トピック:
スケーラビリティとはスループットを提供するシステムの能力で、使用可能なハードウェア・リソースに比例し、またこのリソースによってのみ制限されます。スケーラブルなシステムとは、リクエストが増加してもレスポンス時間およびスループットに悪影響をもたらすことなく処理できるシステムです。
1つの操作環境において計算力を増加することを、垂直スケーリングといいます。水平スケーリングとは、複数のシステムを連動させて共通の問題をパラレル処理することです。
Oracle Fusion Middlewareでは、垂直と水平の両方でスケーリングを行います。
Oracle Fusion Middlewareでは、管理対象サーバーまたはコンポーネントを同一ホストに追加でき、垂直的なスケーラビリティも優れています。これは、スケール・アップと呼ばれます。
水平方向では、Oracle Fusion Middlewareには別のホスト・コンピュータへのフェイルオーバー機能が用意されています。これにより、あるコンピュータが停止しても、環境はデプロイ済アプリケーションのコンシューマに、サービス提供を続けることができます。これはスケールアウト、またはマシンのスケールアウトとも呼ばれます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』の「トポロジのスケール変更」を参照してください。
高可用性システムのデプロイによって、システムのダウン(使用不可の時間)を最小限に抑え、実行(使用可能な時間)を最大化できます。Oracle Fusion Middlewareは、ロード・バランシングや基本的なクラスタ化から、ハードウェアおよびソフトウェアの壊滅的な障害発生時にシステムの可用性を最大限にすることまで、多種多様な高可用性ソリューションを提供するように設計されています。
高可用性ソリューションは、ローカルの高可用性と障害時リカバリの2つの基本的なカテゴリに分類できます。詳細は、次を参照してください。
『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』の「高可用性の概要」
『Oracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』のOracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリの概要に関する項
ドメインを拡張する際は、ドメインをオフラインにする必要があります。
ドメインを拡張するには、目的のコンポーネントがインストールされているOracleホームからOracle WebLogic Server構成ウィザードを使用します。そこで、拡張するドメインと追加するコンポーネントを選択します。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』のWebLogicドメインの構成に関する項を参照してください。
たとえば、当初はOracle Application Development Frameworkをサポートするように作成されたドメインを拡張し、Oracle HTTP Serverもサポートできるようにする手順は次のとおりです。
ドメインに管理対象サーバーを追加して、システムの容量を拡大できます。管理対象サーバーは、クラスタに追加することができます。
管理対象サーバーをクラスタに追加すると、管理対象サーバーは、そのクラスタが対象となっているアプリケーションおよびサービスを継承されます。管理対象サーバーをクラスタの一部として追加するのではない場合、管理対象サーバーは、テンプレートからアプリケーションとサービスを自動的には継承しません。
管理対象サーバーをドメインに追加するには、Fusion Middleware Control、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはWLSTを使用できます。
Fusion Middleware Controlを使用して、管理対象サーバーを追加する手順は次のとおりです。
Oracle JRF (Java Required Files)は、Oracle WebLogic Serverインストールに含まれておらず、Oracleビジネス・アプリケーションおよびアプリケーション・フレームワークに共通の機能を提供するコンポーネントで構成されています。
Oracle JRFには、共通の場所にデプロイされる、個別に開発されたいくつかのライブラリおよびアプリケーションが含まれています。Java Required Filesの一部と見なされるコンポーネントには、Oracle Application Development Framework共有ライブラリやODLロギング・ハンドラがあります。
特定の状況では、JRFテンプレートを管理対象サーバーまたはクラスタに適用する必要があります。JRFが構成されているドメイン内の管理対象サーバーにのみJRFを適用できます。つまり、ドメインを作成または拡張した場合は、構成ウィザードでOracle JRFを選択しておく必要があります。
JRFの適用については、次の点に注意してください。
すでにJRFで構成されている既存のクラスタに管理対象サーバーを追加する場合は、その管理対象サーバーにJRFを適用する必要はありません。
Fusion Middleware Controlを使用してサーバーを作成すると、JRFテンプレートが自動的に適用されます。
管理対象サーバーをドメインに追加する際、その管理対象サーバーにJRFサービスが必要だが、管理対象サービスがクラスタに属していない場合、その管理対象サーバーにJRFを適用する必要があります。
クラスタを新規作成し、そのクラスタにJRFが必要な場合、クラスタにJRFを適用する必要があります。
テンプレート拡張プロセスで製品テンプレートによって追加される管理対象サーバーにJRFを適用する必要はありません(ただし、構成ウィザードでJRFを選択する必要があります)。
JRFの適用後は、サーバーまたはクラスタを再起動する必要があります。
ノード・マネージャを使用してサーバーまたはクラスタを起動する場合は(たとえば、ノード・マネージャを使用する管理コンソールを通して)、ノード・マネージャのプロパティstartScriptEnabled
をtrue
に設定する必要があります。詳細は、「管理対象サーバーを起動するためのノード・マネージャの構成」を参照してください。
applyJRFコマンドの形式は次のとおりです。
applyJRF(target={server_name | cluster_name | *}, domainDir=domain_path, [shouldUpdateDomain= {true | false}])
applyJRF
コマンドは、オンラインまたはオフラインで使用できます。
オンライン・モードでは、shouldUpdateDomain
オプションを値true
(デフォルト)で使用した場合、JRFの変更は暗黙的にアクティブになります。オンライン・モードでは、このオプションによって、オンラインWLST save()コマンドおよびactivate()コマンドがコールされます。
オフライン・モードでは、管理サーバーおよび管理対象サーバーまたはクラスタを再起動する必要があります。(オフライン・モードでは、shouldUpdateDomain
オプションを値true
で指定した場合、このオプションによってWLST updateDomain()コマンドがコールされます。)
たとえば、JRFで管理対象サーバーserver1を構成するには、次のコマンドを使用します。
applyJRF(target='server1', domainDir='DOMAIN_HOME')
ドメイン内のすべての管理対象サーバーをJRFで構成するには、target
オプションの値としてアスタリスク(*)を指定します。
クラスタをJRFで構成するには、次のコマンドを使用します。
applyJRF(target='cluster1', domainDir='DOMAIN_HOME')
追加情報は、次の場所を参照してください。
『Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャ・コンポーネントWLSTコマンド・リファレンス』の「Java Required FilesのカスタムWLSTコマンド」
「異なるバージョンのSpringの使用」(JRFとともに提供されるものとは別のバージョンのSpringを使用する場合)
WLST、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはFusion Middleware Controlを使用して、管理対象サーバーのクラスタを作成できます。この項では、Fusion Middleware Controlを使用してクラスタを作成する方法を説明します。
2つの管理対象サーバーwls_server1およびwls_server2のクラスタを作成するには、次の手順を実行します。
これで、wls_server1およびwls_server2の、2台のメンバーを持つクラスタができました。
クラスタの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の「WebLogic Serverクラスタリングの理解」を参照してください。
動的クラスタのエラスティック・スケーリングを構成できます。エラスティック・スケーリングにより、必要に応じてまたは一定の条件に基づいて動的サーバー・インスタンスが追加または削除されます。
拡張度により、次のいずれかに基づいて動的クラスタのエラスティック・スケーリングを構成することが可能になります。
アクティブな動的クラスタからの、実行中の動的サーバー・インスタンスの手動による追加または削除。これは実行時スケーリングと呼ばれます。要求時スケーリングは、Enterprise ManagerのFusion Middlewareコンポーネント、WebLogic Server管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool(WLST)を使用して実行できます。
動的クラスタをスケール・アップまたはダウンするべき条件や、スケーリング操作自体を定義するアクションを設定するポリシーの確立。スケーリング・ポリシーで定義された条件が発生すると、対応するスケーリング・アクションが自動的に起動されます。
動的クラスタは、アプリケーションのリソース・ニーズを満たすように動的にスケール・アップできるサーバー・インスタンスで構成されます。動的クラスタは、指定した数の生成された(動的)サーバー・インスタンスの構成を定義する単一のサーバー・テンプレートを使用します。動的クラスタを作成すると、動的サーバーが事前構成され、自動的に生成されます。これにより、追加のサーバー容量が必要な場合に動的クラスタ内のサーバー・インスタンスの数を簡単にスケール・アップできます。
拡張度および動的クラスタの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成』の拡張度の概要に関する項を参照してください。
『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成』の「スタンドアロン・ドメインでのOracle HTTP Serverの構成」の説明に従い、構成ウィザードを使用してOracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント用のスタンドアロン・ドメインを作成できます。
または、WLSTを使用して、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを含むスタンドアロン・ドメインを作成できます。
『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成』の「WebLogic ServerドメインでのOracle HTTP Serverの構成」の説明に従い、構成ウィザードを使用してOracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント・インスタンスをWebLogic Serverドメインに作成できます。
または、次の方法に従って、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント・インスタンスを作成できます。
Fusion Middleware Controlの使用たとえば、Oracle HTTP Serverインスタンスを作成するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverの管理』のFusion Middleware Controlを使用したインスタンスの作成に関する項を参照してください。
Oracle HTTP Serverの場合は、『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverの管理』のWLSTを使用したインスタンスの作成に関する項の説明に従って、WLSTのcreateOHSInstanceコマンドを使用します。
この項の説明に従って、WLSTコマンドを使用します。
この項では、WLSTコマンドを使用して、システム・コンポーネント・インスタンスを作成する方法について説明します。例としてOracle HTTP Serverを使用し、Oracle JRFが含まれているWebLogic Serverドメインを作成しているものとします。
Oracleホームおよびドメインは、その構成を維持しながら、別の場所にコピーできます。これを行う場合、複数のOracle Fusion Middlewareコンポーネントもコピーされます。Oracle Fusion Middlewareのコピーは、次のような場合に有用です。
本番環境、テスト環境、または開発環境のコピーであるOracleホームを作成する場合。これにより、すべてのパッチが適用された状態で、新しいOracleホームまたはコンポーネントを1回の手順で作成できます。これは、個々のコンポーネントへのパッチの個別インストール、構成、および適用とは対照的です。
パッチを適用したホームの「ゴールド」イメージを作成し、それを多数のホストに配置する場合。
Oracleホームおよびドメインのコピーで使用する手順の詳細は、「テスト環境から本番環境への移行」を参照してください。