EXPORT と IMPORT の機能を使用して物理的に持ち運び可能な MVC を作成できます。ソースのサイトで EXPORT を使用して VTV を MVC に統合し (必要な場合)、MVC のコンテンツ (MVC 上の VTV) を記述したマニフェストファイルを作成します。次に、ソースサイトから MVC を取り出し、ターゲットのサイトに物理的に移動して IMPORT を実行し、マニフェストファイルを使用して、インポートした MVC と VTV の情報で CDS を更新します。VTCS がアクティブでなくても、VTV を CDS にインポートできます。次に、MVC をターゲットサイトに挿入します。
注記:
エクスポートした MVC をソースシステムに戻す際に実行する VTCS 処理は特にないため、ソースシステムの LSM に MVC を挿入して作業は終了です。
インポートされる各 VTV について作成されるのは、同一の文でエクスポートおよびインポートされた MVC の MVC コピーのみです。これは二重化された VTV をインポートするときに特別な意味を持ちます。インポート後、これらの VTV のコピーが両方の MVC に作成されるのは、両方の MVC が同一のマニフェストファイル上にあり、同一の IMPORT 文の結果としてインポートされた場合です。
次の一般的な方法のいずれかを使用してエクスポートします。
VTV またはマネージメントクラスごとにエクスポートします。この場合、選択した VTV が新しい MVC のセットに統合されます。統合には時間がかかり、VTSS リソースが必要です。推奨のオプションは、MVC またはストレージクラスごとのエクスポートです。詳細は、「マネージメントクラスごとのエクスポートおよびインポート」を参照してください。
MVC またはストレージクラスごとにエクスポートします。ストレージクラスまたは MVC ごとのエクスポートの場合、統合の VTV 後処理が不要で、データの移動も必要ありません。エクスポートでは選択した MVC のコンテンツを記述したマニフェストファイルの作成のみが行われます。詳細は、「ストレージクラスごとのエクスポートおよびインポート」を参照してください。
注記:
エクスポートする単位に応じ、次のようにします。VTV volser ごと - TMS または VTVRPT レポートを使用して必要な VTV を確認します。
MVC volser ごと - MVCRPT レポートを使用して必要な MVC を確認します。
マネージメントクラスごと - マネージメントクラス定義を確認して、必要なマネージメントクラスを確認します。
ストレージクラスごと - ストレージクラス定義を確認して、必要なストレージクラスを確認します。
次の例は、マネージメントクラスごとの MVC エクスポートおよびインポートを示しています。
注記:
エクスポートがマネージメントクラスまたは VTV によって行われる場合、CDS は VTV レコード内に MVC 情報を保持しません。この場合、MVC にはエクスポートを表す E というマークが付けられます。これは、エクスポート/インポートの「送信」フェーズです。このフェーズで目的のデータをパッケージ化し、ソース VSM システムから取り出します。
ソース VSM システムからエクスポートするには、次を実行します。
エクスポートするマネージメントクラスを特定します。
マネージメントクラスごとにエクスポートします。
//EXPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //MOVE1 DD DSN=hlq.REMOTE2,DISP=(,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,(1,1),RLSE), // DCB=(RECFM=FB,LRECL=80,BLKSIZE=27920) //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * EXPORT MGMT (PAY,ACCOUNT) MANIFEST(MOVE1)
この例で、出力されるマニフェストファイルは MOVE1 で、これはインポートに必要なファイルです。マネージメントクラスごとのエクスポートでは、選択した VTV が EXPORT によってエクスポート MVC に統合されます (コピーが作成されます)。エクスポート MVC に、読み取り専用であることと、CDS にエクスポートされることを示すマークが付き、エクスポート MVC をソースシステム LSM から取り出す準備が整います。統合された VTV コピーは余分なコピーであり、CDS には記録されません。たとえば、エクスポート前に VTV を複製した場合、複製したコピーの両方が CDS に記録されますが、統合用の 3 つ目のコピーは CDS に記録されません。そのためオリジナルの VTV はソースシステムで引き続き使用できます。オリジナルの VTV 上のデータを使用したり、スクラッチおよび再利用したりできます。
注意:
エクスポートはエクスポート対象データが更新されない時間帯にスケジュールしてください。MVC プールからエクスポートする MVC を削除します。詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
ソース VSM システム LSM からエクスポートする MVC を取り出します。詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
必要であればソースシステムで、エクスポートした VTV をスクラッチまたは使用不可にするか、含まれているデータを再利用します。
ソースシステムはエクスポート後、エクスポートした VTV と MVC の CDS レコードを保持しています。ソースシステムの CDS では、エクスポート MVC にエクスポート済みのマークと、読み取り専用のマークが付いています。VTV のエクスポート目的に応じて、この時点で 2 つの選択肢があります。
2 つ目のサイトでバックアップコピーを保持するために VTV をエクスポートした場合、更新されるのを防ぐため、ソースシステムの CDS で VTV を読み取り専用のままにしておきます。
エクスポートした VTV を 2 つ目のサイトに永続的に移動する場合は、ソースシステムの CDS でこれらの VTV をスクラッチするか、使用不可にします。HSC スクラッチユーティリティーを使って、エクスポートされた VTV をスクラッチします。
1 か月後、エクスポート/インポート操作の「受信」(インポート) 部分を実行する準備が整いました。
ターゲット VSM システムにインポートするには、次を実行します。
インポートする VTV および MVC がターゲットシステムの CDS にない場合、『HSC および VTCS の構成』の説明に従って、POOLPARM/VOLPARM
定義をやり直し、これらの volser を追加します。
必要であれば、ターゲット VSM システムで CDS サイズを増やします。詳細は、『HSC および VTCS の構成』または『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
ソースシステムとターゲットシステムに重複する VTV volser がある場合はどうすればよいでしょうか。通常は次のようにします。
ソースシステム上の VTV の方が、ターゲットシステム上の volser が同じ VTV よりも新しい場合、REPLACE(ALL)
を指定します。
ソースからターゲットシステムに VTV を移動する場合は (最初のエクスポート/インポート)、REPLACE(NONE)
を指定します。この場合、ケースバイケースで重複する VTV の処理方法を決める必要があります。
ターゲット VSM システム LSM にインポートする MVC を挿入します。
詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。IMPORT
を使用する前に MVC を物理的に配置することで、新しい MVC および VTV の存在を CDS に認識させることができます。
オプションで、IMPORT
を「検証」実行します。
//IMPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //REMOTE1 DD DSN=hlq.REMOTE1,DISP=SHR //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * IMPORT MANIFEST(MOVE1) NOUPDATE
これは IMPORT ユーティリティーを実行する JCL 例を示しています。
マニフェストファイルは、手順 2 で指定したエクスポートマニフェストです。
REPLACE(NONE)
(デフォルト) は、VTCS で重複する VTV を上書きしないことを指定します。
IMMDRAIN(NO)
(デフォルト) は、インポートした VTV を VTCS が VTSS スペースに一切ドレインしないことを指定します。
NOUPDATE
は、CDS を更新しないことを指定します (検証実行のみ)。
INACTCDS
は指定しないため、HSC はアクティブです。
検証実行の実施はオプションですが、実際に何が起こるかをボタンを押す前に確認できるため、実施することを強くお勧めします。インポートレポートを精査します。何が表示されるかなどです。手順 4 に進みます。
注記:
IMPORT
は FEATures VSM(ADVMGMT)
が指定されている場合にのみ有効です。
「受け手」の CDS の機能 (CDS レベルで有効にする) と「送り手」の CDS の機能は同じになるようにします。たとえば、「送り手」の CDS で大きい VTV ページサイズが有効になっていて 2/4G バイトの VTV を作成した場合、「受け手」の CDS にこれと同じ機能がないと、インポートは失敗します。
IMPORT
を実際に実行します。
//IMPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //REMOTE1 DD DSN=hlq.REMOTE1,DISP=SHR //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * IMPORT MANIFEST(MOVE1) REPLACE(ALL)
この例の JCL は、IMPORT
ユーティリティーを実行します。「検証」実行のときと同じように REPLACE(NONE)
(デフォルト) は、重複する VTV を VTCS で上書きしないことを指定します。
注記:
MVC をソースシステムに戻す場合にはどうしたらよいでしょうか。この場合は、IMMDRAIN(YES)
を指定して、インポート MVC をドレインします。必要に応じて VTV 定義を変更します。たとえば、ターゲットシステムの TMS に新しい VTV を定義しなければならない場合があります。
次のいずれかを実行します。
オプションで、MVCMAINT
を実行して、インポートした MVC を書き込み可能にすることができます。VTCS は MVC を読み取り専用としてインポートします。これらを書き込み可能にするには、READONLY OFF
を指定して MVCMAINT
を実行します。ターゲットシステムに新しい MVC を作成する場合は、これが最初の手順です。
次に、『HSC と VTCS の管理』の説明に従って、インポートした MVC を MVC プールに追加します。この時点で MVC は、リクレイム、ドレイン、移行、リコールなどを実行できる状態になっています。
手順 4 で IMMDRAIN(YES)
を指定した場合、MVC をソースシステムに戻すことができます。
次の例は、ソース VSM からのストレージクラスごとのエクスポートおよびインポートを示しています。
注記:
エクスポートがストレージクラスまたは MVC によって行われる場合、CDS は VTV レコード内に MVC 情報を保持します。この場合、MVC には読み取り専用を表す R というマークが付けられます。これは、エクスポート/インポートの「送信」フェーズです。このフェーズで目的のデータをパッケージ化し、ソース VSM システムから取り出します。
ソース VSM システムからエクスポートするには、次を実行します。
エクスポートするストレージクラスを特定します。
ストレージクラスごとにエクスポートします。
//EXPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //MOVE2 DD DSN=hlq.REMOTE2,DISP=(,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,(1,1),RLSE), // DCB=(RECFM=FB,LRECL=80,BLKSIZE=27920) //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * EXPORT STOR(OFF1,OFF2) MANIFEST(MOVE2)
この例で、出力されるマニフェストファイルは MOVE2
で、これはインポートに必要なファイルです。ストレージクラスごとにエクスポートしたため、システムによってマニフェストファイルは作成されますが、VTV 統合は発生しません。エクスポート MVC は読み取り専用としてマークされ、ソースシステム LSM から取り出す準備が整います。LSM から取り外された MVC 上にあった VTV は、それらが別の MVC 上にあれば引き続き使用できます。
注意:
エクスポートはエクスポート対象データが更新されない時間帯にスケジュールしてください。MVC プールからエクスポートする MVC を削除します。詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
ソース VSM システム LSM からエクスポートする MVC を取り出します。詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
必要であればソースシステムで、エクスポートした VTV をスクラッチまたは使用不可にするか、含まれているデータを再利用します。
ソースシステムはエクスポート後、エクスポートした VTV と MVC の CDS レコードを保持しています。ソースシステムの CDS では、エクスポート MVC にエクスポート済みのマークと、読み取り専用のマークが付いています。VTV のエクスポート目的に応じて、この時点で 2 つの選択肢があります。
2 つ目のサイトでバックアップコピーを保持するために VTV をエクスポートした場合、更新されるのを防ぐため、ソースシステムの CDS で VTV を読み取り専用のままにしておきます。
エクスポートした VTV を 2 つ目のサイトに永続的に移動する場合は、ソースシステムの CDS でこれらの VTV をスクラッチするか、使用不可にします。HSC スクラッチユーティリティーを使って、エクスポートされた VTV をスクラッチします。
1 か月後、エクスポート/インポート操作の「受信」(インポート) 部分を実行する準備が整いました。
ターゲット VSM システムにインポートするには、次を実行します。
インポートする VTV および MVC がターゲットシステムの CDS にない場合、『HSC および VTCS の構成』の説明に従って、POOLPARM/VOLPARM
定義をやり直し、これらの volser を追加します。
必要であれば、ターゲット VSM システムでも CDS サイズを増やします。詳細は、『HSC および VTCS の構成』または『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
ソースシステムとターゲットシステムに重複する VTV volser がある場合はどうすればよいでしょうか。通常は次のようにします。
ソースシステム上の VTV の方が、ターゲットシステム上の volser が同じ VTV よりも新しい場合、REPLACE(ALL)
を指定します。
ソースからターゲットシステムに VTV を移動する場合は (最初のエクスポート/インポート)、REPLACE(NONE)
を指定します。この場合、ケースバイケースで重複する VTV の処理方法を決める必要があります。
ターゲット VSM システム LSM にインポートする MVC を挿入します。
詳細は、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。ここで何が行われているかわかりますか。IMPORT
を使用する前に MVC を実際に物理的に配置することで、新しい MVC および VTV の存在を CDS に認識させることができます。
オプションで、IMPORT
を「検証」実行します。
//IMPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //REMOTE1 DD DSN=hlq.REMOTE1,DISP=SHR //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * IMPORT MANIFEST(REMOTE1) NOUPDATE
これは IMPORT
ユーティリティーを実行する JCL 例を示しています。
マニフェストファイルは、手順 2 で指定したエクスポートマニフェストです。
REPLACE(NONE)
(デフォルト) は、VTCS で重複する VTV を上書きしないことを指定します。
IMMDRAIN(NO)
(デフォルト) は、インポートした VTV を VTCS が VTSS スペースに一切ドレインしないことを指定します。
NOUPDATE
は、CDS を更新しないことを指定します (検証実行のみ)。
INACTCDS
は指定しないため、HSC はアクティブです。
検証実行の実施はオプションですが、実際に何が起こるかをボタンを押す前に確認できるため、実施することを強くお勧めします。インポートレポートを精査します。何が表示されるかなどです。手順 4 に進みます。
注記:
IMPORT
は FEATures VSM(ADVMGMT)
が指定されている場合にのみ有効です。
「受け手」の CDS の機能 (CDS レベルで有効にする) と「送り手」の CDS の機能は同じになるようにします。たとえば、「送り手」の CDS で大きい VTV ページサイズが有効になっていて 2/4G バイトの VTV を作成した場合、「受け手」の CDS にこれと同じ機能がないと、インポートは失敗します。
IMPORT
を実際に実行します。
//IMPORT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED' REGION=6M //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR //REMOTE1 DD DSN=hlq.REMOTE1,DISP=SHR //SLSPRINT DD SYSOUT=* //SLSIN DD * IMPORT MANIFEST(REMOTE1)
この例の JCL は、IMPORT
ユーティリティーを実行します。「検証」実行のときと同じように REPLACE(NONE)
(デフォルト) は、重複する VTV を VTCS で上書きしないことを指定します。
注記:
MVC をソースシステムに戻す場合にはどうしたらよいでしょうか。この場合は、IMMDRAIN(YES)
を指定して、インポート MVC をドレインします。必要に応じて VTV 定義を変更します。
次のいずれかを実行します。
オプションで、MVCMAINT
を実行して、インポートした MVC を書き込み可能にすることができます。VTCS は MVC を読み取り専用としてインポートします。これらを書き込み可能にするには、READONLY OFF
を指定して MVCMAINT
を実行します。ターゲットシステムに新しい MVC を作成する場合は、これが最初の手順です。
次に、『HSC と VTCS の管理』の説明に従って、インポートした MVC を MVC プールに追加します。この時点で MVC は、リクレイム、ドレイン、移行、リコールなどを実行できる状態になっています。
手順 4 で IMMDRAIN(YES)
を指定した場合、MVC をソースシステムに戻すことができます。