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Oracle® Fusion Middleware WebLogic Server Multitenantの使用
12c (12.2.1.1.0)
E77392-02
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18 ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行

この章では、WebLogic Serverドメインをドメイン・パーティションに移行する方法について説明します。Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)で、既存のアプリケーションおよびリソースを非マルチテナント・ドメインからマルチテナント・ドメイン・パーティションに移行できます。

この章の内容は次のとおりです。

ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 概要

WebLogic Server Multitenant (MT)では、1つのWebLogic Serverドメイン内において複数の独立したパーティションがサポートされます。パーティションによってアプリケーション、リソース、セキュリティなどを同じドメイン内の他のパーティションから分離できます。WebLogic Server MTの構成の詳細は、「Oracle WebLogic Server Multitenantの構成」を参照してください。

Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)で、既存のWebLogic Server リリース10.3.6、12.1.2または12.1.3ドメインをWebLogic Server 12.2.1ドメインのパーティションに移行できます。これは、エクスポート・ツールとインポート・ツールの2つのツールで構成されています。エクスポート・ツールはソース・ドメインをホストするWebLogic Serverインストールで使用され、インポート・ツールはターゲットWebLogic Server 12.2.1インストールで使用されます。

D-PCTを使用して、パーティション、リソース・グループおよびリソース・グループ・テンプレートを作成および構成できます。デフォルトでは、D-PCTですべてのアプリケーション、ライブラリおよびリソースが新規パーティションに移動されます。オプションで、個々のアプリケーション、ライブラリおよびリソースを選択するメカニズムも提供されます。

注意:

ドメインのクラスタおよびサーバーの構成はパーティションに適用されません。したがって、新規12.2.1パーティションにマップされません。

Domain to Partition Conversion Toolの新機能

Domain to Partition Conversion Toolの12.2.1.1.0では、新機能が導入されています。大きな変更内容を次に示します。

  • D-PCTで、リソースおよびアプリケーションのターゲットとして複数の仮想ターゲットを指定することがサポートされるようになりました。

    以前のリリースでは、D-PCTを使用して、ソース・ドメイン内のすべてのリソースのターゲットとして、1つのみの仮想ターゲットを指定できました。12.2.1.1.0以降、このツールでは、複数の仮想ターゲットを使用し、各仮想ターゲットを単一のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタに関連付けることで、リソースおよびアプリケーションのターゲットとして、複数のWebLogic Serverおよびクラスタを指定できるようになりました。ソース・ドメイン内で、その特定のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタをターゲットとするすべてのアプリケーション・デプロイメントおよびリソースは、ターゲット・ドメイン内のリソース・グループに対応します。

    このことを実現するために、12.2.1.1.0では、D-PCTによって生成されるJSONファイルの構造が変更されています。したがって、D-PCTの初期リリースから生成されたアーカイブを12.2.1.1.0ドメインにインポートすることはできません。インポート操作中にエラーが報告されます。既存のドメイン・アーカイブについては、D-PCT 12.2.1.1.0ツールを使用して新しいドメイン・アーカイブを再生成して、アーカイブを12.2.1.1.0ドメインにインポートできるようにする必要があります。

  • クラスタおよび移行可能ターゲットをターゲットとするJMSリソースに対するD-PCTのサポートが拡張されました。詳細は、「JMSリソースを含むドメインのインポートの考慮事項と制限事項」を参照してください。

  • D-PCT 12.2.1.1.0によって生成されるJSONファイルでは、JDBCシステム・リソース、SAFエージェント、メール・セッションおよびJDBCストアを公開することで、ユーザーがより柔軟に操作できるようになっています。これらのリソースは、それぞれ、JSONオブジェクトjdbc-system-resourcesaf-agentmail-sessionおよびjdbc-storeとして使用できます。

ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 前提条件

D-PCTを構成する前に、次の前提条件を満たす必要があります。

  • ターゲット・ドメインはWebLogic Server 12.2.1インストールで構成されている必要があります。

  • JDK 8をダウンロードし、ソース・ドメインのホスト・マシンにインストールする必要があります。これは、WebLogic Server 10.3.6でエクスポート・ツールを実行するために必要です。

  • ターゲットWebLogic Server 12.2.1ドメインが稼働している必要があります。

  • ドメインからパーティションに直接変換し、JavaScript Object Notation (JSON)ファイルに基づいた仮想ターゲットの作成がインポート・ツールで正しく行えるようにするには、ターゲット・ドメインとソース・ドメインのクラスタ名とサーバー名が同一であることが重要です。

    デフォルトでは、インポート・ツールはJSONファイルで指定されている名前およびターゲットを使用して仮想ターゲットを作成します。ただし、インポート操作の前に仮想ターゲットを手動で構成することをお薦めします。インポート・ツールを使用する前に仮想ターゲットを事前構成する場合、必ずJSONファイルのpartition属性を変更し、このパーティションで使用するターゲット・ドメインに作成した既存の仮想ターゲットの名前を指定する必要があります。

  • インポート・ツールを使用して新規パーティションを作成する前に、新規ドメインのサーバー、クラスタ、仮想ターゲットおよびセキュリティ・レルムをソース・ドメインと同じ構成にしていることを確認する必要があります。パーティションのインポートの詳細は、「パーティションのエクスポートおよびインポート」を参照してください。

ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 主な手順

Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)の構成の主な手順は次のとおりです。

WebLogic Serverドメイン・アプリケーション環境のエクスポートの準備

次のタスクを実行して、WebLogic Serverドメイン・アプリケーション環境のエクスポートを準備します。

  1. D-PCTツールのzipファイルが置かれたディレクトリに移動します。ドメイン・エクスポート・ツールは、WebLogic Server 12.2.1.1.0ディストリビューションの一部としてバンドルされ、製品インストールの一部として含まれています。D-PCTツールのzipファイルは、ホスト・マシンのMW_HOME/wlserver/common/dpct/D-PCT-12.2.1.1.0.zipにあります。
  2. D-PCT-12.2.1.1.0.zipファイルを解凍します。このファイルは、希望のディレクトリに解凍できます。エクスポート・ツール用に別途ディレクトリを作成することをお薦めします。エクスポート・ツールzipディストリビューションをこのディレクトリに解凍し、そこからエクスポート・ツール・スクリプトを実行する必要があります。

    zipディストリビューションは次のファイルで構成されています。

    • README.txt - Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)のインストールおよび実行に関するドキュメントを含むファイル。

    • exportDomainForPartition.sh - ドメイン・パーティションにインポートできるアーカイブにドメイン構成をエクスポートするために、ソースWebLogic Serverドメインで実行されるUNIXスクリプト。

    • export-domain.sh - ドメイン・パーティションにインポートできるアーカイブにドメイン構成をエクスポートするために、ソースWebLogic Serverドメインで実行される代替UNIXスクリプト。

    • exportDomainForPartition.cmd - ドメイン・パーティションにインポートできるアーカイブにドメイン構成をエクスポートするために、ソースWebLogic Serverドメインで実行されるWindowsスクリプト。

    • export-domain.cmd - ドメイン・パーティションにインポートできるアーカイブにドメイン構成をエクスポートするために、ソースWebLogic Serverドメインで実行される代替Windowsスクリプト。

    • com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar - ドメイン・アーカイブ・ファイルへのソース・ドメインのエクスポートに使用されるWLSTスクリプトおよびJavaクラスを含むJARファイル。

      注意:

      com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar内のクラスはJDK 8でビルドされています。したがって、WebLogic Server 10.3.6でエクスポート・ツールを実行する場合、エクスポート・スクリプトはJDK 8との組合せで実行する必要がありますが、これは、WebLogic Server 10.3.6インストールで通常使用されるJDKのバージョンではないことがあります。エクスポート・スクリプトを実行する前に、JAVA_HOME変数を適切に設定していることを確認します。

  3. パーティション・アーカイブ・ファイル内の属性を暗号化するための暗号化鍵として使用する文字列を含む鍵ファイルを作成します。パスは管理サーバーによってアクセス可能である必要があります。鍵の文字列のサイズは、1-32文字です。

WebLogic Serverドメイン・アプリケーション環境のエクスポート

WebLogic Serverドメイン・アプリケーションをエクスポートするには、ソースWebLogic Serverドメイン管理サーバーが存在するホスト・マシンでエクスポート・スクリプトを実行する必要があります。

  • UNIXでこのスクリプトに渡される引数の構文は、次のとおりです。

    exportDomainForPartition.sh ORACLE_HOME DOMAIN_HOME [keyFile] [TOOL_JAR] [app_name] [INCLUDE_APP_BITS={true|false}] [WL_HOME]

    または

    export-domain.sh -oh {ORACLE_HOME} -domainDir {DOMAIN_HOME} [-keyFile {KEYFILE}] [-toolJarFile {TOOL_JAR}] [-appNames {APP_NAMES}] [-includeAppBits {INCLUDE_APP_BITS}] [-wlh {WL_HOME}]
    
  • Windowsでこのスクリプトに渡される引数の構文は、次のとおりです。

    exportDomainForPartition.cmd ORACLE_HOME DOMAIN_HOME [keyFile] [TOOL_JAR] [app_name] [INCLUDE_APP_BITS={true|false}] [WL_HOME]

    または

    export-domain.cmd -oh {ORACLE_HOME} -domainDir {WL_DOMAIN_HOME} [-keyFile {KEYFILE}] [-toolJarFile {TOOL_JAR}] [-appNames {APP_NAMES}] [-includeAppBits {INCLUDE_APP_BITS}]  [-wlhL_HOME}]
    

    Windowsでスクリプトを実行する前に、次のタスクを実行します。

    1. コマンド・シェルを開き、エクスポート・ツール・ディストリビューションを解凍したディレクトリに移動します。

    2. JAVA_HOME環境変数をJDK 8インストールのパスに設定します。次に例を示します。

      C:\> set JAVA_HOME=C:\jdk1.8.0

注意:

エクスポート操作時、ソース・ドメインで構成を変更しないことをお薦めします。

このスクリプトは、次の表に説明されている引数を受け入れます。


引数 説明
ORACLE_HOME

WebLogic ServerがインストールされているOracleホーム・ディレクトリの名前。

この引数は、name=valueのペアとして指定できます。たとえば、ORACLE_HOME=/Oracle/Middleware/Oracle_Homeです。

DOMAIN_HOME

ソースWebLogic Serverドメインのフルパス。

この引数は、name=valueのペアとして指定できます。たとえば、DOMAIN_HOME=/Oracle/Middleware /Oracle_Home/user_projects/domains/medrecです。

keyFile

オプション。パーティション・アーカイブ・ファイル内の属性を暗号化するための暗号化鍵として使用する文字列を含むファイルへのフルパス。管理サーバーには、このパスに対するアクセス権が必要です。デフォルト値はNoneです。

TOOL_JAR

com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jarファイルのパス。JARファイルがexportDomainForPartition.shまたはexport-domain.shスクリプトと同じディレクトリにある場合、この引数はオプションです。

app_name

オプション。エクスポートするアプリケーション名のリスト。アプリケーションのリストは、Windowsでは[myapp1+myapp2]と指定する必要があり、UNIXでは[\'myapp1\',\'myapp2\']と指定する必要があります。指定しない場合、ドメイン内のすべてのアプリケーションがエクスポートされます。

INCLUDE_APP_BITS

オプション。アプリケーション・バイナリ・ファイルがアーカイブ・ファイルに含まれているかどうかを示すフラグ。この値のデフォルトはtrue,で、バイナリ・ファイルが含まれていることを意味します。falseの場合、これらのファイルは含まれていません。

WL_HOME

オプション。WebLogic Serverがインストールされたディレクトリのフルパス。この値は、WebLogic Server 10.3.6がデフォルトの場所(ORACLE_HOME/wlserver_10.3)以外のディレクトリにインストールされている場合にのみ指定する必要があります。この値は、wlst.shおよびwlst.cmdスクリプトの場所を決定するために使用されます。


注意:

exportDomainForPartition.cmdおよびexportDomainForPartition.shスクリプトにオプション引数を指定する場合は、次のオプション引数を渡す前に、必ず、指定しないすべてのオプション引数にNoneを指定します。前のオプション引数にNoneを指定しないで、有効な値を持つオプション引数を渡した場合、指定した値が前の引数に誤って割り当てられる可能性があります。ただし、有効な値を持つ最後のオプション引数の後に出現するオプション引数にはNoneを指定する必要はありません。

WebLogic Serverドメイン・アプリケーションのエクスポート: 例

注意:

Windowsコマンド・シェルでドメインのエクスポート・スクリプトを実行する場合、パス区切りをエスケープする必要があります

例18-1 UNIXでのドメインのエクスポート・スクリプトの実行

次の例では、UNIXでパス/Oracle_Home/user_projects/domains/base_domainからドメインをエクスポートします。引数/usr/myUserKeyFileは暗号化鍵ファイルのパスで、download/com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jarはエクスポート・ツールJARファイルのパスです。

exportDomainForPartition.sh /Oracle_Home /Oracle_Home/user_projects/domains/base_domain /usr/myUserKeyFile  /download/com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar

または

 export-domain.sh -oh /Oracle_Home -domainDir /Oracle_Home/user_projects/domains/base_domain -keyFile /usr/myUserKeyFile

例18-2 Windowsでのドメインのエクスポート・スクリプトの実行

次の例では、WindowsでパスOracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domainからドメインをエクスポートします。引数myKeyfileは暗号化鍵ファイルで、oracle.weblogic.management.tools.migration.jarはエクスポート・ツールJARファイルです。

 exportDomainForPartition.cmd C:\\Oracle_Home C:\\Oracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domain myKeyfile C:\\com.oracle.weblogic.management.tools.migration.jar

または

export-domain.cmd -oh C:\\Oracle_Home -domainDir C:\\Oracle_Home\\user_projects\\domains\\base_domain -keyFile myKeyfile

JSONファイルを使用したインポート時のデフォルトのオーバーライド

WebLogic Serverドメイン・アプリケーションのエクスポート操作時、JSONテキスト・ファイルが生成され、アーカイブ・ファイルおよび編集および変更が可能な別ファイルとして格納されます。このファイルでは、インポート操作時に作成されるパーティションのデフォルト値が指定されます。ただし、JSONファイルを編集してこれらのデフォルト値をオーバーライドできます。たとえば、JSONファイルでデフォルト仮想ターゲット名を指定します。別の名前の仮想ターゲットを作成する場合、JSONファイルを編集してvirtual-targetセクションの値を変更します。

次の例は、エクスポート・ツールによって生成されるサンプルJSONファイルで、JSONファイル・オブジェクトと属性の両方およびそのオーバーライド方法を示しています。

{
    "virtual-target": [{
        "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget",
        "target": "AdminServer",
        "uri-prefix": "/${PARTITION_NAME}"
    }],
    "resource-group": [{
        "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-RG",
        "target": [{
            "virtual-target": {
                "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget"
            }
        }],
        "app-deployment": [{
            "name": "testApp1",
            "exclude-from-import": "false"
        }],
        "file-store": [{
            "name": "WseeSoapjmsFileStore_auto_1",
            "exclude-from-import": "false"
        },
        {
            "name": "WseeSoapjmsFileStore_auto_2",
            "exclude-from-import": "false"
        }],
        "jms-server": [{
            "name": "WseeSoapjmsJmsServer_auto_1",
            "exclude-from-import": "false"
        },
        {
            "name": "WseeSoapjmsJmsServer_auto_2",
            "exclude-from-import": "false"
        }],
        "jms-system-resource": [{
            "name": "testJMSModule",
            "exclude-from-import": "false",
            "sub-deployment": [{
                "name": "testJmsServer",
                "exclude-from-import": "false"
            }]
        },
        {
            "name": "WseeSoapjmsJmsModule",
            "exclude-from-import": "false",
            "sub-deployment": [{
                "name": "WseeSoapjmsJmsServer649564037",
                "exclude-from-import": "false"
            }]
        }],
        "resource-group-template": {
            "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-RGTemplate"
        }
    }],
    "partition": {
        "default-target": [{
            "virtual-target": {
                "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget"
            }
        }],
        "jdbc-system-resource-override": [{
            "name": "MedRecGlobalDataSourceXA",
            "url": "__EXISTING_VALUE__",
            "user": "__EXISTING_VALUE__",
            "password-encrypted": "__EXISTING_VALUE__"
        }],
        "jms-system-resource-override": [{
            "name": "testJMSModule",
            "foreign-server-override": [{
                "name": "ForeignServer1",
                "foreign-destination-override": [{
                    "name": "ForeignDestination1",
                    "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__"
                },
                {
                    "name": "ForeignDestination2",
                    "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__"
                }],
                "foreign-connection-factory-override": [{
                    "name": "ForeignConnectionFactory1",
                    "remote-jndi-name": "__EXISTING_VALUE__",
                    "username": "__EXISTING_VALUE__"
                }]
            }]
        }],
        "realm": "__EXISTING_VALUE__",
        "available-target": [{
            "virtual-target": {
                "name": "${PARTITION_NAME}-AdminServer-virtualTarget"
            }
        }]
    },
    "implementation-version": "12.2.1.1"
}

次の表では、JSONファイルで編集および変更できるオブジェクトと属性について説明します。


JSONファイルの編集可能なオブジェクトと属性 注意

ルート・レベル・オブジェクトvirtual-target

デフォルトでは、インポート・ツールはサンプル・ファイルに示しているように仮想ターゲットを作成します。インポート操作の前に仮想ターゲットを手動で構成することをお薦めします。仮想ターゲットの構成の詳細は、「仮想ターゲットの構成」を参照してください。

インポート操作中に仮想ターゲットの自動作成が行われないようにするには、このオブジェクトと関連する値を必ず削除します。

オブジェクトpartition

このオブジェクトでは、パーティションの作成に必要な要素と値を指定します。

このパーティションの仮想ターゲットを手動ですでに作成している場合、virtual-target値(default-targetおよびavailable-target内)を既存の仮想ターゲットの名前に置き換えます。

オブジェクトresource-group-template

デフォルト・リソース・グループ・テンプレート名をオーバーライドするには、name値を編集します。

オブジェクトresource-group

属性exclude-from-import

この属性で特定のオブジェクトまたはリソースをパーティションへのインポートから除外するかどうかが決まります。パーティションでのJMSおよびJDBCリソース・ターゲット指定の制限事項については、「ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 制限事項と考慮事項」を参照してください。

この値をtrueに設定すると、オブジェクトまたはリソースはパーティションにインポートされません。デフォルト値はfalseです。


ドメイン・パーティションへのアプリケーション・アーカイブ・ファイルのインポート

ドメイン・アプリケーション・アーカイブ・ファイルをインポートする前に、ターゲットWebLogic Server 12.2.1ドメインが稼働していることを確認します。

WebLogic Server 12.2.1ドメインに新規パーティションを作成し、アプリケーション・アーカイブ・ファイルを新たに作成したドメイン・パーティションにインポートするには、オンライン・モードでWLSTコマンドを使用して次の手順を実行します。

  1. 次の例に示すように、ドメイン・アーカイブ・ファイルをインポートするターゲットWebLogic Serverドメインに接続します。
    connect('user', 'mypassword', 't3://myserver:7001')
    
  2. 次の構文を使用してimportPartitionコマンドを実行します。
    importPartition( archiveFileName , partitionName , createRGT=true|false , userKeyFile )
    

    コマンドは非同期であり、MBean ImportExportPartitionTaskMBeanを戻します。このコマンドを次のように使用して、インポート操作の結果を取得できます。

    result = importPartition( .... )
     

    print result.getState()を使用してインポートの結果の状態を取得したり、print result.getError()を使用してインポート操作が失敗した場合のエラー・メッセージを表示できます。このコマンドの詳細は、WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンスを参照してください。

    次の表でimportPartitionコマンドに指定する必要のある引数について説明します。


    引数 説明
    archiveFileName

    インポートするパーティション・アーカイブのフルパス。パスは管理サーバーによってアクセス可能である必要があります。

    このコマンドは、ドメイン・アーカイブと同じディレクトリで、domain name-attributes.jsonファイルも検索します。検出された場合、そのファイルの値はドメイン・アーカイブの値をオーバーライドします。

    partitionName

    オプション。ターゲット・ドメインに作成されるときにパーティションに使用する名前。

    これは、importpartitionコマンドを使用して、D-PCTにより作成されるドメイン・アーカイブをインポートする場合にのみ指定する必要があります。

    createRGT

    オプション。アーカイブ・ファイル内のすべてのリソースに対してリソース・グループ・テンプレートを作成するかどうかを示すフラグ。

    リソース・グループ・テンプレートを作成する場合はtrueに設定し、すべてのリソースを新規パーティションのリソース・グループに直接追加する場合はfalseに設定します。

    userKeyFile

    オプション。エクスポート操作時に指定されたのと同じクリアテキスト・パスフレーズを含むユーザー・キー・ファイルの絶対パス。このファイルは、アーカイブ・ファイル内の属性の復号に使用されます。


例18-3 ドメイン・パーティションへのアプリケーション・アーカイブ・ファイルのインポート: WLSTの例

次のWLSTコマンドでは、outDir/<domain>.zipアーカイブ・ファイルをtestPartitionという名前の新規パーティションにインポートします。リソース・グループ・テンプレートも作成され、/usr/myUserKeyFileが暗号化鍵として使用されます。

wls:/wsDomain/> importPartition( '/outDir/<domain>.zip', 'testPartition',  true,  '/usr/myUserKeyFile' )

レポートを使用したエクスポートおよびインポート操作のモニタリング

D-PCTにより生成されるレポートを使用して、エクスポートおよびインポート操作をモニターおよび分析できます。エクスポートおよびインポート・レポートには、D-PCTを使用してソース・ドメインからターゲット・ドメイン・パーティションにリソースを移行するときに役立つ情報が含まれています。

エクスポート・レポートは、D-PCTインストール・ディレクトリの下にあるドメイン・アーカイブが作成されるディレクトリに、domain name-ExportLogReport.htmlという形式で保存されます。これには、ドメインの場所、ソースWebLogic Serverバージョンなどの情報と、ツールによるエクスポートがサポートされているまたはサポートされていないすべてのリソースのリストが含まれます。エクスポート・レポートを使用して、正常にエクスポートされたサーバーおよびリソースのリストまたはエクスポートに失敗したサーバーおよびリソースのリストを表示できます。ターゲット指定されず、エクスポートされなかったリソースのリスト、またはターゲット(複数のサーバーまたはクラスタ)が指定されたものの、エクスポートされなかったリソースのリストも表示できます。

インポート・レポートは、ドメイン・ディレクトリに、PartitionName_MigrationImportReport.htmlという形式で保存されます。このレポートには、インポート操作中に作成される仮想ターゲットに関する情報とリソース・グループおよびそのターゲット指定情報が含まれます。このレポートを使用して、ドメイン・パーティションに正常にインポートされたリソースのリストを表示できます。また、ユーザーにより除外されたリソース、またはマルチテナント環境に対応していないためにツールによって無視されたリソースのリストも表示されます。

ドメイン・パーティションへのWebLogic Serverドメインの移行: 制限事項と考慮事項

この項では、Domain to Partition Conversion Tool (D-PCT)の制限事項について説明します。次のシナリオは、このツールでサポートされません。

  • ライブラリおよびリソースの新規リリースへのドメイン・アップグレードは、インポート時サポートされません。管理者およびユーザーは、アーカイブ・ファイルのエクスポートの前にソース・ドメインからの必要なドメイン・アップグレードを行う必要があります。

  • アプリケーションのランタイム状態もアプリケーションに固有のランタイム構成もアーカイブ・ファイルにエクスポートされません。たとえば、キュー内のJMSメッセージや組込みLDAPレルム内のユーザーはエクスポートされません。

  • 12.2.1より前のバージョンのWebLogic Serverでコンパイルされたリモート・クライアントは、パーティションにデプロイされているJNDIリソースをルックアップできません。WebLogic Server リリース12.2.1以降で再コンパイルする必要があります。

  • JDBCでは、WebLogic Server Multitenantでのロギング・ラスト・リソース(LLR)機能の使用はサポートされません。このオプションを使用したデータ・ソースは代替設定を使用するよう変換する必要がありますが、この代替設定では十分ではない場合もあります。

JMSリソースを含むドメインのインポートの考慮事項と制限事項

この項では、1つ以上のJMSリソースを含むドメインをエクスポートする前に考慮する必要のある制限事項およびその他の動作を示します。

  • JMSシステム・モジュール内のサブデプロイメントが、1つ以上のクラスタや移行可能ターゲット、またはWebLogic Serverインスタンスをターゲットとし、かつ、共通分散宛先によって参照されている場合は、クラスタまたは移行可能ターゲット、またはWebLogic Serverをターゲットとする、該当するJMSサーバーに、サブデプロイメントのターゲット指定を変更する必要があります。

  • ソース・ドメイン内のデフォルト・ターゲット指定を使用する共通分散宛先およびSAFインポート済宛先は、インポートが成功した後、ターゲット指定されない状態になります。共通分散宛先、SAFインポート済宛先または外部サーバーのターゲットがデフォルトで指定されている場合は、それらを変更して、リソースのターゲットを適切なJMSサーバーまたはSAFエージェントにすることによって、サブデプロイメントのターゲット指定が使用されるようにする必要があります。

  • 単一のJMSサーバーが、スタンドアロン宛先および共通分散宛先などの競合するJMSリソースをホストしていないことを確認してください。エクスポート操作中に、競合するリソースのいずれかをホストしているJMSサーバーがD-PCTによって検出されると、該当するJMSシステム・モジュールがエクスポートから除外されます。これは、これらのリソースそれぞれが、異なる分散ポリシーを持つ永続ストアを参照するJMSサーバーを必要とするためです。詳細は、「JMSサーバーの構成」を参照してください。

  • 重み付けされた分散宛先は非推奨であり、マルチテナント環境のJMSではサポートされません。このため、重み付けされた分散宛先はD-PCTによって無視されます。すべての重み付けされた分散宛先リソースを同等の共通分散宛先リソースに変換することをお薦めします。異なるタイプの分散宛先リソースの構成の詳細は、『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』の分散宛先リソースの構成に関する項を参照してください。

  • ドメイン・レベルでは、JMSリソースのターゲットとして複数のWebLogic Serverまたはクラスタを指定できます。ただし、パーティション環境で、リソース・グループのターゲットとして複数の仮想ターゲットが指定されている場合、JMSリソースはサポートされません。このため、D-PCTでは、ソース・ドメイン内の複数のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタ、または移行可能ターゲットをターゲットとするアプリケーション・デプロイメントおよびその他すべてのリソースが無視されます。

  • JMSでは、パーティション環境の共通分散トピックに対するReplicated転送ポリシーがサポートされません。このため、そのような場合は、D-PCTによって転送ポリシーがPartitionedに変換されます。共通分散トピック・メッセージ転送ポリシーの詳細は、『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』のパーティション化された分散トピックの構成に関する項を参照してください。

  • 複数のJMSサーバーがある場合は、各サーバーのターゲットが、同じクラスタの移行可能ターゲットまたはWebLogic Serverメンバーになり、インポート操作によって、すべてのJMSサーバーが、分散ポリシーがDistributedであるストアを使用して構成された単一のJMSサーバーに統合されます。その他のJMSサーバーは、インポート操作中に無視されます。

  • パーティション環境のJMSで、サブデプロイメントがターゲットとして使用できるJMSサーバーまたはSAFエージェントは1つのみです。ソース・ドメインに、複数のJMSサーバーまたはSAFエージェントをターゲットとするサブデプロイメントがある場合は、それらがアルファベット順にソートされ、最初のJMSサーバーまたはSAFエージェントがサブデプロイメントのターゲットとして選択されます。デフォルトでターゲットが指定されている接続ファクトリはそのまま移行され、JMSシステム・モジュールが作成されているリソース・グループのターゲットで参照されます。

  • パーティション環境では、分散ポリシーがSingletonに設定されている永続ストアを参照するJMSサーバーのみがスタンドアロン宛先をホストできます。分散ポリシーの概念は最近WebLogic Server 12.2.1に導入されたため、D-PCTによってサポートされるソース・ドメインでは分散ポリシーがサポートされません。JMSによるこの制限を回避するために、D-PCTでは、スタンドアロン宛先をホストするJMSサーバーが参照する永続ストアの分散ポリシーを自動的に設定します。

  • ドメイン・レベル構成のJMSでは、複数のメッセージング・ブリッジがソースまたはターゲット宛先として同じブリッジ宛先を使用できます。ただし、JMSによって導入された新しい検証では、メッセージング・ブリッジおよびブリッジ宛先がパーティション環境で構成されている場合、ブリッジ宛先は1つのみのメッセージング・ブリッジによってソースまたはターゲット宛先として使用される必要があります。このことを考慮して、D-PCTではパーティションへの移行中に次のアプローチが適用されます。

    • ソース・ドメインからのブリッジ宛先は、メッセージ・ブリッジがそのブリッジ宛先を参照している場合にのみ、ターゲット・パーティションに作成されます。

    • D-PCTが、メッセージング・ブリッジによってソースまたはターゲット宛先としてすでに使用されているブリッジ宛先を検出すると、そのブリッジ宛先の名前が元のブリッジ宛先の名前_そのブリッジ宛先を参照するメッセージング・ブリッジの名前に内部的に変更されます。

注意:

D-PCTでは、1つ以上のアプリケーション・デプロイメントまたはリソースがこのツールによってサポートされていない場合、ユーザーはこれらをインポートから除外できます。これらのリソースをインポートから除外するには、JSONファイルでexclude-from-import属性をtrueに設定します。除外したリソースは、後で、必要に応じてパーティション内に手動で作成できます。