このリリースでのOracle Grid Infrastructureの変更点

Oracle Grid Infrastructureのこの新しいリリースでは、インストール・プロセス、パフォーマンスおよび自動化が向上しました。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)の変更点

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』には、次の変更点があります。

新機能

Oracle Clusterware 12cリリース2 (12.2)およびOracle Automatic Storage Management 12cリリース2 (12.2)の新機能は次のとおりです。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)の新機能

  • 簡略化されたイメージベースのOracle Grid Infrastructureのインストール

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアがダウンロードおよびインストールのためにイメージ・ファイルとして提供されています。

    これにより、Oracle Grid Infrastructureのインストールが著しく簡略化され、すばやくインストールできるようになりました。

    注意:

    Gridホームを配置するディレクトリにイメージ・ソフトウェアを展開し、gridSetup.shスクリプトを実行してOracle Grid Infrastructureのインストールを開始します。
  • Oracleドメイン・サービス・クラスタおよびOracleメンバー・クラスタのサポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Grid InfrastructureインストーラでOracleドメイン・サービス・クラスタとOracleメンバー・クラスタをデプロイするオプションがサポートされています。

  • Oracle拡張クラスタのサポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Grid Infrastructureインストーラで、異なる場所にあるクラスタ・ノードをOracle拡張クラスタとして構成するオプションがサポートされています。Oracle拡張クラスタは、サイトと呼ばれる複数の場所に配置されるノードで構成されます。

  • グローバル・グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ

    Oracle Grid Infrastructureのデプロイメントでは、グローバルなクラスタを離れたグリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ(GIMR)がサポートされるようになりました。このリポジトリは、クラスタごとのGIMR用のプラガブル・データベース(PDB)を含むマルチテナント・データベースです。グローバルGIMRは、Oracleドメイン・サービス・クラスタで実行されます。グローバルGIMRは、ディスク・グループ内にあるこのデータ用の専用記憶域からローカル・クラスタを解放し、診断およびパフォーマンスの分析に履歴データ記憶域をより長期にわたり使用できるようにします。

  • Oracleソフトウェアの高速ホーム・プロビジョニング

    高速ホーム・プロビジョニングにより、クラスタの作成と、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseホームのプロビジョニング、パッチ適用およびアップグレードを行うことができます。11.2クラスタにOracle Databaseをプロビジョニングすることもできます。

    高速ホーム・プロビジョニングでは、ゴールド・イメージ・ソフトウェアをサイト固有の構成変更と分ける新しいファイル・システム機能を利用します。このように分けることにより、更新後もホーム・パスは変わりません。この機能により、インプレース・パッチ適用とアウトオブプレース・パッチ適用の利点を組み合せることができます。この機能は、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)で使用可能です。

  • Oracle Direct NFSクライアントでのパラレルNFSのサポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Direct NFSクライアントでパラレルNFSがサポートされています。Parallel NFSは、ファイル・サーバーへの直接クライアント・アクセスを許可するNFSv4.1オプションで、スケーラブルな分散ストレージを可能にします。

  • Direct NFSディスパッチャのサポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Direct NFSクライアントで、ディスパッチャまたはI/Oスレーブ・インフラストラクチャの追加がサポートされています。非常に大規模なデータベース・デプロイでOracle Direct NFSクライアントを実行する場合、この機能により、マルチパスおよびクラスタ化されたNFS記憶域に対するソケットとTCP接続のスケーリングが簡易化されます。

  • Direct NFSのKerberos認証

    Oracle Databaseでは、Direct NFS通信によるKerberos実装がサポートされるようになりました。この機能により、Oracle DatabaseとNFSサーバー間でのDirect NFSプロトコルを使用したデータ交換について、保護されていないネットワークを介した認証、メッセージの整合性およびオプションの暗号化の問題が解決されます。

    関連項目:

    Direct NFSクライアント用のKerberos認証の設定の詳細は、「Direct NFSクライアント用のoranfstabファイルの作成」
  • Oracle Cluster Interconnect用のIPv6ベースのIPアドレスのサポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、IPv4またはIPv6ベースのIPアドレスを使用して、プライベート・ネットワーク上でクラスタ・ノードを構成できます。クラスタに対して複数のプライベート・ネットワークを使用できます。

  • 共有グリッド・ネーミング・サービス(GNS)の高可用性

    共有GNS高可用性では、プライマリ・ロールおよびセカンダリ・ロールを持つGNSの複数のインスタンスを実行することによって、参照の高可用性およびクライアントへの他のサービスを提供します。

  • Cluster Health Advisor

    Cluster Health Advisorでは、システム管理者およびデータベース管理者に、Oracle RACデータベースとクラスタ・ノードに関する保留中のパフォーマンスの問題、根本原因および修正処理について早期に警告します。この高度な事前診断機能により、可用性およびパフォーマンスの管理が向上します。

  • クラスタ検証ユーティリティの拡張

    クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のインストールと構成に役立ちます。CVUは、完全なOracle RACスタックのインストールおよび構成中のすべての中間ステージを網羅して、様々なテストを実行します。このリリースでは、各チェックの進行状況についての情報や、ユーザーがリクエスト時に出力形式(XMLやHTMLなど)を指定できるなど、いくつかの点でCVUが強化されています。

  • -executeConfigToolsオプションを使用したOracleソフトウェアのインストール後の構成

    Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、-executeConfigToolsオプションを使用してOracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストーラを実行し、Oracle製品のインストール後の構成を行うことができます。インストール時に作成されるものと同じレスポンス・ファイルを使用して、インストール後の構成を実行できます。

  • Oracle Real Application Clustersを管理するための義務の分離

    Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、クラスタウェア・エージェントを対象とするSYSRAC管理権限を導入し、Oracle DatabaseでOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を管理する際の義務の分離ベスト・プラクティスがサポートされています。この機能により、Oracle RACに対して強力なSYSDBA管理権限を使用する必要がなくなりました。

    SYSRACは、SYSDG、SYSBACKUPおよびSYSKMと同様、義務の分離の施行、および本番システム上のSYSDBAの使用への依存の軽減に役立ちます。この管理権限は、srvctlなどのOracle RACユーティリティのかわりに、クラスタウェア・エージェントによってデータベースに接続するためのデフォルト・モードです。

  • SCANリスナーによるHTTPプロトコルのサポート

    Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、SCANリスナーを使用して、HTTP経由で受信するリカバリ・サーバーの接続を、リカバリ・サーバー・マシン上の負荷に応じて様々なマシンにリダイレクトできます。

  • Oracle Real Application Clustersのリーダー・ノード

    Oracle RACリーダー・ノードにより、Online Transaction Processing (OLTP)ワークロードを実行中の一連の読取り/書込みインスタンスおよび一連の読取り専用データベース・インスタンスをクラスタ内のハブ・ノードとリーフ・ノードに割り当てることにより、Oracleフレックス・クラスタ・アーキテクチャを容易にします。このアーキテクチャでは、読取り/書込みインスタンスに加えられた更新は、オンライン・レポート作成または即座の問合せに使用できるリーフ・ノード上の読取り専用インスタンスにただちに伝播されます。

  • サービス指向バッファ・キャッシュ・アクセス

    クラスタ管理のサービスは、クラスタで実行中の様々なOracle RACデータベース・インスタンスにワークロードを割り当てるために使用されます。これらのサービスは、各データベース・インスタンスのバッファ・キャッシュにキャッシュされたデータベース・オブジェクトにアクセスするのに使用されます。サービス指向のバッファ・キャッシュ・アクセスの最適化により、サービスを介してアクセスされるオブジェクトに対して、データ・ブロックを含むインスタンスをOracle RACでキャッシュまたは事前ウォーミングできます。この機能により、Oracle RACデータベース・インスタンスのアクセス時間が改善されます。

  • サーバーの重みベースのノード削除

    サーバーの重みベースのノード削除は、すべてのノードが削除に対して同じ選択を表すクラスタから、Oracle Clusterwareが特定のノードまたはノードのグループを削除する必要がある状況で、タイブレークのメカニズムとして機能します。サーバーの重みベースのノード削除メカニズムは、これらのサーバーの負荷に関する追加情報に基づいて、削除するノードまたはノードのグループを特定するのに役立ちます。2つの原則メカニズム(システム固有の自動メカニズムおよびユーザー入力ベースのメカニズム)が、それぞれのガイダンスを提供するために存在します。

  • ロード対応のリソース配置

    ロード対応のリソース配置により、サーバーが実行可能な数より多くアプリケーションを持つサーバーのオーバーロードが防止されます。起動の一環として、またはフェイルオーバーの結果として、アプリケーションを指定のサーバー上で起動できるかどうかを決定するために使用されるメトリックは、CPUおよびメモリーの観点から、アプリケーションの予想されるリソース消費およびサーバーの容量に基づいています。  

Oracle Automatic Storage Management 12cリリース2 (12.2)の新機能

  • Oracle ASMフィルタ・ドライバの自動構成

    Oracle ASMFDを使用すると、システムを再起動するたびにOracle ASMで使用するディスク・デバイスをリバインドする必要がなくなるため、ディスク・デバイスの構成および管理が簡単になります。Oracle ASMフィルタ・ドライバ(Oracle ASMFD)の構成を、Oracle Grid Infrastructureのインストールの際にチェック・ボックスにより自動処理できるようになりました。

    注意:

    Oracle ASMFDはLinux x86–64およびOracle Solarisオペレーティング・システムでサポートされています。
  • Oracle IOServer

    Oracle IOServer (IOS)は、Oracle ASM管理ディスクに接続できないメンバー・クラスタのノードのOracle Databaseインスタンスに対する接続を提供します。Oracle IOServerはOracle ASMディスク・グループへのネットワーク・ベースのファイル・アクセスを提供します。

  • Oracle ASMフレックス・ディスク・グループおよびファイル・グループ

    Oracle ASMでは、フレックス・ディスク・グループによるデータベース指向のストレージ管理を提供します。フレックス・ディスク・グループはOracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループをサポートします。

  • Oracle ACFSスナップショットベースのレプリケーション

    新しいOracle ACFSスナップショットベースのレプリケーション機能では、ACFSスナップショット・テクノロジを使用して、連続したスナップショット間の違いを標準のssh転送プロトコルの使用によりスタンバイ・ファイル・システムに転送します。ACFSスナップショットベースのレプリケーションは、パフォーマンスの高さ、オーバーヘッドの少なさ、および管理のしやすさの点でより効率的です。

  • Oracle ACFS圧縮

    Oracle ACFSはストレージ要件を減らすためのファイル・システム圧縮機能を備えており、コストの削減につながります。Oracle ACFS圧縮は新しいacfsutil compressコマンドを使用して管理され、また、acfsutil infoコマンドが更新されています。

  • Oracle ACFSデフラガ

    スナップショットまたはファイル・システムのベースとストレージを共有するデータベースは、アクティブなオンライン・トランザクション処理(OLTP)ワークロードにより断片化する可能性があります。この断片化により、シーケンシャル・スキャンでボリューム内のデータの場所が非連続的になる場合があります。Oracle ACFSではバックグラウンドで自動的にこれらのファイルをデフラグメントします。

  • Oracle ACFSによる4Kセクターのサポート

    Oracle ACFSでは、4Kの倍数の論理セクター・サイズのI/Oリクエストがサポートされ、512バイトの論理セクター・サイズのI/Oリクエストも引き続きサポートされます。WindowsのacfsformatコマンドおよびLinuxおよびOracle Solaris環境のmkfsコマンドに、i 4096オプションが提供されています。

  • Oracle ACFS自動サイズ変更

    Oracle ACFSでは、acfsutil sizeコマンドによる自動サイズ変更オプションが提供されています。このコマンドを使用すると、ファイル・システムの使用可能な空き領域が指定の値を下回ったときに自動的にOracle ACFSファイル・システムがどれだけ増えるかを指定できます。自動サイズ変更オプションを使用する際に使用可能な最大数を指定するオプションもあります。Oracle ACFSプラグインは、ファイル・コンテンツ・データの収集をサポートしています。ファイル・コンテンツの収集では、ポーリング・ベースおよび間隔ベースのキャプチャの両方がサポートされています。acfsutil info fsコマンドの出力には、自動サイズ変更増分および最大量が表示されます。

  • Oracle ACFSメタデータ・アクセラレーション

    Oracle ACFSでは、アクセラレータ・メタデータ・ストレージがサポートされます。このサポートにより、エクステント・メタデータ、ストレージ・ビットマップ、ボリューム・ログおよびいくらかのスナップショット・メタデータといった、多くの重要なOracle ACFSメタデータ構造をアクセラレータ・ストレージに置くことが使用可能になります。

  • ファイル・コンテンツ・データの収集のためのOracle ACFSプラグイン

    Oracle ACFSプラグインは、ファイル・コンテンツ・データの収集をサポートしています。ファイル・コンテンツの収集では、ポーリング・ベースおよび間隔ベースのキャプチャの両方がサポートされています。

  • Oracle ACFS疎ファイル

    Oracle ACFSでは、疎ファイルがサポートされます。Oracle ACFS疎ファイルは、NFSサーバーおよび関連付けられたOracle ACFSファイル・システムによって、一般に適切な順序で受信されなかったNFSクライアント書込み操作に大きな利点を与えます。

  • Oracle ACFSの修正機能

    Oracle ACFSではacfsutil scrubコマンドによって修正機能が提供されており、メタデータやファイル・データ内の不整合を確認およびレポートできます。

  • 高可用性共通インターネット・ファイル・システム(HACIFS)

    Oracle ACFS共通インターネット・ファイル・システム(CIFS)機能が、Oracle ACFS NAS Maximum Availability eXtensions (NAS MAX)テクノロジにより、エクスポートされたファイル・システムに対して高可用性を提供するように強化されています。高可用性共通インターネット・ファイル・システム(HACIFS)および高可用性ネットワーク・ファイル・システム(HANFS)の両方により、Oracle ACFSカスタマに対して包括的なネットワーク接続ストレージ・ソリューションが提供されます。

非推奨となった機能

次の機能は今回のリリースで非推奨となり、今後のリリースではサポートされない可能性があります。このリリースの非推奨となった機能の完全なリストは、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • configToolAllCommandsスクリプトの非推奨

    configToolAllCommandsスクリプトは、インストール後のOracle製品を構成するためにレスポンス・ファイル・モードで実行し、個別のパスワード・レスポンス・ファイルを使用します。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、configToolAllCommandsスクリプトは非推奨となり、今後のリリースではサポート対象外となります。

    Oracle製品のインストール後の構成を行うには、-executeConfigToolsオプションを使用して、Oracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストーラを実行できるようになりました。インストール時に作成されるものと同じレスポンス・ファイルを使用して、インストール後の構成を実行できます。

サポート対象外となった機能

次の機能は、このリリースではサポートされなくなりました。このリリースにおけるサポート対象外の機能の完全なリストは、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルのダイレクト・ファイル・システム配置の非サポート

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle ClusterwareファイルがOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)によって管理されるようになり、Oracle Clusterwareファイルの配置(共有ファイル・システムでのOracle Cluster Registry (OCR)や投票ファイルの直接配置)がサポート対象外となりました。Oracle Clusterwareファイルは共有ファイル・システムに直接配置できません。サポート対象の共有ファイル・システム(ネットワーク・ファイル・システムまたは共有クラスタ・ファイル・システム)をネイティブ・ディスク・デバイスのかわりに使用する必要がある場合は、Oracle Grid Infrastructureをインストールする前に、Oracle Clusterwareファイルをホストするために使用する予定のサポート対象のネットワーク・ファイル・システム上にOracle ASMディスクを作成する必要があります。これにより、Oracle ASMディスク・グループでOracle ASMディスクを使用して、Oracle Clusterwareファイルを管理できます。

    Oracleデータベース・ファイルが共有ファイル・システムに格納されている場合、データベース・ファイルをOracle ASMストレージに移動しなくても、引き続きデータベース・ファイルの共有ファイル・システム・ストレージを使用できます。

Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)の変更点

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』には、次の変更点があります。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1.0.2)の新機能

  • 高速ホーム・プロビジョニング

    高速ホーム・プロビジョニングは、クラウド・コンピューティング環境で、データベース、ミドルウェア、アプリケーションなどのOracleソフトウェアのホーム・イメージ(ゴールド・イメージと呼ばれます)を格納する単一のクラスタから、ソフトウェアのホームをノードにデプロイする方法です。高速ホーム・プロビジョニング・サーバー(RHPS)クラスタは、高速ホーム・プロビジョニング・クラスタ(RHPC)のゴールド・イメージを提供します。

  • ClusterおよびOracle RACの診断ツールの強化

    トレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタは、Oracle Grid Infrastructureのインストール時に自動的にインストールされます。トレース・ファイル・アナライザ・コレクタは、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACシステムの診断データの収集を簡素化する、診断を収集するためのユーティリティです。

    関連項目:

    トレース・ファイル・アナライザ・コレクタの使用に関する詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリの自動インストール

    グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリは、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1.0.2)では自動的にインストールされます。

  • Oracle RACキャッシュ・フュージョン・アクセラレータ

    Oracle RACは、キャッシュ・フュージョン・プロトコルとグローバル・キャッシュ・サービス(GCS)を使用して、高速で信頼性の高いインスタンス間データ通信をOracle RACクラスタで実現するため、複数インスタンスの個々のメモリー・バッファ・キャッシュが、データベースに対して1つのグローバル・キャッシュとして機能します。キャッシュ・フュージョン・プロバイダを使用すると、ほとんどのアプリケーションでほぼリニアなスケーラビリティが実現します。このリリースでは、すべてのアプリケーションでスケーラビリティを強化するキャッシュ・フュージョン・プロトコルのアクセラレーション機能が用意されています。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1.0.1)の新機能

  • インストール時のスクリプトへの自動化されたroot権限の委任

    引き続きインストール時にrootとしてスクリプトを手動で実行したり、3つの方法のいずれかを使用し、必要に応じてインストール時にOUIを使用してrootスクリプトを実行できます。その方法とは、インストーラにrootパスワードを指定する、Oracleインストールの所有者へのSudoアクセスを構成する、Oracleインストールの所有者へのPowerBrokerアクセスを構成する、の3つです。

  • DBUAを使用したデータベースのアップグレードの自動化

    3つの面でアップグレードの操作が簡単になりました。まず、アップグレード前フェーズでは、これまでの手動手順がなくなります。より明示的なアドバイスを指定するか、アップグレード前フェーズで特定された問題を見つけるために修正スクリプトを生成します。2番目に、アップグレード後のフェーズで、アップグレード後のヘルス・チェックが実行され、アップグレードが正常に終了したことが示されます。最後に、パートナのドキュメント(SAPなど)およびメジャー・カスタマ・アップグレードのドキュメントを使用して、自動化し、より広い顧客ベースで一般化できる手動手順がさらに特定されます。

    アップグレード・プロセスの自動化により、操作性と使いやすさが大幅に向上しました。また、データベース・アップグレードと、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Enterprise Manager Cloud Controlとの統合も向上しています。

    『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • DBCAでのマルチテナント・コンテナ・データベースおよびプラガブル・データベースの構成のサポート

    Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以上では、Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)によって、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)または非CDBのいずれかを作成できます。CDBは、0(ゼロ)、1またはそれ以上のプラガブル・データベース(PDB)で作成できます。

    また、データベースのインストール中に、1つのPDBを含むCDBを作成することが可能です。

    『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • クラスタ状態モニター(CHM)の拡張

    CHMは、Oracle Flex Clusterの実装をより効率的にサポートできるように拡張されました。これらの拡張により、スタックの監視に必要なリソースを最小限に抑えながら、Oracle Flex Clusterを円滑に実行できます。

  • Oracle Flex ASMサーバー

    Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。多くのデータベース・クライアントをサポートするために、多くのOracle ASMインスタンスをクラスタ化できます。

    Oracle Flex ASMは、それぞれは1つのインスタンスですがOracle Flex ASMクラスタで実行されており、データベースのコレクションへの適応が可能です。

    『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle Flex Cluster

    Oracle Flex Clusterは新しい概念であり、少数のノード数を持つ従来の密結合クラスタを、多数の疎結合ノードと結合します。この新しい概念を使用して構築可能な様々な構成をサポートするために、SRVCTLは新しいコマンドおよびコマンドのオプションを提供して、インストールおよび構成を容易にします。

    Oracle Clusterware管理およびデプロイメントに関するガイドを参照してください。

  • パブリック・ネットワークに対するIPv6のサポート

    Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)では、IPv6ベースのパブリックIPアドレスおよびパブリックVIPアドレスがサポートされます。

    IPv6ベースのIPアドレスは、今日のデータ・センターにおける情報技術のインフラストラクチャに関する最新規格です。このリリースにおいて、Oracle RACおよびOracle Grid Infrastructureはこの規格をサポートしています。インストール中に、同じネットワーク上のIPv4アドレスまたはIPv6アドレスのいずれかで、クラスタ・ノードを構成できます。データベース・クライアントは、IPv4アドレスまたはIPv6アドレスのいずれかに接続できます。単一クライアント・アクセス名(SCAN)リスナーは、クライアント・リクエストのIPプロトコルに関する適切なデータベース・リスナーに、クライアント接続を自動的にリダイレクトします。

    『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • マルチプロセス・マルチスレッド化されたOracle Database

    Oracle Database 12cから、Oracle Databaseでオペレーティング・システム・スレッドが使用され、リソースの共有が可能になり、リソース消費が低減されます。

    『Oracle Database概要』を参照してください。

  • Oracle ACFS監査および監査データをOracle Audit Vault Serverにインポートするためのサポート

    この機能は、Oracle ACFSのセキュリティおよび暗号化に対する監査を行います。また、この機能では、Oracle Audit Vault ServerによってインポートできるOracle ACFS監査証跡データを含むXMLファイルの生成も行います。

    『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • Oracle Enterprise Manager Database Express 12c

    Oracle Database 12cでは、Oracle Enterprise Manager Database Expressが導入されましたが、これは特別なインストールや管理を必要としない、Oracle Databaseに組み込まれているWeb管理製品です。Oracle Enterprise Manager Database Expressを使用すると、管理タスク(ユーザー・セキュリティの管理、データベースのメモリーや記憶域の管理など)を実行できます。また、データベースのパフォーマンスおよびステータス情報を表示できます。

    Oracle Database 12cから、Oracle Enterprise Manager Database Controlが非推奨となったことに注意してください。

    『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  • ポリシーベースのクラスタ処理および管理

    Oracle Grid Infrastructureでは、1つのクラスタで複数のアプリケーションを実行することができます。ポリシーベースの方法を使用すると、これらのアプリケーションによって発生するワークロードを、ポリシーを使用したクラスタ全体に振り分けることができます。またポリシー設定によって、時間の経過とともに必要に応じて異なるポリシーをクラスタに適用することができます。ポリシー設定は、Webベースのインタフェースまたはコマンドライン・インタフェースを使用して定義することができます。

    同じクラスタ内で様々なワークロードを受け入れることで、共有インフラストラクチャにワークロードを集約することができ、高可用性とスケーラビリティが実現されます。集中管理されたポリシーベースの方法を使用することで、要求の変化に応じてリソースを動的に再配分し、優先度付けが可能になります。

    Oracle Clusterware管理およびデプロイメントに関するガイドを参照してください。

  • Oracle Database Vaultインストールの簡略化

    Oracle Database 12cから、Oracle Database Vaultが、Oracle Databaseインストールの一部として、デフォルトでインストールされるようになりました。ただし、Oracle Databaseのインストール後に、DBCAを使用するか、またはSQL文を実行して、Oracle Database Vaultの構成、有効化または無効化を行うことができます。

    『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。

  • データベース管理義務の分離のサポート

    Oracle Database 12cでは、SYSDBA管理権限を必要としないタスク固有の最も権限の少ない管理権限を導入することによって、Oracle Databaseの管理職務の分離をサポートしています。これらの新しい権限には、バックアップおよびリカバリのSYSBACKUP、Oracle Data GuardのSYSDGおよび暗号化鍵管理のSYSKMがあります。

    『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

  • データベース監査構成の統合

    Oracle Database 12cから、名前付きの監査ポリシーを作成できます。監査ポリシーには一連の監査オプションが含まれ、データベースにオブジェクトとして格納されます。名前付き監査ポリシーを作成する利点は、データベース監査ポリシーの作成に必要なコマンド数が減ることと、セキュリティおよび条件付き監査への準拠を目的とした監査構成の実装が簡素化されることです。この新しい監査ポリシー・フレームワークは、データベース・インストールに含まれています。

    『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

非推奨となった機能

次の機能は今回のリリースで非推奨となり、今後のリリースではサポートされない可能性があります。このリリースの非推奨となった機能の完全なリストは、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • 単一文字のSRVCTLコマンドライン・インタフェース(CLI)オプションの非推奨

    すべてのSRVCTLコマンドは、単一文字オプションのかわりに完全単語オプションを受け入れるように拡張されました。このリリースで追加されたすべての新しいSRVCTLコマンド・オプションはフルワード・オプションのみをサポートしており、1文字のオプションはサポートしていません。SRVCTLコマンドでの単一文字オプションの使用は、今後のリリースではサポートされない可能性があります。

  • スタンドアロン削除ツールの変更点

    削除ツールはデータベースのインストール・メディアに統合されるようになりました。

  • -cleanupOBaseの非推奨

    削除ツールの-cleanupOBaseフラグは、このリリースでは非推奨です。このフラグの代替機能はありません。

  • Oracle Enterprise Manager Database Controlは、Oracle Enterprise Manager Database Expressに置き換えられています。

  • スタンドアロンの削除ユーティリティは、Oracle Universal Installer (OUI)を使用する削除オプションに置き換えられています。

サポート対象外となった機能

次の機能は、Oracleではサポートされなくなりました。このリリースにおけるサポート対象外の機能の完全なリストは、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Enterprise Manager Database Control

  • CLEANUP_ORACLE_BASEプロパティが削除され、Oracleベースでの削除がサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでの削除中にサポートされなくなりました。