1 リスナー制御ユーティリティ
この章では、リスナー制御ユーティリティのコマンドとそれに関連する構文を説明します。
ノート:
「SQL*Net」と「Net Services」という用語は、Oracleドキュメントでは同じ意味で使用されており、これら両方の用語は同じ機能に言及しています。この章のトピックは、次のとおりです:
1.1 リスナー制御ユーティリティの概要
リスナー制御ユーティリティを使用すると、リスナーを管理できます。このユーティリティのコマンドを使用して、1つ以上のリスナーに対して基本的な管理機能を実行できます。さらに、パラメータの設定を表示および変更できます。
リスナー制御ユーティリティ・コマンドの基本的な構文は、次のとおりです。
lsnrctl command listener_name
このコマンドのlistener_nameは、管理対象のリスナー名です。名前を指定しない場合は、デフォルト名のLISTENER
とみなされます。
リスナー制御ユーティリティ・コマンドは、LSNRCTL>
プログラムのプロンプトでも発行できます。プロンプトを取得するには、オペレーティング・システムのコマンドラインで引数を指定せずにlsnrctl
を入力します。lsnrctl
を実行すると、プログラムが開始されます。開始後は、プログラム・プロンプトから必要なコマンドを入力できます。LSNRCTL>
プログラム・プロンプトからコマンドを発行する基本的な構文は、次のとおりです。
lsnrctl LSNRCTL> command listener_name
複数のコマンドを標準的なテキスト・ファイルにまとめると、一連のコマンドとして実行できます。バッチ・モードで実行するには、次のフォーマットを使用します。
lsnrctl @
file_name
REM
または#
を使用すると、バッチ・スクリプトにコメントを指定できます。他のすべての行はコマンドとみなされます。一般的に確認が必要なコマンドも、バッチ処理中は確認の必要がありません。
大半のコマンドでは、リスナー制御ユーティリティによって、コマンドの送信に使用されるリスナーとOracle Netとの接続が確立されます。リスナーへのOracle Net接続を開始するには、リスナー制御ユーティリティによって、指定したリスナーのプロトコル・アドレスまたはLISTENER
という名前のリスナーを取得する必要があります。取得するには、次のメカニズムのいずれか1つを使用してリスナー名を解決します。
-
環境変数
TNS_ADMIN
で指定されているディレクトリのlistener.ora
ファイル -
ORACLE_HOME/network/admin
ディレクトリ内のlistener.ora
ファイル -
tnsnames.ora
ファイルなどのネーミング・メソッド
前述のメカニズムでリスナー名を解決できない場合、リスナー制御ユーティリティはデフォルトのリスナー名LISTENER
を使用し、ホスト名/IPアドレスを解決してポート1521を使用します。
リスナー制御ユーティリティでは、次のタイプのコマンドをサポートしています。
-
SET TRC_LEVELなどの修飾コマンド
-
STATUS やSHOW LOG_FILEなどの情報コマンド
1.2 リスナー制御ユーティリティのSETコマンドおよびSHOWコマンド
SET
コマンドを使用すると、指定したリスナーのパラメータ値を変更できます。管理対象のリスナーの名前は、SET CURRENT_LISTENER
コマンドを使用して設定します。パラメータの値は、リスナーがシャットダウンされるまで有効です。設定を永続的に保持する場合は、変更内容をSAVE_CONFIG
コマンドを使用してlistener.ora
に保存します。
SHOW
コマンドを使用すると、構成設定の現行の値を表示できます。
1.3 分散処理
リスナー制御ユーティリティでは、リスナーの操作をローカルまたはリモートで実行できます。
次の手順では、リモートでリスナーを管理するようにコンピュータを設定する方法について説明します。
-
リスナー制御ユーティリティ(
lsnrctl
)実行可能ファイルがORACLE_HOME/bin
ディレクトリにインストールされていることを確認します。 -
「リスナー制御ユーティリティの概要」で説明するように、
listener.ora
ファイルまたはネーミング・メソッドを使用して、管理対象のリスナーの名前が解決できることを確認します。
リスナーがリモート管理されている場合は、STARTを除くすべてのコマンドを発行できます。リスナー制御ユーティリティでは、そのユーティリティを実行している同じコンピュータからのみ、リスナーを開始できます。
コマンドを発行するときは、リスナー名を引数に指定します。次に例を示します。
LSNRCTL> SERVICES lsnr
名前が省略されている場合は、SET CURRENT_LISTENERコマンドで設定されたリスナー名が使用されるか、デフォルト名LISTENER
とみなされます。
1.4 Oracle Net Listenerのセキュリティ
ローカル・リスナーの管理は、リスナーを開始したユーザーまたはスーパーユーザーにリスナーの管理を制限する、ローカル・オペレーティング・システム認証により保護されます。デフォルトでは、リモート・リスナーの管理は無効になっています。
デフォルト・モードでリスナーの管理を実行し、リモート・ログインを使用してシステムにリモートでアクセスすることをお薦めします。リスナーをリモート管理する場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud ControまたはSecure Shell(SSH)を使用してリモート・ホストにアクセスします。
1.5 リスナー制御ユーティリティのコマンド
この項では、次のリスナー制御ユーティリティのコマンドについて説明します。
1.5.1 EXIT
用途
リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻ります。
前提条件
なし
構文
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> EXIT
引数
なし
使用上のノート
このコマンドは、QUITコマンドと同じです。
例
LSNRCTL> EXIT
1.5.2 HELP
用途
リスナー制御ユーティリティの全コマンドのリストや、特定のリスナー制御ユーティリティのコマンドの構文ヘルプを表示します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl HELP command
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> HELP command
引数
command: リスナー制御ユーティリティのコマンド。コマンドは、次の出力例のように表示されます。
HELP
への引数としてコマンドを入力すると、そのコマンドの使用方法に関する情報が表示されます。引数なしでHELP
を入力すると、全コマンドのリストが表示されます。
例
LSNRCTL> HELP The following operations are available An asterisk (*) denotes a modifier or extended command: exit quit reload services set* show* spawn start status stop trace version
1.5.3 QUIT
用途
リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻ります。
前提条件
なし
構文
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> QUIT
引数
なし
使用上のノート
このコマンドは、EXITコマンドと同じです。
例
LSNRCTL> QUIT
1.5.4 RELOAD
用途
listener.ora
ファイルを再度読み込みます。このコマンドは、実際にリスナーを停止することなく、静的に構成されているサービスを追加または変更できます。
さらに、リスナーに動的に登録されていたデータベース・サービス、インスタンス、サービス・ハンドラおよびリスニング・エンドポイントが登録解除され、その後、再度登録されます。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl RELOAD listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> RELOAD listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
例
LSNRCTL> RELOAD Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) The command completed successfully
1.5.5 SAVE_CONFIG
用途
トレース・レベル、トレース・ファイル、トレース・ディレクトリを含め、リスナーの現行の構成状態を保存し、listener.ora
ファイルにロギングします。すべての変更は、フォーマット、コメントおよび文字の大/小文字をできるかぎり保持しながらlistener.ora
に格納されます。listener.ora
ファイルの変更の前に、listener.bak
と呼ばれるバックアップ・ファイルが作成されます。
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SAVE_CONFIG listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SAVE_CONFIG listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
このコマンドを使用すると、実行時の構成のすべての変更をlistener.ora
ファイルに保存できます。
例
LSNRCTL> SAVE_CONFIG listener Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) Saved LISTENER configuration parameters. Listener Parameter File /oracle/network/admin/listener.ora Old Parameter File /oracle/network/admin/listener.bak The command completed successfully
1.5.6 SERVICES
用途
リスナーのクライアント接続リクエストの転送先のデータベース・サービス、インスタンスおよびサービス・ハンドラ(ディスパッチャと専用サーバー)に関する詳細情報を取得します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SERVICES listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SERVICES listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
SET DISPLAYMODEコマンドによって、出力のフォーマットと詳細レベルが変更されます。
関連項目:
SERVICES
の出力の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
例
この例では、デフォルトの表示モードでSERVICES
出力を表示します。出力には、次の内容が表示されます。
-
sales1.us.example.com
およびsales2.us.example.com
の2つのサービスに属するsales
という名前のインスタンス。このインスタンスには合計3つのサービス・ハンドラがあります。 -
サービス
sales1.us.example.com
は、1つのディスパッチャでのみ処理されます。 -
サービス
sales2.us.example.com
は、次の出力で指定されているように、1つのディスパッチャと1つの専用サーバーで処理されます。
LSNRCTL> SERVICES Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net))) Services Summary... Service "sales1.us.example.com" has 1 instance(s). Instance "sales", status READY, has 1 handler(s) for this service... Handler(s): "D000" established:0 refused:0 current:0 max:10000 state:ready DISPATCHER <machine: sales-server, pid: 5696> (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=53411)) Service "sales2.us.example.com" has 1 instance(s). Instance "sales", status READY, has 2 handler(s) for this service... Handler(s): "DEDICATED" established:0 refused:0 state:ready LOCAL SERVER "D001" established:0 refused:0 current:0 max:10000 state:ready DISPATCHER <machine: sales-server, pid: 5698> (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=52618)) The command completed successfully
1.5.7 SET
用途
リスナーのパラメータ値を変更します。パラメータ値の変更は、リスナーがシャットダウンされるまで有効です。変更を永続的なものにするには、SAVE_CONFIGコマンドを使用して変更内容をlistener.ora
ファイルに保存します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET parameter
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET parameter
引数
parameter: 構成の設定を変更するSET
パラメータ。パラメータは、次の出力例のように表示されます。
引数なしでSET
を入力すると、全パラメータのリストが表示されます。
使用上のノート
SET
コマンドを使用してデフォルトのリスナーLISTENER
以外のリスナーの構成を変更する場合は、SET CURRENT_LISTENERコマンドを使用して管理対象のリスナー名を設定します。
例
LSNRCTL> SET The following operations are available with set. An asterisk (*) denotes a modifier or extended command. current_listener displaymode inbound_connect_timeout log_file log_directory log_status rawmode save_config_on_stop trc_file trc_directory trc_level
1.5.8 SET CURRENT_LISTENER
用途
管理対象のリスナー名を設定します。通常はlistener_name
を必要とする後続のコマンドは、リスナー名なしで発行できます。
構文
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET CURRENT_LISTENER listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
SET
CURRENT_LISTENER
が設定されている場合、リスナー制御ユーティリティのコマンドは設定されたリスナーに対して動作します。リスナーの名前を指定する必要はありません。
例
LSNRCTL> SET CURRENT_LISTENER lsnr Current Listener is lsnr
1.5.9 SET DISPLAYMODE
用途
SERVICESコマンドおよびSTATUS コマンドのフォーマットと詳細レベルを変更します。
構文
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET DISPLAYMODE {compat | normal | verbose | raw}
引数
次のいずれかのモードを指定します。
compat
: リスナーの以前のリリースと互換性のある出力。
normal
: フォーマット済の記述的な出力。オラクル社では、このモードをお薦めします。
verbose
: リスナーから受信した全データをフォーマットした記述的な出力。
raw
: リスナーから受信した全データをフォーマットせずに表示。この引数は、Oracleサポート・サービスが推奨した場合にのみ使用してください。
例
LSNRCTL> SET DISPLAYMODE normal Service display mode is NORMAL
1.5.10 SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT
用途
ネットワーク接続の確立後、クライアントからリスナーへの接続リクエストの完了までの時間を秒単位で指定します。
リスナーが指定の時間内にクライアント・リクエストを受信しない場合、接続は終了します。また、クライアントのIPアドレスと、エラー・メッセージ「ORA-12525:TNS: TNS: リスナーは、クライアントのリクエストを許容時間内に受信しませんでした
」がlistener.log
ファイルに記録されます。
関連項目:
クライアントの接続に関するタイムアウトの指定方法は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
構文
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT time
引数
time: 時間(秒数)。デフォルト設定は60秒です。
例
LSNRCTL> SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT 2 Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "inbound_connect_timeout" set to 2 The command completed successfully.
1.5.11 SET LOG_DIRECTORY
ノート:
このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/
product_type
を使用します。
用途
リスナーのログ・ファイルが書き込まれる宛先ディレクトリを設定します。デフォルトで、ログ・ファイルはORACLE_HOME/network/log
ディレクトリに書き込まれます。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET LOG_DIRECTORY directory
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET LOG_DIRECTORY directory
引数
directory: リスナーのログ・ファイルのディレクトリ・パス
例
LSNRCTL> SET LOG_DIRECTORY /usr/oracle/admin Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "log_directory" set to /usr/oracle/admin The command completed successfully
1.5.12 SET LOG_FILE
ノート:
このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/
product_type
を使用します。
用途
リスナーのログ・ファイルの名前を設定します。デフォルトのログ・ファイル名はlistener.log
です。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET LOG_FILE file_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET LOG_FILE file_name
引数
file_name: リスナーのログ・ファイルの名前
例
LSNRCTL> SET LOG_FILE list.log Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "log_file" set to list.log The command completed successfully
1.5.13 SET LOG_STATUS
用途
リスナーのロギングをオンまたはオフに切り替えます。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET LOG_STATUS {on | off}
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET LOG_STATUS {on | off}
引数
on
: ロギングをオンに切り替えます。
off
: ロギングをオフに切り替えます。
例
LSNRCTL> SET LOG_STATUS on Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "log_status" set to ON The command completed successfully
1.5.14 SET SAVE_CONFIG_ON_STOP
用途
STOPコマンドによるリスナーの停止時に、SETコマンドによって変更されたリスナーのパラメータ値をlistener.ora
ファイルに保存するかどうかを指定します。
変更が保存されると、リスナー制御ユーティリティは、フォーマット、コメントおよび文字の大/小文字に関するパラメータを保持しようとします。listener.ora
ファイルの変更の前に、listener.bak
と呼ばれるバックアップ・ファイルが作成されます。
全パラメータをただちに保存するには、SAVE_CONFIGコマンドを使用します。
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET SAVE_CONFIG_ON_STOP {on | off}
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET SAVE_CONFIG_ON_STOP {on | off}
引数
on
: 構成をlistener.ora
に保存します。
off
: 構成をlistener.ora
に保存しません。
例
LSNRCTL> SET SAVE_CONFIG_ON_STOP on LISTENER parameter "save_config_on_stop" set to ON The command completed successfully
1.5.15 SET TRC_DIRECTORY
ノート:
このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/
product_type
を使用します。
用途
リスナーのトレース・ファイルが書き込まれる宛先ディレクトリを設定します。デフォルトで、トレース・ファイルはORACLE_HOME/network/trace
ディレクトリに書き込まれます。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET TRC_DIRECTORY directory
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET TRC_DIRECTORY directory
引数
directory: リスナーのトレース・ファイルのディレクトリ・パス
例
LSNRCTL> SET TRC_DIRECTORY /usr/oracle/admin Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "trc_directory" set to /usr/oracle/admin The command completed successfully
1.5.16 SET TRC_FILE
ノート:
このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/
product_type
を使用します。
用途
リスナーのトレース・ファイルの名前を設定します。デフォルトのトレース・ファイル名はlistener.trc
です。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET TRC_FILE file_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET TRC_FILE file_name
引数
file_name: リスナーのトレース・ファイルの名前
例
LSNRCTL> SET TRC_FILE list.trc Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "trc_file" set to list.trc The command completed successfully
1.5.17 SET TRC_LEVEL
用途
トレースの特定レベルをリスナーに設定します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SET TRC_LEVEL level
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SET TRC_LEVEL level
引数
level: 次のいずれかのトレース・レベル
-
off
: トレースを出力しません。 -
user
: ユーザー用のトレース情報を出力します。 -
admin
: 管理用のトレース情報を出力します。 -
support
: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。
使用上のノート
このコマンドは、TRACEコマンドの機能と同じです。
例
LSNRCTL> SET TRC_LEVEL admin Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) LISTENER parameter "trc_level" set to admin The command completed successfully
1.5.18 SHOW
用途
リスナーの現在のパラメータ値を表示します。
すべてのSETパラメータには、対応するSHOW
パラメータがあります。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SHOW parameter
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SHOW parameter
引数
parameter: 構成の設定を表示するSHOW
パラメータ。パラメータは、次の出力例のように表示されます。
引数なしでSHOW
を入力すると、全パラメータのリストが表示されます。
例
LSNRCTL> SHOW The following properties are available with SHOW: An asterisk (*) denotes a modifier or extended command: current_listener displaymode inbound_connect_timeout log_file log_directory log_status rawmode save_config_on_stop trc_file trc_directory trc_level
1.5.19 SPAWN
用途
リスナーを実行しているコンピュータ上のlistener.ora
ファイル内に別名でリストされているプログラムを起動します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl SPAWN listener_name alias (arguments='arg1,arg2,...')
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> SPAWN listener_name alias (arguments='arg1,arg2,...')
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
alias: 起動するプログラムの別名は、次のようにlistener.ora
ファイル・エントリで指定します。
alias
= (PROGRAM=(NAME=)(ARGS=)(ENVS=))
次に例を示します。
nstest = (PROGRAM=(NAME=nstest)(ARGS=test1)(ENVS='ORACLE_HOME=/usr/oracle'))
例
前述のnstest
プログラムは、次のコマンドを使用すれば起動できます。
lsnrctl SPAWN listener_name nstest
1.5.20 START
用途
指定したリスナーを開始します。
前提条件
実行中のリスナーがないことが必要です。
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl START listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> START listener_name
ノート:
データベースがOracleホーム・ユーザーによってインストールされた場合、Microsoft Windowsでユーティリティからパスワードが要求される場合があります。パスワードは、Oracleホーム・ユーザーのオペレーティング・システム・パスワードです。プロンプトは、リスナー・サービスが存在せず、リスナーの起動の一部として作成する必要がある場合にのみ表示されます。
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
listener.ora
ファイルに構成されているリスナーをLISTENER
以外の名前で開始するには、その名前を挿入します。
たとえば、リスナー名がtcp_lsnr
の場合は、次のように入力します。
lsnrctl START tcp_lsnr
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> START tcp_lsnr
例
LSNRCTL> START Starting /private/sales_group/sales/bin/tnslsnr: please wait... TNSLSNR for Linux: Version 12.2.0.1.0 System parameter file is $ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora Log messages written to $ORACLE_BASE/diag/tnslsnr/node_name/listener/alert/log.xml Listening on: (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) STATUS of the LISTENER ------------------------ Alias LISTENER Version TNSLSNR for Linux: Version 12.2.0.1.0 Start Date 21-JUL-2016 21:50:49 Uptime 0 days 0 hr. 0 min. 0 sec Trace Level off Security ON: Local OS Authetication SNMP OFF Listener Parameter File $ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora Listener Log File $ORACLE_BASE/diag/tnslsnr/node_name/listener/alert/log.xml Listening Endpoints Summary... (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) The listener supports no services The command completed successfully
関連項目:
Oracleホーム・ユーザーの詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』を参照してください。
1.5.21 STATUS
用途
リスナーに関する基本的なステータス情報を表示します。これには、リスナー構成設定の概要、リスニング・プロトコル・アドレスおよびリスナーに登録されているサービスの概要が含まれます。
ノート:
リスナーのステータスは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのコンソールを介して取得することもできます。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl STATUS listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> STATUS listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
SET DISPLAYMODEコマンドによって、出力のフォーマットと詳細レベルが変更されます。
関連項目:
STATUS
の出力の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
例
次の例では、デフォルトの表示モードでSTATUS
出力を表示します。出力には、次の内容が含まれています。
-
リスナー構成の設定
-
リスニング・エンドポイントの概要
-
SERVICESコマンドの出力を簡略化したサービス概要
LSNRCTL> STATUS Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net))) STATUS of the LISTENER ------------------------ Alias LISTENER Version TNSLSNR for Linux: Version 12.1.0.1.0 - Production Start Date 12-DEC-2012 12:02:00 Uptime 0 days 0 hr. 5 min. 29 sec Trace Level support Security OFF SNMP OFF Listener Parameter File /oracle/network/admin/listener.ora Listener Log File /oracle/network/log/listener.log Listener Trace File /oracle/network/trace/listener.trc Listening Endpoints Summary... (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net))) (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))) (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=2484))) Services Summary... Service "sales1.us.example.com" has 1 instance(s). Instance "sales", status READY, has 1 handler(s) for this service... Service "sales2.us.example.com" has 1 instance(s). Instance "sales", status READY, has 2 handler(s) for this service... The command completed successfully
1.5.22 STOP
用途
指定したリスナーを停止します。
前提条件
リスナーが実行されていることが必要です。
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl STOP listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> STOP listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
例
LSNRCTL> STOP Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) The command completed successfully
1.5.23 TRACE
用途
リスナーのトレースを設定します。
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl trace level listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> trace level listener_name
引数
level: 次のいずれかのトレース・レベル
-
off
: トレースを出力しません。 -
user
: ユーザー用のトレース情報を出力します。 -
admin
: 管理用のトレース情報を出力します。 -
support
: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
使用上のノート
このコマンドは、SET TRC_LEVEL
コマンドの機能と同じです。
例
LSNRCTL> TRACE ADMIN lsnr Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) Opened trace file: /oracle/network/trace/listener.trc The command completed successfully
1.5.24 VERSION
用途
リスナー制御ユーティリティの現行のバージョンを表示します。
前提条件
なし
構文
オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。
lsnrctl VERSION listener_name
リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。
LSNRCTL> VERSION listener_name
引数
listener_name: デフォルト名のLISTENER
を使用しない場合は、リスナー名を指定します。
例
LSNRCTL> version listener Connecting to ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) TNSLSNR for Linux: Version 12.2.0.1.0 TNS for Linux: Version 12.2.0.1.0 Oracle Bequeath NT Protocol Adapter for Linux: Version 12.2.0.1.0 Unix Domain Socket IPC NT Protocol Adaptor for Linux: Version 12.2.0.1.0 TCP/IP NT Protocol Adapter for Linux: Version 12.1.0.1.0 The command completed successfully