Oracle ASMフレックス・ディスク・グループの管理
Oracle ASMでは、フレックス・ディスク・グループおよび拡張ディスク・グループを使用したデータベース指向のストレージ管理を提供します。
Oracle ASMフレックス・ディスク・グループとは、Oracle ASMファイル・グループをサポートするディスク・グループ・タイプです。Oracle ASMファイル・グループは、データベースに属するファイルのグループを表し、ファイル・グループまたはデータベースのレベルでストレージ管理の実行を可能にします。Oracle ASM拡張ディスク・グループには、拡張(ストレッチ)クラスタ環境で使用できるように固有の設計を備えた、フレックス・ディスク・グループのすべての機能があります。
このセクションのトピックは次のとおりです:
Oracle ASMフレックス・ディスク・グループについて
Oracle ASMフレックス・ディスク・グループとは、Oracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループをサポートするディスク・グループ・タイプです。
一般に、フレックス・ディスク・グループを使用すると、ユーザーはディスク・グループ・レベルに加えて、データベースの粒度でストレージを管理できるようになります。
フレックス・ディスク・グループの特性を次に示します。
-
フレックス・ディスク・グループ内のファイルの冗長性は柔軟性があり、データベース・レベルでのストレージ管理を可能にします。
-
フレックス・ディスク・グループのファイル・グループは、データベース・ファイルを表すのに使用されます。
各データベースには独自のファイル・グループがあり、ディスク・グループ・レベルに加えて、ファイル・グループ・レベルでストレージ管理を実行できます。たとえば、ファイル・グループによって異なる冗長性およびリバランスの設定を指定できます。複数のファイル・グループが1つの割当て制限グループに関連付けられ、割当て管理がしやすくなります。
-
フレックス・ディスク・グループの冗長性設定は
FLEX
REDUNDANCY
に設定され、フレックス・ディスク・グループの各ファイル・グループには独自の冗長性プロパティ設定があります。 -
フレックス・ディスク・グループでは通常、
HIGH
冗長性のディスク・グループと同様に2つの障害が許容されます。ただし、ディスク・グループの障害グループが5つ未満の場合、許容される障害は1つのみです。この制限は、ディスク・グループのクォーラム要件の結果です。
-
データベースによって許容される障害は、フレックス・ディスク・グループ内の関連するファイル・グループの冗長性設定によって決まります。
-
フレックス・ディスク・グループには、少なくとも3つの障害グループが必要です。
-
ALTER
DISKGROUP
SQL文のCONVERT
REDUNDANCY
TO
FLEX
句を使用すると、NORMAL
またはHIGH
冗長性グループに対してフレックス・ディスク・グループへの移行(変換)を実行できます。EXTERNAL
冗長性ディスク・グループはFLEX
冗長性ディスク・グループに移行できません。 -
フレックス・ディスク・グループを移行する際、ディスク・グループには少なくとも3つの障害グループが必要で、移行中は制限モード(
MOUNTED
RESTRICTED
)でマウントする必要があります。 -
割当て単位(AU)のデフォルト・サイズは、4 Mです。
-
仮想割当てメタデータ(VAM)は、フレックス・ディスク・グループに対して使用可能であり、必須です。
-
COMPATIBLE.ASM
ディスク・グループ属性とCOMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性を12.2
以上に設定する必要があります。
注意:
V$ASM_DISKGROUP
ビューのREQUIRED_MIRROR_FREE_MB
列およびUSABLE_FILE_MB
列はフレックス・ディスク・グループに対する値がないことをレポートします。
次の例に、SQL文を使用してフレックス・ディスク・グループを作成して移行する方法を示します。
例4-13 CREATE DISKGROUPを使用したフレックス・ディスク・グループの作成
SQL> CREATE DISKGROUP flex_data FLEX REDUNDANCY DISK my_disk_discovery_path;
例4-14 ALTER DISKGROUPを使用したフレックス・ディスク・グループへの標準ディスク・グループの移行
SQL> ALTER DISKGROUP data MOUNT RESTRICTED; SQL> ALTER DISKGROUP data CONVERT REDUNDANCY TO FLEX;
Oracle ASMファイル・グループについて
Oracle ASMファイル・グループとは、同じ一連のプロパティおよび特性を共有するファイルのグループです。
ファイル・グループの主な利点は、同じディスク・グループを共有するデータベースそれぞれに異なる可用性を指定できることです。
Oracle ASMファイル・グループのプロパティ・セットには、冗長性、リバランス再構築の優先順位、リバランス指数の制限、クライアントの互換性、ストライプ化、割当て制限グループおよびアクセス制御リストが含まれています。
次に、ファイル・グループに関する重要な注意事項を示します。
-
ディスク・グループには、少なくとも1つのファイル・グループ(デフォルトのファイル・グループ)が含まれます。
-
ディスク・グループには、複数のファイル・グループを含めることができます。
-
ファイル・グループを含めるには、ディスク・グループに
FLEX
またはEXTENDED
冗長性が必要です。 -
ディスク・グループには、複数のデータベース(それぞれが別個のファイル・グループを保持)に属するファイルを格納できます。
-
データベースは、1つのディスク・グループに1つのファイル・グループのみ保持できます。
-
データベースは、複数のディスク・グループ(様々なディスク・グループにファイル・グループが複数存在)にまたがってもかまいません。複数のディスク・グループ内の、1つのデータベースに属するファイル・グループはすべて、一貫性のためと簡単に識別できるように同じ名前にします。
-
ファイル・グループは、1つのディスク・グループにのみ属することができます。
-
ファイル・グループは、1つのデータベース、PDB、CDB、ボリュームまたはクラスタのみを表すことができます。
-
ファイル・グループは、1つの割当て制限グループにのみ属することができます。
-
自動的に作成されたファイル・グループは、汎用割当て制限グループに関連付けられます。
-
データベース、PDBまたはCDBの作成時、既存のファイル・グループに、データベース、PDBまたはCDBのIDまたは名前と一致するクライアントIDまたは名前がある場合は、ファイルを表すのにそのファイル・グループが使用されます。それ以外の場合は、新しいファイル・グループがデータベース、PDBまたはCDBに対して作成されます。
-
データベース作成操作の結果として自動的に作成されるファイル・グループは、システム作成として識別されます。システム作成のこのファイル・グループは、データベースを削除したときに削除されます。ただし、ファイル・グループを手動で作成する場合は、関連するデータベースを削除してもそのファイル・グループは自動的に削除されません。手動で作成したファイル・グループは、明示的に削除する必要があります。
次の図に、マルチテナント環境でのOracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループの使用方法を示します。異なるディスク・グループ内のファイル・グループおよび割当て制限グループには同じ名前を付けることができます。
図で、ディスク・グループ1およびディスク・グループ2のPDB1というファイル・グループはプラガブル・データベースPDB1専用、ディスク・グループ1およびディスク・グループ2のPDB2というファイル・グループはプラガブル・データベースPDB2専用、ディスク・グループ1およびディスク・グループ2のPDB3というファイル・グループはプラガブル・データベースPDB3専用です。
ディスク・グループ1のファイル・グループPDB1は、ディスク・グループ1の割当て制限グループQGRP1に属します。ディスク・グループ2のファイル・グループPDB1は、ディスク・グループ2の割当て制限グループQGRP1に属します。ディスク・グループ1のファイル・グループPDB2およびPDB3は、ディスク・グループ1の割当て制限グループQGRP2に属します。ディスク・グループ2のファイル・グループPDB2およびPDB3は、ディスク・グループ2の割当て制限グループQGRP2に属します。
ファイル・グループはSQL文を使用して管理できます。たとえば、ALTER DISKGROUP
SQL文のFILEGROUP
句を使用してファイル・グループを管理できます。例4-15に、SQL文を使用してプラガブル・データベースのファイル・グループを追加する方法を示します。また、このSQL文では、新しく追加したファイル・グループを既存の割当て制限グループに関連付けています。例4-16に、ファイル・グループ内の特定のファイル・タイプのredundancy
プロパティを変更する方法を示します。
例4-15 データベースへのファイル・グループの追加
ALTER DISKGROUP DiskGroup_1 ADD FILEGROUP FileGroup_PDB1
DATABASE PDB1
SET 'quota_group' = 'QuotaGroup_QGRP1';
ALTER DISKGROUP DiskGroup_1 ADD FILEGROUP FileGroup_PDB2
DATABASE PDB2
SET 'quota_group' = 'QuotaGroup_QGRP2';
例4-16 ファイル・グループの変更
ALTER DISKGROUP DiskGroup_1 MODIFY FILEGROUP FileGroup_PDB1
SET 'datafile.redundancy' = 'HIGH';
ASMCMDでも、ファイル・グループと割当て制限グループを管理および追跡するコマンドがサポートされています。次のコマンドがあります。
-
chfg
およびchqg
: ファイル・グループまたは割当て制限グループを変更する場合 -
lsfg
およびlsqg
: ファイル・グループまたは割当て制限グループをリストする場合 -
mkfg
およびmkqg
: ファイル・グループまたは割当て制限グループを作成する場合 -
rmfg
およびrmqg
: ファイル・グループまたは割当て制限グループを削除する場合 -
mvfg
: ファイル・グループを移動する場合
Oracle ASMファイル・グループを監視するには、V$ASM_FILEGROUP
、V$ASM_FILEGROUP_PROPERTY
およびV$ASM_FILEGROUP_FILE
の各ビューを確認できます。
関連項目:
-
割当て制限グループの詳細は、「Oracle ASMファイル・グループの割当て制限グループについて」
-
Oracle ASMファイル・グループを管理するASMCMDコマンドの詳細は、「ASMCMDファイル・グループ管理コマンド」
-
V$ASM*
動的パフォーマンス・ビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』
Oracle ASMファイル・グループのプロパティについて
次に、ファイル・グループのプロパティをまとめます。
-
COMPATIBLE.CLIENT
これは、ファイル・グループ・プロパティです。現行値は、ファイル・オープン操作で最後に認識されたクライアント互換性です。
COMPATIBLE.CLIENT
のデフォルト値は12.2.0.0.0
です。COMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性は、次の値以下に設定する必要があります。-
各ファイル・グループの
COMPATIBLE.CLIENT
(設定されている場合) -
(Oracle ASMに接続しているデータベースごとに)
COMPATIBLE
データベース初期化パラメータ -
ディスク・グループの
COMPATIBLE.ASM
このプロパティを変更するには、Oracle ASM管理者である必要があります。
-
-
OWNER
これは、ファイル・グループ・プロパティです。
OWNER
プロパティを設定するには、ACCESS_CONTROL.ENABLED
ディスク・グループ属性をTRUE
に設定してOracle ASMファイル・アクセス制御を有効にする必要があります。所有者として指定するユーザーは、ディスク・グループのメンバーである必要があります。Oracle ASM管理者、
OWNER
、ファイル・グループに関連付けられたUSER_GROUP
のOWNER
およびファイル・グループに関連付けられたUSER_GROUP
のメンバーのみが、A database administrator can modify this property
(このプロパティはデータベース管理者が変更できます)というラベルが付いているファイル・グループの属性を変更できます。これは、ACCESS_CONTROL.ENABLED
がtrueの場合のみ、当てはまります。V$ASM_FILEGROUP
ビューのUSER_NUMBER
列とUSER_INCARNATION
列とともに所有者を表示できます。USER_NUMBER
およびUSER_INCARNATION
の値をV$ASM_USER
ビューのUSER_NUMBER
列およびINCARNATION
列と結合して、ユーザー名を表示できます。デフォルト値は
NULL
です。このプロパティを変更するには、Oracle ASM管理者である必要があります。
-
POWER_LIMIT
これは、ファイル・グループ・プロパティです。このプロパティは、このファイル・グループのディスクのリバランスのためのパラレル再配置数を決定するリバランス指数を指定します。有効な設定は、
1
から1024
です。ファイル・グループのリバランス時、指数制限値は次のように適用されます。-
指数オプションが
ALTER
DISKGROUP
REBALANCE
SQL文またはASMCMDrebal
コマンドに明示的に指定されている場合、SQLリバランス文またはASMCMDリバランス・コマンドに指定されている指数値が全ファイル・グループのリバランスに使用されます。 -
指数オプションがSQLリバランス文またはASMCMDリバランス・コマンドに指定されていない場合、ファイル・グループの
POWER_LIMIT
プロパティ値(設定されている場合)がファイル・グループのリバランスに適用されます。 -
指数オプションがSQLリバランス文またはASMCMDリバランス・コマンドに指定されておらず、
POWER_LIMIT
プロパティがファイル・グループに設定されていない場合、指数値はファイル・グループ・リバランスのASM_POWER_LIMIT
初期化パラメータの値にデフォルトで設定されます。
このプロパティを変更するには、データベース管理者である必要があります。
-
-
PRIORITY
これは、ファイル・グループ・プロパティです。このプロパティはリバランスの優先順位を指定し、特定のタイプのファイルが他のファイルよりも先にリバランスされるようにします。最初に優先順位が最も高いファイル・グループのリバランスが完了すると、優先順位が次に高いファイル・グループというように、優先順位が最も低いファイル・グループまで処理されます。
リバランス優先順位設定は、
HIGHEST
、HIGH
、MEDIUM
、LOW
またはLOWEST
に設定できます。デフォルト値は、MEDIUM
です。このプロパティを変更するには、データベース管理者である必要があります。
-
QUOTA_GROUP
これは、ファイル・グループ・プロパティです。このプロパティは、このファイル・グループが属する割当て制限グループの名前を指定します。有効な設定は、既存の割当て制限グループ名です。デフォルト値は、
GENERIC
です。ディスク・グループ内のファイル・グループはいずれも割当て制限グループのメンバーである必要があります。このプロパティを変更するには、Oracle ASM管理者である必要があります。
-
REDUNDANCY
これは、ファイル・タイプ・プロパティです。各ファイル・タイプのデフォルトの冗長性設定は、システム・テンプレートから導出されます。有効な設定は、
HIGH
、MIRROR
およびUNPROTECTED
です。ファイルの冗長性は、ファイルの作成後に変更できます。冗長性を変更すると、
V$ASM_FILE
のREMIRROR
列がY
となり、そのファイルではリバランスを開始する新しいミラー化を実行して新しい冗長性を有効にする必要があることを示します。リバランスが完了すると、REMIRROR
列の値はN
となります。ファイル・グループの冗長性を高くした場合、
V$ASM_FILE
のREDUNDANCY
列の値はリバランスの完了後に高くなります。ただし、ファイル・グループの冗長性を低くした場合、V$ASM_FILE
のREDUNDANCY
列の値はリバランスの実行直前に低くなります。ファイル・タイプの粒度またはファイル・グループ全体の冗長性を変更すると、すべてのファイル・タイプに作用します。
このプロパティを変更するには、データベース管理者である必要があります。
-
STRIPING
これは、ファイル・タイプ・プロパティで、ファイル・タイプごとに設定されます。通常、各ファイル・タイプのデフォルト値で十分であり、変更しません。
FINE
ストライプをデフォルトで保持する制御ファイルを除き、ほとんどのファイルがCOARSE
ストライプを保持します。有効な設定は、COARSE
およびFINE
です。デフォルト値はCOARSE
であるか、またはファイル・タイプ・テンプレートから導出されます。STRIPING
は、新規作成されるファイルにのみ作用し、ファイルの作成後に変更できません。このプロパティを設定するには、データベース管理者である必要があります。
-
USER_GROUP
これは、ファイル・グループ・プロパティです。
USER_GROUP
プロパティを設定するには、ACCESS_CONTROL.ENABLED
ディスク・グループ属性をTRUE
に設定してOracle ASMファイル・アクセス制御を有効にする必要があります。指定するユーザー・グループは既存のユーザー・グループである必要があります。Oracle ASM管理者、
OWNER
、ファイル・グループに関連付けられたUSER_GROUP
のOWNER
およびファイル・グループに関連付けられたUSER_GROUP
のメンバーのみが、A database administrator can modify this property
(このプロパティはデータベース管理者が変更できます)というラベルが付いているファイル・グループの属性を変更できます。これは、ACCESS_CONTROL.ENABLED
がtrueの場合のみ、当てはまります。V$ASM_FILEGROUP
ビューのUSERGROUP_NUMBER
列とUSERGROUP_INCARNATION
列を使用してユーザー・グループ情報を表示できます。USERGROUP_NUMBER
およびUSERGROUP_INCARNATION
の値をV$ASM_USERGROUP
ビューのUSERGROUP_NUMBER
列およびINCARNATION
列と結合して、ユーザー・グループ名を表示できます。ファイル・グループに作成されるファイルは
USER_GROUP
プロパティ設定を継承します。デフォルト値は
NULL
です。このプロパティを変更するには、Oracle ASM管理者である必要があります。
次の例に、datafile
およびarchivelog
の各ファイル・タイプにREDUNDANCY
ファイル・グループ・プロパティを設定する方法を示します。
例4-17 ファイル・グループ・プロパティの設定
ALTER DISKGROUP DiskGroup_2 MODIFY FILEGROUP FileGroup_PDB1
SET 'datafile.redundancy' = 'HIGH';
ALTER DISKGROUP DiskGroup_2 MODIFY FILEGROUP FileGroup_PDB1
SET 'archivelog.redundancy' = 'MIRROR';
関連項目:
-
Oracle ASMファイル・タイプのリストは、「Oracle ASMでサポートされるファイルのタイプ」
-
Oracle ASMファイル・アクセス制御の詳細は、「ディスク・グループのOracle ASMファイル・アクセス制御の管理」
Oracle ASMファイル・グループの割当て制限グループについて
割当て制限グループは、Oracle ASMファイル・グループのグループに割り当てられる割当て制限を定義します。ファイル・グループは、1つの割当て制限グループにのみ属します。ファイル・グループの詳細は、「Oracle ASMファイル・グループについて」を参照してください。
割当て制限は、様々なデータベースで使用される領域の総量を表すことがあります。
次に、ファイル・グループの割当て制限グループに関する重要な注意事項を示します。
-
ファイル・グループは、1つの割当て制限グループにのみ属することができます。
-
割当て制限グループは、複数のディスク・グループにまたがることはできません。
-
割当て制限グループは、同じディスク・グループ内のファイル・グループ(1つまたは複数)で使用される領域の総量を表します。
割当て制限は、ファイルの作成時およびサイズの変更時に強制適用されます。
-
割当て制限は、物理領域です。
そのため、割当て制限を10 Mに設定すると、双方向ミラー化された6 Mファイルは割当て制限を超えます。
-
各割当て制限グループは、制限値と現在の使用済領域の値の2つを保持します。
制限値は、現在の使用済領域を下回る値に設定できます。このアクションにより、この割当て制限グループに関連付けられているファイル・グループによって表されるファイルに追加の領域が割り当てられるのを防ぎます。
-
ファイル・グループは、ファイル・グループに対して十分な領域がターゲット割当て制限グループにあるかどうかに関係なく、割当て制限グループ間で移動できます。
この機能を使用すると、Oracle ASM管理者は、特定のファイル・グループによって表されるファイルに追加の領域が割り当てられるのを抑制できます。
割当て制限グループはSQLコマンドおよびASMCMDコマンドを使用して管理できます。次の例に、SQL文を使用して割当て制限グループをディスク・グループに追加する方法と、現在の割当て制限から新しい割当て制限グループにファイル・グループを移動する方法を示します。
例4-18 ディスク・グループへの割当て制限グループの追加
ALTER DISKGROUP DiskGroup_2 ADD QUOTAGROUP QuotaGroup_QGRP3
SET 'quota'= 10m;
例4-19 新しい割当て制限グループへのファイル・グループの移動
ALTER DISKGROUP DiskGroup_2 MODIFY FILEGROUP FileGroup_PDB1
SET 'quota_group' = 'QuotaGroup_QGRP3';
Oracle ASM拡張ディスク・グループについて
Oracle ASM拡張ディスク・グループには、物理的に別々の複数のサイトにまたがるノードが含まれている、拡張(ストレッチ)クラスタ環境で使用できるように固有の設計を備えたフレックス・ディスク・グループのすべての機能があります。
拡張ディスク・グループの特徴は、次のとおりです。
-
拡張ディスク・グループの冗長性設定は
EXTENDED
REDUNDANCY
に設定されており、拡張ディスク・グループの各ファイル・グループには独自の冗長性プロパティ設定があります。 -
拡張ディスク・グループ内のファイルおよびファイル・グループの冗長性は、ディスク・グループごとではなく、サイトごとに指定されます。
これは、
REDUNDANCY
設定で決定されるコピー数にデータ・サイト数を乗じるということです。REDUNDANCY
がMIRROR
に設定されている場合、2つのコピーを指定すると、2つのデータ・サイトのコピー数は合計4つになります。 -
拡張ディスク・グループでは、サイト全体の損失に加えて別のサイトの障害グループが最大2つまで許容されます。
これは、拡張ディスク・グループが障害グループ・レベルに加えてサイト・レベルでも障害を許容できるということです。
-
すべてのデータ・サイトは、ディスク・グループの作成時に、同じ数の障害グループを持つ必要があります。
-
割当て制限グループは、サイトごとではなく、ディスク・グループごとに指定されます。
-
割当て制限グループの制限は、すべてのサイトのすべてのコピーに必要な物理的な領域です。
たとえば、冗長性設定が
MIRROR
に設定された6Mのファイルは、2つのデータ・サイトでは、24Mの割当て制限を使用します。 -
拡張ディスク・グループを作成するには、2つのデータ・サイトと1つのクォーラム・サイトの合計3つのサイトが必要になります。各データ・サイトには3つの障害グループがあり、クォーラム・サイトには1つの障害グループがある必要があります。
-
データベース・ファイルの場合、冗長性設定は、拡張ディスク・グループのファイル・グループの冗長性設定によって決まります。
-
COMPATIBLE.ASM
ディスク・グループ属性とCOMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性を12.2
以上に設定する必要があります。 -
最小の割当て単位(AU)のサイズは4Mです。
-
別のディスク・グループから拡張ディスク・グループへの変換はサポートされていません。
-
障害グループの
SITE
指定は、Oracle Exadataが構成されている場合に、セルから推測できます。それ以外の場合、サイト指定は、ディスク・グループの作成時にSQL文を使用して指定できます。
注意:
V$ASM_DISKGROUP
ビューのREQUIRED_MIRROR_FREE_MB
列およびUSABLE_FILE_MB
列は、拡張ディスク・グループの値を報告しません。
次の例は、SQL文を使用して拡張ディスク・グループを作成する方法を示します。
例4-20 拡張ディスク・グループでのCREATE DISKGROUPの使用
SQL> CREATE DISKGROUP extended_site_data EXTENDED REDUNDANCY SITE NY FAILGROUP fg1 DISK '/devices/disks/disk01' FAILGROUP fg2 DISK '/devices/disks/disk02' FAILGROUP fg3 DISK '/devices/disks/disk03' SITE NJ FAILGROUP fg4 DISK '/devices/disks/disk04' FAILGROUP fg5 DISK '/devices/disks/disk05' FAILGROUP fg6 DISK '/devices/disks/disk06' SITE QM QUORUM FAILGROUP fg7 DISK '/devices/disks/disk07';