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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
リリース12.2.1
E70049-02
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18 エンタープライズ・デプロイメントでのサーバー全体の移行とサービスの移行の使用

ここでは、Oracle WebLogic Server全体の移行およびOracle WebLogic Server自動サービス移行について説明します。また、これらの機能をOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・トポロジで使用する方法についても説明します。

18.1 エンタープライズ・デプロイメントでのサーバー全体の移行と自動サービス移行について

Oracle WebLogic Serverは、可用性の高い環境にとって不可欠な要素である移行フレームワークを備えています。次の項では、エンタープライズ・デプロイメントでこのフレームワークを効果的に使用する方法を詳しく説明します。

18.1.1 サーバー全体の移行とサービスの移行の違いの理解

Oracle WebLogic Serverの移行フレームワークでは、次の2つの種類の自動移行をサポートしています。

  • サーバー全体の移行。障害発生時に、管理対象サーバー・インスタンスが別の物理システムに移行されます。

    サーバー全体の移行では、別の物理マシン上で、サーバー・インスタンスとそのすべてのサービスが自動的に再起動されます。サーバー移行が構成されているクラスタに属するサーバーで問題が発生すると、そのサーバーは、クラスタのメンバーをホストする他のマシンで再起動されます。

    このためには、サーバーはリスニング・アドレスとして浮動IPを使用する必要があり、必要なリソース(トランザクション・ログとJMS永続ストア)が候補マシンで利用できなければなりません。

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサーバー全体の移行に関する項を参照してください。

  • サービスの移行。特定のサービスが、クラスタ内の別の管理対象サーバーに移行されます。

    サービスの移行を理解するには、固定サービスを理解することが重要です。

    WebLogic Serverクラスタでは、ほとんどのサブシステム・サービスがクラスタ内のすべてのサーバー・インスタンスで均一にホストされます。これにより、サーバー間の透過的なフェイルオーバーが可能になります。対照的に、JMS関連サービスやJTAトランザクション・リカバリ・サービス、ユーザー定義のシングルトン・サービスなどの固定サービスは、クラスタ内の個々のサーバー・インスタンスにホストされます。WebLogic Serverの移行フレームワークは、これらのサービスに対して、フェイルオーバーではなく、サービスの移行による障害回復をサポートしています。

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の「サービスの移行フレームワークの理解」を参照してください。

18.1.2 エンタープライズ・デプロイメントでサーバー全体の移行またはサービスの移行を使用する意味

サーバーまたはサービスが別のシステムで再起動されるときは、必要なリソース(サービス・データ、ログなど)が元のシステムとフェイルオーバー・システムの両方で利用できなければなりません。利用できなければ、サービスは、同じ操作をフェイルオーバー・システムで正常に再開できません。

このような理由から、サーバー全体の移行とサービスの移行の両方で、クラスタのすべてのメンバーが、同一のトランザクションとJMS永続ストア(ファイルベースかデータベースベースかを問わない)にアクセスできる必要があります。

これが、エンタープライズ・デプロイメントで共有記憶域が重要となる、もう1つの理由です。共有記憶域を適切に構成すると、手動フェイルオーバー(管理サーバーのフェイルオーバー)または自動フェイルオーバー(サーバー全体の移行またはサービスの移行)が発生したときに、元のマシンとフェイルオーバー・マシンの両方が、サービスを変更しなくても、確実に同一のファイル・ストアにアクセスできるようになります。

自動サービス移行の場合、固定サービスの再開が必要になったときは、フェイルオーバー前に固定サービスによって使用されていたJMSとJTAのログにアクセスできる必要があります。

サーバー全体の移行の場合、共有記憶域のほかに、仮想IPアドレス(VIP)の入手と割当ても必要になります。管理対象サーバーが別のマシンにフェイルオーバーされると、VIPは新しいマシンに自動的に再割り当てされます。

サービスの移行には、VIPは必要ありません。

18.1.3 サーバー全体の移行とサービスの移行が必要となる製品およびコンポーネントの理解

次の表は、サーバー全体の移行を構成する必要のある製品とコンポーネント、および自動サービス移行を構成する必要のある製品をまとめたものです。

この表で示すのは、推奨するベスト・プラクティスであることに注意してください。対応するコンポーネントでのサーバー全体の移行または自動サービス移行の使用を禁止するものではありません。

コンポーネント サーバー全体の移行(WSM) 自動サービス移行(ASM)

Oracle WebCenter Content

いいえ

はい

Oracle SOA Suite

いいえ

はい

Oracle Enterprise Capture

いいえ

はい

18.2 リース用のGridLinkデータ・ソースの作成

サーバー全体の移行と自動サービス移行では両方とも、リース表のデータ・ソースが必要です。これは、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)によってOracle WebLogic Serverスキーマの一部として自動的に作成される表領域です。

エンタープライズ・デプロイメントでは、GridLinkのデータ・ソースを使用して作成する必要があります。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
  2. 「チェンジ・センター」「ロックして編集」をクリックします(まだこれを実行していない場合のみ)。
  3. 「ドメイン構造」ツリーで「サービス」を開き、「データ・ソース」を選択します。
  4. データ・ソースの概要ページで、「新規」をクリックして「GridLinkデータ・ソース」を選択し、次の内容を入力します。
    • 「名前」フィールドに、データ・ソースの論理名を入力します。たとえば、Leasingと入力します。

    • JNDIの名前を入力します。たとえば、jdbc/leasingです。

    • 「データベース・ドライバ」には、Oracle Driver (Thin) for GridLink Connections Versions: Anyを選択します。

    • 「次へ」をクリックします。

  5. 「トランザクション・オプション」ページで、「グローバル・トランザクションのサポート」チェック・ボックスを選択解除して「次へ」をクリックします。
    img/GUID-0423B968-6D3B-4A27-BB05-21475A40631B-default.gif
  6. 「GridLinkデータ・ソース接続プロパティのオプション」画面で、「個別のリスナー情報の入力」を選択し、「次へ」をクリックします。
  7. 次の接続プロパティを入力します。
    • サービス名: データベースのサービス名を小文字で入力します。GridLinkデータ・ソースには、Oracle RACのサービス名を入力します。次に例を示します。

      wccedg.example.com

    • ホスト名とポート: RACデータベースのSCANアドレスとポートを、コロンで区切って入力します。次に例を示します。

      db-scan.example.com:1521
      

      「追加」をクリックして、フィールドの下のリスト・ボックスにホスト名とポートを追加します。

      SCANアドレスは、TCPプロトコルを使用してデータベース内の適切なパラメータを問い合せると、確認できます。

      SQL>show parameter remote_listener;
      
      NAME                 TYPE        VALUE
       
      --------------------------------------------------
       
      remote_listener     string      db-scan.example.com

      注意:

      Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベース・インスタンス・リスナーの仮想IPとポートを使用します。例:

      dbhost1-vip.mycompany.com (port 1521) 

      および

      dbhost2-vip.mycompany.com (1521)
      

      Oracle Database 10gの場合は、マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACデータベースに接続します。マルチ・データ・ソースの構成の詳細は、「Oracle RACでのマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

    • データベース・ユーザー名: 次のように入力します。

      FMW1221_WLS_RUNTIME

      この例では、FMW1221は、初期Enterprise Managerドメインの構成を準備するとき、スキーマを作成した際に使用した接頭辞です。

      以前のバージョンのOracle Fusion Middlewareでは、移行リース表のユーザーと表領域を手動で作成しておく必要がありました。Fusion Middleware 12c (12.2.1)では、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)でWLSスキーマを作成する際にリース表は自動的に作成されます。

    • パスワード: RCUでWLSスキーマを作成したときに使用したパスワードを入力します。

    • パスワードの確認: もう一度パスワードを入力し、「次へ」をクリックします。

  8. 「GridLinkデータベース接続のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのリスナーのテスト」をクリックします。

    接続が成功したときに表示される通知の一例を示します。

    Connection test for jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=db-scan.example.com)
    (PORT=1521)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=wccedg.example.com))) succeeded.
    

    「次へ」をクリックします。

  9. 「ONSクライアント構成」ページで、次の手順を実行します。
    • 「FANの有効化」を選択してOracle FANイベントに登録し、それらのイベントを処理できるようにします。

    • SCANアドレスを「ONSホストとポート」フィールドに入力して「追加」をクリックし、さらに「追加」をクリックします。

      この値にはRACデータベースのONSホストとONSリモート・ホストを指定する必要があります。データベースのONSリモート・ポートを確認するには、データベース・ホストで次のコマンドを使用します。

      [orcl@db-scan1 ~]$ srvctl config nodeapps -s
       
      ONS exists: Local port 6100, remote port 6200, EM port 2016
      
    • 「次へ」をクリックします。

    注意:

    Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベースのONSサービスのホスト名とポートを使用します。次に例を示します。

    custdbhost1.example.com (port 6200)
    

    および

    custdbhost2.example.com (6200)
    
  10. 「ONSクライアント構成のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのONSノードのテスト」をクリックします。

    接続が成功したときに表示される通知の一例を示します。

    Connection test for db-scan.example.com:6200 succeeded.

    「次へ」をクリックします。

  11. 「ターゲットの選択」ページで、サーバー全体の移行または自動サービス移行を構成するクラスタを選択し、「クラスタのすべてのサーバー」を選択します。
  12. 「終了」をクリックします。
  13. 「変更のアクティブ化」をクリックします。

18.3 エンタープライズ・デプロイメントでのサーバー全体の移行の構成

ドメインでサーバー全体の移行または自動サービス移行の準備を行ったら、クラスタ内の特定の管理対象サーバーで、サーバー全体の移行を構成できます。詳細は、次の各項を参照してください。

18.3.1 ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集してサーバー全体の移行を有効化

この項では、サーバーが実行されている2つのノード上のノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集します。

  1. 次のファイルを探してテキスト・エディタで開きます。
    MSERVER_HOME/nodemanager/nodmeanager.properties
    
  2. nodemanager.propertiesファイルのStartScriptEnabledプロパティをtrueに設定していない場合はtrueに設定します。

    これは、ノード・マネージャが管理対象サーバーを起動するために必要です。

  3. 次のプロパティをnodemanager.propertiesファイルに追加して、サーバー移行が正常に動作するようにします。
    • Interface

      Interface=eth0
      

      このプロパティは浮動IP (eth0など)のインタフェース名を指定します。

      注意:

      サブ・インタフェース(eth0:1eth0:2など)を指定しないでください。このインタフェースは、:0または:1なしに使用されます。

      ノード・マネージャのスクリプトは、別の:X対応のIPを移動して、追加または削除するものを決定します。たとえば、Linux環境で有効な値は、構成済のインタフェースの数に応じて、eth0eth1eth2eth3ethnとなります。

    • NetMask

      NetMask=255.255.255.0
      

      このプロパティでは、インタフェースの浮動IPのネット・マスクを指定します。

    • UseMACBroadcast

      UseMACBroadcast=true
      

      このプロパティはARPパケットを送信する際にノードのMACアドレスを使用するかどうかを指定します。つまり、arpingコマンドで-bフラグを使用するかどうかを指定します。

  4. ノード・マネージャを再起動します。
  5. これらのプロパティが適用されていることをノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動したシェル)で確認します。それ以外の場合、移行中に問題が発生する可能性があります。出力は次のようになります。
    ...
    SecureListener=true
    LogCount=1
    eth0=*,NetMask=255.255.255.0
    ...

18.3.2 wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限の設定

この項では、wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。このスクリプトは、移行中に、IPアドレスをマシンからマシンに転送するために使用します。通常スーパーユーザーのみが利用可能なifconfigの実行が可能でなければなりません。

wlsifconfig.shスクリプトの詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサーバー全体の自動移行の構成に関する項を参照してください。

wlsifconfig.shスクリプトを実行するためにシステムを準備する手順は、次の項を参照してください。

18.3.2.1 wlsifconfig.shスクリプトのPATH環境変数の設定

次の表に記載されているコマンドは、各ホスト・コンピュータのPATH環境変数に必ず含めてください。

ファイル ディレクトリの場所

wlsifconfig.sh

MSERVER_HOME/bin/server_migration

wlscontrol.sh

WL_HOME/common/bin

nodemanager.domains

MSERVER_HOME/nodemanager

18.3.2.2 wlsifconfig.shスクリプトに対する権限の付与

オペレーティング・システム・ユーザー(oracle)にパスワード制限のないsudo権限を付与し、さらに/sbin/ifconfig/sbin/arpingバイナリの実行権限を付与します。

注意:

セキュリティ上の理由から、sudoを、wlsifconfig.shスクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。

この必須の構成タスクを実行するためのsudo権限とsystem権限については、必要に応じてシステム管理者に問い合せてください。

/etc/sudoers内の次のエントリ例では、ifconfigarpingを実行するために、oracleに対してsudo実行権限を付与しています。

Defaults:oracle !requiretty
oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping

18.3.3 サーバー移行ターゲットの構成

クラスタ内の移行を構成する手順は次のとおりです。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。

  2. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。「クラスタのサマリー」ページが表示されます。

  3. 移行を構成するクラスタを、表の「名前」列でクリックします。

  4. 「移行」タブをクリックします。

  5. 「ロックして編集」をクリックします。

  6. 「データベース」が、選択したリース・メカニズムであることを確認します。

    必要であれば、リース・メカニズムとして「データベース」を選択します。

  7. 「移行可能サーバーの候補マシン」の「使用可能」フィールドでクラスタ内の管理対象サーバーを選択し、右矢印をクリックしてそれらを「選択済み」に移動します。

  8. 「リース用のGridLinkデータ・ソースの作成」で作成したリース・データ・ソースを選択します。

  9. 「保存」をクリックします。

  10. サーバー移行の候補となるマシンを設定します。管理対象サーバーすべてについてこのタスクを次のように実行する必要があります。

    1. Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「サーバー」を選択します。

    2. 移行を構成するサーバーを選択します。

    3. 「移行」タブをクリックします。

    4. 「サーバーの自動移行を有効化」を選択し、「保存」をクリックします。

      これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上の障害発生サーバーを自動的に起動できます。

      アプリケーションとリソースのターゲット設定の詳細は、「Oracle RACでのマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

    5. 「移行の構成」セクションにある「使用可能」フィールドで、移行先のマシンを選択し、右向き矢印をクリックします。

      この手順では、現在のホストが使用不可能になった場合に、管理対象サーバーをフェイルオーバーするホストを指定します。たとえば、HOST1上の管理対象サーバーではHOST2を選択し、HOST2上の管理対象サーバーではHOST1を選択します。

    ヒント:

    「サーバーの概要」ページの「この表のカスタマイズ」をクリックし、「現在のマシン」を「使用可能」ウィンドウから「選択済み」ウィンドウへ移動すると、サーバーを実行しているマシンを確認できます。このサーバーが自動的に移行すると、構成と異なる内容になります。

  11. 「変更のアクティブ化」をクリックします。

  12. 管理サーバーと、サーバー移行が構成されたサーバーを再起動します。

18.3.4 サーバー全体の移行のテスト

この項の手順を実行して、サーバー全体の自動移行が適切に機能していることを確認します。

ノード1からテストする手順は次のとおりです。

  1. 管理対象サーバーのプロセスを停止します。

    kill -9 pid
    

    pidには、管理対象サーバーのプロセスIDを指定します。次のコマンドを実行すると、ノード内のpidを確認できます。

    ps -ef | grep WLS_WCC1
    
  2. ノード・マネージャのコンソール(killコマンドを実行したターミナル・ウィンドウ)を確認します。管理対象サーバーの浮動IPが無効になっていることを示すメッセージが表示されているはずです。

  3. ノード・マネージャが管理対象サーバーの2回目の再起動を試行するのを待ちます。ノード・マネージャは30秒間待機してからこの再起動を試行します。

  4. ノード・マネージャがサーバーを再起動し、サーバーが「実行中」状態になる前に、関連するプロセスを再度強制終了します。

    サーバーが再びローカルで再起動されないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されるようになります。

    注意:

    必要な再起動回数は、次の構成ファイルのRestartMaxパラメータで設定されます。

    MSERVER_HOME/servers/WLS_WCC1/data/nodemanager/startup.properties
    

    デフォルト値はRestartMax=2です。

ノード2からテストする手順は次のとおりです。

  1. ローカルのノード・マネージャのコンソールを確認します。ノード1で最後に管理対象サーバーの再起動が試行されてから30秒経過した後、ノード2のノード・マネージャによって、管理対象サーバーの浮動IPが有効になっていること、またこのノードでサーバーが再起動されていることが表示されます。

  2. 同じIPアドレスを使用して本番URLにアクセスします。このURLに正常にアクセスできると、移行は成功しています。

管理コンソールからの検証

Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用して、移行を検証することもできます。

  1. 管理コンソールにログインします。
  2. 左側のコンソールで、「ドメイン」をクリックします。
  3. 「監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。

    「移行の状態」の表に、移行の状態に関する情報が表示されます。

注意:

サーバーの移行後、そのサーバーを元のマシンにフェイルバックするには、Oracle WebLogic管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。適切なノード・マネージャが、もともと割り当てられていたマシン上の管理対象サーバーを起動します。

18.4 エンタープライズ・デプロイメントでの自動サービス移行の構成

エンタープライズ・デプロイメントで特定のサービスについて自動サービス移行を構成するには、この項の次のトピックを参照してください。

18.4.1 エンタープライズ・デプロイメント・クラスタでのリース・メカニズムとデータ・ソースの設定

自動サービス移行を構成する前に、自動サービス移行機能で使用されるリース・メカニズムとデータ・ソースを確認する必要があります。

注意:

次の手順は、「リース用のGridLinkデータ・ソースの作成」の説明に従ってリース・データ・ソースをすでに作成していることが前提です。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
  2. 「ロックして編集」をクリックします。
  3. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。
    「クラスタのサマリー」ページが表示されます。
  4. 表の「名前」列で、移行を構成するクラスタをクリックします。
  5. 「移行」タブをクリックします。
  6. 「移行基盤」ドロップダウン・メニューで「データベース」が選択されていることを確認します。
  7. 「自動移行に使用するデータ・ソース」ドロップダウン・メニューで、「リース用のGridLinkデータ・ソースの作成」で作成したリース・データ・ソースを選択します。
  8. 「保存」をクリックします。
  9. 変更をアクティブ化します。

18.4.2 クラスタ内の管理対象サーバーの移行設定の変更

クラスタのリース・メカニズムとデータ・ソースを設定したら、サービス移行を構成する管理対象サーバーについて自動JTA移行を有効化できます。このトピックが適用されるのは、JTAサービスをエンタープライズ・デプロイメントの一部としてデプロイしている場合のみです。

たとえば、このタスクはOracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメントでは必要ありません。
各クラスタの管理対象サーバーについて移行設定を変更するには、次の手順を実行します。
  1. まだ行っていない場合は、管理コンソールにログインして「ロックして編集」をクリックします。
  2. 「ドメイン構造」ペインの「環境」ノードを開き、「サーバー」をクリックします。
    「サーバーのサマリー」ページが表示されます。
  3. 表の「名前」列で、変更するサーバーの名前をクリックします。
    選択したサーバーの設定ページが開き、「構成」タブがデフォルトで表示されます。
  4. 「移行」タブをクリックします。
  5. 「JTA移行ポリシー」ドロップダウン・メニューで「障害リカバリ」を選択します。
  6. このページの「JTA候補サーバー」セクションで、「使用可能」リスト・ボックスの管理対象サーバーを選択し、移動ボタンをクリックして、「選択済み」リスト・ボックスに移します。
  7. このページのJMS候補サーバー・セクションで、「使用可能」リスト・ボックスの管理対象サーバーを選択し、移動ボタンをクリックして、「選択済み」リスト・ボックスに移します。
  8. 「保存」をクリックします。

18.4.3 サービス移行ポリシーの選択について

自動サービス移行を構成するとき、クラスタごとにサービス移行ポリシーを選択します。ここでは、サービス移行ポリシーを選択する際のガイドラインと考慮事項を説明します。

たとえば、シングルトンを実行したりパス・サービスを使用したりする製品またはコンポーネントは、「必ず1回のサービスを自動移行」ポリシーのメリットがあります。このポリシーでは、候補サーバーのリストにある管理ターゲット・サーバーが1つ以上動作しているとき、この移行可能ターゲットでホストされるサービスは、サーバーが失敗するか管理者によって(正常または強制的に)シャットダウンされた場合に、クラスタ内のいずれかの場所でアクティブ化されます。このために、起動時に1つのサーバーで複数の同じサービスが起動してしまうことがあります。

このポリシーを使用するときは、クラスタの起動を監視して、各サーバーでどのサーバーが実行しているかを識別する必要があります。その後、必要に応じて手動フェイルバックを実行して、システムの構成のバランスを調整できます。

他のFusion Middlewareコンポーネントの方が「障害回復サービスの自動移行」ポリシーに適しています。このポリシーでは、移行可能ターゲットのユーザー優先サーバー(UPS)が起動している場合にのみ、移行可能ターゲットでホストされているサービスが起動します。

これらのガイドラインに基づいて、Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメントでクラスタに対して「障害回復サービスの自動移行」を使用する必要があります。

詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の手動および自動サービス移行のポリシーに関する項を参照してください。

18.4.4 クラスタ内の各管理対象サーバーでのサービス移行ポリシーの設定

クラスタの各サーバーの移行設定を変更した後、WebLogic管理コンソールを使用して、クラスタの各管理対象サーバーで、サービスを識別して移行ポリシーを設定できます。
  1. まだ行っていない場合は、管理コンソールにログインして「ロックして編集」をクリックします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」を順に展開し、「移行可能なターゲット」を選択します。
  3. クラスタ内の最初の管理対象サーバーの名前をクリックします。
  4. 「移行」タブをクリックします。
  5. 「サービス移行ポリシー」ドロップダウン・メニューで、クラスタの適切なポリシーを選択します。
    詳細は、「サービス移行ポリシーの選択について」を参照してください。
  6. このページの「控えの候補サーバー」セクションで、「使用可能」リスト・ボックスの両方の管理対象サーバーを選択し、それらを「選択済み」リスト・ボックスに移動します。
  7. 「保存」をクリックします。
  8. クラスタの他の管理対象サーバーそれぞれについて、手順2から6までを繰り返します。
  9. 変更をアクティブ化します。
  10. クラスタの管理対象サーバーを再起動します。

18.4.5 管理対象サーバーの再起動と自動サービス移行の検証

クラスタと管理対象サーバーの自動サービス移行を構成した後で、次のように構成を検証します。
  1. まだログインしていない場合は、管理コンソールにログインします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」を順に選択し、自動サービス移行を構成したばかりのクラスタを再起動します。
  3. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」の順に開きます。
  4. 「移行可能なターゲット」をクリックします。
  5. 「制御」タブをクリックします。
    コンソールには、移行可能なターゲットと現在のホスティング・サーバーのリストが表示されます。
  6. 「移行可能なターゲット」表で、いずれかの移行可能なターゲットの行を選択します。
  7. 「現在のホスト・サーバー」列の値に注意してください。
  8. オペレーティング・システムのコマンド行を使用して、最初の管理対象サーバーを停止します。

    次のコマンドを使用して、管理対象サーバーを停止し、クラッシュ・シナリオをシミュレートします。

    kill -9 pid
    

    この例では、pidを管理対象サーバーのプロセスID (PID)に置き換えます。次のUNIXコマンドを実行すると、PIDを確認できます。

    ps -ef | grep managed_server_name
    

    最初のプロセス停止時に管理対象サーバーが自動的に起動するように構成されている可能性があるため、プロセスを停止した後で注意が必要です。このケースでは、再びkill –9コマンドを使用して2番目のプロセスを停止する必要があります。

  9. ノード・マネージャが動作しているターミナル・ウィンドウ(コンソール)を確認します。

    選択した管理対象サーバーでエラーが発生したことを示すメッセージが表示されます。次のようなメッセージが表示されます。

    <INFO> <domain_name> <server_name> 
    <The server 'server_name' with process id 4668 is no longer alive; waiting for the process to die.>
    <INFO> <domain_name> <server_name> 
    <Server failed so attempting to restart (restart count = 1)>.
    
  10. Oracle WebLogic Server管理コンソールに戻り、移行可能なターゲットの表をリフレッシュします。移行可能ターゲットが、クラスタで実行している残りの管理対象サーバーに移行されたことを確認します。
    • 停止したプロセスの「現在のホスト・サーバー」の表示が更新され、そのプロセスが別のホストに移行されたことを確認します。
    • プロセスの「最後の移行のステータス」列の値が「成功」であることを確認します。
  11. 現在サービスをホストしている管理対象サーバーのログ・ファイルを開いて確認します。JTAまたはJMSエラーがないか調べます。

    注意:

    JMSテストの場合、宛先からメッセージ数を取得して、すべての移行可能なターゲットにスタック・メッセージがないことを確認するのが適切な方法です。

    たとえば、共通分散宛先(UDD)の場合は次のとおりです。

    1. 管理コンソールでJMSサブデプロイメント・モジュールにアクセスします。

      「ドメイン構造」ペインで、「サービス」「メッセージング」「JMSモジュール」の順に選択します。

    2. 「JMSモジュール」をクリックします。

    3. 「リソースのサマリー」表で宛先をクリックします。「モニタリング」を選択し、「メッセージ総数」および「保留メッセージ数」を取得します

    4. 「モニタリング」タブを選択し、「宛先」表の「メッセージ総数」「保留メッセージ数」の値を確認します。

18.4.6 自動サービス移行後のサービスのフェイルバック

自動サービス移行が発生した場合、Oracle WebLogic Serverでは、サーバーがオンラインに戻りクラスタに再度参加するときに、サービスが元のサーバーにフェイルバックすることはサポートされません。

そのため、フェイルオーバー中に、自動サービス移行によって特定のJMSサービスがバックアップ・サーバーに移行されたあとは、元のサーバーがオンラインに戻っても、サービスが元のサーバーに移行されることはありません。かわりに、サービスを元のサーバーに手動で移行する必要があります。

サービスを元のサーバーにフェイルバックするには、次の手順を実行します。

  1. まだ行っていない場合は、管理コンソールの「チェンジ・センター」で、「ロックして編集」をクリックします。

  2. 「ドメイン構造」ツリーで、「環境」「クラスタ」の順に開き、「移行可能なターゲット」を選択します。

  3. 1つ以上の移行可能なターゲットを一度に移行するには、「移行可能なターゲットのサマリー」ページで次を実行します。

    1. 「制御」タブをクリックします。

    2. チェック・ボックスを使用して、移行する1つまたは複数の移行可能なターゲットを選択します。

    3. 「移行」をクリックします。

    4. 「新しいホスト・サーバー」ドロップダウンを使用して、元の管理対象サーバーを選択します。

    5. 「OK」をクリックします。

      JMS関連サービスを移行するためのリクエストが発行され、構成編集ロックが解除されます。「移行可能なターゲット」表の「最後の移行のステータス」列に、リクエストされた移行が成功したのか、失敗したのかが示されます。

  4. 特定の移行可能なターゲットを移行するには、「移行可能なターゲットの概要」ページで、次の手順を実行します。

    1. 移行する移行可能なターゲットを選択します。

    2. 「制御」タブをクリックします。

    3. 再度、移行する移行可能なターゲットを選択します。

    4. 「移行」をクリックします。

    5. 「新しいホスト・サーバー」ドロップダウンを使用して、移行可能なターゲットのための新しいサーバーを選択します。

    6. 「OK」をクリックします。