Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成 12c (12.2.1) E70079-01 |
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この章では、WebLogic Server 12.2.1での拡張度を導入し、その概要を示します。拡張度により、動的クラスタの自動スケーリングと関連リソースの再プロビジョニングが可能になります。この章ではまた、拡張度フレームワーク、スマート・ルールおよびポリシーとアクションなど、このガイドで使用する関連用語も導入します。
この章の内容は次のとおりです。
拡張度により、次のいずれかに基づいて動的クラスタのエラスティック・スケーリングを構成することが可能になります。
アクティブな動的クラスタからの、実行中の動的サーバー・インスタンスの手動による追加または削除。これは実行時スケーリングと呼ばれます。要求時スケーリングは、Enterprise ManagerのFusion Middlewareコンポーネント、WebLogic Server管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool(WLST)を使用して実行できます。
動的クラスタをスケール・アップまたはダウンするべき条件や、スケーリング操作自体を定義するアクションを設定するポリシーの確立。スケーリング・ポリシーで定義された条件が発生すると、対応するスケーリング・アクションが自動的に起動されます。
拡張度フレームワークは、WebLogic診断フレームワーク(WLDF)のポリシーおよびアクション・システムを活用します。WLDFのポリシーおよびアクション・コンポーネントを使用して、動的クラスタを自動的にスケール・アップまたはスケール・ダウンするポリシー式を作成することができます。これらのポリシーは、1つ以上のリソース(メモリー、アイドル状態のスレッドおよびCPUなど)を監視します。構成されたしきい値に達すると、スケーリング・アクションが起動されます。WLDFと診断ポリシーおよびアクションの詳細は、『Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』の、ポリシーとアクションの構成に関する項を参照してください。
拡張度のポリシーは、次の種類のデータに基盤を置くことができます。
時間経過に伴う傾向または履歴データ(たとえば特定の間隔における平均値の変化)。たとえば、ポリシーは、特定のしきい値より上である平均JVMヒープ使用量に基盤を置くことができます。
1つのサーバー・インスタンスだけでなく、クラスタ内のすべてのサーバー・インスタンスに関連するランタイム・メトリック。
同一視される複数のサービスからのデータ。たとえば、ポリシーは、ロード・バランサによって報告されるレスポンス・タイム・メトリックや、メッセージ・キューからのメッセージ・バックログ・メトリックに基盤を置くことができます。
カレンダ・ベースのスケジュール。スケーリング・ポリシーは、特定のカレンダ時間(たとえば時刻または曜日)を指定して、いつアクションを起動するかを定義できます。
ログ・ルールまたはイベント・データ・ルール。
拡張度は、ドメイン、サーバーおよびクラスタの各スコープで利用できます。パーティション・スコープからは利用できません。
次の表では、このガイド、『Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成』で使用する、拡張度関連の用語が定義されています。
用語 | 説明 |
---|---|
ルール・ベースの拡張度フレームワーク | 既存のWLDFポリシーおよびアクション・システム上に作成され、管理者が複合的なルールを構成してスケーリングに関するクラスタ内のリソース使用量を監視し、特に動的クラスタに関連するスケーリングまたは管理アクションを実行できるようにするコンポーネント。 |
ポリシー | 動的クラスタをスケール・アップまたはダウンする条件を設定します。スケーリング・ポリシーで定義された条件が発生すると、対応するスケーリング・アクションが自動的に起動されます。 |
アクション | スケーリング操作自体を定義します。 |
動的クラスタ | 1つの共有サーバー・テンプレートに基づいた生成済(動的)サーバー・インスタンスを1つ以上備えたクラスタ。 |
要求時スケーリング | アクティブな動的クラスタから実行中の動的サーバー・インスタンスを手動で追加または削除することによるスケーリング。 |
カレンダ・ベースのスケーリング | 特定のカレンダ時刻を指定し、その設定時刻に起動されるスケーリング・ポリシーである、カレンダ・ベースのスケジュールに基づくスケーリング。 |
ポリシー・ベースのスケーリング | ポリシーおよび関連付けられたアクションに基づくスケーリング。ポリシーは、スケーリング操作が発生する条件を設定し、その条件が満たされると、スケーリング・アクションがスケーリング操作を実行します。 |
スマート・ルール | 一連の設定可能パラメータを持ち、その設定可能パラメータの値を指定することでエンド・ユーザーが複合ポリシー式を作成できるようにする、事前パッケージ済のポリシー式。 |
インターセプタは、スケーリング操作時の、他のWebLogic Serverサブシステムおよび他のコンポーネントとの調整を支援するのに使用されることがあります。「動的クラスタの拡張度の構成」では、スクリプト・インターセプタおよびデータソース・インターセプタの、2つのインターセプタを導入します。
スクリプト・インターセプタを使用した、スケーリング操作時の他のシステムとの調整に関する情報は、第9章「スクリプト・インターセプタの構成」を参照してください。
データソース・インターセプタを使用した、スケール・アップ操作前のデータベース接続の確認に関する情報は、第8章「データソース・インターセプタの構成」を参照してください。