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Oracle® Fusion Middleware Oracle Managed File Transferの使用
12c リリース(12.2.1.2)
E82801-03
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7 Oracle Managed File Transfer埋込みサーバーの管理

Oracle Managed File Transferによって埋め込まれるFTPサーバーおよびsFTP (SSH-FTP)サーバーを管理する方法を説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Oracle Managed File Transfer専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバーの管理については、「Oracle Managed File Transferの管理」を参照してください。

7.1 埋込みFTPおよびsFTPサーバーについて

Oracle Managed File Transferには、FTPおよびsFTPのサーバーが組み込まれており、実行されるファイル転送のタイプの多くはこれらのサーバーで処理されます。埋込みサーバーのいずれかを使用してファイルを転送するには、埋込みサーバー・ディレクトリのいずれかにファイルをアップロードする必要があります。

これらの埋込みサーバーには専用のファイル・システム・ディレクトリがあり、これを使用してファイルを送受信します。FTPサーバーとsFTPサーバーの両方のデフォルトのルート・ディレクトリの場所は、WLS_Home/user_projects/domains/base_domain/mft/ftp_rootです。この場所を変更するには、「その他の埋込みサーバーの設定」を参照してください。

ルートの下のpayloadsディレクトリは、SOAなどの外部システムによってアクセスされるファイル用です。

FTP埋込みサーバーはデフォルトで有効になっていますが、そのセキュリティ機能は無効になっています。sFTPサーバーはデフォルトで無効になっています。

Oracle Managed File Transferでは、標準に準拠していればどのFTPまたはsFTPクライアントもサポートされます。

注意:

ソースのデプロイまたは有効化の前に埋込みFTPまたはsFTPソース・ディレクトリに存在していたファイルは無視されます。デプロイまたは有効化の後にディレクトリにアップロードされたファイルのみが検出され、転送されます。

7.1.1 セキュリティ

Oracle Managed File Transfer埋込みサーバーには、サーバー・ファイル・システムへのユーザー・アクセスを制限する機能があります。詳細は、「埋込みサーバーのセキュリティ」および「埋込みサーバーのユーザー・アクセス」を参照してください。

7.1.2 転送およびファイルのアーカイブおよびパージ

埋込みサーバー・ファイル・システムの空き領域を増やすには、WLSTのコマンドを使用して転送インスタンスおよび関連ファイルをアーカイブおよびパージします。詳細は、『SOA Suite WLSTコマンド・リファレンス』のMFTアーカイブおよびリストア・コマンドに関する項およびMFTパージ・コマンドに関する項を参照してください。

単一のソース・インスタンスを、ユーザー・インスタンスから「監視」ページの「ソース・インスタンス」の「パージ」オプションを使用してパージできます。詳細は、「アーティファクト・インスタンス・メッセージの解釈」を参照してください。

埋込みサーバー・ディレクトリにアップロードされたファイルのソースが構成されていない場合は、そのファイルのパージやアーカイブはできません。パージやアーカイブができるのは、転送インスタンスに関連付けられているファイルのみです。

7.2 埋込みサーバー構成

「管理」ページの「埋込みサーバー」タブ、「埋込みサーバーのポート」タブおよび「埋込みサーバーのユーザー・アクセス」タブで埋込みサーバー構成の設定を行うことができます。

これらの設定の詳細は、次の各項を参照してください。

7.2.1 ポートの再構成

Oracle Managed File Transfer埋込みサーバーのポートを再構成できます。

埋込みサーバーは、Oracle WebLogic Server管理対象サーバーとは別のものです。MFTの埋込みFTPサーバーおよびsFTPサーバーは、Oracle Managed File Transfer専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバー上で実行されるサービスです。

このプロセスの手順は次のとおりです。

  1. 「管理」ページの左ペインで、「埋込みサーバー」の左にある矢印をクリックします。

    「ポート」「ユーザー・アクセス」という項目が表示されます。

  2. 「ポート」をクリックします。

    「埋込みサーバーのポート」タブが開きます。

  3. 「サーバー・インスタンス」「サービス」(FTPまたはsFTP)の組合せのうち、再構成が必要なものの「構成済ポート」の値を変更します。
  4. 「保存」をクリックします。
  5. 「再起動」「起動」または「停止」をクリックします。
  6. 「リフレッシュ」アイコンをクリックして表を更新します。新しい「サーバー・ステータス」が、どのサーバーも「RUNNING」であることと、新しい「実行中のポート」の値に構成した値が反映されていることを確認します。

7.2.2 リモートのFTPおよびsFTPサーバーのパス・セパレータ

リモートFTPサーバーでのパス・セパレータが、慣例的なスラッシュ(/)ではない場合は、「FTPリモート」または「sFTPリモート」のソースやターゲットを構成するときに「FTPパス・セパレータ」を指定する必要があります。

「FTPリモート」または「sFTPリモート」のソースやターゲットを作成した後に編集できるその他の設定の詳細は、Oracle Fusion Middleware MFTコンポーザ・ヘルプ・オンライン・ヘルプを参照してください。

7.2.3 その他の埋込みサーバーの設定

表7-1は、FTP埋込みサーバーの設定のうち、セキュリティに関連しないものの一覧です。これらの設定は、「管理」ページの「埋込みサーバー」タブの「FTP」サブタブにあります。

表7-1 FTP埋込みサーバーの設定

設定 説明

ルート・ディレクトリ

FTPサーバーのルート・ディレクトリを指定します。デフォルトは、WLS_Home/user_projects/domains/base_domain/mft/ftp_rootです。クラスタ内で複数のOracle WebLogic Serverインスタンスが稼働している場合は、共有の場所に設定する必要があります。

ルート・ディレクトリを変更するには:

  1. Oracle Managed File Transfer専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバーを停止します。

  2. 「ルート・ディレクトリ」設定を変更します。

  3. ディレクトリおよびファイルをルート・ディレクトリの下に移動します。

  4. 管理対象サーバーを再起動します。

管理対象サーバーの停止と開始方法については、「ポートの再構成」を参照してください。

有効

これを選択すると、sFTPサーバーが有効になります。デフォルトでは有効です(選択されています)。

最大ログイン

同時最大ユーザー数を指定します。デフォルトは10です。

ログイン失敗の最大回数

ログイン失敗の最大回数を指定します。これを超過すると接続が閉じます。デフォルトは3です。

最大同時リクエスト

このsFTPサーバーが受け入れることができる同時リクエストの最大数を指定します。デフォルトは10です。

アイドル・タイム・アウト

超過すると接続が終了し、ユーザーが再度ログインする必要がある時間を秒数で指定します。デフォルトは600で、これは10分に相当します。

アクティブな接続: 「ポート範囲開始」、「ポート範囲終了」

アクティブ・モードでは、クライアントがコマンド・チャネルを確立します。サーバーはPORTコマンドを使用して、「ポート範囲開始」から「ポート範囲終了」の範囲のサーバー・ポートとクライアントが指定するクライアント・ポートのデータ・チャネルを確立します。

有効化

これを選択すると、FTPサーバーが有効になります。MFTサーバーは、初期化時に無効なFTPサーバーを起動しません。デフォルトでは無効です(選択されていません)。

IPチェック

これを選択すると、データ接続のIPアドレスが制御ソケットと同じかどうかが確認されます。FTPではクライアントとサーバーの間で2つのチャネルが使用されます。これらは別個のTCP接続です。コマンド・チャネルはコマンドおよびレスポンス用です。データ・チャネルはファイル転送用です。デフォルトでは無効です(選択されていません)。

パッシブな接続: 「ポート範囲開始」、「ポート範囲終了」

パッシブ・モードでは、クライアントがコマンド・チャネルとデータ・チャネルの両方を確立します。「ポート範囲開始」「ポート範囲終了」の範囲のどのポートをデータ・チャネルとして使用するかを、サーバーがクライアントに通知します。

表7-2は、sFTP埋込みサーバーの設定のうち、セキュリティに関連しないものの一覧です。これらの設定は、「管理」ページの「埋込みサーバー」タブの「sFTP」サブタブにあります。

表7-2 sFTP埋込みサーバーの設定

設定 説明

ルート・ディレクトリ

sFTPサーバーのルート・ディレクトリを指定します。デフォルトは、WLS_Home/user_projects/domains/base_domain/mft/ftp_rootです。クラスタ内で複数のOracle WebLogic Serverインスタンスが稼働している場合は、共有の場所に設定する必要があります。

ルート・ディレクトリを変更するには:

  1. Oracle Managed File Transfer専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバーを停止します。

  2. 「ルート・ディレクトリ」設定を変更します。

  3. ディレクトリおよびファイルをルート・ディレクトリの下に移動します。

  4. 管理対象サーバーを再起動します。

管理対象サーバーの停止と開始方法については、「ポートの再構成」を参照してください。

有効

これを選択すると、sFTPサーバーが有効になります。デフォルトでは有効です(選択されています)。

最大同時リクエスト

このsFTPサーバーが受け入れることができる同時リクエストの最大数を指定します。デフォルトは10です。

ログイン失敗の最大回数

ログイン失敗の最大回数を指定します。これを超過すると接続が閉じます。デフォルトは3です。

アイドル・タイム・アウト

超過すると接続が終了し、ユーザーが再度ログインする必要がある時間を秒数で指定します。デフォルトは600で、これは10分に相当します。

埋込みサーバーの設定のうち、セキュリティに関連するものについては、「埋込みサーバーのセキュリティ」を参照してください。

7.3 埋込みサーバーの起動と停止

「管理」ページからOracle Managed File Transfer埋込みサーバーの起動と停止ができます。

このプロセスの手順は次のとおりです。

  1. 「管理」ページの「埋込みサーバー」タブを開きます。
  2. 「FTP」サブタブまたは「sFTP」サブタブを選択します。
  3. 「起動」「停止」のボタンに注目します。「起動」がグレー表示されている場合は、サーバーは実行中であり、そのサーバーの「停止」「再起動」が可能です。「停止」がグレー表示されている場合は、サーバーは実行中ではなく、そのサーバーの「起動」が可能です。
  4. 「インポート」「停止」または「再起動」をクリックします。

すべての埋込みサーバーを再起動するには、「すべて再起動」をクリックします。

Oracle Managed File Transfer専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバーを起動、再起動または停止するには、「Oracle WebLogic Serverの起動と停止」を参照してください。

7.4 埋込みサーバーと高可用性の管理

Oracle Managed File Transferの高可用性をセットアップすると、埋込みサーバーはロード・バランシングやフェイルオーバーなどの機能の一部となります。

詳細は、「複数のWeblogic Serverと高可用性の管理」を参照してください。

7.5 サポートされるFTPおよびsFTPのコマンド

Oracle Managed File Transferでは、FTPおよびsFTPコマンドをサポートします。

サポートされるFTPのコマンドは次のとおりです。

  • APPE: データをリモート・ホスト上のファイルの末尾に追加します。

  • AUTH: SSL暗号化セッションを確立します。SSLタイプのみがサポートされます。

  • CDUP: 親ディレクトリに移動します。

  • CWD: 作業ディレクトリを変更します。ディレクトリ名が指定されない場合は、ルート・ディレクトリ(/)であるとみなされます。

  • LIST: ファイルのリストを返します。この前にPORTコマンドまたはPASVコマンドが必要です。

  • MKD: ディレクトリを作成します。

  • MLSD: LISTに似ています。

  • NOOP: 操作は行われません。

  • PASS: パスワードを指定します。直前にUSERがあることが必要です。

  • PASV: データ・ポートでリスニングします。

  • PORT: データ・ポートを指定します。

  • PROT: データ・チャネル保護レベルを指定します。

  • PWD: 現在の作業ディレクトリの名前を返します。

  • REST: ファイル転送を再開する位置であるマーカー位置を指定します。

  • RETR: 引数として指定されたファイルのコピーを転送します。

  • SIZE: ファイルのサイズ(バイト単位)を返します。

  • STOR: ファイルとして受信したデータを受け入れて保存します。

  • TYPE: ファイル・タイプ、ascii (デフォルト)またはbinaryを指定します。

  • USER: ユーザー名を指定します。

  • QUIT: ログアウトします。

  • DELE: パスで指定されたファイルを削除します。

  • RMD: ディレクトリを削除します。

  • RNFR: 指定された名前から変更します。

  • RNTO: 指定された名前に変更します。

  • STOU: 一意のファイルをこのディレクトリに保存します。

サポートされるsFTPのコマンドは次のとおりです。

  • cd: リモートの作業ディレクトリを変更します。

  • get: ファイルをリモート・ディレクトリからローカル・ディレクトリにダウンロードします。

  • ls: リモート・ディレクトリの内容のリストを返します。

  • mkdir: リモートのディレクトリを作成します。

  • mv: リモートのファイルを移動するか名前を変更します。

  • put: ファイルをローカル・ディレクトリからリモート・ディレクトリにアップロードします。

  • pwd: リモートの作業ディレクトリの内容を出力します。

  • rm: リモートのファイルを削除します。

  • rmdir: リモートのディレクトリを削除します。

  • quitbye: クライアントまたはユーザーのセッションを終了して接続を切断します。

Oracle Managed File Transferでは、シェル・コマンド実行はサポートされません。