4 新機能および変更点

警告:

Oracle Linux 7は現在延長サポート中です。詳細は、Oracle Linux拡張サポートおよびOracleオープン・ソース・サポート・ポリシーを参照してください。

できるだけ早くアプリケーションとデータをOracle Linux 8またはOracle Linux 9に移行してください。

Oracle Linux 7.9には、次の新機能および変更点が含まれています。特に指定がないかぎり、これらの機能は、一般的にx86_64プラットフォームとArm (aarch64)プラットフォームに該当します。特にArmプラットフォームに該当する情報は、「Oracle Linux 7.9 (aarch64)リリース固有の情報」を参照してください。

Oracle Linux 7の最初のリリースの新機能と変更点に関する情報は、Oracle Linux 7: リリース・ノートfor Oracle Linux 7を参照してください。

Red Hat Compatible Kernel

Oracle Linux 7.9には、次に示すRed Hat Compatible Kernel (RHCK)の機能および変更点が含まれています。

RHCKで非推奨となったBTRFS

Oracle Linux 7.4以降、Btrfsファイル・システム・タイプはRHCKでは非推奨です。Btrfsファイル・システムは、UEK R4以降のUEKリリースでは完全にサポートされています。

Intel ICXシステム用のEDACドライバを追加

このリリースでは、エラー検出および訂正(EDAC)ドライバがIntel ICXシステムに追加されました。このドライバを使用すると、これらのシステムでエラーを検出できるとともに、EDACサブシステムにエラーを報告できます。

Mellanox ConnectX-6 Dxネットワーク・アダプタのサポートを追加

Oracle Linux 7.9では、Mellanox ConnectX-6 Dxネットワーク・アダプタのPCI IDがmlx5_coreドライバに追加されています。このアダプタを使用するシステムについては、mlx5_coreドライバが自動的にロードされます。この機能のサポートは、これまでUEK R6およびUEK R5U4について提供されていましたが、以前のOracle Linuxリリースではテクノロジ・プレビューとしてのみ使用できました。

指定されたハードウェアでのDIF/DIX (T10 P1)のサポート

SCSI T10 DIF/DIXは、ベンダーによって認定されたハードウェアで完全にサポートされています(ベンダーが特定のホスト・バス・アダプタ(HBA)およびストレージ・アレイ構成も完全にサポートしている場合)。DIF/DIXは、ブート・デバイスや仮想化ゲストでの使用など、他の構成ではサポートされていません

ノート:

ベンダーによって認定されておらず、完全にはサポートされていないHBAおよびストレージ・アレイについては、DIF/DIXのサポートはテクノロジ・プレビューです。DIF/DIXが特定のハードウェア・ベンダーでサポートされているかどうかを確認するには、そのベンダーのサポート情報で最新のステータスを参照してください。

FreeRDPをバージョン2.1.1に更新

このリリースでは、リモート・デスクトップ・プロトコル(RDP)のFreeRDP機能がバージョン2.0.0からバージョン2.1.1に更新されています。このバージョンのFreeRDPには、現在のMicrosoft Windowsターミナル・サーバー・バージョン向けの新しいRDPオプションが含まれています。FreeRDP 2.1.1では、いくつかのセキュリティの問題も修正されています。

Pacemakerをバージョン1.1.23に更新

このリリースでは、Pacemakerクラスタ・リソース・マネージャがバージョン1.1.23に更新されています。このバージョンのPacemakerでは、以前のバージョンのバグが多数修正されています。

履歴分析に使用可能なスレッドごとのメトリック

Performance Co-Pilot (PCP)でスレッドごとおよびプロセスごとのパフォーマンス・メトリック値のロギングをオプションで有効にする機能が、pcp-zeroconfパッケージおよびpmieconfユーティリティに含まれるようになりました。以前のリリースでは、プロセスごとのメトリック値がpcp-zeroconfパッケージに含まれており、pmloggerによってログに記録されていました。分析状況によってはスレッドごとの値も必要になるため、スレッドごとのメトリックを履歴分析に使用できるようになりました。この機能を有効にするには、次のコマンドを使用します。

sudo pmieconf -c enable zeroconf.all_threads

SCAPセキュリティ・ガイドによってサービスが適切に無効化されるようになった

この更新では、SCAPセキュリティ・ガイド(SSG)プロファイルによって、開始すべきでないサービスが適切に無効化およびマスクされます。この機能強化により、無効になっているサービスが、別のサービスの依存関係として誤って開始されないことが保証されます。この変更が行われる前は、U.S. Government Commercial Cloud Services (C2S)プロファイルなどのSSGプロファイルによって、サービスが無効化されるのみでした。その結果、SSGプロファイルによって無効化されたサービスは、最初にマスク解除しないかぎり開始できませんでした。

テクノロジ・プレビュー

RHCKでは、次の機能が現在テクノロジ・プレビュー中です。

UEK R6で現在テクノロジ・プレビューが行われている機能は、Unbreakable Enterprise Kernelリリース6: リリース・ノート(5.4.17-2011)に記載されています。

  • Systemd: コンテナ・イメージのインポートおよびエクスポートに対応するImportd機能。

  • ファイル・システム:

    • Parallel NFS (pNFS)のブロック・ストレージ・レイアウトおよびオブジェクト・ストレージ・レイアウト。

    • アプリケーションから永続メモリーを直接マッピングするDAX (Direct Access)。この機能は、ext4およびXFSファイル・システムでテクニカル・プレビュー中です。

    • OverlayFSは引き続きテクニカル・プレビュー中。

  • カーネル:

    • トレースのためのextended Berkeley Packet Filterツール(eBPF)のシステム・コール。

    • Heterogeneous memory management (HMM)。CPU以外のデバイス・プロセッサが、統合システム・アドレス空間を使用してシステム・メモリーを読み取ることができます。この機能を有効にするには、カーネル・コマンドラインにexperimental_hmm=enableを追加します。

    • kexeckexecシステム・コールを使用すると、現在実行中のカーネルから別のカーネルにロードおよびブートできます。kexecブート中にはハードウェアの初期化が実行されず、リブート時間が大幅に短縮されます。

    • No-IOMMUモードの仮想I/O機能。

      ノート:

      このモードは、IOMMUによって提供される入出力管理を備えておらず、セキュアではありません。

    • トラフィック制御(TC)のハードウェア・オフロード。この機能を使用すると、選択したネットワーク・トラフィック処理をハードウェアで直接実行できます。

  • ネットワーク:

    • 専用のCiscoアーキテクチャでRDMAと同様の機能を提供するCisco VIC InfiniBandカーネル・ドライバ。

    • qlcnicドライバに含まれるシングルルートI/O仮想化(SR-IOV)。

    • UCMサーバーのCisco専用のUser Space Network Interface Controllerをlibusnic_verbsドライバで提供。

    • オフロードをサポートしているflowerトラフィック制御分類子。

    • Trusted Network Connect。この機能を使用すると、ネットワーク・アクセスを許可する前に、既存のネットワーク・アクセス・ポリシーに対してエンドポイントを検証できます。

  • ストレージ:

    • SCSI向けのマルチキューI/Oスケジューリング(scsi-mq)。この機能は、デフォルトでは無効になっています。この機能を有効にするには、RHCKカーネル・コマンドラインにscsi_mod.use_blk_mq=Yを追加します。

    • qla2xxxドライバおよびlpfcデバイスでのプレビューとしてのSCSI-MQ。

    • ストレージ・アレイの管理に使用されるlibStorageMgmt APIのプラグイン。libStorageMgmt APIはサポートされるようになりましたが、プラグインはテクノロジ・プレビュー中です。

互換性

Oracle LinuxではRed Hat Enterprise Linux (RHEL)とのユーザースペースの互換性が維持され、これはオペレーティング・システムの基盤となるカーネルのバージョンとは無関係です。ユーザースペースの既存のアプリケーションは、Unbreakable Enterprise Kernelリリース6 (UEK R6)で変更なしに引き続き実行され、RHEL認定アプリケーションには証明書の更新は不要です。

Oracle Linuxチームはリリース時の互換性に関する影響を最小限に抑えるため、カーネル・モジュールに対する依存性があるハードウェアおよびソフトウェアを提供するサード・パーティ・ベンダーと緊密に協力しています。UEK R6のカーネルABIは、最初のリリースの後のすべての更新において変更されていません。UEK R6には、システム上でサード・パーティのカーネル・モジュールの再コンパイルを必要とするUEK R5と比較してカーネルABIに対する変更点があります。UEK R6をインストールする前に、アプリケーション・ベンダーとこのリリースのサポート状況を確認してください。