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付録II - サンプル: TMDEMO

付録II - サンプル: TMDEMO
TMDEMOと呼ばれるサンプルがART Test Managerで提供されます。これはCICS、IMS、およびバッチの各コンポーネントを含む小規模なメインフレーム・アプリケーションです。次に示すステップバイステップのチュートリアルは、このサンプルをベースにしたART Test Managerの主要な機能に習熟することを目的としています。
アプリケーションの説明
TMDEMOアプリケーションは、IMSオンライン・トランザクションを使用した単純なバンキング・アプリケーションと、顧客連絡先情報保守のための一連のCICS画面を持つバッチ・プログラムを組み合せたものです。このサンプルのオンライン・トランザクションおよびバッチ・ジョブは、CICS、IMS、およびバッチの各テスト・ケースにマッピングされます。ファイルからデータベースにデータをロードするテスト・ケースもあれば、データベースのデータを更新または削除するテスト・ケースもあります。このサンプルでは、TMに関するいくつかの基本操作を確認できます。
データベースおよびファイル
このサンプルのテスト・ケースは、いくつかのファイルおよびIMS DBから移行されたOracleデータベースにアクセスします。
アプリケーション・コンポーネント
CICSコンポーネント
このデモには6つのCICSプログラムが含まれています。
 
IMSコンポーネント
TMDEMOには7つのIMSテスト・ユニット、6つのIMS MPPオンライン・トランザクション、1つのケース、および1つのBMPプログラムが含まれます。これらの機能を次の表に示します。
 
バッチ・コンポーネント
サンプルには3つのバッチ・ジョブが含まれます。すべてのバッチ・ジョブでCOBOLプログラムを実行し、データベースへのデータの挿入、データベースのデータの更新、またはデータベースからのレポート・ファイルの生成を行います。
 
ART Workbenchを使用したTMDEMOの移行とデプロイ
ART Test Managerを使用してアプリケーションをテストできるようにするには、Tuxedo ART Workbenchを使用してメインフレーム・バージョンから移行し、Tuxedo ART環境で実行できるようにしておく必要があります。ART Workbench移行ライフサイクル実行のためのeclipseプラグインの使用方法を次に簡単に説明します。詳細は、Tuxedo ART Workbenchユーザー・ガイドを参照してください。
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すべてのタイプを正しく選択したら、「Select All」ボタンをクリックして、すべてのディレクトリの「Process」列の値を「YES」に変更し、「Finish」をクリックします。これで各ディレクトリのワークベンチ構成が適切に設定されます。
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「ART Workbench」→「Global」→「SQL」を選択し、「Default SQL Schema」テキストに「PJ01DB2」と入力してスキーマ名を指定し、「Apply」→「OK」をクリックしてこのステップを終了します。
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すべてのパラメータの構成後、「Finish」をクリックします。
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ビルドのプロセスが正常に終了したかどうかを確認するには、「Console」ビューでERRORレベルのメッセージを確認するか、「Tracking」ビューで「Code summary」タブの「Compiled」列の値を確認します。CICS、IMS、およびバッチ・プログラムの値は100%である必要があります。JCLはコンパイルされないためJCLの値は空白になります。
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次の表に従ってデータ・ソース・ファイルを指定します。
 
デプロイのターゲットとなる場所を入力し、「Finish」をクリックします。ファイルの変換およびリロードが正常に終了したかどうかを確認するには、「Console」ビューでログをチェックするか、「Tracking」ビューを開いて、「Data summary」タブの「Reloaded」列をチェックします。
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「Finish」をクリックしてデータのトランスコーディングを実行し、Oracleの表をリロードします。データベースのリロードが正常に終了したかどうかを確認するには、「Console」ビューでログをチェックします。次の図で示すようなメッセージが表示されます。
TMDEMOアプリケーションが移行、構成、ビルド、およびデプロイされ、データ依存関係も同様に変換およびリロードされました。このチュートリアルの次の項の説明を参照し、ART Test Managerを使用して実行する準備が整ったので、テストを実行できます。
ART Test Managerプロジェクトの設定
ART Test Managerをインストールおよび構成したら、「2.2.2 ART Test Managerの構成および起動」の説明に従ってTomcatを起動します。Webブラウザのアドレス・バーにURLとしてhostname:port/arttmを指定してログイン・ページを表示し、ユーザー名「admin」、およびART Test Managerのインストール時に指定したadminのパスワードを入力し、「ログイン」ボタンをクリックします。ログインしたら、adminユーザーとして以降のステップを実行、またはadminとして右上隅のプルダウン・メニューを使用して「ユーザー管理」に切り替え、通常のユーザーを新しく作成します。チュートリアルの以降のステップを引き続き実行します。
ART Test Managerプロジェクトを作成するには、コンテキスト・パス・バーの「プロジェクトの作成」ボタンをクリックし、必要な情報を入力します。
WorkbenchのAPPDIRの置かれているマシンとART Test Mangerがインストールおよび実行されるマシンが異なる場合は、リモート・プロジェクト・チェック・ボックスを選択し、次の図に示すように、必要なマシンおよび接続情報を指定します。
必要な情報を入力して「作成」ボタンをクリックすると、新しいプロジェクトが作成されます。ART Test MangerはデプロイメントAPPDIRを自動的にスキャンし、検出されたすべてのテスト・ケースを含むデフォルトのテスト・グループを作成します。これらのグループの名前は常に、BATCHケースの場合は「BATCH_RT」、CICSケースの場合は「CICS_RT」、IMSケースの場合は「IMS_RT」になります。「BATCH_RT」の場合、バッチ・テスト・ケースは、JCLディレクトリで見つかったジョブを表します。「CICS_RT」の場合、CICS 3270テスト・ケースは、構成ファイルtransactions.descに含まれるトランザクションを表し、CICS DPLテスト・ケースは、構成ファイルprograms.descに含まれるDPLプログラムを表します。「IMS_RT」の場合、IMS MPPおよびBMPテスト・ケースは、構成ファイルimstran.descおよびimsapp.descに含まれるオンライン・プログラムおよびバッチ・プログラムを表します。
TMDEMOプロジェクトを作成したら、左側のナビゲーション・ツリーでプロジェクトをクリックし、3つのテスト・グループで構成されるプロジェクト・コンテキストをメイン操作ペインで開きます。ケース・カウント列に各グループのテスト・ケースの数が表示される点に注意してください。これらのケースは、プロジェクトの作成時にAPPDIRで自動的に検出およびインポートされたものです。
テスト環境の構成
ART Test Managerでプロジェクトを作成している場合、テスト環境はすでに構築されています。
CICS 3270画面のテスト
ユーザー・ガイドで説明したように、CICS 3270画面をテストするには、最初にメインフレームでトランザクションを実行し、tn3270レコーダを使用してベースラインを取得します。
ベースラインの取得およびアップロード
TN3270レコーダの構成および使用方法については、このユーザー・ガイドの「付録I」のガイドラインを参照してください。取得したベースラインの「.tgz」ファイルは、次の図に示すように、各CICS 3270テスト・ケースの「アップロード」ダイアログを使用してアップロードします。
テスト・ケースの実行および結果の比較
ベースラインのアップロード後、CICS 3270テスト・ケースを選択して「実行」ボタンをクリックし、選択したケースを実行します。
テスト・ケースの実行が成功したかどうかは、「ステータス」列で確認します。詳細な結果については、結果列をクリックすると、詳細な差異がある場合はそれを確認できます。
RSSBT00ケースの場合、差異は2番目の画面の行1列70にある1つのフィールドになります。メインフレームの値「08-03-17」がARTの値「24-03-17」と一致しません。これは現在の実行日付を含む日付フィールドになります。メインフレーム実行のベースラインとART実行が同じ日付でなければ、通常このフィールドの値は一致しません。フィールドの左側のチェック・ボックスを選択して、フィルタ・ファイルに追加ボタンをクリックし、このフィールドを以降の比較から除外します。このケースを再実行すると、データ・ストリームで識別されるその他の差異は発生せず、ケースは合格になります。
IMS 3270画面のテスト
IMSケースを実行するには、次のステップを実行してIMS環境を準備してから、TuxedoドメインをIMS MPPおよびBMPリージョンに対して起動します。
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<TMDEMOディレクトリ>/ims_prepareディレクトリに移動し、使用するコンパイラにあわせてsetenv.shを編集し、IMSDIRCOBDIRORACE_HOMEORACLE_USERの値を更新し、このsetenvスクリプトをソースとして使用します。
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export USER_GNT_PATH=<TMDEMOディレクトリ>/ims_prepare/sourceprogram
export $coblib=${USER_GNT_PATH}:${!coblib}
TMDEMO IMSテスト・ケース実行の前提条件はこれですべて満たされました。
ベースラインの取得およびアップロード
CICS 3270ケースの場合と同様に、IMS MPPケースの実行前にも、メインフレーム実行で得られるベースラインを準備し、アップロードします。すべてのIMSテスト・ケースが表示されているIMSグループ・コンテキストで、BANKCLNTケースの「構成」列をクリックします。この「構成」ダイアログで、「tn3270rcd」タブをクリックし、メインフレーム・ホスト名およびメインフレーム・ホスト・ポート・フィールドに必要な値を指定します。接続のテスト・ボタンをクリックして接続を確認します。接続が確認できたら、tn3270rcdの開始ボタンをクリックしてレコーダを起動し、tn3270rcdのメッセージに含まれるhostname:gwPortを記録します。
tn3270ターミナル・エミュレータ・セッションを開始し、tn3270rcdのメッセージに指定されたhostname:gwPortに接続します。IMS BANKCLNTアプリケーションに移動し、「PA1」を押してレコーダを開始し、アプリケーションとのインタラクションを通常の順序で実行します。終了したら「PA1」を押してレコーダを終了し、データ・ストリームのベースラインを保存します。
ART Test Managerに戻り、tn3270rcd停止およびベースライン収集ボタンをクリックしてレコーダを終了し、BANKCLNTテスト・ケースで使用するベースラインをアップロードします。
テスト・ケースの実行および結果の比較
IMS MPPケースを実行するには、BANKCLNTをチェックして実行ボタンをクリックします。アップロードされたベースラインが使用され、ART IMS環境でBANKCLNTトランザクションによるインタラクションが進行します。結果列のアイコンをクリックして実行結果をチェックします。最初に、コンソール・タブに表示される実行ログに次の図に示すログのサンプルと似た内容が表示されているかを確認します。
画面差異タブをクリックして、データ・ストリームの比較をチェックします。次の図に示すように、差異タブには、差異のある2つのフィールドが表示されます。
この2つのフィールドにはタイムスタンプの値が含まれます。この値は通常、取得したメインフレームのベースラインとART IMS実行では異なります。これらのフィールドを以降の比較で対象外にするには、左側のチェック・ボックスを使用して選択し、フィルタ・ファイルに追加をクリックします。
画面タブをクリックし、画面を横に並べてチェックします。
バッチ・ジョブのテスト
次の図のように、サンプルには3つのジョブがBATHC_RTグループの3つのバッチ・テスト・ケースとして含まれます。
テスト・ケースの実行および結果の比較
テスト・ケースを実行するには、最初にドメインの起動をクリックします。ドメインが起動したら、左側のチェック・ボックスを使用してテスト対象のジョブを選択し、実行ボタンをクリックして開始します。出力は下部のコンソール・ビューに表示されます。
リターン・コードの比較
バッチ・テスト・ケースのデフォルトの結果チェックでは、ジョブのリターン・コードをチェックします。ネイティブのJCLジョブでは、リターン・コード0であればテスト合格であり、それ以外の値はエラーを意味します。KSHジョブの場合は、リターン・コードC000が合格であり、それ以外の値はエラーを意味します。
ファイル比較の設定および使用
ファイル比較オプションは、ジョブ実行後のART Batchのファイルとメインフレームのデータセットの比較に使用します。このオプションが有効であり、FTP接続が設定および確認されている場合、ART Test Managerはメインフレームにジョブを送信し、参照データをメインフレームからLinuxにダウンロードします。データをトランスコードおよびリロードした後に、ファイルを比較します。
ジョブがメインフレームで正常に実行されるようにするため、ジョブで参照されるPROCおよびプログラムがすべてメインフレーム上に存在し、必要なデータセットがすべて使用可能であり、データベースの状態がジョブで想定されているものであることを確認します。
ファイル比較オプションはデフォルトで無効になっています。このオプションはバッチ構成ダイアログで有効化できます。グループ・パネルの「構成」ボタンをクリックして、構成ダイアログにアクセスします。
ファイル比較有効化を選択し、ホスト名、FTPポート、ユーザー名、パスワードなどのメインフレーム情報を入力します。FTP接続のテストをクリックしてFTP接続を試行します。その後、「保存」ボタンをクリックします。
構成後にこのテスト・ケースを選択して実行を選択し、実行後に結果アイコンをクリックして結果を表示します。結果ダイアログで、ファイル比較タブをクリックしてファイル比較の結果をチェックします。
左側のペインに、ジョブで参照されるファイルが表示されます。ファイルをクリックして比較の差異を表示します。
DB比較の設定と使用
バッチ・テスト・ケースでデータベースを更新するときに、DB比較オプションを使用して、DB2を更新するジョブのメインフレームでの実行と、Oracleデータベースを更新するART実行のDB操作を比較できます。これにはFTP接続を使用するメインフレームでのジョブ送信も関連するため、このジョブを実行するにはメインフレーム環境が正しく設定されている必要があります。
DB比較オプションはデフォルトで無効になっていますが、バッチ・グループの「構成」ダイアログで有効化できます。グループ・パネルの「構成」ボタンをクリックします(ダイアログの詳細は「メインフレーム接続の構成」を参照してください)。DB操作比較の有効化を選択してホスト名、FTPポート、ユーザー名、パスワードなどのメインフレーム情報を入力し、FTP接続のテストをクリックしてFTP接続を試行します。次にDB2ホーム、DB2名、DB2ポート、DB2ユーザー名、パスワードなどのDB2情報を入力し、DB2接続テスト・ボタンを使用してDB2接続をテストします。FTPおよびDB2の両方のテストが成功したら、「保存」ボタンをクリックして構成を保存します。
構成後にLODCUSTバッチ・ケースを選択し、実行ボタンをクリックして実行します。実行後、結果列のアイコンをクリックして結果ダイアログを開き、DB比較タブをクリックして、メインフレームのDB2とOracleデータベースでのDB操作を比較します。
前述の図で示すように、INS (挿入)操作が左側のペインに表示されます。いずれかをクリックすると、OracleおよびDB2の表のBEFOREおよびAFTERの値が表示されます。これらのケースでは100%一致しています。
ダッシュボードの使用
ダッシュボード・ボタンをプロジェクト、「グループ」、またはテスト・プラン・パネルでクリックし、TMDEMOプロジェクトのケース実行レポートを確認します。各ケース・タイプに対して、合計数/合格数/不合格数および合格率/不合格率が表形式で表示されます。
表の上のフィルタ検索ボックスを使用して、グループ名、テスト・プラン名、またはテスト・ケース・タイプを基準にしてダッシュボードをフィルタリングし、必要なサブセットを取得します。
監査証跡の使用
右上隅のドロップダウン・メニューで監査をクリックし、プロジェクトTMDEMOで実行したすべての操作の監査レポートを表示します。開始/終了タイムスタンプ、ユーザーID、アクション、ターゲット・オブジェクト、アクション詳細、ステータス、およびエラーの場合はその理由が表に表示されます。
前述の表で使用したフィルタを使用して、特定の日付/時間範囲、アクション、またはユーザーの監査レポートのみを表示できます。
 

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