8.1 Direct NFSクライアントの記憶域について
Direct NFSクライアントは、NFSクライアント機能をOracleソフトウェアに直接統合して、OracleとNFSサーバー間のI/Oパスを最適化します。この統合により、パフォーマンスが大幅に向上します。
Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーへのアクセスに、NFSv3、NFSv4およびNFSv4.1プロトコルがサポートされています。また、Direct NFSクライアントにより、データベース・ワークロード用のNFSクライアント構成のパフォーマンスの最適化が簡略化され、多くの場合自動化されます。Oracle Database 12cリリース2 (12.2)から、Windows Direct NFSクライアントは、UNIXスタイルのNFSパスやNFSバージョン4プロトコルも含め、広く普及しているすべてのNFSパス形式をサポートするようになりました。
Oracle Database 12cリリース2以降、Direct NFSを有効にすると、Direct NFSディスパッチャも有効にすることができます。Direct NFSディスパッチャは、データベース・インスタンスからNFSサーバーに作成されたTCP接続の数を統合します。大規模なデータベース・デプロイメントでは、Direct NFSディスパッチャを使用すると、スケーラビリティおよびネットワーク・パフォーマンスが向上します。Parallel NFSデプロイメントでも、多数の接続が必要です。したがって、Parallel NFSデプロイメントでもDirect NFSディスパッチャの使用が推奨されます。
Direct NFSクライアントでは、利用可能なリソースを効率的に使用するよう自動調節が行われ、サポートされているNFSサーバー上にデータ・ファイルを格納可能です。Direct NFSクライアントは、oranfstab
ファイルからNFSマウント・ポイントを取得します。
注意:
Oracle RACでサポートされているNFSサーバーを使用してください。サポート情報の詳細は、https://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=en/database/oracle/oracle-database/12.2/cwwin&id=CWWIN-GUID-1B481D17-3295-4140-885B-3D8C0CB1F175の説明に従って、My Oracle Supportを確認してください。Direct NFSクライアントの要件
-
Direct NFSは、32768より小さい書込みサイズ値(
wtmax
)のNFSサーバーにサービスを提供できません。 -
NFSサーバー上に存在しDirect NFSクライアントによってアクセスされるOracleファイルにも、サード・パーティのNFSクライアントを介してアクセスできます。ボリュームをCIFS (Common Internet File System)またはカーネルNFSにマウントして、コピーなどの通常のWindowsのユーティリティおよびコマンドを有効にし、リモート・ロケーションにあるデータベース・ファイルにアクセスする必要があります。
-
Direct NFSクライアントを構成せずに、CIFSによってマウントされたボリュームをOracle Databaseファイルの保存に使用することはできません。データベース書込みに必要なアトミック書込みの要件はCIFSプロトコルでは満たすことができないため、CIFSは、copyコマンドなどのOSレベルのアクセスでのみ使用できます。
-
Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用できるようにするには、インストールを開始する前に、NFSファイル・システムをマウントし、使用できるようにする必要があります。設定は、インストール後にDirect NFSクライアントで管理されます。
Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、Oracleアラート・ログに情報メッセージが記録されます。トレース・ファイルも作成され、Direct NFSクライアントがNFSサーバーに接続できなかったことが示されます。
-
一部のNFSファイル・サーバーでは、予約されたポートを使用してNFSクライアントを接続する必要があります。予約されたポートのチェックを使用してファイラを実行している場合は、Direct NFSが動作するように、予約されたポートのチェックを無効にする必要があります。予約されたポートのチェックを無効にする方法については、使用しているNFSファイル・サーバーのドキュメントを参照してください。
-
ポート範囲を制限するNFSサーバーの場合、管理者ユーザーでNFSサーバーに接続するのではなく、insecureオプションを使用してクライアントを有効化できます。別の方法として、Direct NFSクライアントを無効にすることもできます。
-
インスタンスごとにアクティブなDirect NFSクライアントを1つのみ実装できます。インスタンスでDirect NFSクライアントを使用すると、別のDirect NFSクライアントは実装できなくなります。
関連項目:
-
初期化パラメータ・ファイルの
enable_dnfs_dispatcher
パラメータをDirect NFSディスパッチャを有効にするように設定する方法の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください -
Direct NFSクライアントとともに作成されたOracleデータ・ファイルを管理するガイドラインは、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
-
Parallel NFSおよびDirect NFSディスパッチャを有効にした場合のパフォーマンスにおける利点については、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください
-
Direct NFSクライアントまたはカーネルNFSで作成されたOracle Databaseデータ・ファイルの管理に関するガイドラインについては、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください