| Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド 12c (12.2.1.1.0) E77226-02 |
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ダッシュボード・ページまたは分析のユーザーは表に表示されているデータを変更する機能を使用できる場合があります。
この機能は、通常ライトバックと呼ばれます。管理者は、コンテンツ・デザイナがユーザー用にライトバック機能を構成できるように支援します。
次の各項では、ライトバックの構成方法について説明します。
ライトバック・フィールドが適切に構成されている場合、ユーザーが「データベースへのライトバック」権限を持っていれば、分析でライトバック・フィールドが編集可能フィールドとして表示されます。
ユーザーがこの権限を持っていないと、ライトバック・フィールドは通常のフィールドとして表示されます。ユーザーが編集可能フィールドに値を入力して適切なライトバック・ボタンをクリックすると、アプリケーションによってライトバック・テンプレートが読み取られ、適切なinsertまたはupdate SQLコマンドが取得されます。その後、そのinsertまたはupdateコマンドが発行されます。コマンドが正常に実行されると、レコードが読み取られ、分析が更新されます。テンプレートの読取りまたはSQLコマンドの実行でエラーが発生した場合は、エラー・メッセージが表示されます。
insertコマンドは、レコードがまだ存在していない場合に実行され、ユーザーが新しいデータを表に入力します。この場合、ユーザーが入力した表内のレコードの値は、入力前はnullとなっています。
updateコマンドは、ユーザーが既存のデータを変更する場合に実行されます。まだ物理表に存在していないレコードをライトバック先として表示するには、類似する別の表を作成します。類似するこの表を使用してプレースホルダ・レコードを表示し、このプレースホルダ・レコードに対してユーザーがダッシュボードで変更を実行できるようにします。
注意:
ライトバックを使用してデータが変更された分析を含むダッシュボードを、ログオンしたユーザーがすでに表示している場合、ダッシュボードではデータが自動的にリフレッシュされません。更新されたデータを参照するには、ユーザーがダッシュボードを手動でリフレッシュする必要があります。
ユーザーは、Oracle BIサーバーからSQL問合せを実行できるあらゆるデータソース(ADFデータソースを除く)に対してライトバックを実行できます。ライトバックの構成時には、次の制限に留意してください。
数値列に入力できるのは数字のみです。ドル記号($)、番号記号またはハッシュ記号(#)、パーセント記号(%)などのデータ書式設定文字は使用できません。
テキスト列に入力できるのは文字列データのみです。
ライトバックを使用してデータが変更された分析を含むダッシュボードを、ログオンしたユーザーがすでに表示している場合、ダッシュボードではデータが自動的にリフレッシュされません。更新されたデータを参照するには、ユーザーがダッシュボードを手動でリフレッシュする必要があります。
テンプレート・メカニズムは、表のビューで単一値に対してのみ使用できます。ピボット表のビューや他のあらゆるタイプのビュー、複数値データおよび単一値データのドロップダウン列には、テンプレート・メカニズムはサポートされていません。
ライトバック列の値はすべて編集可能です。編集可能フィールドは、プリンタ優先以外のコンテキストで表示された場合、ユーザーに「データベースへのライトバック」権限が与えられているかのように表示されます。しかし、論理列が変更可能な物理列にマップされている場合、論理列は複数のレベルの共通部分に対する値を返します。このシナリオの場合、問題が発生する可能性があります。
作成したライトバック表から導出されたものではないフィールドも含めて、分析内のあらゆるフィールドにライトバックのフラグを設定できます。しかし、表がライトバック有効に設定されていないと、ライトバック操作を正常に実行できません。フィールドへの正しいタグ付けは、コンテンツ・デザイナが責任を持って行います。
テンプレートではinsertとupdate以外のSQL文も使用できます。ライトバック機能はこれらの文をデータベースに渡します。しかし、insertまたはupdate以外の文の使用はOracleではサポートしていません。使用しないことをお薦めします。
プレゼンテーション・サービスが実行するのは、データ入力の最小限の検証のみです。数値フィールドにユーザーがテキスト・データを入力した場合、プレゼンテーション・サービスはこれを検出し、無効なデータがデータベースに送られるのを防止します。しかし、他の形式の無効なデータ入力(範囲外の値、テキストと数値の混合など)は検出されません。ユーザーがライトバック・ボタンをクリックして挿入または更新を実行した場合、データが無効なときは、データベースからエラー・メッセージが出力されます。その後、ユーザーは、誤った入力を修正できます。コンテンツ・デザイナは、数値データ・フィールドには英数字が混ざった値は入力できないことを通知する、ユーザーを支援するテキストをライトバック分析に含めることができます。
テンプレート・メカニズムは、任意の新しいレコードの入力には適しません。このメカニズムをデータ入力ツールとして使用しないでください。
ライトバック用にテーブルを作成する場合、少なくとも1つ以上の列にライトバック機能が組み込まれず、各行に固有かつNULL以外の値が含まれるようにします。
ライトバック分析では、ドリルダウンはサポートされていません。ドリルダウンを実行すると表の構造が変わるため、ライトバック・テンプレートが機能しなくなります。
注意:
テンプレート・メカニズムでは、ユーザーの入力が取得され、データベースに直接書き込まれます。物理データベースのセキュリティについては、管理者が責任を持って対処してください。最大限のセキュリティを確保するには、ライトバック・データベース表を固有のデータベース・インスタンスに格納します。ライトバック・テンプレート・ファイルは、1つ以上のライトバック・テンプレートを含むXML形式のファイルです。
ライトバック・テンプレートは、テンプレートの名前を指定するWebMessage要素、接続プール、および作成したライトバック表と列のレコードの挿入と更新に必要なSQL文で構成されます。コンテンツ・デザイナがライトバックに対して表ビューを有効にした場合、コンテンツ・デザイナは、表ビューでのレコードの挿入および更新に使用するライトバック・テンプレートの名前を指定する必要があります。
複数のライトバック・テンプレート・ファイルを作成できます。複数のライトバック・テンプレートを1つのテンプレート・ファイルに含め、それぞれのテンプレートを特定の分析で使用するフィールド用にカスタマイズできます。ただし、1つのファイルには1つのテンプレートのみを含めることをベスト・プラクティスとしてお薦めします。
ライトバック・テンプレート・ファイルを作成するには:
ライトバック・テンプレートでは、次の要件を満たす必要があります。
ライトバック・テンプレートの名前は、WebMessage要素のname属性を使用して指定する必要があります。
ライトバックを正しく機能させるには、ライトバックに対して表ビューを有効にする際に、ビューでのレコードの挿入および更新に使用するライトバック・テンプレートの名前をコンテンツ・デザイナが指定する必要があります。
次の例では、SetQuotaUseIDというライトバック・テンプレートを指定しています。
<WebMessage name="SetQuotaUseID">
セキュリティ要件を満たすために、レコードの挿入と更新を実行するSQLコマンドとともに接続プールを指定する必要があります。これらのSQLコマンドでは、ライトバック・スキーマで渡され、データベース表を変更するためのSQL文を生成する値が参照されます。値は列位置(@1や@3など)または列ID(@{c1234abc}や@{c687dfg}など)によって参照できます。列位置の開始番号は1です。列IDの使用が優先されます。各列IDはランダムに生成された英数字であり、分析エディタの「詳細設定」タブにある分析のXML定義に表示されます。
<insert>要素と<update>要素の両方をテンプレートに含める必要があります。これらの要素内にSQLコマンドを挿入しない場合は、開始タグと終了タグの間に空白を挿入する必要があります。たとえば、次のように要素を入力する必要があります。
<insert> </insert>
次は不適切な例です。
<insert></insert>
空白を省略すると、「システムがライトバック・テンプレート'[tk1]'を読み取ることができません。[tk2]」のようなライトバック・エラー・メッセージが表示されます。
パラメータのデータ型が整数または実数でない場合は、一重引用符で値を囲みます。データベースがコミットを自動的に実行しない場合は、insertノードとupdateノードの後にオプションのpostUpdateノードを追加してコミットを強制的に実行します。一般的なpostUpdateノードの例を次に示します。
<postUpdate>COMMIT</postUpdate>
例17-1 例: ライトバック・テンプレート・ファイル
列IDで値を参照するライトバック・テンプレート・ファイルは次のようなものです。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<WebMessageTables xmlns:sawm="com.siebel.analytics.web/message/v1">
<WebMessageTable lang="en-us" system="WriteBack" table="Messages">
<WebMessage name="SetQuotaUseID">
<XML>
<writeBack connectionPool="Supplier">
<insert>INSERT INTO regiontypequota VALUES(@{c0},@{c1},'@{c2}','@{c3}',@{c4})</insert>
<update>UPDATE regiontypequota SET Dollars=@{c4} WHERE YR=@{c0} AND Quarter=@{c1} AND Region='@{c2}' AND ItemType='@{c3}'</update>
</writeBack>
</XML>
</WebMessage>
</WebMessageTable>
</WebMessageTables>
列位置で値を参照するライトバック・テンプレート・ファイルは次のようなものです。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?> <WebMessageTables xmlns:sawm="com.siebel.analytics.web/message/v1"> <WebMessageTable lang="en-us" system="WriteBack" table="Messages"> <WebMessage name="SetQuota"> <XML> <writeBack connectionPool="Supplier"> <insert>INSERT INTO regiontypequota VALUES(@1,@2,'@3','@4',@5)</insert> <update>UPDATE regiontypequota SET Dollars=@5 WHERE YR=@1 AND Quarter=@2 AND Region='@3' AND ItemType='@4'</update> </writeBack> </XML> </WebMessage> </WebMessageTable> </WebMessageTables>