ロード・バランシングされたサービスをOracle Traffic Directorで作成する最初の手順は、Oracle Traffic Directorサーバーの実行時の特性を定義するメタデータの集合である構成を作成することです。構成を作成した後、構成を使用して、1つ以上の管理ノードにOracle Traffic Directorサーバーのインスタンスを作成できます。
注意: Oracle Traffic Directorの用語の定義(構成、管理ノードおよびインスタンス)については、1.4項「Oracle Traffic Director用語集」を参照してください。構成、管理ノードおよびインスタンス間の関係の詳細は、第1章「Oracle Traffic Directorスタート・ガイド」を参照してください。 |
この章の内容は次のとおりです。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、構成を作成できます。
始める前に
構成の作成を開始する前に、次の項目を決定します。
構成の一意の名前。構成を作成した後は名前を変更できないため、名前は慎重に選択してください。
注意: 構成に指定されたサーバー・ユーザーは、次の要件を満たしている必要があります。
構成がデプロイされるノードは、これらのシステムに構成されているユーザー・アカウントおよびグループの点から同種である必要があることに注意してください。 |
構成の一部として作成するデフォルト仮想サーバー用の一意のリスナーhost:port
の組合せ。
構成の一部として作成するオリジン・サーバー・プール内のサーバーのhost:port
アドレス。
(オプション)構成のインスタンスを作成する必要がある管理ノードのホスト名。
注意: 新規構成ウィザードを使用して構成を作成する際、1つ以上の管理ノードで構成をインスタンス化することも選択できます。ウィザードに、管理サーバーに登録されている管理ノードのホスト名が表示されるため、ユーザーはこれを実行できます。 |
Fusion Middleware Controlを使用した構成の作成
Fusion Middleware Controlを使用して構成を作成するには、次のタスクを実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってTraffic DirectorのFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
「共通タスク」ペインで、「作成」ボタンを選択します。
新規構成ウィザードが開きます。
画面上のプロンプトに従い、事前に決定済の詳細(オリジン・サーバー・タイプなど)を使用して構成の作成を完了します。
構成が作成された後、新規構成ウィザードの「結果」画面に構成の作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。構成のインスタンスを作成することを選択した場合、インスタンスの作成が成功したことを示すメッセージも表示されます。
結果画面で、「閉じる」をクリックします。
新規構成ウィザードで、構成のインスタンスの作成を選択しなかった場合、作成した構成がまだデプロイされていないことを示すメッセージ「アンデプロイ済構成」が表示されます。
WLSTを使用した構成の作成
構成を作成するには、otd_createConfiguration
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、soa.example.com
という名前の構成がオリジン・サーバーvault.example.com:80
で作成されます。
# Online props = {} props['name'] = 'soa.example.com' props['listener-port'] = '12345' props['server-name'] = 'foo' props['origin-server'] = 'vault.example.com:80' otd_createConfiguration(props)
# Offline readDomain('/export/2110_12c/iplanet/ias/server/work/TD_Linux2.6_DBG.OBJ/domains/otd_domain') props = {} props['configuration'] = 'foo' props['listener-port'] = '12345' props['server-name'] = 'foo' props['origin-server'] = 'www.mycompany.com:80' otd_createConfiguration(props) updateDomain() closeDomain()
otd_createConfiguration
の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照するか、--help
オプションを付けてコマンドを実行してください。
オフライン・モードの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のオフライン・コマンドに関する項を参照してください。
いつでも、Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、使用可能な構成のリストを表示できます。
Fusion Middleware Controlを使用した構成のリストの表示
使用可能な構成のリストを表示するには:
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
図3-2に示すように、使用可能な構成のリストが表示されます。
名前をクリックすると、構成のプロパティを表示できます。
WLSTを使用した構成のリストの表示
使用可能な構成のリストを表示するには、次の例に示すように、otd_listConfigurations
コマンドを実行します。
# Online otd_listConfigurations()
# Offline readDomain('/export/2110_12c/iplanet/ias/server/work/TD_Linux2.6_DBG.OBJ/domains/otd_domain') otd_listConfigurations() closeDomain()
オフライン・モードの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のオフライン・コマンドに関する項を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、構成の変更をアクティブ化できます。
注意: 特定の構成変更は、インスタンスを再起動せずに動的に適用することはできません。 |
インスタンスの構成の変更をアクティブ化できます。activate
コマンドでは、startEdit
コマンドの実行により開始された編集セッションの後で行われた変更のみがアクティブ化されます。また、このコマンドの影響は、OTDのみに限定されるものではありません。編集セッションを開始した後に行われた、様々なその他のコンポーネントおよび管理対象サーバーに対するすべての変更も有効になります。
Fusion Middleware Controlを使用した構成のアクティブ化
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってTraffic DirectorのFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にあるWebLogicドメインのすぐ下の「ロック解除」ボタンをクリックします。
デフォルトでは、自動コミット・モードは有効になっています。
有効化
自動コミット・モードを有効にして構成を作成します。アクティブ化されたすべての変更についての情報が表示されます。
無効化
自動コミット・モードを無効にして構成を作成します。アクティブ化を保留中の変更についての情報が表示されます。保留中の変更をアクティブ化するにはチェンジ・センターを使用します。
WLSTを使用した構成の変更のアクティブ化
WLSTで実行されるすべてのコマンドは、変更を有効にするため、Activate
コマンドによりアクティブ化する必要があります。
たとえば、次のコマンドでは、その構成のすべてのインスタンスが最新の構成設定で更新されます。
wls:/mydomain/edit !> activate(200000, block='true') Activating all your changes, this may take a while ... The edit lock associated with this edit session is released once the activation iscompleted. Action completed. wls:/mydomain/edit>
アクティブ化の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
注意: 一部のパラメータでは、インスタンスを再起動せずにインスタンスを再構成できます。詳細は、4.4項「再起動が不要なOracle Traffic Directorインスタンスの更新」を参照してください。 |
構成を作成し、そこからインスタンスを作成した後、設定の一部(ログ・プリファレンス、パフォーマンス・パラメータ、仮想サーバー・リスナー、オリジン・サーバー・プールなど)を変更する必要がある場合があります。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、構成を変更できます。
Fusion Middleware Controlを使用した構成の変更
Fusion Middleware Controlを使用して構成を変更するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってTraffic DirectorのFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
変更する構成を選択します。
ナビゲーション・ペインで、次のような、構成設定の追加カテゴリを選択できます。選択したカテゴリに関連するパラメータが、メインのペインに表示されます。
SSL
CRL更新イベントのスケジュール設定および管理。詳細は、10.4.2項「CRLの自動更新」を参照してください。
SSL/TLSキャッシュ・プリファレンス。詳細は、14.8.1項「SSL/TLSセッションのキャッシュ」を参照してください。
ロギング
サーバー・ログ・ファイル(ログ・ファイルの名前と場所、ログ・レベル、日付書式など)のパラメータを設定し変更します。
アクセス・ログを有効または無効にします。
アクセス・ログ・ファイル(ログ・ファイルの名前と場所、ログ形式など)のパラメータを設定し変更します。
サーバーおよびアクセス・ログ・ファイルをローテーションするイベントをスケジュールし管理します。
パフォーマンスをチューニングするアクセス・ログ・バッファ設定を構成します。
詳細は、第11章「ログの管理」を参照してください。
詳細設定
一般設定(サーバー・ユーザーID、構成のインスタンスのプロセスIDおよびソケット情報が格納される一時ディレクトリ、およびローカリゼーション・プリファレンス)を指定します。
DNS参照設定およびキャッシュ設定を構成します。
詳細は、14.7項「DNSキャッシュ設定のチューニング」を参照してください。
構成のイベントを作成、有効化、無効化、表示および削除します。詳細は、4.6項「スケジュール済のイベントによるOracle Traffic Directorインスタンスの制御」を参照してください。
「詳細設定」のHTTP: 構成に定義された仮想サーバーのパフォーマンスをチューニングするパラメータ(リクエスト・バッファ・サイズ、レスポンス・バッファ・サイズ、リクエストの本文およびヘッダーのタイムアウトしきい値、スレッド・プール設定およびキープ・アライブ設定)を設定および変更します。
詳細は、14.6項「HTTPリクエストおよびレスポンスの制限のチューニング」を参照してください。
「詳細設定」の「監視」
統計収集、プロファイリングおよびSNMPサブエージェントを有効化および無効化します。
統計収集の間隔を指定します。
詳細は、第12章「Oracle Traffic Directorインスタンスの監視」を参照してください。
注意: オリジン・サーバー、オリジン・サーバー・プール、リスナーおよび仮想サーバーの変更の詳細は、次の項を参照してください。 |
変更するパラメータを指定します。
画面上のヘルプおよびプロンプトがすべてのパラメータに提供されています。
フィールドの値を変更する、または変更したテキスト・フィールドからタブアウトすると、ページの右上隅にある「保存」ボタンが有効になります。
「リセット」ボタンをクリックすることで、いつでも変更を破棄できます。
必要な変更を行った後、「保存」をクリックします。
更新された構成が保存されたことを確認するメッセージが、「コンソール・メッセージ」ペインに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。3.3項「構成の変更のアクティブ化」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新した構成を即時にデプロイすることも、さらに変更を行って、その後でデプロイすることもできます。
注意: 「詳細設定」ページで「一時ディレクトリ」の値を変更した場合、構成のすべてのインスタンスをまず停止して、変更をデプロイし、次にインスタンスを起動します。実行中のインスタンスを停止せずに変更をデプロイした場合、インスタンスを後で停止しようとしたときにエラーが発生する場合があります。この問題を解決するための詳細は、15.2.5項「一時ディレクトリの変更後にインスタンスを停止できない」を参照してください。 |
WLSTを使用した構成の変更
WLSTでは、構成の特定のパラメータの変更に使用できるいくつかのコマンド(表3-1を参照)が用意されています。
注意: 構成内の仮想サーバー、リスナー、オリジン・サーバー・プールおよびオリジン・サーバーのプロパティを変更するWLSTコマンドの詳細は、次の章を参照してください。 |
表3-1 構成変更用のWLSTコマンド
タスク | WLSTコマンド |
---|---|
構成プロパティの変更 |
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アクセス・ログ・バッファ・プロパティの変更 |
|
キャッシュ・プロパティの変更 |
|
DNSプロパティの変更 |
|
DNSキャッシュ・プロパティの変更 |
|
HTTPリクエスト・プロパティの変更 |
|
クライアント接続のキープ・アライブ設定の変更 |
|
エラー・ログ設定の変更 |
|
SNMPの有効化 |
|
SSL/TLSセッションのキャッシュ・プロパティの変更 |
|
統計集計プロパティの変更 |
|
HTTPスレッド・プール・プロパティの変更 |
|
TCPスレッド・プール・プロパティの変更 |
|
たとえば、次のコマンドでは、構成foo
のログ・レベルが、最も冗長な(詳細な)設定であるTRACE:32
に変更されます。
props = {} props['configuration'] = 'foo' otd_getConfigurationProperties(props)
この項で説明したWLSTコマンドの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンドライン・リファレンス』を参照するか、--help
オプションを付けてコマンドを実行してください。
既存の構成に似た構成を作成する場合、既存の構成をコピーし、必要な変更を後から実行できます。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、構成をコピーできます。
Fusion Middleware Controlを使用した構成のコピー
Fusion Middleware Controlを使用して構成をコピーするには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってTraffic DirectorのFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
コピーする構成を選択します。
「共通のタスク」ペインで、「構成の複製」をクリックします。
結果のダイアログ・ボックスで、新規構成の名前を入力し、「OK」をクリックします
構成がコピーされたことを確認するメッセージが表示されます。
「OK」をクリックします。
WLSTを使用した構成のコピー
構成をコピーするには、otd_copyConfiguration
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、構成foo
がfoo1
という名前の新規構成にコピーされます。
props = {} props['source-configuration'] = 'foo' props['dest-configuration'] = 'bar' otd_copyConfiguration(props)
otd_copyConfiguration
の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、構成を削除できます。
注意:
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Fusion Middleware Controlを使用した構成の削除
Fusion Middleware Controlを使用して構成を削除するには、次を実行します。
1.7.2項「Fusion Middleware Controlの表示」の説明に従ってFusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
削除する構成を選択します。
「共通のタスク」ペインで、「構成の削除」をクリックします。
削除する構成のインスタンスが存在しない場合、構成の削除を確認するプロンプトが表示されます。
「OK」をクリックします。
構成が削除されたことを確認するメッセージが表示されます。
「OK」をクリックします。
削除する構成のインスタンスが存在する場合、構成がデプロイされている管理ノードがリストされたダイアログ・ボックスが表示されます。リストには、インスタンスが実行中であるかどうかも示されます。
削除を続行する場合、「インスタンス・ログの保存」チェック・ボックスを選択することで、インスタンスのログ・ファイルの保存を選択できます。
削除を確認するには、「OK」をクリックします。
構成およびそのインスタンスが削除されたことを確認するメッセージが表示されます。
「OK」をクリックします。
注意: 「インスタンス・ログの保存」チェック・ボックスを選択した場合、削除されたインスタンスのサーバー・アクセスおよびエラー・ログは、INSTANCE_HOME /net- config_name /logs ディレクトリに保持されます。 |
削除する構成に対応する「削除」ボタンをクリックします。
WLSTを使用した構成の削除
注意: インスタンスが実行中か停止中かにかかわらず、構成のインスタンスが管理ノードにデプロイされている場合は、WLSTを使用して構成を削除できません。WLSTを使用してこのような構成を削除するには、まずそのインスタンスをすべて削除する必要があります。 |
構成を削除するには、次の例に示すように、otd_deleteConfiguration
コマンドを実行します。
# Online props = {} props['configuration'] = 'foo' otd_deleteConfiguration(props)
# Offline readDomain('/export/2110_12c/iplanet/ias/server/work/TD_Linux2.6_DBG.OBJ/domains/otd_domain') props = {} props['configuration'] = 'foo' otd_deleteConfiguration(props) updateDomain() closeDomain()
otd_deleteConfiguration
の詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください
オフライン・モードの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のオフライン・コマンドに関する項を参照してください。