 Update 5 Media Pack for x86_64-bit を実行する専用サーバー上に存在する LTFS-LE ソフトウェアで構成されます。

このサーバーには、ベースの LTFS-LE ソフトウェア、グローバル名前空間、ブラウザベースのユーザーインタフェース (BUI)、データベース、および追加のサポートソフトウェアが含まれます。

注記:

オプションで、LTFS-LE サーバー上に最新パッチが適用された ACSLS 8.4 を共同ホストできます。これは、SL150 ライブラリでのみサポートされます。詳細は、LTFS-LE サーバー上での ACSLS の共同ホストを参照してください。

クライアント層

クライアント層は、Samba (CIFS) などの標準のファイルシステムネットワーキングプロトコル経由でアクセス可能な POSIX 対応インタフェースを使用して、LTFS-LS サーバーに接続した、1 つ以上の Microsoft Windows または Oracle Linux ベースのクライアントシステムで構成されます。

これらのクライアントは、ディスク上のフォルダであるかのように LTFS-LE ライブラリに含まれるボリュームにアクセスできます。これには、クライアント接続ソフトウェアを LTFS-LE サーバーとクライアントシステムの両方で構成する必要があります。

LTFS-LE で使用するようにクライアントを構成する方法の詳細は、第9章 LTFS-LE クライアントの構成を参照してください。

LTFS-LE サーバー上での ACSLS の共同ホスト

オプションで、LTFS-LE サーバー上に最新パッチが適用された ACSLS 8.4 をインストール (共同ホスト) して、LTFS-LE 構成内での専用の ACSLS サーバーの必要性をなくすことができます。

注記:

共同ホスト環境では、SL150 のみがテストされています。

次の図は、ACSLS を共同ホストする LTFS-LE 構成の主なコンポーネントを示しています。

図1-2 LTFS-LE 共同ホスト構成

図1-2 については、周囲のテキストで説明しています。

このオプションを選択する場合、この環境をインストールして構成する方法に関する重要な情報について、『Linear Tape File System、Library Edition 計画およびインストールガイド』を参照してください。