この章では、データベース要件、データベース・サービスの作成、およびデータベース・バックアップ戦略に関する情報を提供します。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメントの準備
Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントの一環として、サポートされているデータベースを構成する方法を理解することが重要です。
ほとんどのOracle Fusion Middleware製品では、サポートされているデータベースに特定の一連のスキーマがインストールされている必要があります。これらのスキーマは、Oracle Fusion Middlewareのリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してインストールします。
エンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle Fusion Middleware製品スキーマに高可用性Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースをお薦めします。
エンタープライズ・デプロイメント・トポロジを構成する前に、次の項で説明されている要件をデータベースが満たしていることを検証する必要があります。
次の情報を利用して、Oracle Fusion Middlewareの各リリースでサポートされているデータベース、および現在稼働中のOracleデータベースのバージョンを確認してください。
動作保証済のデータベースの全リストは、Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成のページを参照してください。
データベースのリリースを確認するには、PRODUCT_COMPONENT_VERSION
ビューに問い合せます。
SQL> SELECT VERSION FROM SYS.PRODUCT_COMPONENT_VERSION WHERE PRODUCT LIKE 'Oracle%';
Oracle Fusion Middlewareでは、データベースがAL32UTF8文字セットに対応している必要があります。データベースの文字セットの選択に関する情報は、データベースのドキュメントを確認してください。
エンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle RACデータベースへの接続にGridLinkデータ・ソースを使用することをお薦めします。
注意:
GridLinkデータ・ソースおよびSCANの使用方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理のアクティブなGridLinkデータ・ソースの使用に関する項を参照してください。
エンタープライズ・トポロジでは、RACデータベースの2つのインスタンスをホストする2つのデータベース・ホスト・コンピュータがデータ層にあります。これらのホストをDBHOST1、DBHOST2と呼びます。
エンタープライズ・トポロジをインストールまたは構成する前に、次のソフトウェアがDBHOST1とDBHOST2にインストール済であり使用可能であることを確認する必要があります。
Oracle Clusterware
詳細は、Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linuxで、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールを参照してください。
Oracle Real Application Cluster
詳細は、Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドfor Linux and UNIX Systemsで、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeのインストールを参照してください。
Oracle RACデータベース・インスタンス間の時間同期
データベース・インスタンスのクロックは、サーバー移行で構成されたFusion Middlewareクラスタ内のサーバーで使用されている場合、同期化されている必要があります。
自動ストレージ管理(オプション)
詳細は、Oracle自動ストレージ管理の概要およびOracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください。
表9-1に、いくつかの標準的なOracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジと、各トポロジでPROCESSES初期化パラメータの設定時に使用する必要がある値を示します。
この情報は、Oracle RACデータベースをエンタープライズ・デプロイメント用に構成するときの指針として利用してください。
表9-1 必要な初期化パラメータ
構成 | パラメータ | 必要な値 | パラメータ・クラス |
---|---|---|---|
SOA |
300以上 |
静的 |
|
BAM |
|
100以上 |
静的 |
SOAおよびBAM |
|
400以上 |
静的 |
SOAおよびOSB |
|
800以上 |
静的 |
SQL*Plusを使用して初期化パラメータの値をチェックするには、SHOW PARAMETERコマンドを次のように使用します。
パラメータ値の変更に使用する方法は、データベースがパラメータ・ファイルとサーバー・パラメータ・ファイルのどちらを使用するかによって異なります。
注意:
パラメータ値の変更の詳細は、Oracle Database管理者ガイドで初期化パラメータ値の変更を参照してください。
複数のOracle Fusion Middleware製品が同じデータベースを共有する場合は、個別の専用のデータベース・サービスに接続するように、各製品を構成する必要があります。
注意:
この項に示す手順は、Oracle Database 12c (12.1)リリースを対象としています。これ以外のサポートされているデータベースをご使用の場合は、該当するドキュメント・ライブラリで最新のリリース別の情報を参照してください。
サービスを使用したOracleデータベースへの接続の詳細は、Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドの動的なデータベース・サービスを使用したOracleデータベースへの接続に関する項を参照してください。
また、データベース・サービスはデフォルトのデータベース・サービスとは別のものにしてください。Oracle Database 12cデータベースのデータベース・サービスを作成および管理する完全な手順は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドの動的データベース・サービスによる自動ワークロード管理の概要に関する項を参照してください。
実行時接続ロード・バランシングでは、ロード・バランシングが有効になっている各サービスのサービス・レベルの目標を使用してOracle RACロード・バランシング・アドバイザを構成する必要があります。
SERVICE_TIME
またはTHROUGHPUT
について、Oracle RACロード・バランシング・アドバイザを構成できます。接続ロード・バランシングの目標をSHORTに設定します。
srvctl
ユーティリティを使用してOracle Databaseサービスを作成および変更します。
データベース・サービスを作成および変更する手順:
SecureFilesは、Oracle Database 11gリリース1で導入された新しいLOB記憶域アーキテクチャです。Oracle Fusion Middlewareスキーマ、特にOracle SOA SuiteスキーマにはSecureFilesの使用をお薦めします。
Oracle Database 11gリリース1以降、新しいLOB記憶域アーキテクチャであるSecureFilesが導入されました。Oracle Fusion Middlewareスキーマ、特にOracle SOA SuiteスキーマにはSecureFilesの使用をお薦めします。詳細は、Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイドのOracle SecureFiles LOBの使用に関する項を参照してください。
Oracle 12cデータベースでは、SecureFilesを使用するためのデフォルト設定はPREFERRED
です。これは、LOBまたは親LOB (LOBがパーティションまたはサブパーティション内にある場合)でBasicFiles LOBが明示的に指定されていなければ、データベースがSecureFiles LOBの作成を試みることを意味します。Oracle Fusion MiddlewareスキーマではBasicFilesを明示的に指定しません。したがって、Oracle 12cデータベースがインストールされている場合、Oracle Fusion MiddlewareのLOBはデフォルトでSecureFilesになります。
Oracle 11gデータベースでは、db_securefile
システム・パラメータによってSecureFiles使用ポリシーが制御されます。このパラメータは動的に変更できます。SecureFilesを使用するには次のオプションがあります。
PERMITTED
: SecureFilesの作成を許可します(これがdb_securefileのデフォルト設定です。デフォルトの格納方式ではBasicFilesが使用されます)
FORCE
: すべての(新規) LOBをSecureFilesとして作成します
ALWAYS
: LOBをSecureFilesとして作成しようと試みますが、作成できない場合(ASSMが無効の場合)はBasicFilesに戻します
この他にも、db_securefile
パラメータには次の値があります。
IGNORE
: SecureFilesを作成する試行を無視します
NEVER
: 新しいSecureFilesの作成を許可しません
Oracle 11gデータベースの場合、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)でOracle Fusion Middlewareスキーマを作成する前に、db_securefile
パラメータをFORCE
に設定することをお薦めします。
SecureFilesセグメントは、表領域を自動セグメント領域管理(ASSM)によって管理する必要があります。つまり、ASSMが無効になっていると、SecureFilesでのLOB作成が失敗します。ただし、Oracle Fusion Middlewareの表領域は、デフォルトではASSMが有効な状態で作成されます。したがって、デフォルトの構成では、Oracle Fusion Middlewareスキーマに対してSecureFilesを有効にするために何かを変更する必要はありません。
エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成の重要なポイントでデータベースのバックアップを実行すると、構成手順の後半で問題が発生しても、迅速に回復することができます。
エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成の重要な点として、現在の環境をバックアップすることをお薦めします。たとえば、製品ソフトウェアをインストールし、特定のOracle Fusion Middleware製品のスキーマを作成した後で、データベース・バックアップを実行してください。バックアップを実行すれば、後の構成手順で何か問題が発生しても、すばやくリカバリを実行できます。
この目的のために独自のデータベース・バックアップ戦略を使用することも、オペレーティング・システムのツールやRMANを使用して単純にバックアップすることもできます。
特に、Oracle Automatic Storage Managementを使用してデータベースを作成した場合は、Oracle Recovery Managerの使用をお薦めします。可能な場合、オペレーティング・システムのツール(tarなど)を使用してコールド・バックアップも実行できます。
Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle SOA Suiteデータベースの増分管理など、データベース管理者にかかわる課題がいくつか存在します。データベース管理の重要性を軽視すると、データベースが本番環境に移行したときに問題が発生する可能性があります。
容量、テストおよび監視のための適切な戦略および計画の決定方法については、Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの管理のデータベースの増大に対する計画の概要に関する項を参照してください。