Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Managementによるプロセスの管理とモニタリング 12c (12.2.1.2.0) E82844-01 |
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Oracle Business Process Management Workspace (プロセス・ワークスペース)のユーザーは、「プロセス・モニター」ダッシュボードと標準ダッシュボード(つまり、プロセス・キューブ・スキーマで事前に計算されたデータに基づいた表示、グラフおよびドリルダウン)を使用およびカスタマイズできます。ダッシュボードには、プロセスの実行時に収集された標準メトリックが反映されます。
この章の内容は次のとおりです。
プロセス・ワークスペースには、「プロセス・モニター」ダッシュボードと標準ダッシュボードの2種類のダッシュボードがあります。
「プロセス・モニター」ダッシュボードを使用すると、ボトルネックやその他のパフォーマンス上の問題を特定することにより、プロセスの実行を監視および最適化することができます。
標準ダッシュボードでは、プロセスの実行時に収集された標準メトリックがグラフおよびドリルダウンとして提供されます。表示される情報は、以前にプロセス・キューブ・スキーマで計算されたデータに基づきます。
「プロセス・モニター」ダッシュボードを使用すると、プロセスの実行のパフォーマンスを監視したり、プロセスとアクティビティの問題を特定できます。
「プロセス・モニター」ダッシュボードを使用すると、監視するプロセスの選択、統計を表示する時間間隔の選択、情報の表示、およびパフォーマンスに影響を与える処理の問題を特定できるアラートの表示を行うことができます。
また、プロセス内のアクティビティに関連する、その他のアクティビティ・パフォーマンス統計が生成され、それらにアクセスして調査を行うことができます。
「プロセス・モニター」ダッシュボード(図6-1を参照)には、次のコントロールが含まれています。
プロセス - 監視するプロセスを選択します。
時間間隔 - 表示する時間間隔を選択します。選択肢は次のとおりです。
過去24時間
過去5日間
過去1か月
過去6か月間
過去1年間
すべて
完了済インスタンス - 選択した期間に完了したプロセス・インスタンスの数
失敗したインスタンス - 失敗したかその他のフォルトが発生したプロセス・インスタンスの数
平均時間 - プロセス・インスタンスの平均処理時間
処理時間 - プロセス・インスタンスの平均処理時間からの偏差(プラスまたはマイナス時間)
ズーム・コントロール
プロセス・ダイアグラム - ロールを示すスイムレーンを含む、プロセスの対話型ダイアグラム。
ペインのサイズを元に戻す - パフォーマンス・グラフが表示されます。
ボトルネックなど、処理の問題が発生しているアクティビティの周りには、黄色または赤色のハローが表示されます(図6-1を参照)。
アラートのタイプは次のとおりです。
アラートの詳細だけでなく、プロセスとアクティビティに関するその他の統計も表示できます。
アラートと統計の各カテゴリで提供されるフィールドの詳細は、「アクティビティ詳細ダイアログについて」を参照してください。
ハローの色は、処理の問題のタイプと重大度を表します。
黄色 - 時間の問題またはキューの問題が発生しています。
赤色 - 時間の問題とキューの問題の両方が原因でボトルネックが発生しているか、アクティビティの平均処理時間に関する履歴メトリックの数値が大幅に増加しています。
パフォーマンス・グラフを表示するには、「プロセス・モニター」ダッシュボードの右下隅にあるペインのサイズを元に戻すをクリックします。これにより、図6-2のようなパフォーマンス・グラフ・ペインが表示されます。
提供されるグラフは、「アクティビティごとのワークロード」と「アクティビティごとのパフォーマンス」の2つです。グラフ要素をクリックすると、それらの詳細を表示できます。これらは、「標準ダッシュボードの使用」で説明するグラフに似ています。
プロセス・ダイアグラム内でクリックしたアクティビティのプロセス監視情報は、ポップアップのアクティビティ詳細ダイアログ・ボックスに表示されます。
問題が発生しているアクティビティの詳細を表示するには、そのアクティビティの上にマウスを置き、表示された情報アイコンをクリックします(図6-3を参照)。
アクティビティの詳細は、アクティビティ詳細ダイアログに表示されます。異なるタイプの詳細を選択するには、ドロップダウン・リストからタイプを選択します。
重大な問題が発生していないアクティビティの統計を表示することもできます。これには、ユーザー・タスクや、BAMがイベント・メトリックを収集するよう構成されているその他のアクティビティが含まれます。
アクティビティ詳細ダイアログには、メトリックの様々なセットが表示されます。表示するメトリックをドロップダウンから選択します。選択肢は、アクティビティ・タイプと、処理の問題が発生しているかどうかによって異なります。
次の項では、様々なメトリック・タイプについて説明します。すべてのアクティビティで、すべてのメトリック・タイプを使用できるわけではないことに注意してください。
時間の問題
時間の問題が発生するのは、アクティビティの1つのインスタンスの実行にかかる時間が、プロセスの全体的な実行時間に影響を与えるほど長い場合です。
プロセスごとに、経過時間と完了までの推定時間の両方(さらに、それらの平均、最大、最小および差分)が計算されます。これらは、進行中のプロセスと同じ実行パスに従った、完了済のプロセス・インスタンスに基づきます。
表示されるフィールドは次のとおりです。
実行時間
完了済インスタンス
アクティブ・インスタンス
キューの問題
キューの問題が発生するのは、1つのアクティビティの実行時間が許容範囲内でも、実行を待機しているインスタンスの数が原因で、プロセスの実行時間に影響が出る場合です。
表示されるフィールドは次のとおりです。
実行時間
完了済インスタンス
アクティブ・インスタンス
平均からの主要増分
この問題がフラグ付けされるのは、アクティビティの実行時間が履歴の平均より大幅に長い場合です。分析は、プロセスの実行時間そのものには関連せず、プロセスの以前の動作と現在の動作の比較に基づきます。
表示されるフィールドは次のとおりです。
実行時間
完了済インスタンス
アクティブ・インスタンス
ボトルネック
ボトルネックが発生するのは、平均実行時間よりも大幅に長い時間がかかっているアクティビティが存在し、同時にキューの問題が発生している場合です。つまり、アクティビティのインスタンスが数多く存在し、各インスタンスの実行時間が長くなることが予想されます。その結果、プロセスの実行時間に悪影響が及びます。
ボトルネック検出アルゴリズムは、アクティビティごとの平均実行時間と、その平均からの偏差を考慮し、しきい値を計算します。アクティビティがしきい値を超えた場合、それらは全体的な処理時間に影響を与える可能性があります。現在実行中のアクティビティの推定時間が計算されます。合計実行時間と偏差が計算され、しきい値が提供されます。アクティビティの合計実行時間がこのしきい値を超えた場合、キューの問題が示されます。
アクティビティ詳細ダイアログに表示されるフィールドを次に示します。
実行時間
完了済インスタンス
アクティブ・インスタンス
メトリック
これは、完了したアクティビティのインスタンスの数に関連する汎用メトリックで、経過時間と完了までの推定時間を示す統計が含まれます。この情報は、プロセス・メトリックの情報を収集する、どのアクティビティに対しても提供されます。
表示されるフィールドは次のとおりです。
インスタンス
平均経過時間
最大経過時間
最小経過時間
経過時間の標準偏差
完了までの平均時間
完了までの最大時間
完了までの時間の標準偏差
ヒューマン・タスク
これらは、関連するタスクの実行時に取得されるメトリックです。この情報は、どのヒューマン・タスクに対しても提供されます。
表示されるフィールドは次のとおりです。
合計処理時間
合計待機時間
合計自動実行時間
期限切れタスク
期限に違反しているタスク
<user>の合計時間 - <user>プレースホルダのかわりにユーザー名が表示されます。
標準ダッシュボードは、プロセス・キューブ・スキーマで事前に計算されたデータに基づくグラフおよびドリルダウンです。標準ダッシュボードには、プロセスの実行時に収集された標準メトリックが反映されます。
各標準ダッシュボードで、左ペインの棒グラフをクリックすると、データが右ペインにグラフィカルに表示されます。右ペインのアイテムをクリックすると、特定のデータが下部のペインの「作業アイテム」パネルに表示されます。この項では、各タイプのダッシュボードの動作について説明します。
下部パネルの「作業アイテム」パネルのプレゼンテーションをカスタマイズできます。詳細は、プロセス・ワークスペースでのプロセス・インスタンスのプレゼンテーションのカスタマイズを参照してください。
この項では、次の項目について説明します。
2つのタイプの標準参加者ダッシュボードを使用して、次のものを分析できます。
参加者のワークロード
参加者のパフォーマンス
図6-5は、参加者ワークロード・ダッシュボードの例を示しています。
参加者ワークロード・ダッシュボードの左パネルには、すべてのプロセスにわたって各参加者で完了待ちのアクティブ・インスタンスの合計数が表示されます。特定の参加者のチャートに移動すると、右パネルに、選択した参加者または選択したロールで完了待ちのアクティブ・インスタンスの合計数がプロセス別に表示されます。最後のドリルダウンには、選択した参加者または選択したロールおよびプロセスで完了待ちのアクティブ・インスタンスが表示されます。
2つのタイプの標準プロセス・ダッシュボードを使用して、次のものを分析できます。
完了待ちのプロセス・インスタンスの数
プロセスごとに要した平均時間
図6-6は、プロセス・ワークロード・ダッシュボードを示しています。
プロセス・ワークロード・ダッシュボードの左パネルには、プロセスごとに完了待ちのアクティブ・インスタンスの合計数が表示されます。特定のプロセスに移動すると、右パネルに、選択したプロセスのアクティビティで完了待ちのアクティブ・インスタンスの合計数が表示されます。最後のドリルダウンには、選択したアクティビティおよびプロセスで完了待ちのアクティブ・インスタンスが表示されます。
プロセス・パフォーマンス・ダッシュボードの左パネルには、プロセスごとに要した平均時間が表示されます。特定のプロセスに移動すると、右パネルに、選択したプロセスのアクティビティで完了に要した平均時間が表示されます。最後のドリルダウンには、選択したアクティビティおよびプロセスで完了したインスタンスが表示されます。
図6-7は、プロセス・パフォーマンス・ダッシュボードを示しています。
標準ダッシュボードと同様に、カスタム・ダッシュボードは、プロセス・キューブ・スキーマで事前に計算されたデータに基づくグラフおよびドリルダウンです。カスタム・ダッシュボードには、プロセスの実行時に収集された標準メトリックおよびユーザー定義メトリックが反映されます。カスタム・ダッシュボードでは、ビジネス・インジケータを使用して指定された標準メトリックとユーザー定義メトリックの両方を使用して、新規グラフを定義できます。
注意:
BPM 12c以降、ユーザーにはBAM 12cコンポーザからのカスタム・ダッシュボードをモデル化して、BAM 12cの優れたダッシュボード機能を活用することが推奨されています。
参加者ディメンションを使用して作成したWorkspace 12cカスタム・ダッシュボードには、11gの互換性がある参加者データが引き続き表示されます。つまり、ワークロード・カスタム・ダッシュボードの場合、ユーザー・タスクのスイムレーンに対応する物理ロールが参加者として表示されます。参加者パフォーマンス・ダッシュボードの場合、ユーザー・タスクを最後に操作したユーザーのみが、参加者として表示されます。
カスタム・ダッシュボードを追加する手順は、プロセス・ワークスペースでのカスタム・ページの作成方法を参照してください。
グラフ・コンテンツは、データソースを定義して指定します。
「データソース」ダイアログ・ボックスの起動の詳細は、プロセス・ワークスペースでのカスタム・ページへの「ダッシュボード」パネルの追加方法を参照してください。
次のデータ・ソース情報を指定します。
名前: データソース識別子を指定します。
タイトル: データソースの表示中に使用されるタイトルを指定します。
グラフ・タイプ: 次のグラフ・タイプのリストから1つを選択します:
面
パーセント面
積上げ面
横棒
パーセント横棒
積上げ横棒
棒
パーセント棒
積上げ棒
折れ線
パーセント折れ線
積上げ折れ線
円
円-棒
複数円
プロセス: リストからプロセスを選択します。
選択したプロセスに関連するすべてのビジネス・インジケータがデータソース定義で使用可能になります。
データ型: 次のいずれかのサポート対象のデータ型を選択します。
ワークロード
アクティビティと測定のサンプリング
プロセス・レベル・サンプリング
ディメンション
系列: ディメンションを指定します。
系列変数によってデータが分類されます。系列変数の値は、チャート内の凡例エリアのラベルに表示されます。
範囲の使用: 範囲のあるディメンションに範囲を使用する場合に選択します。
グループ: 系列で使用されるディメンションをグループ化するために使用するディメンションを指定します。
グループ変数によってもデータが分類されます。グループ変数の値は、チャート内の軸の1つに沿ってラベルとして表示されます。
範囲の使用: 範囲のあるディメンションに範囲を使用する場合に選択します。
注意:
グループおよび系列の変数を一緒に使用して、チャート・データのネストされた分類化を実行できます。この場合、系列の値は各グループの下に表示されます。たとえば、カスタマごと(系列)の各製品(グループ)の合計売上げなどがあります。
系列へドリルダウン: リスニング・ダッシュボード・パネルに渡されるドリルダウン系列変数を選択します。
その結果、ドリルダウン・ダッシュボードがリスニング・ダッシュボード・パネル内に表示されます。詳細は、「プロセス・ワークスペースでのパネル間通信の確立」を参照してください。
範囲の使用: 範囲のあるディメンションに範囲を使用する場合に選択します。
表6-1には、「データ型」の選択に基づいて使用可能な標準ディメンションがまとめられています。また、プロセス固有のディメンションもすべて使用可能です。
表6-1 使用可能な標準ディメンション
ディメンション | ワークロード | アクティビティと測定のサンプリング | プロセス・サンプリング |
---|---|---|---|
ディメンション: 系列 |
リビジョンロールアクティビティ参加者 |
リビジョンロールアクティビティ参加者完了日 |
リビジョン完了日 |
ディメンション: グループ |
参加者 |
参加者完了日 |
完了日 |
メジャー
変数: 測定を指定します。
表6-2には、「データ型」の選択に基づいて使用可能な標準測定のリストがまとめられています。また、プロセス固有の測定もすべて使用可能です。
表6-2 使用可能な標準測定
変数 | ワークロード | アクティビティと測定のサンプリング | プロセス・サンプリング |
---|---|---|---|
変数 |
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操作タイプ: 選択した測定変数に適用される集計関数を指定します
表6-3には、様々なデータ型の選択に対して使用可能な操作タイプがまとめられています。
表6-3 使用可能な操作タイプ
操作 | ワークロード | アクティビティと測定のサンプリング | プロセス・サンプリング |
---|---|---|---|
操作タイプ |
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値タイプ: 「値」、「日」、「時間」、「分」、「秒」または「パーセンテージ」のいずれかの値を選択します。
注意:
ダッシュボード・ページを開いているときに新規プロセスがデプロイされた場合、その新規プロセスは、プロセス・ワークスペースをログアウトして再度ログインするまで、「データソース」ダイアログ・ボックスには表示されません。
フィルタ
メジャー変数、系列およびグループに基づいてフィルタ条件を追加できます。フィルタ条件を追加できるのは、「プロセス」リストからプロセスを選択している場合のみです。「プロセス」リストで「すべて」を選択している場合、「フィルタ」セクションは使用不可です。
注意:
ビジネス・インジケータにフィルタを追加すると、指定した条件に基づく値が除外されます。その結果として生成されたアイテムのセットに、集計(合計または平均)が適用されます。たとえば、1000を超えるすべてのビジネス・インジケータ値の平均を計算しようとする場合は、BI <Greater or equals> 1000などのフィルタを設定し、「操作タイプ」に「平均」を設定します。その結果、1000を超えるビジネス・インジケータ値が最初に収集され、その後、平均を求める計算が実行されます。
この項では、プロセス・ワークスペースのダッシュボードに適用可能な、プロセス・データの可視性ルールについて説明します。
この項では、次の項目について説明します。
この項では、ワークロードのサンプリング・データに適用可能な制限、およびプロセス・ワークスペース内の特定のアクティビティを表示するために、ユーザーに必要なアプリケーション・ロールについて説明します。制限は次のとおりです。
アクティビティとユーザー・タスク参加者のワークロードは、対応するswimlane
アプリケーション・ロール、processowner
アプリケーション・ロール、bpmprocessadmin
アプリケーション・ロールまたはBPMDashboardViewer
アプリケーション・ロールのメンバーが表示できます。
プロセスが組織単位と関連付けられている場合、対応するワークロードのサンプリング・データは、組織単位メンバー、bpmprocessadmin
アプリケーション・ロールのメンバーまたはBPMDashboardViewer
アプリケーション・ロールのメンバーに制限されます。
この項では、アクティビティと測定のサンプリング・データに適用可能な制限、およびプロセス・ワークスペース内の特定のアクティビティを表示するために、ユーザーに必要なアプリケーション・ロールについて説明します。制限は次のとおりです。
アクティビティは、対応するswimlane
アプリケーション・ロール、processowner
アプリケーション・ロール、bpmprocessadmin
アプリケーション・ロールまたはBPMDashboardViewer
アプリケーション・ロールのメンバーが表示できます。
プロセスが組織単位と関連付けられている場合、対応するアクティビティと測定のサンプリング・データは、組織単位メンバー、bpmprocessadmin
アプリケーション・ロールのメンバーまたはBPMDashboardViewer
アプリケーション・ロールのメンバーに制限されます。
この項では、プロセス・レベルのサンプリング・データに適用可能な制限、およびプロセス・ワークスペース内の特定のアクティビティを表示するために、ユーザーに必要なアプリケーション・ロールについて説明します。制限は次のとおりです。
プロセスが組織単位と関連付けられている場合、その組織単位のメンバー、bpmprocessadmin
アプリケーション・ロールのメンバーまたはBPMDashboardviewer
アプリケーション・ロールのメンバーがプロセス・データを表示できます。
プロセスが組織単位と関連付けられていない場合は、すべてのユーザーが表示できます。