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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
リリース12.2.1.1
E77230-01
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7 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備

ローカルおよび共有記憶域の要件、およびエンタープライズ・トポロジのインストール時および構成時における重要なディレクトリとファイルの場所の参照に使用される用語の理解が含まれます。

この章では、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメント用にファイル・システムを準備する方法について説明します。

7.1 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備の概要

この項では、エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムを準備するプロセスの概要について説明します。

記憶域は、エンタープライズ・デプロイメントがわかりやすくなり、構成および管理が容易になるように設定することが重要です。この章の情報に従って記憶域を設定することをお薦めします。この章で定義されている用語は、このガイド内のダイアグラムおよび手順で使用されます。

この章を参照情報として使用すると、インストールおよび構成手順で使用されているディレクトリ変数について理解できます。

その他のディレクトリ・レイアウトも可能であり、サポートされていますが、このガイドで採用するモデルは、可用性を最大化するために設計されており、コンポーネントの最良の独立性と構成の対称性の両方を実現し、バックアップおよび障害時リカバリを容易にします。ドキュメントの残りの部分では、このディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。

7.2 エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項

この項では、エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項に対する参照を提供します。

この章で詳述する推奨事項を実行する前に、『高可用性ガイド』で共有記憶域の使用に関する推奨事項と一般情報を確認してください。

この章の推奨事項は、『高可用性ガイド』に記載されている概念とガイドラインに基づいています。

表7-1に、確認しておく必要がある項の一覧と、それらの概念がエンタープライズ・デプロイメントにどのように適用されるかを示します。

表7-1 『高可用性ガイド』の共有記憶域に関するリソース

『高可用性ガイド』の項 エンタープライズ・デプロイメントにおける意義

共有記憶域に関する前提条件

共有記憶域向けに最適化された、ディスク形式のガイドラインとハードウェア・デバイス要件について説明します。

バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリ用の共有記憶域の使用

複数のホストから使用可能な共有記憶域デバイスにOracleホームを格納する際のオプションについて説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントの用途では、別々のストレージ・ボリューム上に格納した冗長Oracleホームを使用することをお薦めします。

別のボリュームがない場合は、共有ディスク上の別のパーティションを使用して、アプリケーション層のホストに冗長Oracleホームを用意してください。

ドメイン構成ファイル用の共有記憶域の使用

ドメイン内の管理サーバーと管理対象サーバーに別々のドメイン・ホームを作成する概念について説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントでは、管理サーバーのドメイン・ホームの場所をASERVER_HOME変数で表します。

JMSストアおよびJTAログ用の共有記憶域の要件

エンタープライズ・デプロイメント用のトランザクション・ログとJMSストアの場所を設定する手順について説明しています。

注意:

Oracle Business Intelligenceには、特定のBusiness Intelligenceメタデータの場所を設定するための共有記憶域の追加要件があります。詳細は、「シングルトン・データ・ディレクトリ(SDD)の構成」を参照してください。

7.3 エンタープライズ・デプロイメント用の推奨ディレクトリ構造の理解

この項のダイアグラムは、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントで推奨されるディレクトリ構造を示しています。

ダイアグラムに示す各ディレクトリには、Oracle Fusion Middlewareインストーラによってディスク上にインストールされるバイナリ・ファイル、ドメイン構成プロセスを通じて生成されるドメインごとのファイルの他に、Oracle WebLogic Serverのpackコマンドとunpackコマンドによって様々なホスト・コンピュータに伝播されるドメイン構成ファイルが格納されます。

  • 図7-1は、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で共有記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。共有記憶域のディレクトリは、アプリケーション層のホスト・コンピュータからアクセス可能です。

  • 図7-2は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なアプリケーション層のホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。特に、管理対象サーバーはアプリケーション層のホスト・コンピュータ用のローカル記憶域デバイスに格納されます。

  • 図7-3は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なWeb層のホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。ソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム内)は、Web層のホストごとのローカル記憶域デバイスにインストールされます。

該当する場合、ダイアグラムには、このガイドのインストールおよび構成手順でディレクトリ場所を表すために使用する標準変数も記載されています。

図7-1 エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造

 エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造

*詳細は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

図7-2 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

*詳細は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

図7-3 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

7.4 このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数

この項では、このガイド全体で使用されているファイル・システムおよびディレクトリ変数をリストして説明します。

表7-2は、ファイル・システムのディレクトリとアプリケーション層でのそれらのディレクトリの参照に使用されるディレクトリ変数を示しています。表7-3は、ファイル・システムのディレクトリとWeb層でのそれらのディレクトリの参照に使用される変数を示しています。

共有記憶域を使用している場合のこれらのディレクトリのマウントの詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント用のディレクトリの作成およびマウント」を参照してください。

このガイド全体を通して、トポロジのインストールおよび構成に関する手順では、ここに示す変数を使用してディレクトリの場所を参照します。

この項にリストされている各ディレクトリに対してオペレーティング・システム変数を定義することもできます。システム変数をご使用のUNIXシェルで定義しておけば、このドキュメントの記載どおりに変数を使用できるので、変数を実環境における実際の値と対応付ける必要がなくなります。

注意:

ストレージ・デバイスを構成して推奨ディレクトリ構造を作成したら、実際のディレクトリ・パスをエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用を参照してください。

表7-2 アプリケーション層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 アプリケーション層のサンプル値

ORACLE_BASE

Oracle製品のインストール先であるベース・ディレクトリ。
/u01/oracle

ORACLE_HOME

製品バイナリ用の読取り専用場所。アプリケーション層のホスト・コンピュータの場合は、共有ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストール時に作成されます。

その後、その他のOracle Fusion Middleware製品を同じOracleホームにインストールできます。

/u01/oracle/products/fmw

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle Fusion MiddlewareのOracleホーム内のディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmw/oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmw/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmw/prod_dir
製品は、エンタープライズ・デプロイメントに応じてsoawccbiまたはその他の値にすることができます。

EM_DIR

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlソフトウェア・バイナリの格納に使用される製品ディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmw/em

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

/u01/oracle/products/jdk

SHARED_CONFIG_DIR

ドメイン構成、キーストア、ランタイム・アーティファクト、アプリケーション・デプロイメントなど、共有環境構成ファイルのための共有親ディレクトリ
/u01/oracle/config

ASERVER_HOME

管理サーバーのドメイン・ホーム。共有ディスクにインストールされます。

/u01/oracle/config/domains/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名で置き換えます。

MSERVER_HOME

管理対象サーバーのドメイン・ホーム。unpackコマンドによってアプリケーション層のホストごとのローカル・ディスクに作成されます。

/u02/oracle/config/domains/domain_name

APPLICATION_HOME

アプリケーションのホーム・ディレクトリ。アプリケーション層のすべてのホスト・コンピュータからアクセスできるように、共有ディスクにインストールされます。

/u01/oracle/config/applications
      /domain_name

ORACLE_RUNTIME

このディレクトリには、JMSログやTLogなどのOracleランタイム・アーティファクトが含まれます。

通常、このディレクトリは、ドメイン内のすべてのホストからアクセス可能な共有ファイル・システムとして個別にマウントします。

構成ウィザードを実行したり、構成後タスクを実行して、JMSストアまたはtlog永続ストアの場所を特定する場合は、このディレクトリをドメイン名、クラスタ名およびディレクトリの目的で修飾して使用できます。

次に例を示します。

ORACLE_RUNTIME/cluster_name/jms
/u01/oracle/runtime/

NM_HOME

マシン別ノード・マネージャの起動スクリプトおよび構成ファイルによって使用されるディレクトリ。

注意:

このディレクトリは、マシン別ノード・マネージャ構成を使用している場合にのみ必要となります。

詳細は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください。

/u02/oracle/config/node_manager

DEPLOY_PLAN_HOME

デプロイメント・プランのディレクトリ。アプリケーション・デプロイメント・プラン用のデフォルトの場所として使用されます。

注意:

このディレクトリは、カスタム・アプリケーションをアプリケーション層にデプロイしている場合にのみ必要となります。

/u01/oracle/config/dp

KEYSTORE_HOME

カスタム証明書およびキーストアの共有場所。

/u01/oracle/config/keystores

表7-3 Web層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 Web層のサンプル値

OHS_ORACLE_HOME

Oracle HTTP Server製品バイナリ用の読取り専用場所。Web層のホスト・コンピュータの場合、このディレクトリはローカル・ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle HTTP Serverソフトウェアのインストール時に作成されます。

/u02/oracle/products/fmw

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle HTTP ServerのOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw
    /oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmw/ohs

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

/u02/oracle/products/jdk

OHS_DOMAIN_HOME

Web層の各ホストのローカル・ディスク上にOracle HTTP Serverをインストールする際に作成される、スタンドアロンOracle HTTP Serverドメインのドメイン・ホーム。

/u02/oracle/config/domains/domain_name

OHS_CONFIG_DIR

各Webホスト上にある、編集を行ったOracle HTTP Server構成ファイル(httpd.confmoduleconf/*.confなど)の場所。

このディレクトリは、OHSステージング・ディレクトリと呼ばれることもあります。ここで行った変更は、後でOHSランタイム・ディレクトリに伝播されます。

詳細は、Oracle HTTP Server管理者ガイドのステージング・ディレクトリおよびランタイム構成ディレクトリに関する項を参照してください。

/u02/oracle/config/domains
    /domain_name/config/fmwconfig
    /components/OHS
    /instance_name

7.5 エンタープライズ・デプロイメント用のディレクトリの作成およびマウントについて

この項では、エンタープライズ・デプロイメントで最上位ディレクトリを作成またはマウントする場合に従う必要のあるベスト・プラクティスを示します。

最上位ディレクトリを作成およびマウントするときには、次のベスト・プラクティスに注意してください。

  • アプリケーション層については、BIHOST2にマウントされる別の共有記憶域ボリュームまたは別のパーティションにOracleホーム(ソフトウェア・バイナリの格納先)をインストールします。BIHOST2上のバイナリへのディレクトリ・パスが、BIHOST1上のディレクトリ・パスと同一であることを確認してください。

    次に例を示します。

    /u01/oracle/products/fmw/
    

    詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」を参照してください。

  • このエンタープライズ・デプロイメント・ガイドでは、Oracle Web Tierソフトウェアがローカル・ディスクにインストールされることを想定しています。

    Web層のインストールは通常、WEBHOSTノードのローカル記憶域で実行されます。共有記憶域を使用している場合、共有ディスクでOracle Web Tierバイナリのインストール(およびOracle HTTP Serverインスタンスの作成)を行うことができます。ただし、これを行う場合、共有ディスクをアプリケーション層に使用する共有ディスクとは別にする必要があり、層を横断する記憶域デバイスへのアクセスに適切なセキュリティ制限を適用することを検討する必要があります。

    アプリケーション層サーバー(BIHOST1およびBIHOST2)の場合と同様に、両方のコンピュータで同じディレクトリ・パスを使用します。

    次に例を示します。

    /u02/oracle/products/fmw/

7.6 エンタープライズ・デプロイメントにおける共有記憶域ボリュームのサマリー

この項では、エンタープライズ・デプロイメントに必要とされる共有記憶域ボリュームのサマリーを提供します。

次の表は、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントにおける共有ボリュームおよびその目的をまとめたものです。

詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項」を参照してください。

共有記憶域のボリューム マウント先ホスト マウント・ディレクトリ 説明および用途

NFSボリューム1

BIHOST1

/u01/oracle/products/

BIHOST1で使用される製品バイナリ用のローカル記憶域であり、この記憶域にはOracleホーム・ディレクトリと製品ディレクトリがインストールされます。

NFSボリューム2

BIHOST2

/u01/oracle/products/

BIHOST2で使用される製品バイナリ用のローカル記憶域であり、この記憶域にはOracleホーム・ディレクトリと製品ディレクトリがインストールされます。

NFSボリューム3

BIHOST1 BIHOST2

/u01/oracle/config/

すべてのホストにマウントされる管理サーバーのドメイン構成であり、最初はBIHOST1で使用されますが、任意のホストにフェイルオーバーできます。

NFSボリューム4

BIHOST1 BIHOST2

/u01/oracle/runtime/

すべてのホストにマウントされるランタイム・アーティファクト・ディレクトリであり、必要なJMSログ、ブログ、すべてのクラスタ依存共有ファイルなどのランタイム・アーティファクトが含まれます。

NFSボリューム5

BIHOST1

/u02/oracle/config/

プライベート管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、BIHOST1で使用される管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用のローカル記憶域。

NFSボリューム6

BIHOST2

/u02/oracle/config/

プライベート管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、BIHOST2で使用される管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用のローカル記憶域。

NFSボリューム7

WEBHOST1

/u02/oracle/

プライベート管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、Oracle HTTP Serverソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム)およびWEBHOST1で使用されるドメイン構成ファイル用のローカル記憶域。

NFSボリューム8

WEBHOST2

/u02/oracle/

プライベート管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリが共有記憶域に配置されている場合の、Oracle HTTP Serverソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム)およびWEBHOST2で使用されるドメイン構成ファイル用のローカル記憶域。