表7-4のコマンドを使用して、選択的トレースを構成および使用します。選択的トレースにより、指定されたユーザーまたはリクエストの他のプロパティに対するきめ細かいロギングを実行することができます。WLST列で使用する場合は、オンラインとは、コマンドが実行中のサーバーに接続されている場合のみに使用されることを意味します。
表7-4 トレース・コマンド
使用するコマンド | 用途 | 使用するWLST |
---|---|---|
トレース・プロバイダを構成します。 |
オンライン |
|
選択的トレースについて1つ以上のログ出力を構成します。 |
オンライン |
|
アクティブなトレースをリストします。 |
オンライン |
|
トレース・プロバイダをリストします。 |
||
選択的トレースをサポートするログ出力をリストします。 |
オンライン |
|
選択的トレース・セッションを開始します。 |
オンライン |
|
1つ以上の選択的トレース・セッションを停止します。 |
オンライン |
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
トレース・プロバイダを構成します。現在は、プロバイダの有効化または無効化のオプションのみを使用できます。
構文
configureTraceProvider([target,] name, action)
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ターゲットは、JRFが有効化されたドメイン内の実行中のすべてのサーバーです。 |
name |
必須。トレース・プロバイダ名。 |
action |
プロバイダのトレースを有効または無効にします。有効な値は、 |
例
次の例では、ドメイン内の実行中のすべてのサーバーでDMSトレースを無効化します。
configureTraceProvider(name='DMS', action='disable')
次の例では、サーバーwls_server1でDMSトレース・プロバイダを有効化します。
configureTraceProvider(target='wls_server1', name='DMS', action='enable')
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
選択的トレースに対する1つ以上のロガーを構成します。このコマンドはまた、選択的トレースに対するロガーを有効または無効にします。
構文
configureTracingLoggers([target] [, pattern,] action)
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ドメイン内の、JRFが有効なすべての実行中のサーバー・インスタンス上のロガーがトレースに対して構成されます。 |
pattern |
オプション。ロガー名のフィルタ処理に使用される正規表現パターン。デフォルト値は、すべてのトレース・ロガー名に一致します。 |
action |
必須。すべてのログ出力のトレースを有効または無効にします。有効な値は、 |
例
次の例では、oracle.security
で始まるすべてのロガーについて選択的トレースを構成します。
configureTracingLoggers(pattern='oracle.security.*', action="enable")
Configured 80 loggers
次の例では、すべてのロガーについて選択的トレースを無効にします。
configureTracingLoggers(action="disable")
Configured 969 loggers
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
アクティブなトレースを一覧表示します。
構文
listActiveTraces([target])
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ドメイン内の、JRFが有効なすべての実行中のサーバー・インスタンス上のロガーが一覧表示されます。 |
例
次の例では、アクティブなトレースを一覧表示します。
listActiveTraces()
-------------------------------------+----------+-----------+------+-------------------+--- Trace ID |Attr. Name|Attr. Value| Level| Start Time |Exp. Time -------------------------------------+----------+-----------+------+-------------------+--- bf13025b-b8f8-480d-8d92-14200a669b3e |USER_ID |user1 | FINE | 5/28/13 12:28 PM | a04b47f7-2830-4d80-92ee-ba160cdacf6b |USER_ID |user2 | FINE | 5/28/13 12:30 PM |
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
使用可能なトレース・プロバイダの名前、ステータス、説明およびサポートされるパラメータをリストします。プロバイダのステータスは、プロバイダがすべてのターゲット上で有効化されるenabled
、プロバイダがすべてのターゲット上で無効化されるdisabled
またはプロバイダが一部のターゲット上で有効化されるmixed
のいずれかになります。
構文
listTraceProviders([target,] [name])
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、JRFが有効化されたドメイン内の実行中のすべてのサーバー・インスタンス上のプロバイダがリストされます。 |
name |
オプション。トレース・プロバイダ名。このパラメータを指定した場合、このプロバイダのみがリストされます。 |
例
次の例では、ドメイン内の実行中のすべてのサーバーのトレース・プロバイダをすべてリストします。
listTraceProviders()
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンラインまたはオフライン
説明
選択的トレースをサポートするログ出力をリストします。このコマンドでは、ログ出力名およびそのトレース・ステータスの表が表示されます。ステータスenabled
は、すべてのサーバー上のトレースでロガーが有効であることを意味します。ステータスdisabled
は、すべてのサーバー上のトレースでロガーが無効であることを意味します。ステータスmixed
は、一部のサーバー上のトレースではロガーが有効であり、他のサーバー上のトレースではロガーが無効であることを意味します。
構文
listTracingLoggers([target] [, pattern])
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ドメイン内の、JRFが有効なすべての実行中のサーバー・インスタンス上のロガーが一覧表示されます。 |
pattern |
オプション。ロガー名のフィルタ処理に使用される正規表現パターン。デフォルト値は、すべてのトレース・ロガー名に一致します。 |
例
次の例では、oracle.security
で始まるすべてのトレース・ロガーを一覧表示します。
listTracingLoggers(pattern="oracle.security.*")
------------------------------------------------------------------+--------
Logger | Status
------------------------------------------------------------------+--------
oracle.security | enabled
oracle.security.audit.logger | enabled
oracle.security.audit.config | enabled
.
.
.
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
指定されたユーザーまたはDMSコンテキスト属性に対する新しい選択的トレース・セッションを、指定されたトレース・レベルで開始します。
構文
startTracing([target,] [ traceId,] [attrName, attrValue,] [user,] level [, desc])
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ドメイン内の、JRFが有効なすべての実行中のサーバー・インスタンス上のロガーがトレースに含まれます。 |
traceId |
オプション。トレース・セッションの識別子。traceIdが指定されない場合、コマンドは一意のtraceIdを生成します。 |
attrName |
user引数が指定されない場合を除いて、オプション。有効な値は、USER _ID、APP、CLIENT_HOST、CLIENT_ADDR、composite_name、WEBSERVICE.name、WEBSERVICE_PORT.nameです。 |
attrValue |
attrNameが指定されている場合は必須。属性の値。 |
user |
ユーザー名。このユーザーに関連付けられているメッセージが戻されます。これは、attrNameおよびAttrValueオプションを指定してUSER_IDを渡すことと同じです。 |
level |
必須。トレース・レベル。このレベルは、有効なJavaまたはODLレベルであることが必要です。『Oracle Fusion Middlewareの管理』の表「ODL、Oracle WebLogic ServerおよびJava間のログ・レベルのマッピング」を参照してください。 |
desc |
オプション。トレース・セッションの説明。 |
例
次の例では、user1に関連付けられているメッセージのトレースを開始し、情報のレベルをFINEに設定します。
startTracing(user="user1",level="FINE")
Started tracing with ID: 885649f7-8efd-4a7a-9898-accbfc0bbba3
コマンド・カテゴリ: トレース
WLSTでの使用: オンライン
説明
1つ以上の選択的トレース・セッションを停止します。
構文
stopTracing([target,] {stopAll] | traceId | attrName, attrValue | user} [, createIncident)
引数 | 説明 |
---|---|
target |
オプション。WebLogic Serverインスタンスの名前、または1つ以上のターゲット名を含む文字列の配列。デフォルトでは、ドメイン内の、JRFが有効なすべての実行中のサーバー・インスタンス上のロガーが操作に含まれます。 |
stopAll |
アクティブなトレースをすべて停止するかどうかを決定するJythonブール値(0または1)。traceId、user、またはattrNameおよびattrValue引数が指定されていない場合は必須。デフォルト値は0 (false)です。 |
traceId |
停止するトレース・セッションの識別子。stopAll、user、またはattrNameおよびattrValue引数が指定されていない場合は必須。 |
attrName |
有効な値は、USER _ID、APP、CLIENT_HOST、CLIENT_ADDR、composite_name、WEBSERVICE.name、WEBSERVICE_PORT.nameです。traceId、user、stopAll引数が指定されていない場合は必須。 |
attrValue |
attrNameが指定されている場合は必須。属性の値。 |
user |
ユーザー名。このユーザーに関連付けられているすべてのトレース・セッションが停止されます。stopAll、traceId、またはattrNameおよびattrValue引数が指定されていない場合は必須。 |
createIncident |
オプション。Jythonブール値(0または1)。trueの場合、停止するトレースごとにインシデントが作成されます。デフォルト値は0 (false)です。 |
例
次の例では、指定されたtraceIdを持つトレース・セッションを停止します。
stopTracing(traceId="a04b47f7-2830-4d80-92ee-ba160cdacf6b")
Stopped 1 traces
次の例では、すべてのトレース・セッションを停止します。
stopTracing(stopAll=1)
Stopped 1 traces