この章の内容は次のとおりです。
権限
この章のタスクを実行するには、次のロールが付与されている必要があります。
WebLogic Server: Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用してAdmin
ロールが付与されます。
WebCenter Portal: WebCenter Portal管理を使用してAdministrator
ロールが付与されます。
「管理操作、ロールおよびツールの理解」も参照してください。
ポータルのライフ・サイクルとは、WebCenter Portalを使用したデプロイメントによるポータルの作成から本番インスタンスまでの過程を表します。このライフ・サイクルには、ソフトウェア開発者、コンテンツ・モデラー、コンテンツ・コントリビュータ、IT管理者、ポータル・サイト管理者などの多くの人々が関与します。ライフ・サイクルのフェーズには、通常、開発、テスト、ステージングおよび本番が含まれます。各フェーズでは特定のタスクを実行する必要があります。コンテンツ・リポジトリの設定など、一部のタスクは一度だけ実行します。その他の、バックアップの作成や夜間ビルドの実行などのタスクは、より頻繁に実行されます。ポータルのライフ・サイクルのフェーズについては、表33-1で説明しています。
表33-1 WebCenter Portalのライフ・サイクルのフェーズ
ライフ・サイクルのフェーズ | 主要なアクター/ロール | 説明 |
---|---|---|
開発 |
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開発者は、WebCenter Portalのブラウザベースのツールを使用して、新しいポータルを開発できます。 高度な要件に対応するために、開発者はJDeveloperを使用して、ポータル・アセットと共有ライブラリ(カスタム・ポータル・コンポーネントを含む)のさらなる開発およびデプロイを行うことができます。 開発ポータルは、通常、テストのデータとコンテンツを使用します。ライフ・サイクルのこのフェーズで開発される機能の一部は、次のとおりです。
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テスト |
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開発ポータルは、独立したテスト環境にデプロイされます。テスト環境には、通常、独自のMetadata Service (MDS)とデータベース・ベースのポリシー・ストア、および専用のOracle WebCenter Contentインスタンスが含まれています。 テスト環境には、本番ポータルには組み込まれないテスト・データやテスト・コンテンツが含まれることもあります。 アプリケーション・データ・ソースやポートレット・プロデューサなどのコンポーネントが、テスト環境と開発環境で共有される場合があります。 |
ステージング |
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ステージング環境では、ポータルが本番に移行する前に最終的な構成およびテストが行われる安定した環境が提供されます。コンテンツ・コントリビュータはコンテンツを追加して、ポータルの構造を調整します。 一般に、ステージング環境には、専用のOracle WebCenter Content Serverだけでなく、専用のポートレット・プロデューサ・サーバー(WC_Portlet)、およびディスカッションとお知らせのためのコラボレーション・サーバー(WC_Collaboration)が含まれます。ステージング環境では、外部のLDAPベースのアイデンティティ・ストア(Oracle Internet Directoryなど)も設定する必要があります。ステージング・サーバーは、通常、本番サイトのミラーとして保持されます。 ポートレット、タスク・フローおよびポータル・アセットに対して開発から時折更新が発生した場合、これをステージ環境にデプロイする必要があります。WebCenter Portal管理を使用して、ポータル・アセットの更新を開発環境からステージング環境にインポートできます。ステージング環境でポートレットとタスク・フローを更新する場合は、通常の方法で再デプロイします。 |
本番 |
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本番ポータルはライブで、エンド・ユーザーも使用できます。 適切な権限を持った個々のユーザーは、ビューをカスタマイズすることも可能です。 WebCenter Portal管理を使用して、ポータルとコンテンツを本番環境に移動できます。一部のバックエンド・データは手動で移動する必要があります。ポータルとコンテンツの移動にWLSTコマンドを使用することもできます。 管理者は、2つの環境が「同期」状態の場合、つまり、常に最初にステージの変更を行い、その後デプロイメントまたは伝播を使用してメタデータの変更を本番にプッシュすることにより、ステージングのポータルの変更を本番に伝播できます。本番のポータルは、オンライン状態のときに、WebCenter Portalで変更できます。ただし、本番サーバーに対する直接の変更は、最小限にする必要があります。 |
ライフ・サイクルの各フェーズでは、特定のタスクを実行するアクター(開発者、管理者、コンテンツ・コントリビュータなど)が必要です。この項では、ポータルのライフ・サイクルで実行されるタスクの種類の概要を示します。
WebCenter Portalに対して開発、テスト、ステージおよび本番の各環境を設定するには、特定の準備手順を実行する必要があります。表33-2 に、これらの予備設定タスクおよびそれを適用する環境の一般的なリストを示します。
表33-2 一般的な1回かぎりの設定タスク
設定タスク | JDeveloperの開発(アセットと共有ライブラリのみ) | WebCenter Portalの開発/テスト | ステージ | 本番 |
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Oracle JDeveloperおよびJDeveloperのWebCenter Portal拡張機能のインストール |
はい |
いいえ |
いいえ |
いいえ |
Oracle WebCenter Portalのインストール |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
Oracle WebLogic Serverのインストール(ドメインおよび管理対象サーバーの作成) |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
RCUによる必要なデータベース・スキーマの作成 |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
Oracle WebCenter Contentのインストールおよび構成 |
はい |
はい |
はい |
はい |
Oracle Access Managerなどのアイデンティティ管理コンポーネントのインストール |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
ポリシー・ストアでの必須のOracle Platform Security Servicesポリシーの作成 |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
資格証明ストアでの必要なユーザー資格証明の作成 |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
バックエンド・サーバーへの接続の作成 |
はい |
はい |
はい |
はい |
ソース・コントロールおよび夜間ビルド・スクリプトの設定 |
はい |
いいえ |
いいえ |
いいえ |
デプロイおよび構成スクリプトの作成 |
いいえ |
はい |
はい |
はい |
バックアップ・スクリプトの作成 |
いいえ |
いいえ |
はい |
はい |
この項では、ポータルのライフ・サイクルのステージング・フェーズおよび本番フェーズについて説明します。図33-1 に、ステージング環境から本番環境への一般的な流れを示します。ステージング環境は、プロビジョニングおよびテストが完了すると、本番環境に移行してユーザーがアクセスできるようになります。初めてステージング環境を本番環境にコピーする場合は、ステージのWebCenter Portalインスタンス全体を本番環境に移行します。これには、ポリシー・ストアの移行、MDSデータ(アプリケーション統合、RESTエンドポイント、SQLデータ・ソース)およびContent Serverリポジトリに格納されているすべてのWebCenter Portalデータも含まれます。
その後、本番環境がライブになると、本番でのポータルの変更は必要に応じて伝播できます。ステージで開発された新しいポータルを本番に対して個別にデプロイできます。また、必要な場合は、既存のポータルを再デプロイできます。
すべてのポータルの接続を1つのWebCenter Portalインスタンスから別のインスタンスに手動で個別に移動できます。
ステージ環境および本番環境で実行する様々なライフ・サイクルのタスクの詳細は、「ライフ・サイクルのタスク」を参照してください。
注意:
図33-1 は、考えられるすべてのポータル機能を表してはいません。
表33-3 ライフ・サイクルのタスク
ライフ・サイクルのタスク | 説明 | 使用するツール | 方法 |
ポータル・インスタンス全体を移行 | ステージング環境と本番環境の両方を設定および構成した後、初めて、ステージのWebCenter Portalインスタンスをターゲットにコピーします。 |
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ポータルをデプロイ | ポータルをターゲットに直接デプロイするか、ポータル・アーカイブを作成してターゲットにインポートします。 個々の本番ポータルをアーカイブにエクスポートし、ステージング・サイトに再度インポートすることもできます。 |
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個々のアセットをデプロイ | アセットを共有したり、アセットを他のWebCenter Portalインスタンスに移行することができます。また、アセットをダウンロードし、Oracle JDeveloperなどのツールで編集および拡張した後、WebCenter Portalに再度デプロイすることもできます。必要な権限のある開発者は、JDeveloperからWebCenter Portalにアセットや拡張機能を直接デプロイすることができます。 |
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ポータルの変更を伝播 |
ステージング環境と本番環境が接続されて「同期」状態の場合、ステージングのポータルの変更を本番に伝播できます。 ポータル伝播では、ポータルに加えられた増分変更のみがターゲット・サーバーにプッシュされます。 |
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ポータルを再デプロイ | ポータルの初期デプロイメントの後、ポータルをターゲットに再デプロイすることを選択できます。ポータルを再デプロイすると、そのポータルは削除され、新しいポータルとして再作成されます。 |
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接続を移行 | ポータルをデプロイすると、その接続もデプロイされます。すべてのポータルの接続を1つのWebCenter Portalインスタンスから別のインスタンスに個別に移動できます。 |
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バックアップ | データベース・ハードウェアを消失した場合や、ファイルまたはデータベースから誤ってデータを削除した場合などの障害からデータをリカバリするには、個々のポータルとWebCenter Portalインスタンス全体を頻繁にバックアップすることが重要です。 |
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リカバリ | 1つ以上のポータルまたはWebCenter Portalインストール全体をバックアップ・アーカイブから完全にリストできます。 |
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表33-4は、ライフ・サイクル操作の実行に必要なWebLogic ServerのロールおよびWebCenter Portalの権限を示しています。
表33-4 ライフ・サイクル操作のためのWebCenter PortalおよびWebLogic Serverの権限の要件
WebCenter Portalオブジェクト | ツール | WebLogic Serverのロール | WebCenter Portalの権限 |
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WebCenter Portal (アプリケーション・レベル) |
|||
アーカイブをインポートまたはエクスポート |
Fusion Middleware Control |
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アーカイブをインポートまたはエクスポート |
WLST |
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ポータル — 直接デプロイ/アーカイブ・インポート | |||
ポータルの直接デプロイまたはポータル・アーカイブのインポート | WebCenter Portal | Portal Server – Deploy (ソース)
|
|
ポータルの直接デプロイまたはポータル・アーカイブのインポート |
WLST |
|
Portal Server – Deploy (ソース)
|
ポータルの再デプロイまたはポータル・アーカイブの再インポート | WebCenter Portal | Portal Server – Deploy (ソース)
|
|
ポータルの再デプロイまたはポータル・アーカイブの再インポート |
WLST |
|
Portal Server – Deploy (ソース)
|
ポータル — アーカイブのエクスポート | |||
ポータル・アーカイブのエクスポート |
WebCenter Portal |
- |
|
ポータル・アーカイブのエクスポート |
WLST |
|
|
ポータル・テンプレート |
|||
ポータル・テンプレート・アーカイブをエクスポートまたはインポート |
WebCenter Portal |
- |
|
ポータル・テンプレート・アーカイブをエクスポートまたはインポート |
WLST |
|
|
ポータル・アセット |
|||
アセット・アーカイブをエクスポートまたはインポート |
WebCenter Portal/REST API |
- |
および次のいずれか:
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アセット・アーカイブをエクスポートまたはインポート |
WLST |
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次のいずれか:
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共有ライブラリ |
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ポータル拡張機能をJDeveloperから直接デプロイ |
JDeveloper |
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WebCenter Portal接続 |
|||
すべてのWebCenter Portal接続をエクスポートまたはインポート |
WLST |
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- |
共有アセット |
|||
アセット・アーカイブをインポートまたはエクスポート | WebCenter Portal |
- |
|
アセット・アーカイブをインポートまたはエクスポート |
WLST |
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この項では、ポータルのセキュリティ・ポリシーと資格証明をあるWebCenter Portal環境から別の環境へ移行する手法について説明します。
単一のポータルのセキュリティ・ポリシー
ポータルごとに、独自のセキュリティ・ポリシーがあります。初めてWebCenter Portalインスタンスにポータルをデプロイする場合、ポータルのセキュリティ・ポリシーを組み込む必要があります。再デプロイ時には、セキュリティ・ポリシーはオプションになります。たとえば、ポータルをステージングから本番に再デプロイするときには、多くの場合、本番システム上で行われたポリシーの変更をオーバーライドしないことが重要です。「ポータルのデプロイ」も参照してください。
WebCenter Portalアプリケーション全体のセキュリティ・ポリシー(ホーム・ポータルを含む、すべてのポータル)
WebCenter Portalアプリケーション全体をバックアップ(またはエクスポート)するときには、ホーム・ポータルまたは個々のポータルのセキュリティ・ポリシーがアーカイブに含まれるので、セキュリティ情報をあるインスタンスから別のインスタンスに移動/リストアすることができます。詳細は、「別のターゲットへのWebCenter Portal全体の移行」を参照してください。
WebCenter Portalに対するバックエンドのアイデンティティ・ストアおよび資格証明ストア
別のインスタンスに移行する場合、アイデンティティ・ストア、資格証明ストア、ポリシー・ストアなどの、セキュリティに関するバックエンド・コンポーネントを移行する必要があります。詳細は、「ポリシー・ストアのバックアップおよびリストア(LDAPとデータベース)」および「資格証明ストアのバックアップおよびリストア(LDAPとデータベース)」を参照してください。