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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの管理
12c (12.2.1)
E70071-01
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23 システム移行およびアーカイブの理解

この章では、Oracle WebCenter Contentシステムのメタデータ、コンテンツおよび構造を移行およびアーカイブ(バックアップ)するために使用される様々な方法とソフトウェア・ツールについて説明します。

この章の構成は、次のとおりです。

23.1 移行ツールおよびコンポーネントの概要

コンテンツ・サーバー・インスタンス間で情報をアーカイブして移行するために使用できるツールがいくつかあります。各ツールは用途が異なり、ほとんどは組み合せて使用できます。

  • 構成移行ユーティリティ: 別のインスタンスに移行するコンテンツ・サーバー・インスタンスの要素を選択する場合に使用します。このコンポーネントは、コントリビューション・フォルダ(仮想フォルダ またはコンポーネントの名前からFolders_gとも呼ばれる)をサポートしますが、FrameworkFoldersコンポーネント(コントリビューション・フォルダの代替)をサポートしません。

  • アーカイバ: コンテンツ・サーバーのファイルと情報を転送および再編成するためのJavaアプレット。アーカイバを構成移行ユーティリティとともに使用すると、異なるシステム間でコンテンツ・サーバー・インスタンス全部(コンテンツを含む)を移行できます。コントリビューション・フォルダでのコンテンツの移行をサポートしていますが、Foldersでは表の移行のみをサポートします。

  • フォルダのアーカイブ: コンテンツ・サーバー・インスタンスのコントリビューション・フォルダ構造を別の場所に移行する場合に使用します。

  • フォルダ構造アーカイブ: コントリビューション・フォルダ構造(およびそのコンテンツ)をコピーし、そのコピーを別のコンピュータ上に作成する場合に使用します。フォルダのコピーおよび個々のコンテンツは、異なるシステム間で常に同期されます。

  • アーカイバ・レプリケーションの例外: インポートが失敗してもレプリケーションを続行する場合に使用します。

23.2 構成移行ユーティリティ

構成移行ユーティリティ(ConfigMigrationUtilityコンポーネントにより提供される)は、別のインスタンスに移行するコンテンツ・サーバー・インスタンスの要素を選択する場合に使用します。このコンポーネントは、コンテンツ・サーバーではデフォルトでインストールされ、有効化されています。

注意:

ConfigMigrationUtilityコンポーネントでは、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントにより提供される)はサポートされますが、Folders (FrameworkFoldersコンポーネントにより提供される)はサポートされません。

概要

個々の要素(ワークフロー・トークンやコンテンツ・タイプなど)を選択することも、セクション全部(ユーザー関連のメタデータ全部、ワークフローに関連するメタデータ全部など)を選択することもできます。また、コンテンツ・サーバー・インスタンス全部をエクスポートおよびインポートすると、ある時点のコンテンツ・サーバー・インスタンスのスナップショットを作成できます。これは、システムをテストから本番に移行したり、古いバージョンのコンテンツ・サーバー・インスタンスからアップグレード・パスを取り込む場合に使用できます。移行ツールを使用すると、実働中の古いバージョンのコンテンツ・サーバー・ソフトウェアを保持しながら、新しいバージョンで新しい機能をテストできます。

各エクスポート構成は、別のシステムに構成を再作成するために必要な情報を含むバンドルとしてパッケージされます。バンドルは、他のシステムと簡単に共有できるzipファイルです。

機能

構成移行ユーティリティは、他のシステムにエクスポートするために移行バンドルを構成する場合に使用します。また、バンドルをインポート側システムにアップロードおよびインポートする場合にも使用します。次の4つの主要な機能があります。

  • アップロード・バンドル: エクスポートされたバンドルのコピーを見つけて、それを受取り側のシステムで使用可能にする場合に使用します。

  • 構成のバンドル: アップロードされたバンドルから構成をインポートする場合に使用します。この機能を使用すると、インポート時に選択したオプションに応じて、新しいメタデータ・フィールドが作成されるか、現在のフィールドが上書きされます。

  • 構成テンプレート: 後でアップロードして別のコンテンツ・サーバー・インスタンスにインポートできる、エクスポート・バンドルを作成するために使用されます。

  • 最新のアクション: インポートやエクスポートなどの最新のアクティビティを表示したり、それらのアクティビティのログを表示する場合に使用します。

構成移行ユーティリティとアーカイバを組み合せて使用すると、既存のコンテンツ・サーバー・インスタンスのある時点でのスナップショットを作成したり、それを使用して既存システムの増分更新を追跡することができます。構成移行ユーティリティにより構成情報が取得され、アーカイバによりコンテンツが取得されます。

構成移行ユーティリティの使用方法の詳細は、「システム構成の移行」を参照してください。

23.3 アーカイバ・アプリケーション

アーカイバを構成移行ユーティリティとともに使用すると、異なるシステム間でコンテンツ・サーバー・インスタンス全部(コンテンツを含む)を移行できます。

このアプリケーションでは、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントにより提供される)はサポートされますが、Folders (FrameworkFoldersコンポーネントにより提供される)に対しては表の移行のみがサポートされます。

注意:

アーカイバを障害回復の主要な方法として使用しないでください。データベースおよびファイル・システムの標準的なバックアップ・システムを使用してください。

注意:

アーカイバにより作成されるアーカイブにデジタル・アセット管理(DAM)のビデオおよびオーディオ・レンディションは含まれません。アーカイブには、ネイティブ・ファイル、サムネイル、ストーリーボード・サムネイルを含むzipレンディション、Web表示可能.hcspファイルは含まれますが、Inbound Refineryにより作成された追加のビデオおよびオーディオ・レンディションは含まれません。

この制約は設計上のものです。多くのビデオ・ファイルでは、アーカイブが非常に大きくなり、zipファイルの制約の2GBを超えてしまいます。また、制作インスタンスにおいては、ビデオ・レンディションを個別のファイル・システムに格納するのが普通です。

注意:

電子シグネチャ・コンポーネントとともにアーカイバを使用する場合は、必ず表アーカイブ機能を使用してEsig表を移動してください。これが行われない場合、「コンテンツ情報」ページの「シグネチャ」タブをクリックした後に、「シグネチャ情報」ページの「シグネチャ・リスティング」セクションにエラーが返されます。

概要

アーカイバは、「管理」メニューからアクセスして管理アプレットとして実行することも、スタンドアロン・ツールとして実行することもできます。スタンドアロン・ツールは次の作業のために必要です。

  • コレクションを作成する場合

  • 既存のプロファイルからコピーして新しいアーカイブを作成する場合

  • ローカル・ファイル・システムを参照して新しいコレクションに接続する場合

詳細は、「スタンドアロン・アプリケーションとしてのアーカイバの実行」を参照してください。

機能

アーカイバは、コンテンツ・サーバーのファイルと情報を転送および再編成するために使用するJavaアプレットです。アーカイバには次の4つの主要な機能があります。

  • エクスポート: コンテンツ・サーバー・インスタンスのネイティブ・ファイルやWeb表示可能ファイルをコピーして、別のコンテンツ・サーバー・インスタンスにバックアップ、格納またはインポートする場合に使用します。また、コンテンツ・タイプおよびユーザー属性をエクスポートすることもできます。アーカイブにエクスポートすると、アーカイブにはエクスポートしたファイルとそのメタデータがバッチ・ファイルの形式で含まれます。

  • インポート: エクスポートしたアーカイブからファイルおよびコンテンツ・サーバー情報を取得する場合に使用します。一般的にインポートは、別のコンテンツ・サーバー・インスタンスからコンテンツのコピーを取得する場合や、格納されているデータをリストアする場合に使用します。また、インポート中にメタデータ値を変更することもできます。

  • 転送: ソケット経由でコンテンツ・サーバー・インスタンスから別のインスタンスにコンテンツを転送するために使用します。これは通常、ファイアウォールを経由して、または同じファイル・システムにアクセスできない2つのコンテンツ・サーバー・インスタンス間でコンテンツを移動またはコピーする場合に使用します。また、同じファイル・システムにアクセスできるコンテンツ・サーバー・インスタンス間でアーカイブ・ファイルを転送する場合にも、転送機能を使用できます。

  • レプリケート: エクスポート、インポートおよび転送の機能を自動化する場合に使用します。たとえば、レプリケーションを使用すると、自動的にコンテンツ・サーバー・インスタンスからエクスポートし、アーカイブを別のコンピュータに転送して、別のコンテンツ・サーバー・インスタンスにインポートできます。

次の図にこれらの基本的な機能を示します。

図23-1 アーカイバの機能

「図23-1 アーカイバの機能」の説明が続きます
「図23-1 アーカイバの機能」の説明

23.4 フォルダのアーカイブ・アプリケーション

アーカイバを使用してフォルダの構造およびコンテンツを移動することはできませんが、フォルダのアーカイブを使用すると、コンテンツ・サーバー・インスタンスのフォルダ構造全部を別の場所に移行できます。この場合、フォルダのコンテンツはアーカイブされず、フォルダ構造のみがアーカイブされます。

フォルダのアーカイブを使用すると、Folders管理インタフェースからフォルダ階層構造を直接エクスポートおよびインポートできます。フォルダ階層全部がHDA形式でテキスト・ファイルにエクスポートされ、インポート時にはコンテンツ・サーバー・インスタンスがこのファイルを読み取ることができるようになります。

このコンポーネントでは、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントにより提供される)はサポートされますが、Folders (FrameworkFoldersコンポーネントにより提供される)はサポートされません。

23.5 フォルダ構造のアーカイブ・アプリケーション

フォルダ構造アーカイブ・コンポーネントはFolders_gコンポーネントとは別の製品であり、別個にインストールする必要があります。

注意:

このコンポーネントでは、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントにより提供される)はサポートされますが、Folders (FrameworkFoldersコンポーネントにより提供される)はサポートされません。

概要

フォルダ構造アーカイブ・コンポーネントは、Foldersコンポーネントのアーカイブ部分とともに使用できますが、その機能にはいくつかの違いがあります。

  • フォルダ構造の一部を選択してエクスポートできます。フォルダ・アーカイブ機能では、フォルダ構造全部のエクスポートのみが可能です。

  • 増分アーカイブを作成できます。これらは、変更されたフォルダのみが含まれるアーカイブです。組込みのフォルダ・アーカイブ機能では、すべてのアイテムを含むアーカイブが作成されます。

  • アーカイブにはフォルダ構造とフォルダ・コンテンツの両方を含めることができます。フォルダ・アーカイブ機能では、フォルダ構造のみをエクスポートできます。コンテンツはエクスポートできません。

機能

このコンポーネントの主な用途は、次の3つです。

  • バックアップ・ツールとしての使用。このコンポーネントを使用して、フォルダのコンテンツを含むフォルダ構造をコピーできます。

  • 複製ツールとしての使用。このコンポーネントを使用すると、フォルダ構造およびコンテンツをコピーして、そのコピーを別のコンピュータ上に作成できるため、複数サーバーの設定が簡単になります。

  • 同期ツールとしての使用。このコンポーネントを使用すると、フォルダおよびそのコンテンツのコピーは異なるシステム間で常に同期されます。

23.6 ArchiveReplicationExceptionsアプリケーション

ArchiverReplicationExceptionsコンポーネントは、デフォルトではコンテンツ・サーバー・インスタンスによりインストール(有効化)されます。これにより、管理者はインポートが失敗してもレプリケーションを続行できます。この処理では、失敗したインポートが取得されて例外アーカイブに挿入され、失敗したインポートが発生したことを示す電子メールが管理者に送信されます。

ArchiverReplicationExceptionsコンポーネントによりコンテンツ・アイテムが処理されるようにするには、管理者がIntradocDir/config/config.cfgファイル内に手動で構成エントリを設定する必要があります。構成変数により、特定の状況を許可したり、構成済の基準に基づいてエラー・レポートを配布するために、インポート側のコンテンツ・サーバー・インスタンスの動作をカスタマイズします。

注意:

このコンポーネントでは、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントにより提供される)はサポートされますが、Folders (FrameworkFoldersコンポーネントにより提供される)はサポートされません。

23.7 アーカイブ・ツールのサマリーと比較

コンテンツ・サーバーの構造、コンテンツおよびフォルダのアーカイブに使用できるツールは、それぞれ用途が異なります。これらのツールはすべて組み合せて使用できますが、場合によって適不適があります。次の表で、各ツールの長所および制限事項をまとめています。

機能 構成移行ユーティリティ(CMU) アーカイバ フォルダのアーカイブ フォルダ構造アーカイブ・コンポーネント

主目的

コンテンツ・サーバー・インスタンスを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスに移行する場合や、アップグレードしたインスタンスに移行する場合に使用するスナップショット・ツール。

コントリビューション・フォルダのみがサポートされます。

主にソケット経由でデータをバックアップ、格納および転送するために使用します。

コントリビューション・フォルダをサポートします。FrameworkFoldersコンポーネントでは表の移行のみがサポートされます。

フォルダ構造または階層の全部をエクスポートおよびインポートするために使用します。

コントリビューション・フォルダのみがサポートされます。

フォルダ構造のバックアップおよび複製を行い、コンテンツを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスと同期するために使用します。

コントリビューション・フォルダのみがサポートされます。

長所

移行するコンテンツ・サーバー・インスタンスの特定部分を選択できます。

ロギング・ファイルおよびトレース・ファイルが提供されます。

古いコンテンツを処理できます。

ロギング・ファイルおよびトレース・ファイルが提供されます。

ターゲットのコレクションIDとソースのコレクションIDが必ず一致します。

フォルダ構造の一部を選択してエクスポートできます。

制限

バージョン6.2より前のコンテンツ・サーバー・ソフトウェアでは使用できません。

コンポーネントの移行が困難になることがあります。

コレクションの作成には、スタンドアロン・バージョンが必要です。

インポートされたリビジョンは自動的にワークフローに入りません。

現在のフォルダおよびフォルダ内のコンテンツ・アイテムはすべてコンテンツ・サーバー・インスタンスから削除され、インポートされたフォルダ階層で置換されます。

ターゲットのフォルダのコレクションIDがソース・コンテンツのフォルダのコレクションIDと必ずしも一致しません。

アーカイブされるもの

  • メタデータ

  • セキュリティ(ロールおよびアカウント)

  • プロファイル

  • スキーマ

  • ワークフロー

  • パーソナライズ

  • アドオン・コンポーネント

  • コンテンツ

  • コンテンツ・タイプ

  • ユーザー属性

  • サブスクリプション

  • セキュリティ・グループ

  • ファイル・フォーマット

  • フォルダ階層全部(コンテンツを含まない)

  • フォルダ階層およびコンテンツの全部または一部

  • 変更されたコンテンツのみ(必要に応じて)

アーカイブされないもの

  • コンテンツ

  • ワークフローの状態

  • これは追加アーカイブなので、同期されません。

  • フォルダ構造

  • CMUによりアーカイブされたメタデータ、セキュリティおよびその他のフィーチャ

  • Webレイアウト構造

  • フォルダ階層の一部または選択部分

  • コラボレーション・フォルダ

  • コンテンツ

  • メタデータ、セキュリティ(CMUによりアーカイブされたその他のフィーチャ)

コラボレーション・フォルダ