この章の内容は次のとおりです。
Oracle Coherenceレポートは、重要な管理情報を時系列で示します。このレポートでは、多くの場合、トラブルシューティングおよび計画に役立つ傾向が特定されます。レポート機能はデフォルトでは無効になっているため、オペレーション・オーバーライド・ファイルで、またはシステム・プロパティを使用して、明示的に有効にする必要があります。
レポートの表示
デフォルトのレポート動作では、1時間おきに10種類のレポートが作成されます。これらのレポートは毎分リフレッシュされます。レポートは、クラスタ・メンバーを起動するディレクトリに保存されます。各ファイルには、YYYYMMDDHH
形式のレポート・タイムスタンプを持つプレフィックスが含まれます。この形式により、不要な情報の特定やパージが容易になります。表4-1に、レポートを要約します。レポートの詳細は、レポート内容の分析を参照してください。
表4-1 デフォルトのOracle Coherenceレポート
ファイル名 | 説明 |
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各キャッシュの使用(put、getなど)の統計が含まれます。キャッシュのレポートは、クラスタにキャッシュが存在する場合にのみ作成されます。 |
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Oracle Coherence管理フレームワークに関する情報が含まれます |
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各メンバーに関するメモリーおよびガベージ・コレクションの情報が含まれます |
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各メンバーにおけるパブリッシャの成功率および受信側の成功率が含まれます |
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クラスタ全体におけるパブリッシャの成功率および受信側の成功率が含まれます |
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クラスタのメンバーのリストが含まれます |
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クラスタ内の各プロキシ・サーバーに関する使用状況が含まれます |
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プロキシ・サーバーのHTTPアクセプタに関する情報が含まれます |
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各サービスのリクエストおよびタスク情報が含まれます |
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フラッシュベース記憶域の使用およびパフォーマンスに関する情報が含まれます |
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RAMベース記憶域の使用に関する情報が含まれます |
レポート機能の構成の理解
レポート構成ファイルは、単一レポートを定義します。たとえば、report-node.xml
構成ファイルは、YYYYMMDDHH
-nodes.txt
レポートを作成します。レポート構成ファイルは、Oracle Coherence MBeanを使用してこのレポートで使用されているデータを収集します。coherence.jar/reports
ディレクトリには、事前定義されたレポート構成ファイルが含まれます。レポート・ファイル構成要素の詳細は、レポート・ファイル構成要素を参照してください。
レポート・グループ構成ファイルは、生成するレポート、レポートのリフレッシュ頻度、レポートの保存先ディレクトリおよびレポートの各パラメータを決定します。coherence.jar/reports
ディレクトリには、3つの事前定義済レポート・グループ構成ファイル(report-group.xml
、report-web.xml
、およびreport-all.xml
)が含まれます。レポート・グループ構成要素の詳細は、レポート・グループ構成要素を参照してください。
レポートのカスタマイズ
レポート構成ファイルをカスタマイズしたり、必要に応じて新しい構成ファイルを作成することができます。レポートには、すべてのMBean(カスタムMBeanを含む)からの情報を含められます。詳細は、カスタム・レポートの作成を参照してください。
レポート機能はデフォルトでは無効になっているため、明示的に有効にする必要があります。レポート機能を有効化する前に、クラスタ・メンバーでのJMX管理が有効化されていることを確認してください。クラスタ・メンバーでJMX管理を有効化する方法の詳細は、JMX管理の構成を参照してください。デフォルトのレポート機能の構成では、1時間ごとにレポートのセットが作成され、1分ごとにレポートがリフレッシュされます。レポートは、クラスタ・メンバーを起動するディレクトリに保存されます。
注意:
レポート機能を有効化する前に、レポートをアーカイブする計画を決定します。
レポート機能を有効化するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に、true
に設定した<autostart>
要素を追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <autostart system-property="coherence.management.report.autostart">true </autostart> </reporter> </management-config> </coherence>
coherence.management.report.autostart
システム・プロパティによりレポート機能を有効にすることもできます。次に例を示します。
-Dcoherence.management.report.autostart=true
レポート・グループ構成ファイルは、どのレポートが生成されるかを定義します。次の3つの事前定義済レポート・グループ構成ファイルがcoherence.jar/reports
ディレクトリに含まれます。
report-group.xml
: 生成する一連のコア・レポートを構成します。これは、デフォルトの構成におけるレポート・グループ構成ファイルです。
report-web-group.xml
: 一連のOracle Coherence*Webレポートを構成します。Oracle Coherence*Web固有のレポートについては、『Oracle Coherence*WebでのHTTPセッション・マネージメントの管理』を参照してください。
report-all.xml
: 生成するすべての事前定義済レポートを構成します。
レポート・グループ構成ファイルを変更するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に、レポート・グループ構成ファイルに設定した<configuration>
要素を追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <configuration system-property="coherence.management.report.configuration"> reports/report-all.xml</configuration> </reporter> </management-config> </coherence>
coherence.management.report.configuration
システム・プロパティによりデフォルトのレポート・グループ構成ファイルを切り替えることもできます。次に例を示します。
-Dcoherence.management.report.configuration=reports/report-all.xml
事前定義されたレポート・グループは、クラスタ・メンバーの起動場所であるディレクトリにレポートを保存するようデフォルトで構成されています。出力ディレクトリは、coherence.reporter.output.directory
システム・プロパティを使用してオーバーライドできます。次に例を示します。
-Dcoherence.reporter.output.directory=/mydirectory
パスは、絶対パスまたはクラスタ・メンバーが起動されるディレクトリに対する相対パス(./
)として指定できます。メンバーが実行しているユーザー名には、このパスに対する読取り/書込みアクセスが必要です。
レポート・タイムスタンプは、ローカルのタイム・ゾーンのデフォルトの日時形式(EEE MMM dd HH:mm:ss zzz yyyy
)で表示されます。このタイム・ゾーンと日時形式は必要に応じて変更してください。タイム・ゾーンは、ゾーンID(例: US/東部時間)またはカスタムID(例: GMT-05:00)を使用して入力します。日時形式は、java.text.SimpleDateFormat
クラスで定義したパターンに従います。
レポート・タイムスタンプ・フォーマットを変更するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に<timezone>
および<timeformat>
要素を、それぞれ該当するタイムゾーンと日時形式に設定して追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <timezone system-property="coherence.management.report.timezone"> US/Eastern </timezone> <timeformat system-property="coherence.management.report.timeformat"> MMM dd, yyyy hh:mm:ss a </timeformat> </reporter> </management-config> </coherence>
coherence.management.report.timezone
およびcoherence.management.report.timeformat
システム・プロパティでレポート・タイムスタンプ・フォーマットを変更することもできます。次に例を示します。
-Dcoherence.management.report.timezone=US/Eastern -Dcoherence.management.report.timeformat=MMM dd, yyyy hh:mm:ss a
ReporterMBean
MBeanは、Oracle Coherenceのレポート機能を管理します。このMBeanには、JMX統計を表示して、レポートをリアルタイムで管理するための属性および操作が含まれます。Oracle Coherence MBeanにアクセスする方法については、Oracle Coherence MBeanへのアクセスを参照してください。
注意:
ReporterMBean
MBeanで行った変更は永続的ではありません。クラスタ・メンバーが再起動すると、設定は元の値に戻ります。
図4-1は、JConsole内のReporterMBean
MBeanの属性と操作を示しています。
ReporterMBean
MBeanは次のタスクを実行します。ReporterMBean
MBeanの属性と操作の完全なリファレンスについては、ReporterMBeanを参照してください。
レポート作成の開始: 現在停止している場合は、start
操作を使用してレポート作成を開始します。
レポート作成の停止: stop
操作を使用してレポート作成を停止します。クラスタ・メンバーがレポート作成を自動的に開始するように構成されている場合、クラスタ・メンバーの再起動時にレポート作成が再開します。
オンデマンド・レポートの実行: runReport
操作を使用して、1つのレポートまたはレポート・グループの作成を一度に実行できます。クラスパスにあるレポート構成ファイルまたはレポート・グループ構成ファイルの完全パスまたは相対パスを指定します。レポートを実行する前に、レポート機能が有効化されていることを確認してください。たとえば、reports/report-memory-summary.xml
を入力し、coherence.jar
ファイルにあるメモリー・サマリー・レポートを実行します。
オンデマンド表レポートの実行: runTabularReport
操作を使用して、1つのレポートまたはレポート・グループを一度に実行します。結果は、別のウィンドウに表形式で返され表示されます。レポートを実行する前に、レポート機能が有効化されていることを確認してください。
クラスパスにあるレポート構成ファイルまたはレポート・グループ構成ファイルの完全パスまたは相対パスを指定します。たとえば、reports/report-memory-summary.xml
を入力し、coherence.jar
ファイルにあるメモリー・サマリー・レポートを実行します。
runTabularReport
操作でも、レポートまたはレポート・グループ構成ファイルのXML構文を入力できます。XML構文を入力すると、クラスパスにないレポートを実行でき、これによって、レポートまたはレポート・グループをすべてのキャッシュ・サーバーにデプロイする手順とローリング再起動を実行する手順を省略できます。レポート・グループのXMLを入力すると、個々のレポートがクラスパスで検出される必要があります。
オンデマンド表グループ・レポートの実行: runTabularGroupReport
操作を使用して、レポート・グループを一度に実行し、レポートのXML構文に渡します。結果は、別のウィンドウに表形式で返され表示されます。レポートを実行する前に、レポート機能が有効化されていることを確認してください。
出力パスの変更: OutputPath
属性を使用して、レポートの保存先を変更します。
リフレッシュ間隔の変更: IntervalSeconds
属性を使用して、レポート・データのリフレッシュ頻度を変更します。
レポート構成ファイルの変更: ConfigFile
属性を使用して、使用するレポート・グループ構成ファイルを変更します。
バッチ番号の変更: CurrentBatch
属性を使用して、現在のバッチ番号を変更します。レポートの次回のリフレッシュでは、新しいバッチ番号から増分します。
分散構成は、クラスタの安定性が確認されている場合に使用します。この構成では、分散されたレポータが個別に実行されるため、実行時刻が揃いません。そのため、クラスタ・レベルの分析は非常に困難になりますが、メンバーがクラスタに参加または離脱している間のメンバー・レベルの分析は可能です。
レポート機能を分散モードで実行しているときは、レポータを一元管理しながら各メンバーでローカルのJMXの統計を記録できます。分散構成を有効化する手順は次のとおりです。
次のシステム・プロパティを使用して、管理メンバーを起動します。
-Dcoherence.management.report.autostart=false -Dcoherence.management.report.distributed=true -Dcoherence.management=all
次のシステム・プロパティを使用して、管理対象クラスタ・メンバーを起動します。
-Dcoherence.management.report.autostart=true -Dcoherence.management.report.distributed=true -Dcoherence.management=local-only -Dcoherence.management.remote=true