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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorのアップグレード
12c (12.2.1.2)
E82836-01
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2 アップグレード前の要件

Oracle Data Integrator 12c (12.2.1.2)へのアップグレードを開始する前に、バックアップ、現在の環境のクローニング、システムが動作保証された要件を満たしていることの確認など、アップグレード前のタスクを実行する必要があります。

2.1 アップグレード前チェックリスト

アップグレード前のチェックリストは、アップグレードを成功させて停止時間を少なくするために、アップグレードを開始する前に実行できるタスクを識別します。

アップグレードはサーバーの停止中に実行されます。チェックリストは、アップグレード前の重要な(かつ時間がかかる)タスクを識別するためのものであり、これをアップグレード前に実行することで停止時間を短縮できます。アップグレード・プロセスを開始する前の準備を十分行うほど、オフライン時間を減らすことができます。

注意:

実行するアップグレード前の手順は、既存のシステムの構成、アップグレードするコンポーネントおよびアップグレードと構成プロセスの最後に作成する環境によって異なります。構成またはユースケースに該当するタスクのみを実行してください。

表2-1 Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする前に実行するタスク

タスク 説明

必須

既存の環境の完全なバックアップを作成します。

アップグレードするスキーマが含まれているシステムに重要なファイルおよびデータベースのすべてをバックアップします。アップグレードに失敗した場合は、アップグレード前の環境をリストアして、アップグレードを再び開始する必要があります。

完全なバックアップの作成を参照してください。

オプション

使用する本番環境を、アップグレードのテスト用プラットフォームとしてクローンします。

システム・ファイルの完全なバックアップを作成する他に、本番環境のクローンも作成することをお薦めします。この環境は、アップグレードをテストするために使用されます。

テストのための本番環境のクローニングを参照してください。

必須

サポートされているハードウェアおよびソフトウェア構成上で、製品をインストールおよびアップグレードしていることを確認します。

注意: サポートされている最新のオペレーティング・システムを使用できない場合、アップグレードは試行しないでください。サポート対象のすべての構成と同様、こうした要件を守れない場合は、アップグレードが失敗する可能性があります。

ハードウェアとソフトウェア(オペレーティング・システムも含む)の構成が最新の動作保証および要件のドキュメントでサポートされていることを確認します。また、12c製品ディストリビューションをインストールする前に、サポートされているJDKバージョンを使用していることを確認します。

動作保証要件は頻繁に更新されるため、アップグレードを開始する直前に、この情報を確認することをお薦めします。

アップグレードの前に、コンポーネントに最新のパッチが適用されていることを確認します。

動作保証とシステム要件の確認に関する項を参照してください。

32ビットのオペレーティング・システムの場合のみ必須

アップグレードする前に64ビットのオペレーティング・システムに移行します。

これは、サポートされていない32ビットのオペレーティング・システムを現在実行している場合のみ必須です。

32ビットから64ビット・オペレーティング・システムへの移行を参照してください。

オプション

強化された暗号化(AES 256)を使用している場合は、セキュリティ・ポリシー・ファイルを更新します。

Fusion Middleware 12cで使用されているセキュリティ・アルゴリズムには、JDK用の追加のポリシー・ファイルが必要になるものがあります。

強化された暗号化(AES 256など)を使用する予定がある場合は、アップグレードする前に、最新の必要なポリシー・ファイルをJDKに適用することをお薦めします。

強化された暗号化(AES 256)を使用する場合のポリシー・ファイルの更新を参照してください。

オプション

アップグレードの前に、古いデータまたは使用しないデータを削除します。

パフォーマンスを最適化するために、アップグレードされた環境で使用しないデータおよびオブジェクトをパージすることをお薦めします。

未使用データのパージを参照してください。

Oracle Databaseユーザーのみ必須

エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、データベース・サーバーに接続して、12c (12.2.1.2)のデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。
エディション・ベースの再定義(EBR)データベースを使用している場合は、アップグレードを開始する前にエディションを作成する必要があります。

エディション・ベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成を参照してください。

オプション

アップグレード・アシスタントを実行するための非SYSDBAユーザーを作成します。

アップグレード・アシスタントを実行するための、FMWユーザーを作成することをお薦めします。ユーザーFMWは、システム管理者の権限を持たずにアップグレード・アシスタントを実行できます。

アップグレード・アシスタントを実行する非SYSDBAユーザーの作成を参照してください。

オプション

開始する前に、どのスキーマが現在ドメイン内にあるかを特定します。

アップグレードを開始する前に、アップグレード前のドメインにどのスキーマがあるかを確認することが重要です。スキーマ所有者名とパスワード、および各スキーマのバージョンも確認する必要があります。

アップグレード可能な既存のスキーマの特定を参照してください。

2.2 完全なバックアップの作成

アップグレードを開始する前に、Oracle Fusion Middlewareスキーマをホストするすべてのデータベースを含め、システムに重要なファイルをすべてバックアップします。

アップグレードが失敗した場合にSYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表の内容をアップグレード前の状態にリストアできるように、バックアップにこの表を含める必要があります。

アップグレード・アシスタントの「前提条件」画面で、実際のアップグレードに進む前に、バックアップが実行されていることを確認するプロンプトが表示されます。ただし、アップグレード・アシスタントではバックアップが作成されたことが確認されない点に注意してください。

バックアップの作成の詳細は、次を参照してください。
  • Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理の環境のバックアップ

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニングの12cのためのOracleデータベースのアップグレードおよび準備

システムの完全なバックアップの作成に加え、スキーマ・バージョン・レジストリのバックアップおよびアップグレードされた環境で使用するカスタム設定も作成する必要があります。次の資料も参照してください。

2.2.1 スキーマ・バージョン・レジストリ表のバックアップ

システム・バックアップにはSYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表を含める必要があります。

SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表には、各Fusion Middlewareスキーマの行があります。Upgrade Assistantを実行して既存のスキーマを更新する際、正常に更新できなかった場合は、元のスキーマをリストアしてからやりなおす必要があります。アップグレード・アシスタントを実行する前に、既存のデータベース・スキーマおよびスキーマ・バージョン・レジストリをバックアップしてください。

注意:

スキーマ・アップグレードを実行する前にこれらのバックアップを実行することは、アップグレード・アシスタントを実行するための前提条件です。アップグレード中に、バックアップが実行されたことを確認するよう要求されます。

2.2.2 カスタム・ドメイン環境設定のメンテナンス

アップグレード前の環境でドメイン生成スクリプトまたはサーバー起動スクリプトを変更した場合、インストール、ドメイン・アップグレードおよび再構成操作中にこれらの変更が上書きされることに注意することが重要です。

すべてのドメイン・インストールには、動的に生成されたドメインおよびsetDomainEnvなどのサーバー起動スクリプトがあります。これらのファイルは、インストールおよびアップグレード・プロセス中に新しいバージョンに置き換えられます。カスタムのドメインレベルの環境設定を維持するには、スクリプトを直接変更するかわりに、アップグレードする前に別のファイルを作成してカスタムのドメイン情報を格納することをお薦めします。

たとえば、ドメインのすべてのサーバーに適用されるサーバー起動パラメータをカスタマイズする場合は、setUserOverrides.cmd (Windows)またはsetUserOverrides.sh (UNIX)という名前のファイルを作成することにより、WebLogic Serverクラスパスにカスタム・ライブラリを追加する、サーバー実行用の追加のコマンドライン・オプションを指定する、または追加の環境変数を指定するなどの構成が可能です。このファイルに追加されたカスタム設定はドメインのアップグレード操作中に保存され、packおよびunpackコマンドを使用する際にリモート・サーバーに継承されます。

次の例は、setUserOverridesファイルにおける起動のカスタマイズを示しています。
# add custom libraries to the WebLogic Server system claspath
  if [ "${POST_CLASSPATH}" != "" ] ; then
    POST_CLASSPATH="${POST_CLASSPATH}${CLASSPATHSEP}${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  else
    POST_CLASSPATH="${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  fi
 
# specify additional java command line options for servers
JAVA_OPTIONS="${JAVA_OPTIONS}  -Dcustom.property.key=custom.value"

サーバーの起動中にsetUserOverridesファイルが存在する場合、このファイルが起動シーケンスに含まれ、このファイルにオーバーライドがあれば、有効になります。setUserOverridesファイルは、domain_home/binディレクトリに格納する必要があります。

注意:

アップグレード前に、setUserOverridesスクリプトを作成できない場合は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverのアップグレードの起動スクリプトへのカスタマイズの再適用の説明に従って、設定を再適用する必要があります。

2.3 テストのための本番環境のクローニング

実際の本番環境の完全な作業用コピーを作成し、クローン環境をアップグレードし、アップグレードされたコンポーネントが予想どおりに動作することを確認してから(必ず確認した後で)、本番環境をアップグレードします。

テストのために本番環境をクローニングすることをお薦めしますが、必須ではありません。

アップグレードは元に戻せません。ほとんどの場合、エラーが発生したときには、アップグレードを中止してバックアップから環境全体をリストアし、アップグレード・プロセスを最初からやり直す必要があります。潜在的なアップグレードの問題を開発環境で特定しておくと、無駄な停止時間を排除できます。

注意:

すべてのコンポーネントおよびオペレーティング・システムのクローニング手順について、このドキュメントでは説明していません。クローニング手順は、コンポーネントおよびオペレーティング・システムに固有のものです。概略としては、アップグレード前のバージョンのコンポーネント・ドメインをテスト・マシンにインストールし、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して必要なスキーマを作成し、アップグレードを実行します。
本番環境のクローンでアップグレードを実行すると、次のようなメリットもあります。
  • アップグレードに関する問題を明らかにし、修正します。

  • エンドツーエンドのアップグレードを完了させる練習をします。

  • アップグレードのパフォーマンスおよびパージ・スクリプトがどのように役立つかを理解します。

  • アップグレードの完了までに必要な時間を理解します。

  • データベース・リソースの使用(一時表領域、PGAなど)について理解します。

注意:

クローニングした本番環境でアップグレード前の準備状況チェックを実行すれば、データで発生しうるアップグレード時の問題は特定できますが、正常なアップグレードの万全を期すためには、クローニングした環境で完全なテスト・アップグレードを実行する必要があります。

2.3.1 テストのためのOracle Data Integrator本番環境のクローニング

Oracle Data Integrator本番環境のクローニングには、2つの部分のプロセスがあります。

  • タスク1: 既存の本番環境のクローニング(またはコピー)。下の例ではAと呼びます。

  • タスク2: クローニングした環境でのフル・アップグレードの実行。下の例ではBと呼びます。

タスク1: アップグレードの検証のために既存の本番環境をクローニングします(A)。
  1. テスト・マシンに、本番ODIインスタンス・バージョンと一致するODI 11gまたは12cバージョンをインストールします。
    1. アップグレード前の環境がODI 11gリリース1の場合は、特定の11gリリースのOracle Data Integratorインストレーション・ガイドを参照してください。
    2. アップグレード前の環境が前のODI 12cリリースの場合は、特定の12cリリースのOracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorのインストールと構成ガイドを参照してください。
  2. 先程インストールした本番バージョンからリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を実行して、新しいODIリポジトリ・スキーマを作成します(B)。非本番スキーマでテストを実行できます。

    注意:

    ODI 11g本番環境をクローニングする場合:

    RCUを使用して新規リポジトリを作成する場合、マスターおよび作業両方のリポジトリIDを入力する必要があります。デフォルトは、0=マスターおよび1=作業です。手順6のリポジトリ・インポートでIDの競合が発生するのを防ぐために、新しいIDは既存の本番リポジトリで使用したIDとは異なるものにしてください。

    ODI 12c本番環境をクローニングする場合、その必要はありません。

  3. 複数の作業リポジトリがある場合、本番環境と一致する別の作業リポジトリを作成する必要があります。詳細は、インスタンス・リリースの『ODIインストレーション・ガイド』の作業リポジトリの作成を参照してください。
  4. 次の手順で作業リポジトリのエクスポート/インポートの一部として過剰なデータがエクスポートおよびインポートされないように、実行ログをパージします。「ログのパージ」を参照してください
  5. ODIエクスポート機能を使用して、本番環境からODIマスター・リポジトリおよび作業リポジトリをエクスポートします。Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発のマスター・リポジトリのエクスポートおよびインポートを参照してください。
  6. ODIマスター・リポジトリおよび作業リポジトリ・エクスポート(手順3で作成した)を、新たに作成したODIスキーマ(手順2で作成した)にインポートします。
これで、テスト環境は本番ODI環境のクローンになりました。

タスク2: クローニングした環境をアップグレードして、アップグレードをテスト(B)

  1. アップグレード前チェックリストをレビューして、アップグレード前のすべての要件が満たされていることを確認します。

  2. ODI 12c (12.2.1.2)およびその他の製品ディストリビューションを、テスト・マシン上の新しいOracleホームにインストールします。Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorのインストールと構成のOracle Data Integratorソフトウェアのインストールを参照してください。

  3. 環境用の標準的なアップグレード手順に従います。環境に適したアップグレード手順を選択する必要があります。Oracle Data Integrator標準トポロジについてを参照してください。

  4. すべてのアップグレード後構成タスクを実行して、アップグレードしたコンポーネントが予想どおりに動作することを確認します。

2.4 動作保証およびシステム要件の確認

ご使用の環境がインストールに必要な要件を満たしていることを確認するには、動作保証マトリックスおよびシステム要件のドキュメントをレビューする必要があります。

注意:

動作保証、システム要件および相互運用性情報を確認する場合、特に32ビットまたは64ビットのシステム要件を確認するようにしてください。32ビットまたは64ビットの環境専用として設計されているソフトウェアを明示的にダウンロードすることが重要です。

警告:

アップグレードを開始するに、現在の環境に最新のパッチが適用されていることを確認してください。動作保証は、特に指定がないかぎり、完全にパッチが適用された環境に基づいています。

2.4.1 環境が動作保証要件を満たしていることの確認

Oracleでは、動作保証済のすべてのシステムおよび環境で製品のパフォーマンスをテストおよび検証しています。製品をインストールする場合、サポートされているハードウェアまたはソフトウェア構成を使用します。

新しい動作保証要件が確認されると、それらはすぐに適切な動作保証に関するドキュメントに追加されます。新しい動作保証要件は随時確認される場合があるため、動作保証に関するドキュメントはドキュメント・ライブラリの外部に置かれ、Oracle Technology Networkで提供されています。詳細は、12c (12.2.1.2)の動作保証マトリックスに関する説明を参照してください。

2.4.2 システム要件と仕様の確認

ディスク領域、使用可能なメモリー、特定のプラットフォーム・パッケージおよびパッチ、その他のオペレーティング・システム固有の項目などのシステム要件が満たされていることを確認することが重要です。

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様のドキュメントを使用して、動作保証要件を満たしていることを確認してください。たとえば、12c (12.2.1.2)の動作保証マトリックスに、ご使用の製品を64ビットOracle Linux 7上にインストールすることが動作保証されていると示されている場合、システム要件と仕様のドキュメントを使用して、Oracle Linux 7システムが最低限必要な仕様(ディスク領域、使用可能なメモリー、特定のプラットフォーム・パッケージとパッチおよびその他のオペレーティング・システム固有のアイテムなど)を満たしていることを確認します。このドキュメントは、必要に応じて更新されるため、Oracle Technology Network (OTN)のドキュメント・ライブラリの外部に存在します。

注意:

アップグレード準備の一環としてOracle Fusion Middlewareリリース12cソフトウェアをインストールする際は、アップグレード前の既存のOracle Fusion Middlewareソフトウェアのインストールおよび構成に使用したものと同じユーザー・アカウントを使用する必要があります。UNIXオペレーティング・システムでは、これによって、正しい所有者とグループが新しいOracle Fusion Middleware 12cのファイルおよびディレクトリに確実に適用されます。

32ビット環境を実行している場合、追加のセットの手順を実行する必要があります。

2.4.2.1 32ビットから64ビット・オペレーティング・システムへの移行

32ビットオペレーティング・システムの場合は、アップグレード前に、32ビット環境を64ビット・ソフトウェア環境に移行する必要があります。

Oracle Fusion Middleware 11gソフトウェアがすべて適切に64ビット・マシンで動作することを確認してから、Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレードを実行してください。

次のタスクでは、ホストは、32ビット・ソース・マシンを指し、ターゲットは、新しい64ビット・ターゲット・マシンを指します。

注意:

これらの手順は、データベースが別のホスト上にあり、移動されないことを前提としています。
オペレーティング・システムのアップグレードには、通常、次の内容が含まれます。

注意:

これらの手順は、オペレーティング・システム・アップグレード・プロセスの例として説明されているため、特定のオペレーティング・システムを更新する場合に実行する必要がある手順がすべて含まれている場合と含まれていない場合があります。詳細は、使用しているオペレーティング・システムのアップグレード・ドキュメントを参照してください。
2.4.2.1.1 アップグレードの64ビット・ソフトウェア要件をサポートするハードウェアを調達する

アップグレード・プロセスを開始する前に、サポートされている適切なターゲット・ハードウェアが存在することを確認してください。

2.4.2.1.2 すべてのプロセスを停止する

アップグレードする前に、管理対象サーバー、管理サーバーおよびノード・マネージャがホスト上で起動している場合はこれらも含めて、すべてのプロセスを停止する必要があります。

管理対象サーバーを停止します

WebLogic Server管理対象サーバーを停止するには、stopManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

管理サーバーを停止します

管理サーバーを停止する場合、管理サーバーで稼働しているWebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなどのプロセスも停止します。

管理サーバーを停止するには、stopWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワードおよびURLを入力します。

ノード・マネージャを停止します

ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。

またはnodemanager.propertiesQuitEnabledの属性をtrueに設定した後(デフォルトはfalseです)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。詳細は、Oracle Fusion Middleware WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンスのstopNodeManagerを参照してください。

2.4.2.1.3 32ビット・ホスト・マシンからすべてのファイルをバックアップする

11gデプロイメント全体の完全バックアップを作成したことを確認してからアップグレード・プロセスを開始する必要があります。移行中に問題が発生した場合、これらのファイルを使用してプロセスを再度開始する必要があります。

注意:

同一のマシンで32ビットから64ビットへアップグレードする場合、アップグレードが失敗した場合、ソース環境が破損するリスクがあります。

11gのファイルのバックアップの詳細は、Oracle Fusion Middleware管理者ガイド環境のバックアップを参照してください。

アップグレード時に、次のコンテンツにアクセスする必要があります。

  • 11gドメイン・ホーム

  • $ORACLE_HOME/wlserver/common/にある、11g/nodemanagerディレクトリ

Oracle Fusion Middleware管理者ガイド環境のバックアップで説明されている一部のバックアップおよびリカバリ手順は、製品に固有です。完全バックアップを作成するまでアップグレードを続行しないでください。

2.4.2.1.4 11gのホスト名およびIPアドレスを使用してターゲットの64ビット・マシンを設定する

ターゲット・マシンのホスト名およびIPアドレスはホストと同一にする必要があります。そのため、ソース・マシンのIPアドレスおよび名前を変更するか、ソース・マシンを停止してネットワークの干渉を回避する必要があります。

IPアドレスおよびホスト名を変更するプロセスは、オペレーティング・システムによって異なります。詳細は、オペレーティング・システムの管理ドキュメントを参照してください。

2.4.2.1.5 11gのバックアップを32ビット・ホストから64ビット・ホストにリストアする

11gで使用したものと同じディレクトリ構造を使用して、32ビット・ホストからバックアップしたファイルをリストアします。ターゲット・マシンのディレクトリ構造は、ホスト・マシンのディレクトリ構造と同じである必要があります。

64ビットターゲット・マシンに11gファイルをリストアする方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware管理者ガイド環境のリカバリを参照してください。

2.4.2.1.6 12c製品ディストリビューションをターゲット・マシンにインストールする

アップグレードには、ホーム外のアプローチをお薦めします。したがって、12c製品ディストリビューションは、ターゲット・マシン上の新しいOracleホームでインストールする必要があります。

インストールするコンポーネントの詳細は、コンポーネント固有のインストール・ガイドを参照してください。

2.4.2.1.7 標準的なアップグレード手順を使用してターゲットの64ビット環境をアップグレードする

ターゲット・マシンに製品をインストールしたら、コンポーネント固有のアップグレード・ガイドで指定されたアップグレード・ユーティリティを使用して各製品コンポーネントを個々にアップグレードし、アップグレード後のタスクを実行する必要があります。

詳細なアップグレード手順は、アップグレードするコンポーネントのコンポーネント固有のアップグレード・ガイドを参照してください。

注意:

ノード・マネージャ・アップグレード手順では、元のノード・マネージャ・ファイルにアクセスする必要があります。「32ビット・ホスト・マシンからすべてのファイルをバックアップする」の一部として32ビット・ソース・マシンからバックアップされた11gノード・マネージャ・ファイルを使用します。

2.4.3 Oracle Fusion Middlewareをホストしているデータベースがサポートされていることの確認

Oracle Fusion Middleware 12cを実行する前に、サポートされるOracle Databaseを必須のスキーマで構成しておく必要があります。

アップグレードを開始する前にFusion Middlewareデータベース要件を確認し、Oracle Fusion Middlewareをホストしているデータベースがサポートされており、アップグレードの実行に十分な領域が用意されていることを確認します。詳細は、12c (12.2.1.2)の動作保証マトリックスに関する説明を参照してください。

注意:

データベース・バージョンがもうサポートされていない場合は、アップグレードを開始する前にサポートされているバージョンにアップグレードする必要があります。Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニングの12cのためのOracleデータベースのアップグレードおよび準備を参照してください

2.4.4 このリリースのOracle Fusion MiddlewareでJDKが動作保証されていることの確認

Oracle Fusion Middleware製品ディストリビューションをインストールするには、サポートされているJDKをシステムにダウンロードしてインストールする必要があります。

Oracle Technology Network (OTN)のOracle Fusion Middlewareでサポートされているシステム構成の情報を参照して、使用しているJDKがサポートされていることを確認してください。

このマニュアルの発行時における12c (12.2.1.2)に対して動作保証されたJDKは1.8.0_101でした。

JDKがサポートされていない場合またはJDKがインストールされていない場合は、次のWebサイトから必要なJava SE JDKをダウンロードする必要があります。
http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads/index.html

JDKは、Oracleホームの外部にインストールしてください。Oracle Universal Installerにより指定されたOracleホーム・ディレクトリが空であることが検証され、空のディレクトリが指定されていなければインストールは行われません。JDKをOracleホームにインストールした場合、今後の操作で問題が発生することがあります。このため、JDKは/home/oracle/products/jdkディレクトリにインストールすることをお薦めします。

汎用インストーラとプラットフォーム固有のインストーラの相違点の詳細は、Oracle Fusion Middlewareのダウンロード、インストールおよび構成のREADMEファイルの汎用とプラットフォーム固有のディストリビューションとの相違点の理解に関する項を参照してください。

2.5 強化された暗号化(AES 256)を使用する場合のポリシー・ファイルの更新

アップグレード後の環境で、強化された暗号化(Advanced Encryption Standard (AES) 256など)を使用する予定がある場合に行います。アップグレードする前に、最新の必要なポリシー・ファイルをJDKに適用することをお薦めします。

Javaプラットフォームでは、暗号化、公開鍵インフラストラクチャ、認証、安全な通信、アクセス制御など、主要なセキュリティ分野に渡る一連のAPIが定義されています。これらのAPIによって、開発者はアプリケーション・コードにセキュリティ・メカニズムを簡単に統合できます。

Fusion Middleware 12cで使用されているセキュリティ・アルゴリズムには、JDK用の追加のポリシー・ファイルが必要になるものがあります。詳細は、Java暗号化アーキテクチャOracleプロバイダのドキュメントを参照してください。

注意:

アップグレードの開始前に、これらのポリシー・ファイルをJDKに適用せずに強化された暗号化を使用しようとすると、アップグレードに失敗することがあり、その場合は、アップグレード前の環境全体をリストアして、アップグレードを最初からやり直す必要があります。

2.6 未使用データのパージ

アップグレード前に未使用データをパージし、パージ方法をメンテナンスすることで、アップグレード・プロセスを最適化できます。

一部のコンポーネントには自動化されたパージ・スクリプトがあります。パージ・スクリプトを使用する場合、パージが完了するまで待ってから、アップグレード・プロセスを開始してください。アップグレード・アシスタントを使用してスキーマをアップグレードするときに、パージ・スクリプトを実行していると、アップグレードは失敗する可能性があります。

作業リポジトリのエクスポート/インポートの一部として過剰なデータがエクスポートおよびインポートされないように、実行ログをパージします。Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorの管理のログのパージを参照してください。

2.7 エディション・ベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成

エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、最初にデータベース・サーバーに接続して、12cのデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。

エディションベースの再定義を使用すると、アプリケーションの使用中にアプリケーションのデータベース・オブジェクトをアップグレードできるため、停止時間を最小限に抑えることや解消することが可能です。これは、エディションと呼ばれるプライベート環境でデータベース・オブジェクトを変更(再定義)することにより実行します。すべての変更が実行およびテストされている場合のみ、アプリケーションの新バージョンをユーザーが使用できるようにしてください。

注意:

このタスクは、DBA権限を持つOracle Databaseユーザーが実行する必要があります。

エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、最初にデータベース・サーバーに接続して、12cのデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。12cの新しいエディションは、既存の11gまたは12cエディションの子である必要があります。

データベース・サーバーにエディションを作成するには、SYSユーザー(またはDBA権限のある別のOracleユーザー)としてログインし、次のコマンドを入力します。

create edition Oracle_FMW_12_2_1_1 as child of Oracle_FMW_11_1_1_7_0;

ここで、Oracle_FMW_11_1_1_7_0は、11.1.1.7スキーマを作成したときにRCU 11.1.1.7で指定するエディション名の例です。エディションを作成する際は、実際に使用する名前を入力してください。

次のメッセージで、エディションが正常に作成されたことが通知されます。

エディションが作成されました。

アップグレードの間、再構成ウィザードを実行して既存のドメインを再構成するよう要求されます。再構成ウィザードの実行前に、データベースのデフォルト・エディションを指定する必要があります。次のようなSQLを使用して、データベースのデフォルト・エディション名を手動で次のように設定します。

ALTER DATABASE DEFAULT EDITION = Oracle_FMW_12_2_1_1;

2.8 アップグレード・アシスタントを実行する非SYSDBAユーザーの作成

アップグレード・アシスタントを実行するには、FMWと呼ばれる非SYSDBAユーザーを作成することをお薦めします。このユーザーはスキーマの変更に必要な権限は持っていますが、完全な管理者権限は持っていません。

SYSDBAはデータベースの作成、起動、停止、バックアップまたはリカバリなどの高度な管理操作を実行するために必要な管理権限です。SYSDBAシステム権限は、完全な権限を持つデータベース管理者が使用します。SYSDBA権限で接続すると、通常はユーザー名に関連付けられているスキーマではなく、デフォルトのスキーマで接続が確立されます。SYSDBAの場合、このスキーマはSYSです。デフォルト・スキーマへのアクセスは非常に強力な権限となる場合があります。たとえば、ユーザーSYSとして接続する場合、データ・ディクショナリの表における権限は無制限となります。このため、SYSDBA以外のユーザーを作成してスキーマをアップグレードすることをお薦めします。アップグレード・アシスタントを起動する前に、この項にリストされている権限をユーザーFMWに付与する必要があります。

注意

前のリリースで非SYSDBAユーザーFMWを作成した場合は、アップグレードを開始する前にこのユーザーを削除して再作成する必要があります。古いFMWユーザーを使用してアップグレード・アシスタントを実行すると、新しい権限が追加されてアップグレードが失敗する可能性があります。既存のFMWユーザーを変更するのではなく、削除して再作成することをお薦めします。
v$xatrans$表はデフォルトでは存在しません。ユーザーを作成する前に、XAVIEW.SQLスクリプトを実行して、この表を作成する必要があります。さらに、v$xatrans$表のselect権限の付与はOracle Identity Managerに対してのみ必須です。構成にOracle Identity Managerが必要ないか、v$xatrans$表がない場合は、スクリプトから次の行を削除します。
   grant select on v$xatrans$ to FMW with grant option;
次の例では、welcome1がパスワードです。権限を付与する際に、実際のパスワードを指定していることを確認します。
create user FMW identified by welcome1;
grant dba to FMW;
grant execute on DBMS_LOB to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_OUTPUT to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_STATS to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqadm to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqin to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqjms to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aq to FMW with grant option;
grant execute on utl_file to FMW with grant option;
grant execute on dbms_lock to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_run_details to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_running_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_aq_agents to FMW with grant option;
grant execute on sys.DBMS_SHARED_POOL to FMW with grant option;
grant select on dba_2pc_pending to FMW with grant option;
grant select on dba_pending_transactions to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_FLASHBACK to FMW with grant option;
grant execute on dbms_crypto to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_REPUTIL to FMW with grant option;
grant execute on dbms_job to FMW with grant option;
grant select on pending_trans$ to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_classes to fmw with grant option;
grant select on SYS.DBA_DATA_FILES to FMW with grant option;
grant select on SYS.V_$ASM_DISKGROUP to FMW with grant option;
grant select on v$xatrans$ to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_system to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SCHEDULER to FMW with grant option;
grant select on dba_data_files to FMW with grant option;
grant execute on UTL_RAW to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLDOM to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_APPLICATION_INFO to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_UTILITY to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SESSION to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_METADATA to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLGEN to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_DATAPUMP to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_MVIEW to FMW with grant option;
grant select on ALL_ENCRYPTED_COLUMNS to FMW with grant option;
grant select on dba_queue_subscribers to FMW with grant option; 
grant execute on SYS.DBMS_ASSERT to FMW with grant option;
grant select on dba_subscr_registrations to FMW with grant option;
grant manage scheduler to FMW;

注意:

Oracle Database 11.2.0.3データベース・ユーザーのみ: アップグレードを開始する前に、Oracleパッチ13036331を適用する必要があります。My Oracle Supportにアクセスしてパッチをダウンロードします。

このパッチを適用しない場合は、一部のスキーマで追加の権限を付与する必要があります。

2.9 アップグレード可能な既存のスキーマの特定

このオプションのタスクを使用すると、スキーマ・バージョン・レジストリを問い合せることによって、アップグレードを開始する前に使用可能なスキーマのリストを確認できます。このレジストリには、バージョン番号、コンポーネント名およびID、作成日と変更日、カスタム接頭辞などのスキーマ情報が含まれます。

アップグレード・アシスタントでドメイン内のすべてのスキーマをアップグレードするか、個別のスキーマを選択してアップグレードすることができます。決定しやすくするために、次の手順に従って、アップグレードに使用可能なすべてのスキーマのリストを表示します。

  1. Oracle Databaseを使用する場合、Oracle DBA権限を持つアカウントを使用してデータベースに接続し、SQL*Plusから次を実行します。

    SET LINE 120
    COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
    COLUMN COMP_ID FORMAT A20
    COLUMN VERSION FORMAT A12
    COLUMN STATUS FORMAT A9
    COLUMN UPGRADED FORMAT A8
    SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY ORDER BY MRC_NAME, COMP_ID ;
    
  2. 生成されたレポートを調べます。VERSION列の値が11.1.1.7.0以上で、STATUS列の値がVALIDの場合、そのスキーマはアップグレードでサポートされます。

    あるスキーマでアップグレードの必要がない場合、schema_version_registry表には、そのスキーマがアップグレード前のバージョンで保持されます。

  3. 既存のスキーマに使用したスキーマ接頭辞名をメモします。新しい12cスキーマの作成時に同じ接頭辞を使用します。

注意

  • 既存のスキーマがサポートされるバージョンでない場合は、12c (12.2.1.2)アップグレード手順を使用する前に、それらをサポートされるバージョンにアップグレードする必要があります。詳細は、アップグレード前のバージョンのドキュメントを参照してください。

  • Oracle Enterprise Data Quality、Oracle GoldenGate Monitor、Oracle GoldenGate Veridataなど、一部のコンポーネントでは、サポートされている標準的なOracle Fusion Middlewareバージョン以外のバージョンからのアップグレードがサポートされています。

  • 11gでOIDベースのポリシー・ストアを使用していた場合は、アップグレードを実行する前に新しいOPSSスキーマを必ず作成してください。アップグレード後も、OPSSスキーマはLDAPベース・ストアのままです。

  • Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.2)リリースでアップグレード可能な製品のスキーマのみをアップグレードできます。まだ12c (12.2.1.2)へのアップグレードが可能になっていないコンポーネントを含むドメインをアップグレードしないでください。

2.10 ODIの外部認証の構成

アップグレード・アシスタントを起動する前に、外部認証モードを内部認証に切り替えます。

ODIが外部認証モードで構成されている場合、アップグレード・アシスタントで特定のODI資格証明を認証できるように、アップグレードの前に認証メカニズムを内部認証に切り替える必要があります。アップグレード・プロセスが完了したら、アップグレードした環境でこの外部認証を再度切り替える必要があります。

注意:

これは、外部認証を使用している場合にのみ適用されます。外部認証を使用していない場合は、この手順をスキップします。

Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorの管理の次のトピックを参照してください。

  • 外部認証の構成

  • 既存のマスター・リポジトリから外部認証モードへの切替え