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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control拡張プログラマーズ・ガイド
13cリリース2
E92081-01
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1 Enterprise Managerの拡張の概要

Oracle Enterprise Managerは、様々なOracleテクノロジおよびOracle以外のテクノロジを管理するOracleの管理製品スイートです。Enterprise Managerという名前は、実際には単一の製品を指すのではなく、製品のポートフォリオを指します。製品ポートフォリオの最上位に、Oracle Enterprise ManagerがOracle Database、Oracle Fusion MiddlewareおよびOracle Fusion Applicationsを含め、様々なテクノロジを管理するコンソールのセットで構成されています。

この章の構成は、次のとおりです。

1.1 Oracle Enterprise Managerプラットフォームの概要

Cloud Controlは、管理ツールを構築するための軽量、多層の拡張可能なプラットフォームを基盤としています。フレームワークは、Fusion Middlewareプラットフォームに基づいて構築されています。Cloud Controlプラットフォームの主要コンポーネントは、次の3つです。

図1-1 Enterprise Managerのアーキテクチャ



1.1.1 Oracle Management Service

Oracle Management Service (OMS)には、管理情報の記憶域と、ネットワークで管理されるすべてのエンティティに対する管理アクティビティの自動化の調整に使用するサービスが用意されています。Webベースのユーザー・インタフェース(Cloud Controlコンソール)を提供する機能もあります。

1.1.2 管理リポジトリ

管理リポジトリはOracle Databaseで、Enterprise Managerで管理されるエンティティの重要な管理情報がすべて格納されます。Oracle Management Service (OMS)では、管理リポジトリを使用して監視データなどの重要な情報を格納および取得します。

1.1.3 管理エージェント

管理エージェントは、Enterprise Managerで管理されるエンティティが存在するネットワーク内の様々なホストでEnterprise Managerのプロキシとして機能する軽量プロセスです。OMSと通信し、監視情報の収集および配信と、管理エンティティに対して実行される管理アクティビティの調整を行います。

1.1.4 Enterprise Managerへのインタフェース

次のツールおよびアプリケーションは、Enterprise Managerへのアクセスに使用できます。

  • Cloud Controlコンソール

    Cloud Controlコンソールは、監視、管理またはエンタープライズ構成のための管理コンテンツをユーザーに提供するユーザー・インタフェースです。

    詳細は、「Cloud Controlコンソール」を参照してください。

  • EM CLI

    Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EM CLI)では、様々なオペレーティング・システムのテキストベースのコンソール(シェルおよびコマンド・ウィンドウ)からEnterprise Manager Cloud Control機能にアクセスできます。

    詳細は、Oracle Enterprise Managerオンライン・ドキュメント・セットの拡張性ページで、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース』を参照してください。

    http://www.oracle.com/pls/em131/homepage
    
  • 管理リポジトリ・ビュー

    管理リポジトリ・ビューでは、管理リポジトリに格納されているターゲット、メトリックおよび監視情報にアクセスできます。

    詳細は、Oracle Enterprise Managerオンライン・ドキュメント・セットの拡張性ページで、Oracle Enterprise Manager Cloud Control拡張プログラマーズ・リファレンスの「管理リポジトリ・ビューの使用方法」を参照してください。

    http://www.oracle.com/pls/em131/homepage
    
  • クラウドのWebサービスAPI

    クラウドAPIを使用すると、Enterprise Managerをカスタムビルドまたはサード・パーティのセルフ・サービス・コンソールおよびサービス・デスクと統合できます。

    詳細は、Oracle Enterprise Managerオンライン・ドキュメント・セットの『Oracle Enterprise Manager Cloud管理ガイド』のクラウドのAPIに関する項を参照してください。

    http://www.oracle.com/pls/em131/homepage
    

1.2 Oracle Management Serviceについて

Oracle Management Service (OMS)層は、Java EE (Enterprise Edition) Webアプリケーションで、いくつかの主要コンポーネントに分けることができます。

  • 管理機能を実行するための管理コンソール

  • 管理エージェントによって管理対象ターゲットから収集された情報が一元管理される管理リポジトリ

  • 管理および保守サービス

管理サービス層は、パフォーマンスのために高性能な環境にさらに分散できます。たとえば、管理サービスが実行されているホストとは別のホストに管理リポジトリをインストールできます。また、フレームワークを管理対象ターゲット層に縮小して、スタンドアロン・デプロイメント構成(管理リポジトリ、管理サービスおよび管理エージェントが単一のホストに存在)をサポートできます。

一般的な構成では、Oracle Management Service (OMS)は管理対象ターゲットとは別のホストに存在します。集中管理が不要な企業向けの小規模なデプロイメントの場合、インフラストラクチャ層を単一のホストに縮小できます。

管理インフラストラクチャのOMS層には、監視、管理、構成、中心となるポリシー設定およびセキュリティなどの管理操作に使用される管理コンソールが含まれます。

1.2.1 Cloud Controlコンソール

Cloud Controlコンソールは、監視、管理またはエンタープライズ構成のための管理コンテンツをユーザーに提供するユーザー・インタフェースです。

Cloud Controlコンソールでは、Enterprise Managerサービスを使用して管理コンテンツをユーザーに表示します。管理者、マネージャまたは開発者は、自分の要件を最も満たすように概念化された管理情報のビューを参照できます。インタフェースのカスタマイズにより、表示する情報および特定のユーザーが実行できる操作を制御できます。たとえば、上位レベルのマネージャは、データベースの停止や起動などの管理機能を使用できない場合でも、サーバーの可用性ステータスを表示できます。

1.3 Oracle Management Agentについて

Oracle Management Agentは、ターゲットを識別し、それらのターゲットに関するデータを収集して環境における問題(高いCPU使用率など)を検出します。一般的な管理フレームワーク・デプロイメントでは、企業に属するホストごとに管理エージェントが1つあります。

管理エージェントは、そのホストで実行されている管理対象ターゲットを担当します。ターゲット、すなわちターゲット・インスタンスは、企業内で監視できるエンティティとして定義できます。このエンティティは、サーバーで実行されているアプリケーション、サーバー自体、ネットワーク、構成要素のいずれかです。

管理エージェントによって収集される情報を格納および処理するために、また管理エージェントに管理タスクの実行を指示するために、フレームワークのコア機能、すなわちOracle Management Serviceを提供するEnterprise Managerの部分に管理エージェントは依存しています。

管理エージェントは、ホスト上の管理アクティビティを調整します。一般的な構成では、1つの管理エージェントがホストで実行されます。ホスト・システム上のターゲットに対して管理タスクを実行します。管理エージェントの担当は、次のとおりです。

  • 管理タスクの実行

  • メトリック・データの収集および転送

  • アラートしきい値(警告およびクリティカル)の検出

1.4 Oracle Management Repositoryについて

Oracle Management Repository (管理リポジトリ)は、管理エージェントによって収集されたすべての情報が格納される記憶域です。管理リポジトリは、スキーマ定義、データベース・ジョブおよびOracleデータベース内で実行されるストアド・プロシージャで構成されています。管理リポジトリ内の情報には、次のものがあります。

  • 管理対象ターゲットに関する構成情報

  • 履歴メトリック・データおよびアラート情報

  • クライアントおよびWebサーバーのレスポンス時間情報

  • 管理対象ターゲットの可用性情報

  • 製品およびパッチのインベントリ情報

管理リポジトリに格納されている情報は、エンドツーエンドのレポートの作成や問題の診断などのタスクの他、サービス・レベルの契約、可用性レポートの作成に役立ちます。管理リポジトリに格納されている情報は、中央管理リポジトリを指すセントラル・コンソールにアクセスしている管理者間で人数に関係なく共有できます。

管理リポジトリは、OMSによって管理されるターゲットに関するすべての管理情報の包括的なソースです。管理リポジトリは、オープン・スキーマとして設計されています。これにより、Oracleの管理インフラストラクチャのユーザーは、デフォルトの機能がビジネス要件を満たすのに不十分であるときに、リポジトリ内の情報を使用する方法をカスタマイズできます。

Enterprise Managerのパートナである拡張開発キット(EDK)を使用している場合、拡張リポジトリを直接変更できません。レポート構成、アソシエーション導出、コンプライアンス・ルール評価、プラグインで構築されたカスタマイズされたUIでの管理情報の表示などの様々な領域で、リポジトリのパブリック・ビューから使用できる情報にアクセスできます。詳細は、このマニュアルの関連する項を参照してください。

1.5 メタデータ・プラグインについて

メタデータ・プラグイン(プラグイン)は、特定のタイプのターゲットを管理および監視するためにEnterprise Managerの機能を拡張します。プラグインは、ターゲットのメトリック・データを収集する方法について管理エージェントに指示し、収集されたデータで実行する内容についてOracle Management Service (OMS)に指示します。

プラグインは、Enterprise Managerフレームワーク内の様々な層で特定の機能を提供するメタデータ・ファイルのセットで構成されています。たとえば、ターゲット・タイプ・メタデータ・ファイルは、新しいターゲット・タイプの定義における不可欠な要素です。EDKには、デフォルト収集ファイルに加えてターゲット・タイプ・メタデータ・ファイルが、プラグイン・アーカイブ内での新しいプラグインの作成に必要です。

新しいターゲット・タイプをCloud Controlに導入すると、デフォルトでは、Enterprise Managerに含まれている管理機能が新しいターゲットに対して自動的にサポートされます。これには、次のようなコア管理機能があります。

  • メトリック収集およびアラート

  • 可用性およびブラックアウト

  • グループおよびシステム

  • デフォルトのシステム・レポート

  • その他の共通コンソール機能

また、EDKでサポートされるアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を使用して、ターゲット・タイプに対して追加の管理機能を有効にすることもできます。これには、次の機能があります。

  • 自動検出

  • ターゲット対ターゲットのアソシエーション

  • 構成管理

  • カスタム・ターゲット資格証明

  • 自動化(またはジョブ)

  • カスタム・レポート

  • コンプライアンス・ルールおよびコンプライアンス標準

  • 管理用のカスタム・ユーザー・インタフェース

これらの各管理機能には、追加のメタデータ・ファイルが必要です。また、プラグインにパッケージ化する必要があるスクリプトの作成が必要な場合もあります。