クライアントとOracle Traffic Directorインスタンス間の接続は、HTTPリスナーおよびTCPリスナーを介して作成されます。各リスナーは、IPアドレス(またはホスト名)およびポート番号の一意の組合せです。
この章では、リスナーを作成、表示、変更および削除する方法を説明します。この章の内容は、次のとおりです。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、リスナーを作成できます。
始める前に
リスナーの作成を開始する前に、次の項目を決定します。
リスナーの一意の名前。リスナーを作成した後は名前を変更できないため、名前は慎重に選択してください。
リスナーに対する、IPアドレス(またはホスト名)とポート番号の一意の組合せ。
同じIPアドレスと様々なポート番号の組合せ、または単一のポート番号と様々なIPアドレスの組合せを持つ複数のリスナーを定義できます。次のIPアドレスとポート番号の組合せそれぞれが、一意のリスナーと見なされます。
10.10.10.1:80 10.10.10.1:81 10.10.10.2:80 10.10.10.2:81
HTTPリスナーの場合: リスナーのデフォルトの仮想サーバー。
Oracle Traffic Directorは、リクエスト・ヘッダーのHost
値が、リスナーにバインドされている仮想サーバーに指定されたホスト・パターンと一致しない場合、デフォルトの仮想サーバーにリクエストをルーティングします。
仮想サーバーのホスト・パターンの指定の詳細は、7.1項「仮想サーバーの起動」を参照してください。
HTTPリスナーの場合: サーバーによって自動的に生成され、クライアントに送信されるURLに含まれるサーバー名。このサーバー名は、仮想ホスト名であるか、またはサーバーで別名が使用されている場合、別名である必要があります。コロンとポート番号がサーバー名に追加されている場合、このポート番号は自動生成されたURLで使用されます。
TCPリスナーの場合: リスナーのTCPプロキシ。
トラフィック・トンネリングを行うためTCPプロキシはTCPリスナーを介してTCPリクエストを処理します。TCPプロキシには複数のTCPリスナーを関連付けることができます。TCPリスナーを関連付け、このページでTCPプロキシの設定を構成します。
TCPプロキシの作成の詳細は、8.1項「TCPプロキシの作成」を参照してください。
Fusion Middleware Controlを使用したHTTPリスナーの作成
Fusion Middleware Controlを使用してHTTPリスナーを作成するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
HTTPリスナーを作成する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「リスナー」を選択します。
「共通タスク」ペインで、「HTTPリスナー」の下にある「作成」をクリックします。
新規HTTPリスナー・ウィザードが開始されます。
画面上のプロンプトに従い、前に決定済の詳細(リスナー名、IPアドレス、ポートなど)を使用して、HTTPリスナーの作成を完了します。
注意: 構成で証明書を使用できる場合は、ウィザードの2つ目の画面で「SSL/TLS」チェック・ボックスが使用可能になります。HTTPSリクエストを受信する新しいリクエストが必要な場合は、このチェック・ボックスを選択してSSL/TLSを有効にし、ドロップダウン・リストから適切な証明書を選択します。 |
HTTPリスナーが作成された後、新規HTTPリスナー・ウィザードの「結果」画面にリスナーの作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。
「結果」画面で、「OK」をクリックします。
作成したリスナーの詳細が、「リスナー」ページに表示されます。
Fusion Middleware Controlを使用したTCPリスナーの作成
Fusion Middleware Controlを使用してTCPリスナーを作成するには、次を実行します。
「Fusion Middleware Controlを使用したHTTPリスナーの作成」の手順1、2および3を実行します
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
TCPリスナーを作成する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「リスナー」を選択します。
「共通タスク」ペインで、「TCPリスナーの作成」をクリックします。
新規TCPリスナー・ウィザードが開始されます。
画面上のプロンプトに従い、前に決定済の詳細(リスナー名、IPアドレス、ポートなど)を使用して、TCPリスナーの作成を完了します。
注意: 構成で証明書を使用できる場合は、ウィザードの2つ目の画面で「SSL/TLS」チェック・ボックスが使用可能になります。T3Sリクエストを受信する新しいリクエストが必要な場合は、このチェック・ボックスを選択してSSL/TLSを有効にし、ドロップダウン・リストから適切な証明書を選択します。 |
TCPリスナーが作成された後、新規TCPリスナー・ウィザードの「結果」画面にリスナーの作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。
「結果」画面で、「OK」をクリックします。
作成したリスナーの詳細が、「リスナー」ページに表示されます。
WLSTを使用したリスナーの作成
HTTPリスナーを作成するには、otd_createHttpListener
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、構成foo
にポート番号が23456
、デフォルト仮想サーバーがbar
であるhttp-listener-1
という名前のHTTPリスナーが作成されます。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['http-listener'] = 'http-listener-1' props['port'] = '23456' props['server-name'] = 'example.com' props['default-virtual-server-name'] = 'bar' otd_createHttpListener(props)
TCPリスナーを作成するには、otd_createTcpListener
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、構成foo
にポート番号が34567
、TCPプロキシがtcp_proxy-1
であるtcp_listener_1
という名前のTCPリスナーが作成されます。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['tcp-listener'] = 'tcp-listener-1' props['port'] = '34567' props['tcp-proxy-name'] = 'tcp-proxy-1' otd_createTcpListener(props)
otd_createHttpListener
およびotd_createTcpListener
の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、HTTPまたはTCPリスナーのリストを表示できます。
Fusion Middleware Controlを使用したリスナーのリストの表示
Fusion Middleware Controlを使用してHTTPまたはTCPリスナーのリストを表示するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
HTTPリスナーまたはTCPリスナーを表示する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「リスナー」を選択します。
「リスナー」ページが表示されます。構成に定義されたリスナー・リストが表示されます。
注意: HTTPリスナーおよびTCPリスナーはアイコンでも区別ができます。 |
名前をクリックすると、リスナーのプロパティの詳細を表示できます。
WLSTを使用したリスナーのリストの表示
HTTPリスナー・リストを表示するには、次の例に示すように、otd_listHttpListeners
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'foo' otd_listHttpListeners(props)
listener-1 listener-2
otd_getHttpListenerProperties
コマンドを実行することで、HTTPリスナーのプロパティの詳細を表示できます。
otd_listHttpListeners
およびgotd_getHttpListenerProperties
コマンドの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
TCPリスナー・リストを表示するには、次の例に示すように、otd_listTcpListeners
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'foo' otd_listTcpListeners(props)
listener-1 listener-2
otd_getTcpListenerProperties
コマンドを実行することで、TCPリスナーのプロパティの詳細を表示できます。
otd_listTcpListeners
およびotd_getTcpListenerProperties
コマンドの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、リスナーを変更できます。
Fusion Middleware Controlを使用したリスナーの変更
Fusion Middleware Controlを使用してHTTPまたはTCPリスナーを変更するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
HTTPリスナーまたはTCPリスナーを変更する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「リスナー」を選択します。
「リスナー」ページが表示されます。構成に定義されているHTTPまたはTCPリスナーのリストが表示されます。
変更するリスナーの名前をクリックします。
「リスナー設定」ページが表示されます。このページで、次の処理が可能です。
リスナーの有効化および無効化。
リスナー・ポート番号とIPアドレスの変更。
HTTPリスナーの場合: サーバー名とデフォルト仮想サーバーの変更。
TCPリスナーの場合: TCPプロキシの変更。
サーバー証明書が構成に作成済の場合、SSL/TLSの有効化と、リスナーのSSL/TLS設定の構成。詳細は、10.1.2項「リスナーのSSL/TLSの構成」を参照してください。
リスナーがリクエストを受け入れる必要があるプロトコル・ファミリ(IPv4、IPv6またはSDP)の変更。
HTTPリスナーの場合: 仮想サーバーのパフォーマンスをチューニングするためのパラメータ(アクセプタ・スレッド数、リスニング・キュー・サイズ、受信バッファ・サイズなど)の構成。詳細は、14.4項「HTTPリスナー設定のチューニング」を参照してください。
変更するパラメータを指定します。
画面上のヘルプおよびプロンプトがすべてのパラメータに提供されています。
フィールドの値を変更する、または変更したテキスト・フィールドからタブアウトすると、ページの右上隅にある「保存」ボタンが有効になります。
「リセット」ボタンをクリックすることで、いつでも変更を破棄できます。
必要な変更を行った後、「保存」をクリックします。
更新されたリスナーが保存されたことを確認するメッセージが、「コンソール・メッセージ」ペインに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。3.3項「構成の変更のアクティブ化」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新した構成を即時にデプロイすることも、さらに変更を行って、その後でデプロイすることもできます。
WLSTを使用したリスナーの変更
HTTPリスナーのプロパティを変更するには、otd_setHttpListenerProperties
コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドでは、構成foo
内のリスナーhttp-listener-1
の1接続当たりの最大リクエスト数が1024
に変更されます。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['http-listener'] = 'http-listener-1' props['max-requests-per-connection'] = '1024' otd_setHttpListenerProperties(props)
HTTPリスナーのSSL/TLS設定を変更するには、otd_setHttpListenerSslProperties
コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドを実行すると、構成foo
のリスナーhttp-listener-1
のTLS 1.0サポートが無効になります。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['http-listener'] = 'http-listener-1' props['tls10'] = 'false' otd_setHttpListenerSslProperties(props)
TCPリスナーのプロパティを変更するには、otd_setTcpListenerProperties
コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドでは、構成foo
内のリスナーtcp-listener-1
の1接続当たりの最大リクエスト数が1024
に変更されます。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['tcp-listener'] = 'tcp-listener-1' props['max-requests-per-connection'] = '1024' otd_setTcpListenerProperties(props)
TCPリスナーのSSL/TLS設定を変更するには、otd_setTcpListenerSslProperties
コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドを実行すると、構成foo
のリスナーtcp-listener-1
のTLS 1.0サポートが無効になります。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['tcp-listener'] = 'tcp-listener-1' props['tls10'] = 'false' otd_setTcpListenerSslProperties(props)
otd_setTcpListenerProperties
およびSslProperties
コマンドを使用して設定または変更できるプロパティのリストは、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、HTTPまたはTCPリスナーを削除できます。
Fusion Middleware Controlを使用したリスナーの削除
Fusion Middleware Controlを使用してHTTPまたはTCPリスナーを削除するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
HTTPリスナーまたはTCPリスナーを削除する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「リスナー」を選択します。
「リスナー」ページが表示されます。構成に定義されたHTTP/TCPリスナー・リストが表示されます。
削除するリスナーの「削除」アイコンをクリックします。
リスナーの削除を確認するプロンプトが表示されます。
注意: HTTPリスナーの場合: HTTPリスナーが仮想サーバーに関連付けられている場合、プロンプトには、それらの仮想サーバーが表示されます。 |
削除を続行するには、「はい」をクリックします。
「コンソール・メッセージ」ペインに、HTTP/TCPリスナーが削除されたことを確認するメッセージが表示されます。
WLSTを使用したリスナーの削除
HTTPリスナーを削除するには、次の例に示すように、otd_deleteHttpListener
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['http-listener'] = 'http-listener-1' otd_deleteHttpListener(props)
TCPリスナーを削除するには、次の例に示すように、otd_deleteTcpListener
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'foo' props['tcp-listener'] = 'tcp-listener-1' otd_deleteTcpListener(props)
otd_deleteHttpListener
およびotd_deleteTcpListener
の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
次の手順に従って、特権ポートをリスニングするようにOTDを構成できます。
特権ポート用のリスニング・ソケットを作成するため、OTDには「portbind」という名前のバイナリがバンドルされています。
OTDで特権ポートでのリスニングを必要とする場合、管理者は、次のように「portbind」の所有者をrootにして、setuid権限を与える必要があります
chown root portbind。
chmod 4750 portbind。
サーバーのユーザーに、前の手順の実行に必要なグループの所有権があることを確認します
OTDのウォッチドッグ・プロセスにより、「portbind」を使用して、特権ポートを必要とするリスニング・ソケットが作成されます