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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの使用
12c (12.2.1.1)
E77295-01
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5 ライブラリの理解

この章では、ドキュメント・ライブラリについて、およびドキュメントの編成と取得に役立てるためのWebCenter Contentユーザー・インタフェースでのドキュメント・ライブラリの使用方法について説明します。

注意:

ネイティブ・ユーザー・インタフェースとWebCenter Contentユーザー・インタフェースでは、ライブラリの使用方法が異なります。ネイティブ・インタフェースでは、「コンテンツの参照」トレイに「ライブラリ・フォルダ」がリストされますが、これは、システム管理者によって組織のカスタムのWebサイトへのリンクとして設定できます。この点が、WebCenter Contentユーザー・インタフェースでのライブラリの使用方法と大きく異なります。WebCenter Contentユーザー・インタフェースは、フォルダ階層の最上位レベルとして動作します。実際、Oracle WebCenter Contentがそのように構成されている場合、WebCenter Contentユーザー・インタフェースでライブラリとして表示されるものは、ネイティブ・インタフェースでは「コンテンツの参照」トレイの「フォルダ」の下に表示されます。この章では、WebCenter Contentユーザー・インタフェースでのライブラリの動作および表示方法を中心に説明します。インタフェース間の違いに関する詳細は、「フォルダの理解」を参照してください。

この章では、次の項目について説明します。

5.1 ドキュメント・ライブラリについて

ライブラリは、Oracle WebCenter Contentのドキュメントに構造と組織を提供します。これはフォルダ・ツリーの最上位レベルに位置するもので、フォルダとドキュメントはすべてここに格納されている必要があります。このことは、WebCenter Contentインタフェースで使用されるライブラリは、ネイティブ・ユーザー・インタフェースで「コンテンツの参照」トレイのフォルダとしてリストされるため、注意が重要です。

ドキュメントがライブラリにアップロードされると、ライブラリによってドキュメントにコンテキストが提供されるため、関連付けるメタデータ・フィールドの特定と、一部の場合では、メタデータに値を自動的に割り当てるのに役立ちます。

ドキュメントは、ファイリングされていないドキュメントとして、Oracle WebCenter Contentのライブラリ・コンテキスト外にアップロードできます。ただし、ドキュメントをライブラリにまとめると、ドキュメントのセキュリティが確保され、ドキュメントを共有したり、自分や他のユーザーが簡単にドキュメントを見つけられるようになります。含まれているフォルダに加え、ライブラリには、フォルダおよびその他のライブラリ、フォルダおよびドキュメントへのショートカットを含むこともできます。これにより、セキュアで高速かつ慣れ親しんだ方法でOracle WebCenter Contentをナビゲートできます。

ライブラリには、次の2つのタイプがあります。

  • エンタープライズ・ライブラリ: 組織全体で使用される柔軟なセキュリティと包括的なドキュメント管理を提供するためにユーザーが作成します。

  • システム・ライブラリ: チェックアウト済のドキュメントや期限切れのドキュメントなど、システム・プロセス内にあるドキュメントを整理するためにOracle WebCenter Contentによって作成および管理されます。ドキュメントをシステム・ライブラリにアップロードすることはできません。

ライブラリの所有権

ライブラリは作成者が所有します。エンタープライズ・ライブラリの所有者は所有権を譲渡できますが、システム・ライブラリはOracle WebCenter Contentによって作成されるため、そのプロパティを編集することはできません。

5.2 エンタープライズ・ライブラリの理解

エンタープライズ・ライブラリは、組織内の多数の人がアクセスするコンテンツを保護、管理、および共有するための堅牢性の高い手段です。エンタープライズ・ライブラリでは、ドキュメント・レベルでのアクセス設定、編集中のドキュメントのロック、ドキュメントの広範囲なリビジョン履歴の維持が可能です。エンタープライズ・ライブラリおよび、エンタープライズ・ライブラリ内にフォルダまたはショートカットを必要な数作成して共有できます。

5.2.1 エンタープライズ・ライブラリを使用する利点は何ですか。

エンタープライズ・ライブラリでは、多数のユーザーが参照およびアクセスする必要のあるドキュメントを格納するためのセキュアな領域がOracle WebCenter Content内に提供されています。たとえば、プロジェクト・チーム用のエンタープライズ・ライブラリを作成して、共有ドキュメント用のワークスペースとして使用できます。また、人事部では、全従業員が使用するフォームを格納するための場所としてエンタープライズ・ライブラリを使用できます。どちらの場合も、多くのユーザーがドキュメントにアクセスでき、すべての変更はドキュメントのチェックインおよびチェックアウトで管理でき、同時にリビジョン履歴を追跡できます。

ドキュメントをエンタープライズ・ライブラリにアップロードすることには、次のような利点があります。

  • 別の方法を選択しないかぎり、多くのユーザーが使用できます。エンタープライズ・ライブラリでは、ライブラリ、フォルダおよびドキュメントのすべてのレベルでアクセスを制御するための機能が提供されます。エンタープライズ・ライブラリによってのみ、同じライブラリ内の異なるフォルダやドキュメントに別々のアクセス権を定義できます。

  • プロファイルを介したすべてのメタデータ・オプションの選択および必要なすべてのメタデータ・フィールドに対する値の入力および変更機能。

  • チェックアウトによるドキュメントに対する変更を制御する機能。ドキュメントをチェックアウトすることで、ユーザーの変更中はそのドキュメントがロックされるため、他の人によって変更内容が誤って上書きされることがありません。

  • モバイル機器からのドキュメントへのアクセス機能。Oracle WebCenter Contentモバイル・アプリケーションを使用して、AppleやAndroid機器からエンタープライズ・ライブラリに簡単にアクセスできます。

  • エンタープライズ・ライブラリおよびフォルダの他のユーザーとの共有機能。共有エンタープライズ・ライブラリまたはフォルダ内のドキュメントで、他のユーザーと連携できます。

5.2.2 エンタープライズ・ライブラリおよびフォルダのためのセキュリティをどのように設定するのですか。

セキュリティ権限をエンタープライズ・ライブラリまたはフォルダに設定する場合、そのエンタープライズ・ライブラリまたはフォルダに含まれるドキュメントに対するアクセスを、そのライブラリまたはフォルダのアクセス権限に基づいて許可するか、含まれるドキュメントに対して別のアクセス権を明示的に定義することができます。

エンタープライズ・ライブラリ内の個々のドキュメントに対するアクセスを許可できます。これは様々な方法で実行できます。

  • ドキュメントのアップロード時またはドキュメントのアップロードや改訂後にドキュメント・プロパティを変更することで、各ドキュメントに対してアクセス権を明示的に定義することによって。ドキュメントのアップロードの詳細は、「ドキュメントのアップロードおよびチェックイン」を参照してください。

  • フォルダを作成して必要なアクセス権限をフォルダ・レベルで定義した後に、ドキュメントを新しいフォルダに移動して、フォルダ・アクセスを含まれているドキュメントに伝播することによって。メタデータの伝播の詳細は、「ライブラリ・メタデータの伝播」を参照してください。

5.2.3 どのようにアップロード競合を解決し、リビジョン履歴を追跡するのですか。

エンタープライズ・ライブラリまたはフォルダの1つのドキュメントを2人のユーザーが変更して、そのドキュメントのアップロードを試みる場合、変更内容が競合する可能性があります。この場合、先にチェックインされたリビジョンが後にチェックインされたもので上書きされることになります。ただし、Oracle WebCenter Contentは、リビジョン履歴を維持します。これによって、それぞれのドキュメントのリビジョンを手動で比較し、変更のマージが可能です。

5.2.4 エンタープライズおよびフォルダを使用してどのようにドキュメント・アクセスを管理するのですか。

エンタープライズ・ライブラリ内のドキュメントへのアクセスはドキュメント・レベルで管理できますが、最初は、ライブラリ・レベルまたはフォルダ・レベルでアクセスが制御されます。ライブラリまたはフォルダのコンテキストにアップロードされたすべてのドキュメントでは、アクセス制御リストが定義されている場合を除いて、そのライブラリまたはフォルダの権限がデフォルトで使用されます。

たとえば、次の場合を検討します。

  • すべての法律に関するドキュメントがLegalというタイトルのライブラリに格納されている。

  • 係争中の訴訟に関するすべてのドキュメントがLegalライブラリのLitigationフォルダのサブフォルダに格納されている。

  • すべての技術ドキュメントがEngineeringというライブラリに格納されている。

  • すべての技術ドキュメントがEngineeringライブラリのSpecificationsフォルダのサブフォルダに格納されている。

図5-1 Legalライブラリの階層

フォルダ階層

Legalライブラリにアクセス権を持つ多数の弁護士がいますが、ごく少数の弁護士のみに技術仕様を確認する資格があります。すべての弁護士に対するセキュリティ・グループは、作成時にLegalライブラリに割り当てられています。Legalライブラリおよびそのサブフォルダにアップロードされたすべてのドキュメントは、アクセス制御リスト(他のセキュリティを制御可能)によって制御されていないかぎり、すべての弁護士がアクセスできます。たとえば、技術SpecificationsフォルダへのショートカットをLegalライブラリに作成し、アクセス制御リストを使用して、仕様を確認する資格を持つ少数の弁護士のみにSpecificationsフォルダに対するアクセスを許可するセキュリティを設定できます。

次に、法律上のプレゼンテーションおよび係争中の訴訟のドキュメントに含まれている技術データを技術者も確認する必要があることについて検討します。アクセスが必要な技術者はドキュメントに応じて異なりますが、確認が必要なドキュメント以外の法律関係のドキュメントにアクセスが必要な技術者はいません。Legalライブラリにあるドキュメントのテクニカル・レビューの準備ができたら、ドキュメント・プロパティを変更でき、そのドキュメントに定義されているアクセス制御リストで特定の技術者に読取り権限を与えます。

表5-1 エンタープライズ・ライブラリの構造の例

フォルダ名 セキュリティ・グループ アクセス制御リスト ユーザー

Legal

legal (R、W、D)

tjimenez (弁護士)

Contracts

tjimenez (弁護士)

Litigation

tjimenez (弁護士)

Case X

tjimenez (弁護士)

Document X

R

tjimenez (弁護士)、jmarshall (技術者)

Engineering

technical (R、W、D)

jmarshall (技術者)

Specifications

jmarshal (技術者)

Product Y

R

tmano (弁護士)

Document Y

tmano (弁護士)

Product Z

R

tjimenez (弁護士)

Document Z

tjimenez (弁護士)

この場合、表5-1は、アクセス制御リストは、法律関係のドキュメントに技術的なアクセス権を与えるためにドキュメント・レベルに設定されていますが、技術仕様書に対して弁護士にアクセス権を与える場合はフォルダ・レベルに設定されていることを示しています。この例では、1人の技術者が1つのドキュメントのみを確認しますが、それぞれの弁護士は特定の製品のすべての仕様を確認します。

5.3 ショートカット、お気に入り、フォローの理解

ライブラリ、フォルダおよびドキュメントは、複数の方法で簡単にアクセスおよびフォローできます。任意のアイテムをお気に入りとして設定すると、サイド・バーの「お気に入り」をクリックすることですばやくアクセスできるように、「お気に入り」リストに追加されます。ライブラリ、フォルダまたはドキュメントへのショートカットを作成して、簡単にアクセスできるように使いやすい場所に置くことができます。また、アイテムをフォローして、変更されたら電子メールで通知されるようにもできます。