Oracle Grid Infrastructureのアップグレードの概要

Oracle DatabaseインストールがOracle Grid Infrastructure上にあり、アップグレード計画にOracle Grid Infrastructureのアップグレードを含める必要がある場合、これらのトピックを参照してください。

Oracle Grid Infrastructure (Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management)上のOracle Databaseインストールは、Oracle Grid Infrastructureより新しいバージョンにすることができません。Oracle Grid InfrastructureにインストールされたOracle Databaseをアップグレードする前に、まずOracle Grid Infrastructureをアップグレードします。この要件は、単一インスタンスとOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)の両方のOracle Databaseインストールに適用されます。

Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Clusterwareのアップグレードの推奨事項

Oracle Grid Infrastructure、Oracle ASMおよびOracle Real Application Clustersのアップグレードでは、これらのユーザー、パス、グループおよびメモリーの要件と推奨事項を参照してください。

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は、既存のインストール・ホームとは別の新しいホームにインストールする必要があります。Oracle Grid InfrastructureとOracle RACに個別のGridホームおよびOracleホームを用意することで、クラスタ内のノードのアップグレードに必要な停止時間が短縮され、エンタープライズ内のクラスタのプロビジョニングが容易になります。クラスタのアップグレードに必要な計画停止時間を短縮することで、可用性サービス・レベルを満たし、エンタープライズ全体への標準インストールも可能になります。

  • Oracle Databaseをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアを新しいGridホームに、およびOracle Database 12cソフトウェアを新しいOracleホームにインストールする必要があります。これは、スタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用のOracle Grid Infrastructureにも適用されます。サポートされているリリースからのみアップグレードできます。

  • Windows x64プラットフォームで、Oracle Clusterwareをリリース10.2.0.5または11.1.0.7からリリース12.1にアップグレードするには、Oracle Clusterwareで11.2.0.4への中間アップグレードを実行する必要があります。Oracle Clusterwareのリリース11.2.0.4へのアップグレード後に、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイル(VDSK)をOracle ASMに移動する必要があります。その後、Oracle Clusterwareをリリース11.2.0.4からリリース12.1にアップグレードできます。

  • WindowsまたはRAWデバイスのOCFSにOracle Clusterwareファイルを格納するOracle Databaseリリース10.2.0.5またはリリース11.1.0.7環境をアップグレードする場合、Oracle Database 12cへ直接アップグレードすることはできません。

  • Oracle Databaseのリリース10.2.0.5では、Oracleユーザー(通常、oracle)がすべてのOracleソフトウェア・インストールを所有していた、またはOracle Databaseソフトウェアはoracleが所有し、Oracle Clusterwareソフトウェアは別のユーザー(通常、crsuser)が所有していました。

  • Oracle Databaseリリース11.1以上では、リリース10.2.0.5のOracle Clusterwareソフトウェアを所有するユーザー・アカウントが、Oracle Clusterwareリリース11.1.0.7のアップグレードを実行する必要があります。このアップグレードを実行するユーザー・アカウントは、以前のリリースのASMホームを所有するユーザーでもある必要があります。以前のASMホームの所有者が異なる場合、Oracle ASMソフトウェアのインストール所有者のユーザー・アカウントを、Oracle ClusterwareのOracleホーム(CRSホーム)を所有する同じユーザー・アカウントに変更する必要があります。アップグレードを実行する前に、この変更を完了する必要があります。

  • Oracle Databaseリリース11.1.07および10.2.0.5では、構成にOracle ASMが含まれていない場合は、クラスタ同期サービス(CSS)デーモンを停止し、deleteオプションを指定してlocalconfigコマンドを実行することによって、システムからCSSサービスを削除する必要があります。次に例を示します。

    ORACLE_HOME/bin/localconfig delete
    
  • Oracle Clusterwareのアップグレード時に、OUIによってOracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)が自動的にコールされ、Oracle Grid InfrastructureホームのOracle Automatic Storage Managementのアップグレードが実行されます。Grid Infrastructureホームは、各ノードに対してローカルにできます。

  • Linuxプラットフォームのインストールでは、Oracle Databaseの最高のパフォーマンスを得るためにHugePagesを使用することをお薦めします。HugePagesが有効になっているサーバー上のOracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseをアップグレードする場合、HugePagesのメモリー割当て要件を確認することをお薦めします。

    Oracle Grid Infrastructureインストールには、グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ(GIMR)が含まれます。HugePagesがクラスタ・メンバー・ノードで構成されている場合、GIMRのシステム・グローバル領域(SGA)は、HugePagesメモリーにインストールされます。GIMRのSGAは、HugePagesメモリーを最大1GBまで占有します。Oracle Grid Infrastructureは、クラスタにインストールされたOracle Databaseより前に起動します。

    クラスタ・メンバー・ノードのオペレーティング・システムのHugePagesに対するメモリー割当てが、クラスタのすべてのOracle Databaseインスタンスに対応するSGAのサイズにとって不十分な場合、1つ以上のOracle Database SGAがHugePagesではなく通常のページにマップされ、期待するパフォーマンスに到達しないことがあります。この問題を回避するには、アップグレードを計画するときに、HugePages用に予約するメモリーが、メモリー要件に対応するのに十分な大きさであることを確認してください。

  • 単一インスタンス構成では、Oracle ASMおよびOracle Restartは、Oracle Grid Infrastructureホームから実行されます。Oracle ASMおよびOracle Restartは、Oracle Grid Infrastructure 12cに同時にアップグレードされます。

  • Oracle ASMディスク・グループのデータベース互換性属性が、init.oraで設定されている互換性パラメータと同じであることを確認する必要があります。

参照:

Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Managementのアップグレードの実行方法の詳細は、オペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』および付録を参照してください

アップグレード時にローカル・ノード上で実行している必要のあるOracle Clusterware

ローリング・アップグレードでのOracle Clusterwareアップグレードの変更を理解し、この手順を使用して、Oracle Clusterwareがローカル・ノード上で確実に起動されるようにします。

Oracle Database 12c以上では、Oracle Real Application Clustersの非ローリング・アップグレードで、ローカル・ノード上のOracle Clusterwareが起動および稼働している必要があります。ローカル・ノード上のOracle Clusterwareスタックは稼働している必要があります。

Oracle Databaseの以前のリリースでは、クラスタのnon-rollingオプションを選択することは、アップグレード処理の開始前に、OUIによってすべてのスタック停止でISROLLINGfalseに設定されることを意味しました。このオプションでは、クラスタ・ノードのいずれかが起動していた場合、ISROLLINGtrueに設定されました。ただし、Oracle Database 12cでは、ローリングとは、アップグレード前にローカル・スタックが起動しており、他のスタックは停止している必要があることを意味します。この状況においてのみ、OUIによってISROLLINGfalseに設定されます。

  1. Oracle Clusterwareスタックが稼働しているノード上でOUIインストーラを実行するか、端末を開きます。

  2. rootまたは管理者としてログインします。

  3. Oracle Clusterwareホーム(Gridホーム)にディレクトリを変更(cd)し、次のコマンドを入力してOracle Clusterwareを起動します。

    # crsctl start crs

DBUAを使用したOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースのアップグレードの概要

Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用して、既存のOracle RACデータベースをOracle Databaseの現行リリースにアップグレードすることをお薦めします。

DBUAの指示に従ってアップグレード処理を実行し、新しいリリースのデータベースを構成します。DBUAはアップグレード処理を自動化し、表領域、オンラインREDOログ・ファイルなどの構成オプションの適切な推奨値を示します。

手動でOracle RACデータベースをアップグレードする場合、ほとんどのアップグレード操作はシステムの1つのノードのみで実行します。一部のステップでは、複数のクラスタ・メンバー・ノードで操作を実行する必要があることに注意してください。

参照:

ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』

アクセス不可能ノードのアップグレード

この手順を使用して、force cluster upgradeコマンドを使用する場合にアクセス不可能なノードをアップグレードします。

Oracle Database 12c以上では、ノードを削除するかわりに(アクセス不可能ノードの以前のリリースでは必要な方法でした)、アクセス不可能ノードを結合できます。ノードを結合する前に、そのノードに新しいOracle Database 12cソフトウェアをインストールしておく必要があります。

アクセス不可能ノードまたは到達不可能ノードで次のコマンドを実行し、それらをアップグレードしてクラスタに結合します。

$ rootupgrade.sh -join -existingnode upgraded_node

このコマンドのupgraded_node変数は、すでにアップグレードされているクラスタ内のノードの1つを参照します。-existingNode引数は、アップグレードされたノードを指定する必要があります。

参照:

force cluster upgradeの手順の詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください

Oracle RACで時間の同期を行う場合の要件の概要

Oracle Clusterware 12cのOracle Clusterwareでは、Oracle RACのデプロイ時にクラスタ内のすべてのノードで時間の同期を行う必要があります。

時間の同期には2つの方法があります。

  • オペレーティング・システムで構成されたネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)

    または

  • Oracleクラスタ時刻同期化サービス

参照:

NTPおよびOracleクラスタ時刻同期化サービスの構成の詳細は、オペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

ASMを使用するOracle RACおよびOracle Databaseのアップグレードに関する推奨事項

Oracle ASMのアップグレード手順は、現行のOracle ASMリリースで変更されています。

Oracle ASMは、Oracle Grid Infrastructureコンポーネントのインストール時にインストールされます。Oracle ASMは、Oracle RACとともにクラスタにインストールされた場合はOracle Clusterwareと、スタンドアロン・サーバーにインストールされた場合はOracle RestartとOracleホームを共有します。新しいOracle Databaseのソフトウェアがシステム上にインストールされる前に、Oracle Grid InfrastructureをアップグレードするためのrootスクリプトによってOracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)が起動され、Oracle ASMが新しいリリースにアップグレードされます。

既存のOracle ASMインスタンスがある場合は、Oracle Grid Infrastructureをインストールするとき、またはインストール後にASMCAを使用してアップグレードできます。Oracle Database 12cの新しいソフトウェアのインストール時に、クラスタが検出されると、Oracle Universal Installer (OUI)によってスクリプトroot.shが実行されます。OUIでは、クラスタのノード上でrootスクリプトの実行作業を自動化するためのオプションが提供されています。OUIによるroot.shスクリプトの自動的な実行を可能にするための情報およびパスワードの入力が求められます。今後は、クラスタのノード上でroot.shスクリプトの実行作業を自動化するためのオプションが使用できます。

Oracle ASMインスタンスのシステム認証のアップグレードの概要

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)環境では、共有ASMパスワード・ファイルを作成できます。

パスワード・ファイルは、ORAPWDユーティリティによって作成されます。SYSASM権限を使用して、データベース管理の職責とストレージ管理の職責を分離することをお薦めします。さらに、Oracle ASMおよび各データベースに対して異なるオペレーティング・システム資格証明を作成することもできるようになっています。これにより、データベース管理の職責とストレージ管理の職責をさらに厳重に分離することが可能になります。たとえば、あるノード上のOracle ASMを使用しているデータベースがn個ある場合、SYS権限を持つメンバーのオペレーティング・システム資格証明グループをn+1セット構成できます(つまり、各データベース用のSYSDBA権限を持つOSDBAグループが1つずつと、Oracle ASMインスタンス用のSYSASM権限を持つOSASMグループが1つです)。

参照:

ディスク・グループでの共有パスワード・ファイルの管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください

Oracle ASMのシステム認証の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。