見積使用可能残高からの未履行需要の除外
供給プランニング・プロセスを実行して需要と供給のバランスをとる際に、企業に様々な資材および生産能力の制約がある場合は、需要の一部を履行できない可能性があります。 需要を完全に満たせない場合は、見積使用可能残高の計算で、未履行需要を計算から除する必要があります。そうしないと、安全在庫計算に影響を及ぼすだけでなく、実際の供給と需要の状況把握にも影響するためです。 この更新では、「需要期限の日数」属性を使用して、見積使用可能残高の計算で未履行需要を除外できるようになりました。 この属性に、需要の最大許容遅延を指定すれば、この許容遅延を超えるとプランニング計算から需要が削除されます。
削除済需要
次の属性のために満たせない需要は、削除済需要と呼ばれます:
- 見積需要を満たす最終日。 これは、制約付き供給プランニングで計算されます。
- 見積需要を満たす最終日=見積需要日+見積期限の日数
- 削除済需要は、(期限日+ 1で開始する)期限日より後の需要です。
- 販売オーダー需要の最遅許容日。 「最遅許容日」は、販売オーダーの明細レベルに指定する品目-組織の販売オーダー属性です。
見積使用可能残高(PAB)メジャーの計算が変更されて、既存の機能「ユーザー指定時間ウィンドウ内のみ需要を供給で充足」を実装したために削除された需要が除外されるようになりました。
例1
次の例の場合:
- 現在日= 1日目
- 見積需要日= 3日目
- 見積期限の日数= 3日
需要を満たす最終日
見積需要を満たす最終日= 3日目+ 3日+ 休日2日= 8日目
つまり、プランニング・プロセスでは、8日目またはそれ以前にのみ、この需要を満たすことができます。
新しいPAB計算
この機能改善により、PABが次の式を使用して計算されます:
PAB =前のPAB +手持+予定受入+計画オーダー- (需要合計-削除済需要)
さらに、「見積手持」の値も同様に影響を受けます:
見積手持= 前の見積手持+手持+予定受入- (需要合計-削除済需要)
この機能が関係するのは、制約付き供給プランニングのみです。
例2
次の例の場合:
- 需要数量= 210
- プランニング・タイム・フェンス= 2日目
- 日次生産リソース生産能力= 30ユニット
拡張前
拡張前のPAB
拡張後
拡張後のPAB
*新しいPAB計算で使用されている削除済需要メジャーは、将来のリリースで使用可能になります。
拡張後のPABの図では、9、10、および11日目(黄色で強調表示)のPABは、この新しい機能を考慮に入れて、改訂済PABが日ごとにゼロと表示されています。
PAB (9日目) = PAB (8日目) +計画オーダー(9日目)-[需要合計(9日目)- 削除済需要(9日目)] = -90 + 0-[0-90] = 0
有効化のステップ
この機能を有効にするために何もする必要はありません。
主なリソース
- 更新23Aでリリースされた次の機能では、オーダーを遅延できる最大日数を指定できます。 このウィンドウ内で履行されない残数量は未充足とみなされます。
アクセス要件
次の権限を含む構成済ジョブ・ロールが割り当てられているユーザーは、この機能にアクセスできます。
- サプライ・チェーン・プランナ(ORA_MSC_SUPPLY_CHAIN_PLANNER_JOB)
- 資材プランナ(ORA_MSC_MATERIALS_PLANNER_JOB)
これらの権限は、この更新の前から使用可能でした。