この章では、新しいEnterprise Managerシステム、Oracle Management Service(OMS)およびスタンドアロンOracle Management Agent(管理エージェント)をインストールするために、各プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)で必要なパッケージ、カーネル・パラメータ設定およびライブラリについて説明します。
この章の具体的な内容は次のとおりです。
注意:
Microsoft Windowsプラットフォームでは、パッケージおよびライブラリは必要ありません。
この項では、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)にOMSまたは管理エージェントをインストールするために必要なパッケージを示します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードは前提条件チェックを実行してパッケージを確認します。パッケージが検出されない、またはパッケージが最低限必要なバージョン未満であることが検出された場合、ウィザードによりインストールまたはアップグレードを続行する前に必須バージョンの必須パッケージをインストールするよう求められます。
パッケージ名は、主にハイフンで区切られた名前とバージョンの2つの部分で構成されています。たとえば、libstdc++43-4.3
パッケージの場合、libstdc++43
がパッケージの名前で4.3
がそのバージョンです。
Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードは特定のプラットフォームに必要なパッケージの名前とバージョンを確認します。たとえば、libstdc++43-4.3がSUSE Linux Enterprise 11に必要で、libstdc++46-4.6.1がかわりに検出された場合、ウィザードがこれを欠落パッケージとして報告し、libstdc++43-4.3をインストールするよう求めます。これはlibstdc++46-4.6.1がlibstdc++43-4.3より高いバージョンではないためです。libstdc++46とlibstdc++43は2つの異なるパッケージです(前者は46、後者は43)。
必要なバージョン以上のパッケージはインストールできますが、異なるパッケージおよび必要なバージョン未満のパッケージはインストールできません。たとえば、libstdc++43-4.3がSUSE Linux Enterprise 11に必要で、libstdc++43-6.7がかわりに検出された場合、ウィザードはこれを問題として報告せず、前提条件チェックは正常に終了します。この場合は、libstdc++43-6.7が必要な最小バージョンのlibstdc++43-4.3より上位のバージョンのためです(前者後者とも43)。
このため、前提条件として、使用しているプラットフォームに応じて、この章で記載されている必要なパッケージのすべてをインストールしてください。
パッケージがシステムにインストールされているかどうかを識別するには、次のコマンドを実行します。コマンドを実行しても、Oracle Management Service用のパッケージ要件またはOracle Management Agent用のパッケージ要件に記載のパッケージが一覧表示されない場合は、手動でインストールしてください。
Linuxプラットフォームの場合
rpm -qa --queryformat "%{NAME}-%{VERSION}-%{RELEASE}(%{ARCH})\n" | grep glibc
このコマンドはシステムにインストールされているすべてのパッケージを一覧表示します。32ビットのパッケージには(i386)
または(i686)
が、64ビットのパッケージには(x86_64)
が付記されます。
たとえば、32ビット・システムでコマンドを実行すると、次のような一覧表示になります。
glibc-devel-2.3.4-2.43(i386) glibc-headers-2.3.4-2.43(i386) glibc-2.3.4-2.43(i686) compat-glibc-headers-2.3.2-95.30(i386) glibc-profile-2.3.4-2.43(i386) glibc-utils-2.3.4-2.43(i386) glibc-kernheaders-2.4-9.1.103.EL(i386) glibc-common-2.3.4-2.43(i386) compat-glibc-2.3.2-95.30(i386)
たとえば、64ビット・システムでコマンドを実行すると、次のような一覧表示になります。
glibc-common-2.3.4-2.43(x86_64) glibc-devel-2.3.4-2.43(x86_64) glibc-profile-2.3.4-2.43(x86_64) glibc-headers-2.3.4-2.43(x86_64) glibc-utils-2.3.4-2.43(x86_64) glibc-2.3.4-2.43(x86_64)
Solarisプラットフォームの場合
pkginfo <package_name>
次に例を示します。
pkginfo SUNWbtool
AIXプラットフォームの場合
lslpp -l <package name>
次に例を示します。
lslpp -l bos.perf.proctools
HPプラットフォームの場合
バンドル、製品またはファイルセットがインストールされているかを判断するには、次のコマンドを入力します(level
はバンドル、製品またはファイルセットのいずれかです)。
# /usr/sbin/swlist -l level |more
次に例を示します。
/usr/sbin/swlist -l bundle |grep QPK
表2-1は、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)に新しいEnterprise Managerまたは追加のOMSをインストールするために必要なパッケージを示します。
表2-1 Oracle Management Service用のパッケージ要件
プラットフォーム | 32ビット・プラットフォーム用の32ビット・パッケージ | 64ビット・プラットフォーム用の64ビット・パッケージ |
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Oracle Linux 7.x Red Hat Enterprise Linuxの場合 7 ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 7.2では、7はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
サポート対象外 |
|
Oracle Linux 6.x Red Hat Enterprise Linuxの場合 6 ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 6.2では、6はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
サポート対象外 |
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SUSE Linux Enterprise 12 |
サポート対象外 |
|
SUSE Linux Enterprise 11 |
サポート対象外 |
|
Solaris SPARC 5.11 注意 更新レベル10以上がSolarisプラットフォームでサポートされています。 |
サポート対象外 |
|
Solaris SPARC 5.10 Solarisローカル・コンテナでもサポートされます。 |
サポート対象外 |
SUNWbtool |
Solaris x86-64 5.11 |
サポート対象外 |
|
Solaris x86-64 5.10 |
サポート対象外 |
|
IBM AIX 7.1 注意: すべてのメンテナンス・レベルがサポートされます。 次のコマンドを使用して、メンテナンス・レベルを確認します。
|
サポート対象外 |
|
IBM AIX 6.1 注意: すべてのメンテナンス・レベルがサポートされます。 次のコマンドを使用して、メンテナンス・レベルを確認します。
|
サポート対象外 |
|
HP-UX Itanium 11.31 |
サポート対象外 |
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表2-2に、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)で管理エージェントをインストールするために必要なパッケージを示します。
表2-2 Oracle Management Agent用のパッケージ要件
プラットフォーム | 32ビット・プラットフォーム用の32ビット・パッケージ | 64ビット・プラットフォーム用の64ビット・パッケージ |
---|---|---|
Oracle Linux 7.x Red Hat Enterprise Linuxの場合 7 ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 7.2では、7はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
デフォルト・パッケージで十分です |
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Oracle Linux 6.x ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 6.2では、6はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
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Red Hat Enterprise Linuxの場合 6 |
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SUSE Linux Enterprise 12 |
サポート対象外 |
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SUSE Linux Enterprise 11 |
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|
Solaris SPARC 5.11 注意 更新レベル10以上がSolarisプラットフォームでサポートされています。 |
サポート対象外 |
|
Solaris SPARC 5.10 Solarisローカル・コンテナでもサポートされます。 |
サポート対象外 |
SUNWbtool |
Solaris x86-64 5.11 |
サポート対象外 |
|
Solaris x86-64 5.10 |
サポート対象外 |
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IBM AIX 7.1 注意: すべてのメンテナンス・レベルがサポートされます。 次のコマンドを使用して、メンテナンス・レベルを確認します。
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サポート対象外 |
|
IBM AIX 6.1 注意: すべてのメンテナンス・レベルがサポートされます。 次のコマンドを使用して、メンテナンス・レベルを確認します。
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サポート対象外 |
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HP-UX Itanium 11.31 |
サポート対象外 |
OS-Core(B.11.31) |
この項では、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)にOMSまたは管理エージェントをインストールするために必要なカーネル・パラメータを示します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
この項の内容は次のとおりです。
サーバーの予測負荷に対応できる十分なエフェメラル・ポートを提供するために、TCP/IPエフェメラル・ポート範囲のパラメータを設定します。下限を11,000以上に設定し、Well KnownポートとOracleおよびその他のサーバー・ポートで一般的に使用される登録済ポート範囲のポートを避けます。
使用するアプリケーションに予約済のポートを避けるようにポート範囲を高く設定します。範囲の下限が11,000を超え、予想されるワークロードに対して範囲が十分大きい場合は、エフェメラル・ポート範囲に関するOUI警告は無視できます。
たとえば、IPv4の場合は、次のコマンドを使用してエフェメラル・ポートの現在の範囲を確認します。
$ cat /proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range 32768 61000
上の例では、最低ポート(32768)および最高ポート(61000)はデフォルト範囲に設定されています。
必要に応じて、UDPとTCPのエフェメラル・ポート範囲を予想されるシステム・ワークロードに十分対応できるように高い範囲に更新し、エフェメラル・ポート範囲が11,000以上になるようにします。
次に例を示します。
# echo 11000 65000 > /proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range
これらの設定は永続的にすることをお薦めします。たとえば、root
として、テキスト・エディタを使用して/etc/sysctl.conf
を開き、net.ipv4.ip_local_port_range = 11000 65500
を追加またはこれに変更した後、ネットワークを再起動します(# /etc/rc.d/init.d/network restart
)。システムの再起動時にこのエフェメラル・ポート範囲の変更を自動化する方法の詳細は、ご使用のLinux分散システムの管理ドキュメントを参照してください。
kernel.shmmax
カーネル・パラメータの設定この項の内容は次のとおりです。
OMSおよび管理リポジトリが別のホストにある場合
OMSまたは管理リポジトリ(データベース)を、Linuxオペレーティング・システム(32ビットまたは64ビット)が稼働している異なるホストにインストールし、さらにOMSホストにインストールする場合、kernel.shmmax
パラメータを4GBより1バイト小さい値または4294967295に設定します。
あらゆる状況で他のアプリケーションがメモリー不足にならずにコア・ファイルを正常に生成できるようにするには、この値をお薦めします。
kernel.shmmax
パラメータに割り当てられた値を確認するには、次のコマンドを実行します。
cat /proc/sys/kernel/shmmax
kernel.shmmax
パラメータに値を設定するには、次のようにします。
rootとしてログインします。
/etc/sysctl.conf
ファイルを開きます。
kernel.shmmax
パラメータに4294967295
を設定します。
/etc/sysctl.conf
ファイルに値を設定すると、その値はシステムを再起動しても維持されます。SUSE Linux Enterprise Serverシステムでは、システムの再起動時に/etc/sysctl.conf
ファイルが読み取られるように、次のコマンドを実行してください。
# /sbin/chkconfig boot.sysctl on
カーネル・パラメータの現行値を変更するには、次のコマンドを実行します。出力を確認し、値が正しいことを確認します。値が正しくない場合は、/etc/sysctl.conf
ファイルを編集し、このコマンドを再び実行します。
# /sbin/sysctl -p
コマンド/sbin/sysctl -a
を入力して、値が正しく設定されていることを確認します。
/etc/sysctl.conf
ファイル内のカーネル・パラメータの値を更新した後、ホストを再起動するか、コマンドsysctl -p
を実行して、/etc/sysctl.conf
ファイルに対して行った変更がアクティブなカーネル・メモリーで有効になるようにします。
OMSおよび管理リポジトリが同じホストにある場合
Linuxオペレーティング・システム(32ビットまたは64ビット)で稼働している同じホストにOMSまたは管理リポジトリ(データベース)をインストールする場合、kernel.shmmax
パラメータを(目的のデータベース・リリースおよびプラットフォーム用に公開されている)『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』で説明されている値に設定します。
この項では、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)にOMSまたは管理エージェントをインストールするために必要なライブラリを示します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
表2-3は、各種プラットフォーム(32ビットおよび64ビット)に新しいEnterprise Managerシステムまたは追加のOMSをインストールするために必要なライブラリを示します。
表2-3 Oracle Management Service用のライブラリ要件
プラットフォーム | 32ビット・プラットフォーム用の32ビット・ライブラリ | 64ビット・プラットフォーム用の64ビット・ライブラリ |
---|---|---|
Oracle Linux 7.x Red Hat Enterprise Linux 7.x ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 7.2では、7はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
サポート対象外 |
glibc-2.17 |
Oracle Linux 6.x Red Hat Enterprise Linux 6.x ここで、xはOracle Linuxリリースのバージョンです。たとえば、Oracle Linux 6.2では、6はリリース番号で、2はバージョン番号です。 |
サポート対象外 |
glibc-2.12 |
SUSE Linux Enterprise 11 |
サポート対象外 |
glibc-2.11 |