4 データ・ポンプのレガシー・モード

データ・ポンプのレガシー・モードでは、オリジナルのエクスポート・パラメータおよびインポート・パラメータを、データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートのコマンドラインで使用できます。

オリジナルのエクスポート(exp)およびインポート(imp)を使用している場合は、長年使用してきたスクリプトが存在することがあります。データ・ポンプでは、データ・ポンプで既存のスクリプトを引き続き使用できるレガシー・モードが提供されるようになりました。

コマンドラインまたはスクリプトのいずれかにオリジナルのエクスポートまたはインポートに特有のパラメータが存在するとデータ・ポンプで判断されると、データ・ポンプはレガシー・モードに入ります。そのパラメータがデータ・ポンプで処理されると、データ・ポンプ・エクスポートまたはデータ・ポンプ・インポートと同等のパラメータが表示されます。新しい構文を確認し、時間があるときにスクリプトを変更することをお薦めします。

ノート:

データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポート・ユーティリティでは、データ・ポンプ形式のダンプ・ファイルとログ・ファイルのみ、作成および読取りが実行されます。オリジナルのエクスポートやインポートと互換性のあるダンプ・ファイルが作成されたり、読み込まれることはありません。オリジナルのエクスポートで作成されたダンプ・ファイルがある場合は、オリジナルのインポートを使用してデータベースにデータをインポートする必要があります。

4.1 パラメータのマッピング

この項では、パラメータのマッピングについて説明します。

この項では、オリジナルのエクスポートおよびインポートのパラメータと、同様の機能を持つデータ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートのパラメータとのマッピング関係について説明します。

4.1.1 データ・ポンプでのオリジナルのエクスポート・パラメータの使用

対応するデータ・ポンプ・パラメータにマップするオリジナルのエクスポート・パラメータがある場合は、そのエクスポート・パラメータをデータ・ポンプ・エクスポートで使用できます。

表4-1に、オリジナルのエクスポート・パラメータがデータ・ポンプ・エクスポートでどのように解釈されるかを示します。オリジナルのエクスポートとデータ・ポンプのエクスポートで名前と機能が同じパラメータは、この表に含まれていません。

表4-1 データ・ポンプ・エクスポートでのオリジナルのエクスポート・パラメータの扱い

オリジナルのエクスポート・パラメータ データ・ポンプ・エクスポート・パラメータでの処理

BUFFER

このパラメータは無視されます。

COMPRESS

このパラメータは無視されます。オリジナルのエクスポートの場合、COMPRESSパラメータは初期エクステントの管理方法に影響していました。オリジナルのエクスポートでは、COMPRESS=nに設定すると、初期エクステントと第2エクステントに対して現行の記憶域パラメータが使用されていました。

データ・ポンプ・エクスポートのCOMPRESSIONパラメータは、ダンプ・ファイルのデータ圧縮方法を指定するために使用されます。オリジナルのエクスポートのCOMPRESSパラメータとは関連がありません。

CONSISTENT

データ・ポンプ・エクスポートは現在の時刻を確認して、FLASHBACK_TIMEを使用します。

CONSTRAINTS

オリジナルのエクスポートでCONSTRAINTS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはEXCLUDE=CONSTRAINTSを使用します。

デフォルトの動作では、制約がエクスポートに含まれます。

DIRECT

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートでは、最適なエクスポート方法が自動的に選択されます。

FEEDBACK

データ・ポンプ・エクスポートのSTATUS=30コマンドが使用されます。STATUSコマンドでは、処理されている行に加えてエクスポート・ジョブの状態も返されるため、これは直接のマッピングではありません。

オリジナルのエクスポートでは、一定の行数(FEEDBACKコマンドで指定)の後にフィードバックが表示されていました。データ・ポンプ・エクスポートでは、STATUSで指定された秒数ごとに状態が表示されます。

FILE

データ・ポンプ・エクスポートは、FILEパラメータに対する指定パスまたはデフォルト・パスを確認します。また、スキーマに書込みアクセス権があるディレクトリ・オブジェクトが存在するかどうかも確認します。

データ・ポンプでのオリジナルのエクスポートのFILEパラメータの処理方法の詳細は、「データ・ポンプ・レガシー・モードでのファイルの場所の管理」を参照してください。

GRANTS

オリジナルのエクスポートでGRANTS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはEXCLUDE=GRANTを使用します。

オリジナルのエクスポートでGRANTS=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・エクスポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

INDEXES

オリジナルのエクスポートでINDEXES=nを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはEXCLUDE=INDEXパラメータを使用します。

オリジナルのエクスポートでINDEXES=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・エクスポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

LOG

データ・ポンプ・エクスポートは、LOGパラメータに対する指定パスまたはデフォルト・パスを確認します。また、スキーマに書込みアクセス権があるディレクトリ・オブジェクトが存在するかどうかも確認します。

データ・ポンプでのオリジナルのエクスポートのLOGパラメータの処理方法の詳細は、「データ・ポンプ・レガシー・モードでのファイルの場所の管理」を参照してください。

ログ・ファイルの内容は、データ・ポンプ・エクスポート操作の内容になります。ログ・ファイルの場所と内容については、「ログ・ファイル」を参照してください。

OBJECT_CONSISTENT

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートの処理では、エクスポートされる各オブジェクトの状態に一貫性があることが保証されています。

OWNER

データ・ポンプのSCHEMASパラメータが使用されます。

RECORDLENGTH

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートでは、バッファ・サイズは自動的に調整されます。

RESUMABLE

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートの場合、この機能はEXP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに自動的に提供されます。

RESUMABLE_NAME

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートの場合、この機能はEXP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに自動的に提供されます。

RESUMABLE_TIMEOUT

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・エクスポートの場合、この機能はEXP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに自動的に提供されます。

ROWS

オリジナルのエクスポートでROWS=yを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはCONTENT=ALLパラメータを使用します。

オリジナルのエクスポートでROWS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはCONTENT=METADATA_ONLYパラメータを使用します。

STATISTICS

このパラメータは無視されます。統計は、データ・ポンプ・エクスポート操作の一環として、表に対して常に保存されます。

TABLESPACES

オリジナルのエクスポートでTRANSPORT_TABLESPACE=nも指定していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはTABLESPACESパラメータを無視します。

オリジナルのエクスポートでTRANSPORT_TABLESPACE=yも指定していた場合、データ・ポンプ・エクスポートは、TABLESPACESパラメータに対して指定されていた名前を、データ・ポンプ・エクスポートのTRANSPORT_TABLESPACESパラメータに対して使用します。

TRANSPORT_TABLESPACE

オリジナルのエクスポートでTRANSPORT_TABLESPACE=n(デフォルト)を使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはTABLESPACESパラメータを使用します。

オリジナルのエクスポートでTRANSPORT_TABLESPACE=yを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはTRANSPORT_TABLESPACESパラメータを使用し、メタデータのみがエクスポートされます。

TRIGGERS

オリジナルのエクスポートでTRIGGERS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはEXCLUDE=TRIGGERパラメータを使用します。

オリジナルのエクスポートでTRIGGERS=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・エクスポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

TTS_FULL_CHECK

オリジナルのエクスポートでTTS_FULL_CHECK=yを使用していた場合、データ・ポンプ・エクスポートはTRANSPORT_FULL_CHECKパラメータを使用します。

オリジナルのエクスポートでTTS_FULL_CHECK=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・エクスポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

VOLSIZE

オリジナルのエクスポートでVOLSIZEパラメータが使用されている場合、それはダンプ・ファイルの指定場所がテープ・デバイスであることを意味します。テープ・デバイスは、データ・ポンプ・エクスポートのダンプ・ファイル形式でサポートされていません。したがって、この操作はエラーが発生して終了します。

4.1.2 データ・ポンプでのオリジナルのインポート・パラメータの使用

データ・ポンプ・パラメータにマップするオリジナルのインポート・パラメータがある場合は、そのインポート・パラメータをデータ・ポンプ・インポートで使用できます。

表4-2に、オリジナルのインポート・パラメータがデータ・ポンプ・インポートでどのように解釈されるかを示します。オリジナルのインポートとデータ・ポンプのインポートで名前と機能が同じパラメータは、この表に含まれていません。

表4-2 データ・ポンプ・インポートでのオリジナルのインポート・パラメータの扱い

オリジナルのインポート・パラメータ データ・ポンプ・インポート・パラメータでの処理

BUFFER

このパラメータは無視されます。

CHARSET

このパラメータは、数リリース前からサポートされなくなりました。今後は使用しないでください。このパラメータは、データ・ポンプ・インポート操作が中断される原因になります。

COMMIT

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・インポートでは、表の処理が終了するたびにコミットが自動的に実行されます。

COMPILE

このパラメータは無視されます。データ・ポンプ・インポートでは、プロシージャの作成後にコンパイルが実行されます。依存性の理由で必要な場合は、再コンパイルを実行できます。

CONSTRAINTS

オリジナルのインポートでCONSTRAINTS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはEXCLUDE=CONSTRAINTパラメータを使用します。

オリジナルのインポートでCONSTRAINTS=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・インポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

DATAFILES

データ・ポンプ・インポートのTRANSPORT_DATAFILESパラメータが使用されます。

DESTROY

オリジナルのインポートでDESTROY=yを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはREUSE_DATAFILES=yパラメータを使用します。

オリジナルのインポートでDESTROY=nを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・インポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

FEEDBACK

データ・ポンプ・インポートのSTATUS=30コマンドが使用されます。STATUSコマンドでは、処理されている行に加えてインポート・ジョブの状態も返されるため、これは直接のマッピングではありません。

オリジナルのインポートでは、一定の行数(FEEDBACKコマンドで指定)の後にフィードバックが表示されていました。データ・ポンプ・インポートでは、STATUSで指定された秒数ごとに状態が表示されます。

FILE

データ・ポンプ・インポートは、FILEパラメータに対する指定パスまたはデフォルト・パスを確認します。また、スキーマに書込みアクセス権があるディレクトリ・オブジェクトが存在するかどうかも確認します。

データ・ポンプでのオリジナルのインポートのFILEパラメータの処理方法の詳細は、「データ・ポンプ・レガシー・モードでのファイルの場所の管理」を参照してください。

FILESIZE

このパラメータは無視されます。この情報はデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットにすでに含まれています。

FROMUSER

データ・ポンプ・インポートのSCHEMASパラメータが使用されます。TOUSERを使用せずにFROMUSERが使用されていた場合は、IMP_FULL_DATABASEロールを持つインポート・スキーマによって、データ・ポンプ・インポートでスキーマが作成され、そのスキーマのオブジェクトがインポートされます。IMP_FULL_DATABASEロールを持っていないインポート・スキーマは、ダンプ・ファイル・セットから自分のスキーマのみをインポートできます。

GRANTS

オリジナルのインポートでGRANTS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはEXCLUDE=OBJECT_GRANTパラメータを使用します。

オリジナルのインポートでGRANTS=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・インポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

IGNORE

オリジナルのインポートでIGNORE=yを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはTABLE_EXISTS_ACTION=APPENDパラメータを使用します。これにより、表データの処理が続行されます。

オリジナルのインポートでIGNORE=nを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・インポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

INDEXES

オリジナルのインポートでINDEXES=nを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはEXCLUDE=INDEXパラメータを使用します。

オリジナルのインポートでINDEXES=yを使用していた場合、そのパラメータは無視されます。その指定はデータ・ポンプ・インポートのデフォルトの動作であるため、再マップする必要はありません。

INDEXFILE

データ・ポンプ・インポートのSQLFILE={directory-object:}filenameおよびINCLUDE=INDEXパラメータが使用されます。

FILEパラメータに対してディレクトリ・オブジェクトを検索する場合の方法と手順が、INDEXFILEパラメータに対しても同様に適用されます。

オリジナルのインポートでディレクトリ・オブジェクトが指定されていなかった場合は、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトがデータ・ポンプ・インポートで使用されます。

LOG

データ・ポンプ・インポートは、LOGパラメータに対する指定パスまたはデフォルト・パスを確認します。また、スキーマに書込みアクセス権があるディレクトリ・オブジェクトが存在するかどうかも確認します。

データ・ポンプでのオリジナルのインポートのLOGパラメータの処理方法の詳細は、「データ・ポンプ・レガシー・モードでのファイルの場所の管理」を参照してください。

ログ・ファイルの内容は、データ・ポンプ・インポート操作の内容になります。ログ・ファイルの場所と内容については、「ログ・ファイル」を参照してください。

RECORDLENGTH

このパラメータは無視されます。データ・ポンプの場合、レコード長に関する問題は内部で処理されます。

RESUMABLE

このパラメータは無視されます。この機能はIMP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに対して自動的に提供されます。

RESUMABLE_NAME

このパラメータは無視されます。この機能はIMP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに対して自動的に提供されます。

RESUMABLE_TIMEOUT

このパラメータは無視されます。この機能はIMP_FULL_DATABASEロールを付与されているユーザーに対して自動的に提供されます。

ROWS=N

オリジナルのインポートでROWS=nを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはCONTENT=METADATA_ONLYパラメータを使用します。

オリジナルのインポートでROWS=yを使用していた場合、データ・ポンプ・インポートはCONTENT=ALLパラメータを使用します。

SHOW

SHOW=yが指定されている場合、データ・ポンプ・インポートのSQLFILE=[directory_object:]file_nameパラメータを使用して、インポート操作のDDLがファイルに書き込まれます。指定ファイルには、(ダンプ・ファイルの全体の内容ではなく)DDLのみが書き込まれます。(これは、オリジナルのインポートなので、画面に出力は表示されません。)

DUMPFILEパラメータ(またはDUMPFILEに再マップされる、オリジナルのインポートのFILEパラメータ)で指定された名前がファイルの名前になります。指定されているダンプ・ファイル名が複数ある場合は、最初に指定されているファイル名が使用されます。ファイルは、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトの場所か、DUMPFILEパラメータに含まれるディレクトリ・オブジェクトに配置されます。(DUMPFILEパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトが優先されます。)

STATISTICS

このパラメータは無視されます。統計は、データ・ポンプ・インポート操作の一環として、表に対して常に保存されます。

STREAMS_CONFIGURATION

このパラメータは無視されます。この値はデータ・ポンプ・インポートによって自動的に決定されるため、指定する必要はありません。

STREAMS_INSTANTIATION

このパラメータは無視されます。この値はデータ・ポンプ・インポートによって自動的に決定されるため、指定する必要はありません。

TABLESPACES

オリジナルのインポートでTRANSPORT_TABLESPACE=n(デフォルト)も指定されていた場合、データ・ポンプ・インポートはTABLESPACESパラメータを無視します。

オリジナルのインポートでTRANSPORT_TABLESPACE=yも指定していた場合、データ・ポンプ・インポートは、このTABLESPACESパラメータに対して指定されていた名前を、データ・ポンプ・インポートのTRANSPORT_TABLESPACESパラメータに適用します。

TOID_NOVALIDATE

このパラメータは無視されます。型比較に、OIDは使用されなくなりました。

TOUSER

データ・ポンプ・インポートのREMAP_SCHEMAパラメータが使用されます。オリジナルのインポートより多くのオブジェクトをインポートできます。また、ターゲットのスキーマがまだ存在していない場合は、データ・ポンプ・インポートで作成することもできます。

オリジナルのインポートでFROMUSERパラメータも指定されている必要があります。指定されていない場合は、操作が失敗します。

TRANSPORT_TABLESPACE

TRANSPORT_TABLESPACEパラメータは無視されますが、DATAFILESパラメータも指定した場合、インポート・ジョブはメタデータのロードを続行します。DATAFILESパラメータを指定しない場合、ORA-39002:invalid operationエラー・メッセージが返されます。

TTS_OWNERS

このパラメータは無視されます。この情報はデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットに自動的に保存されます。

VOLSIZE

オリジナルのインポートでVOLSIZEパラメータが使用されている場合、それはダンプ・ファイルの指定場所がテープ・デバイスであることを意味します。テープ・デバイスは、データ・ポンプ・インポートのダンプ・ファイル形式でサポートされていません。したがって、この操作はエラーが発生して終了します。

4.2 データ・ポンプ・レガシー・モードでのファイルの場所の管理

オリジナルのバージョンはクライアントベース、データ・ポンプはサーバーベースであるため、オリジナルのエクスポートとインポート、およびデータ・ポンプ・エクスポートとデータ・ポンプ・インポートは、ダンプ・ファイルとログ・ファイルの書込み/読取りを行える場所によって異なります。

オリジナルのエクスポートおよびインポートでは、FILEパラメータとLOGパラメータを使用して、それぞれダンプ・ファイル名とログ・ファイル名を指定します。これらのファイル名は常にクライアント・システムに対してローカルなファイルを参照し、パスの指定を含めることもできます。

データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートでは、DUMPFILEパラメータとLOGFILEパラメータを使用して、それぞれダンプ・ファイル名とログ・ファイル名を指定します。これらのファイル名は常にサーバー・システムに対してローカルなファイルを参照し、パス情報を含めることはできません。かわりに、ディレクトリ・オブジェクトを使用して、パス情報を間接的に指定します。ディレクトリ・オブジェクトによって定義されるパス値は、サーバーからアクセスできる必要があります。ディレクトリ・オブジェクトは、データ・ポンプ・ジョブ用にDIRECTORYパラメータを使用して指定されます。DUMPFILEパラメータおよびLOGFILEパラメータに渡されるファイル名にディレクトリ・オブジェクトを付加することもできます。データ・ポンプを使用する特権ユーザーは、ディレクトリ・オブジェクトがコマンドラインで指定されていない場合に、デフォルト・ディレクトリ・オブジェクトを使用できます。このデフォルトのディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIRは、インストール時に設定されます。

データ・ポンプのレガシー・モードを有効にし、オリジナルのエクスポートのFILE=filespecパラメータまたはLOG=filespecパラメータ(あるいはその両方)をコマンドラインに指定すると、次の優先順位ルールで、ファイルの場所が決まります。

ノート:

コマンドラインにFILEパラメータとLOGパラメータの両方を指定した場合は、優先順位ルールがそれぞれのパラメータに個別に適用されます。

また、オリジナルのエクスポートおよびインポートとデータ・ポンプ・エクスポート、データ・ポンプ・インポートのパラメータが混在する場合は、個別のルールがそれぞれ適用されます。たとえば、次のコマンドを指定したとします。

expdp system FILE=/user/disk/foo.dmp LOGFILE=foo.log DIRECTORY=dpump_dir

この項で説明したとおり、データ・ポンプのレガシー・モードによるファイル管理ルールが、FILEパラメータに適用されます。通常の(レガシー・モードではない)データ・ポンプのファイル管理ルールは、「ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置」で説明されているとおりに、LOGFILEパラメータに適用されます。

  1. パスの位置がファイル指定の一部として指定されると、データ・ポンプはエクスポート・ジョブを実行するスキーマからアクセスでき、そのパスの位置がファイル指定でのパスの位置に一致するディレクトリ・オブジェクトの検索を試行します。そのようなディレクトリ・オブジェクトが見つからないと、エラーが返されます。たとえば、USER_DUMP_FILESという名前のサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトが'/disk1/user1/dumpfiles/'のパス値とともに定義されていて、このディレクトリ・オブジェクトへの読取り/書込みアクセス権限がhrスキーマに付与されているとします。次のコマンドを実行すると、データ・ポンプはそのパス値に'/disk1/user1/dumpfiles/'が含まれ、そのhrスキーマに読取り/書込みアクセス権限が付与されているサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトを探します。

    expdp hr FILE=/disk1/user1/dumpfiles/hrdata.dmp
    

    その場合、データ・ポンプはディレクトリ・オブジェクトUSER_DUMP_FILESを使用します。この例で使用されているパス値'/disk1/user1/dumpfiles/'は、Oracle Databaseからアクセスできるサーバー・システム上のパスを参照している必要があります。

    パスの位置がファイル指定の一部として指定されている場合は、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトが無視されます。たとえば、次のコマンドを実行すると、データ・ポンプはファイル・パラメータのDPUMP_DIRディレクトリ・オブジェクトを使用せず、かわりにそのパス値に'/disk1/user1/dumpfiles/'が含まれ、そのhrスキーマに読取り/書込みアクセス権限が付与されているサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトを探します。

    expdp hr FILE=/disk1/user1/dumpfiles/hrdata.dmp DIRECTORY=dpump_dir
    
  2. パスの位置がファイル指定の一部として指定されない場合は、DIRECTORYパラメータに指定されたディレクトリ・オブジェクトが使用されます。たとえば、次のコマンドを実行すると、データ・ポンプはDPUMP_DIRディレクトリ・オブジェクト用に定義されたパスの位置をhrdata.dmpファイルに適用します。

    expdp hr FILE=hrdata.dmp DIRECTORY=dpump_dir
    
  3. パスの位置がファイル指定の一部として指定されず、DIRECTORYパラメータにディレクトリ・オブジェクトが指定されていない場合は、データ・ポンプによって次のように動作が順次実行されます。

    1. データ・ポンプはDATA_PUMP_DIR_schema_nameという形式のディレクトリ・オブジェクトを探します。ここでのschema_nameは、データ・ポンプ・ジョブを実行するスキーマです。たとえば、次のコマンドを実行すると、データ・ポンプはDATA_PUMP_DIR_HRという名前のサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトを探します。

      expdp hr FILE=hrdata.dmp
      

      また、hrスキーマには、このディレクトリ・オブジェクトへの読取り/書込みアクセス権限が付与されている必要があります。そのようなディレクトリ・オブジェクトが存在しないとき、処理はステップbに進みます。

    2. データ・ポンプは、クライアントベースの環境変数DATA_PUMP_DIRを探します。たとえば、DUMP_FILES1という名前のサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトが定義されていて、hrスキーマにそのオブジェクトへの読取り/書込みアクセス権限が付与されているとします。その場合は、クライアント・システムで、次のようにDUMP_FILES1を指すように環境変数DATA_PUMP_DIRを設定します。

      setenv DATA_PUMP_DIR DUMP_FILES1
      expdp hr FILE=hrdata.dmp
      

      データ・ポンプは、次にサーバーベースのディレクトリ・オブジェクトDUMP_FILES1hrdata.dmpファイルに対して使用します。

      クライアントベースの環境変数DATA_PUMP_DIRが存在しないとき、処理はステップcに進みます。

    3. データ・ポンプ・ジョブを実行するスキーマにDBA権限があると、デフォルトのデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIRが使用されます。このデフォルトのディレクトリ・オブジェクトは、インストール時に設定されます。たとえば、次のコマンドを実行すると、データ・ポンプはシステムにDBA権限があるとみなし、デフォルトのDATA_PUMP_DIRディレクトリ・オブジェクトを使用しようとします。

      expdp system FILE=hrdata.dmp

関連項目:

通常モードのデータ・ポンプ(レガシー・モードではない)でのデータ・ポンプのファイル管理優先順位ルールの詳細は、「ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置」を参照してください

4.3 データ・ポンプのログ・ファイルとエラーに対する既存のスクリプトの調整

この項では、データ・ポンプのログ・ファイルとエラーに対して既存のスクリプトを調整する方法について説明します。

データ・ポンプのレガシー・モードを使用する場合は、オリジナルのエクスポートおよびインポート用に作成された既存のスクリプトを確認して更新する必要があります。これは、ファイルの形式およびエラーのレポート処理が異なるためです。

4.3.1 ログ・ファイル

データ・ポンプのエクスポートおよびインポートで作成されるログ・ファイルは、オリジナルのエクスポートおよびインポートとは形式が異なります。

オリジナルのエクスポートおよびインポートの出力を解析するスクリプトがある場合は、データ・ポンプのエクスポートおよびインポートで使用されるログ・ファイル形式を扱えるように更新する必要があります。たとえば、「Successfully Terminated」というメッセージは、データ・ポンプのログ・ファイルには表示されません。

4.3.2 エラー

データ・ポンプのエクスポートおよびインポートと、オリジナルのエクスポートおよびインポートとでは、生成されるエラーが異なる場合があります。

たとえば、データ・ポンプ・エクスポートで無視されるパラメータが、オリジナルのエクスポートで範囲外の値である場合、ログ・ファイルに書き込まれるのは、パラメータは無視されるという情報メッセージです。値のチェックは実行されないため、エラー・メッセージは生成されません。

4.3.3 終了ステータス

データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートには、エクスポート・ジョブとインポート・ジョブの成功または失敗をスクリプトでより適切に判定できるようにするための、拡張された終了状態の値があります。

終了状態を参照するスクリプトは、必要に応じて確認および更新する必要があります。