Oracle ASMのアップグレードおよびパッチ適用

この項では、次の項目について説明します。

注意:

  • Oracle RAC環境では、Oracle Clusterwareバージョン番号が、Oracle Databaseに適用するパッチのバージョンと最低でも同じである必要があります。

  • Oracle Grid Infrastructureホームにパッチを適用した後に、Oracle Databaseホームにパッチを適用する必要があります。

Oracle ASMローリング・アップグレードについて

Oracle ASMのローリング・アップグレードでは、データベースの可用性に影響を及ぼすことなく、クラスタ化されたOracle ASMノードのアップグレードやパッチ適用を独立して行うことができるため、稼働時間を増すことができます。

ローリング・アップグレードとは、クラスタ内の1つ以上のノードが異なるソフトウェア・バージョンを使用している場合に、Oracle ASMクラスタ環境の一部の機能が動作し続けるということです。Oracle Clusterwareのローリング・アップグレードの実行時に、Oracle ASMのローリング・アップグレードを実行することをお薦めします。

ローリング・アップグレードを実行するには、環境を準備する必要があります。Oracle ASMのローリング・アップグレードを開始する前に、Oracle Clusterwareを次のパッチまたはリリースに完全にアップグレードする必要があります。また、高可用性と最大稼働時間を保証するために、ローリング・アップグレードの方法でOracle Clusterwareを準備する必要があります。

Oracle ASMは、Oracle Grid InfrastructureのホームにあるOracle 11gリリース2(11.2)以上のOracle Clusterwareでアップグレードされています。

注意:

  • ローリング・アップグレードはクラスタ化されたOracle ASMインスタンスにのみ適用され、Oracle Database 11g以上の環境でのみ実行できます。この機能を使用して、Oracle Database 10gからOracle Database 11gにアップグレードすることはできません。

  • Oracle Exadataストレージが存在する場合、Oracle ASMインスタンスのローリング・アップグレードの実行の詳細は、Oracle Exadataのドキュメントを参照してください。

関連項目:

Oracle ASMローリング・パッチについて

クラスタ化されたOracle ASM環境でパッチを適用して、Oracle ASMクラスタまたはストレージにOracle ASMを使用するデータベース・クラスタの全体的な可用性に影響することなく、ノードを一度に1つずつ最新のパッチ・レベルに更新できます。

ALTER SYSTEM ROLLING PATCH SQL文によって、ローリング・パッチを起動および停止できます。次に例を示します。

SQL> ALTER SYSTEM START ROLLING PATCH;

SQL> ALTER SYSTEM STOP ROLLING PATCH;

クラスタの状態についてSYS_CONTEXT SQL問合せを実行して、クラスタがローリング・パッチ・モードであるかどうかを特定できます。クラスタがローリング・パッチ・モードのユーザーへの報告に、(ローリング・パッチでの)新しい状態が追加されます。

例3-2での問合せは、ローリング・パッチに関する情報を表示します。これらの問合せを実行するには、GridホームでOracle ASMインスタンスに接続し、Oracle RAC環境用のOracle Clusterwareオプションを指定してGrid Infrastructureホームを構成する必要があります。

V$PATCHESビューを問い合せることによって、ノードおよびクラスタ上に適用されたすべてのパッチIDを表示できます。

ローリング・パッチ用のASMCMDコマンドは、次のとおりです。

  • showclusterstate

  • showpatches

  • showversion

例3-2 ローリング・パッチ・モードおよびパッチ・レベルの確認

SELECT SYS_CONTEXT('SYS_CLUSTER_PROPERTIES', 'CLUSTER_STATE') FROM DUAL;

SELECT SYS_CONTEXT('SYS_CLUSTER_PROPERTIES', 'CURRENT_PATCHLVL') FROM DUAL;

関連項目: