16 LOBの管理: データベース管理

LOBを含むデータベースを設定、メンテナンスおよび使用するには、様々な管理作業を実行する必要があります。

内容は次のとおりです。

16.1 データをLOBにロードするためのデータベース・ユーティリティ

データベースの設定またはメンテナンス作業の一環としてデータをLOB列にバルク・ロードするには、特定のユーティリティの使用をお薦めします。

データベースのセットアップまたはメンテナンス・タスクの一環としてデータをLOB列にバルク・ロードするには、次のユーティリティの使用をお薦めします。

  • SQL*Loader

  • Oracle Data Pump

    ノート:

    アプリケーション開発者: アプリケーションでLOBにデータをロードするには、LOB APIの使用をお薦めします。「LOB APIの使用」を参照してください。

16.1.1 SQL*Loaderを使用したLOBのロードについて

SQL*Loaderを使用してデータをLOBにロードするには、次の2つの一般的な方法があります

次の方法により、SQL*Loaderを使用してデータをLOBにロードできます。

  • プライマリ・データファイルからのデータのロード

  • LOBファイルを使用したセカンダリ・データファイルからのロード

SQL*Loaderを使用してLOBをロードする場合には、次の考慮事項があります。

  • SQL*Loaderの従来型パスによるロードでは、特定のLOBのロードに失敗しても、そのLOBを含むレコードが拒否されることはありません。ただし、そのレコードには空のLOBが含まれます。

    SQL*Loaderのダイレクト・パス・ロードでは、LOBがになったり、切り捨てられる可能性があります。LOBは、ロード時にピース単位でサーバーに送信されます。LOBピースにエラーがある場合、そのピースは廃棄され、そのLOBの残りはロードされません。エラーのあるLOB全体が最初のピースに含まれる場合、LOB列は空になるか、切り捨てられます。

  • LOBファイルからロードする場合は、LOB型の列に対応するフィールドの最大長を指定します。最大長を指定すると、メモリー使用量の最適化のヒントとして使用されます。最大長の指定では、実際の最大長を過少評価しないしないでください。

  • SQL*Loaderのダイレクト・パス・ロードを使用する場合、LOBのロードに大量のメモリーが使用されます。LOBのロード時に、メッセージ「SQL*Loader-00700: 必須割当て中にメモリー不足が発生しました[number]」(numberには数値が入ります)が表示された場合、内部コードによってロードのコール1回当たりにバッチされる行の数が、オペレーティング・システムおよびプロセス・メモリーのサポートする数を超えている可能性があります。この問題を回避するには、ROWSオプションを使用して、データ・セーブ1回当たりに読み取る行数を少なくします。

  • ダイレクト・パスAPIを使用して、LOBをロードすることもできます。

  • CLOB列またはXMLType列にXMLデータを含む列をロードする場合は、LOBファイルを使用することをお薦めします。ダイレクト・パス・ロード、またはSQL*Loaderを使用した従来型パスによるロードのどちらを使用するかを決定する際に、次のXML文書の検証基準を考慮します。

    • XML文書をロード時に検証する必要がある場合は、従来型パスによるロードを使用してください。

    • XML文書の検証が不要な場合、またはXML文書が妥当であるとみなしても問題がない場合は、ダイレクト・パス・ロードを実行できます。XML検証によるオーバーヘッドを回避できるため、ダイレクト・パス・ロードを使用する方がパフォーマンスが向上します。

    conventional path loadは、SQL INSERT文を実行して、表をOracleデータベースに移入します。

    ダイレクト・パス・ロードは、Oracleデータ・ブロックをフォーマットし、データ・ブロックを直接データベース・ファイルに書き込むことによって、Oracleデータベースのオーバーヘッドの大半を排除します。また、データベース・リソースに対して他のユーザーとの競合が発生しないため、ディスク速度に近い速度でデータをロードできます。ダイレクト・パス・ロード固有の問題(制限、セキュリティ、バックアップなど)は、『Oracle Databaseユーティリティ』で説明しています。

  • データをロードする表はデータベース中に存在している必要があります。SQL*Loaderでは、表は作成されません。データが含まれているか、または空である既存の表にロードされます。

  • ロードには次の権限が必要です。

    • ロードする表についてのINSERT権限。

    • ロードされる表に関するDELETE権限(同じ場所に新規のデータをロードする前に、REPLACEまたはTRUNCATEオプションを使用して以前のデータを空にする場合)。

      関連項目:

16.1.2 SQL*Loaderを使用したBFILE列への移入について

ファイルシステム内のファイルからBFILE列にデータをロードできます。

ファイルシステム内のファイルからBFILE列にデータをロードできます。

BFILEデータ型では、非構造化バイナリ・データはデータベース外のオペレーティング・システム・ファイルに格納されることに注意してください。BFILE列または属性には、データを含むサーバー側外部ファイルを示すロケータが格納されます。

ノート:

BFILEとしてロードされるファイルは、ロード時に実際に存在する必要はありません。

SQL*Loaderでは、必要なディレクトリ・オブジェクトは作成済であるとみなされます。

関連項目:

ディレクトリ・オブジェクトの作成方法は、ディレクトリ・オブジェクトおよびそれに続く各項を参照してください

BFILE列に対応する制御ファイル・フィールドは、列名およびそれに続くBFILEディレクティブで構成されます。

BFILEディレクティブは、DIRECTORYオブジェクト名およびそれに続けてBFILE名を引数としてとります。これらは、文字列定数として指定するか、その他のフィールドを介して動的にソース名を指定できます。

関連項目:

SQL*Loader構文の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

次の2つの例では、BFILEのロードを示します。

ノート:

一部の例は、次のようなデータ構造を設定しないと機能しない場合があります(パスワードの入力を求められます)。

CONNECT system
Enter password:
Connected.
GRANT CREATE ANY DIRECTORY to samp; 
CONNECT samp
Enter password:
Connected.
CREATE OR REPLACE DIRECTORY adgraphic_photo as '/tmp';
CREATE OR REPLACE DIRECTORY adgraphic_dir as '/tmp';

LOBの例の表: PMスキーマのprint_media表に基づく次の例では、ファイル名のみが動的に指定されます。

制御ファイル:

LOAD DATA
INFILE sample9.dat
INTO TABLE Print_media
FIELDS TERMINATED BY ','
(product_id  INTEGER EXTERNAL(6),
 FileName    FILLER CHAR(30),
 ad_graphic  BFILE(CONSTANT "modem_graphic_2268_21001", FileName))

データ・ファイル:

007, modem_2268.jpg,
008, monitor_3060.jpg,
009, keyboard_2056.jpg,

ノート:

product_IDはサイズが指定されていない場合はデフォルトで(255)に設定されます。データファイルのファイル名にマップされます。ADGRAPHIC_PHOTOはすべてのファイルが格納されているディレクトリです。ADGRAPHIC_DIRは事前に作成されたDIRECTORYオブジェクトです。

次の例では、BFILEおよびディレクトリ・オブジェクトが動的に指定されます。

制御ファイル:

LOAD DATA
INFILE sample10.dat
INTO TABLE Print_media
FIELDS TERMINATED BY ','
(
 product_id INTEGER EXTERNAL(6),
 ad_graphic BFILE (DirName, FileName),
 FileName  FILLER CHAR(30),
 DirName   FILLER CHAR(30)
)

データ・ファイル:

007,monitor_3060.jpg,ADGRAPHIC_PHOTO,
008,modem_2268.jpg,ADGRAPHIC_PHOTO,
009,keyboard_2056.jpg,ADGRAPHIC_DIR,

ノート:

DirName FILLER CHAR (30)は、ロードされるファイルに対応するディレクトリ名を含むデータファイル・フィールドにマップされます。

16.1.3 Oracle Data Pumpを使用したLOBデータの転送について

Oracle Data Pumpを使用すると、あるデータベースから別のデータベースにLOBデータを転送できます。

Oracle Data Pumpを使用すると、あるデータベースから別のデータベースにLOBデータを転送できます。

Oracle Database 12c以降、データ・ポンプにはすべてのLOB列をSecureFiles LOBとして作成するオプションがあります。

関連項目:

SecureFiles LOBの概要は、SecureFiles LOB記憶域を参照してください

ただし、Data Pumpで表を再作成する場合は、これらはデフォルトでソース・データベースに存在するため再作成されます。このため、LOB列がソース・データベースでBasicFiles LOBであった場合、データ・ポンプではインポート先のデータベースのBasicFiles LOBとして再作成が試みられます。コマンドラインでTRANSFORMパラメータを使用するか、DBMS_DATAPUMPおよびDBMS_METADATAパッケージでLOB_STORAGEパラメータを使用することで、再作成される表でSecureFiles LOBとしてLOBを作成するよう強制できます。

ノート:

トランスポータブル・インポートでは名前の変換は無効です。

関連項目:

  • SecureFiles LOBで使用する特定の表の構文は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください

  • Oracle Data Pumpの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください

16.2 一時LOB管理

データベースは各セッションの一時LOBを追跡しており、アプリケーションは、どのユーザーが一時LOBを所有しているかをセッションIDから判断できます。

データベースには、v$temporary_lobsと呼ばれるv$ビューが用意されています。データベース管理者は、監視のため、および一時LOBが使用している一時領域の緊急クリーン・アップのガイドとして、このビューを使用できます。

一時LOBデータは、一時表領域に格納されます。データベース管理者は、一時表領域に対するユーザー・アクセスを制御し、様々な一時表領域を作成して、一時LOBデータに使用されるデータ記憶域リソースを制御します。

関連項目:

一時表領域の管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください

16.3 BFILE管理

BFILEを含むデータベースを管理するには、様々な管理作業を実行する必要があります。

内容は次のとおりです。

16.3.1 ディレクトリ・オブジェクトおよびBFILEの使用規則

次の条件が満たされている場合、ディレクトリ・オブジェクトまたはBFILEオブジェクトを作成できます。

ディレクトリ・オブジェクトまたはBFILEオブジェクトを作成する場合、次の条件が満たされている必要があります。

  • オペレーティング・システム・ファイルが、シンボリック・リンクまたはハード・リンクではないこと。

  • Oracleディレクトリ・オブジェクトに指定されているオペレーティング・システム・ディレクトリ・パスが、既存のオペレーティング・システム・ディレクトリ・パスであること。

  • Oracleディレクトリ・オブジェクトに指定されているオペレーティング・システム・ディレクトリ・パスのコンポーネントに、シンボリック・リンクが含まれていないこと。

16.3.2 オープンできるBFILE数の上限の設定

1回のセッションで同時にオープンが可能なBFILEの数には制限があります。

初期化パラメータSESSION_MAX_OPEN_FILESは、1回のセッションで同時にオープンできるファイル数の上限を定義します。

デフォルト値は10です。このデフォルト値を使用して、1回のセッションにつき10個までのファイルを同時にオープンできます。この制限を変更するには、データベース管理者がinit.oraファイルのパラメータ値を変更する必要があります。次に例を示します。

SESSION_MAX_OPEN_FILES=20

クローズされていないファイル数がSESSION_MAX_OPEN_FILES値を超えると、そのセッションでは、それ以上のファイルをオープンできなくなります。すべてのオープンしているファイルをクローズするには、DBMS_LOB.FILECLOSEALLコールを使用します。

16.4 LOB表領域の記憶域の変更

データベース管理者は、LOBのデフォルト記憶域を変更するために特定の技術を使用します。

データベース管理者は、表の作成後に次の方法でLOBのデフォルト記憶域を変更できます。

  • ALTER TABLE... MODIFYの使用: LOB表領域の記憶域を次のように変更できます。

ALTER TABLE test MODIFY 
  LOB (lob1)
    STORAGE  (
    NEXT         4M
    MAXEXTENTS   100
    PCTINCREASE  50
            )

ノート:

既存のLOB列を変更するためのALTER TABLE構文には、LOB...STORE AS句ではなく、MODIFY LOB句を使用します。LOB...STORE AS句は、新しく追加されたLOB列に対してのみ使用されます。

LOB記憶域句には、LOB_storage_clauseおよびmodify_LOB_storage_clauseの2種類があります。ALTER TABLE MODIFY LOB文では、modify_LOB_storage_clauseのみを指定できます。

  • ALTER TABLE... MOVEの使用: LOB表領域の記憶域を変更するためにALTER TABLE文のMOVE句も使用できます。次に例を示します。

ALTER TABLE test MOVE
    TABLESPACE tbs1
    LOB (lob1, lob2)
    STORE AS (
          TABLESPACE tbs2
          DISABLE STORAGE IN ROW);