1 Oracle GoldenGate Veridataの概要

Oracle GoldenGate Veridataのロールの概要とコンポーネントの相互作用、コンポーネントの構成方法について説明します。データ・セットを相互に比較して非同期のデータを識別し、そのデータを修復できます。

この章の内容は次のとおりです。

Oracle GoldenGate Veridataのアーキテクチャ

Oracle GoldenGate Veridataは、あるデータのセットと別のデータのセットを比較して、同期していないデータを特定し、非同期のデータを修復できるようにします。Oracle GoldenGate Veridataは、大規模でデータ・セットを比較するためのダウンタイムが許容されない常時稼働の異種レプリケーション環境をサポートしています。比較を実行中にレプリケートされるデータを把握することで、Oracle GoldenGate Veridataはデータ・トランザクションおよびレプリケーションと同時に実行でき、さらに正確な比較レポートを生成できます。

Oracle GoldenGate Veridataは、異なるタイプのデータベース間で自動的に列データ型をマップします。Oracle GoldenGate VeridataWebユーザー・インタフェースのこの機能の詳細は、オンライン・ヘルプを参照してください。あるいは、異機種間の環境で自動マッピングが異なる形式に対応していない場合は、手動で列をマップできます。XMLファイルを手動でアップロードするには、veridata_importユーティリティを使用します。詳細は、「Veridataインポート・ユーティリティとエクスポート・ユーティリティの使用方法」を参照してください。

図1-1 Oracle GoldenGate Veridataのアーキテクチャ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle GoldenGate Veridataのアーキテクチャ」の説明

Oracle GoldenGate Veridata Server

Oracle GoldenGate Veridataサーバーは、次の機能を実行します。

  • Oracle GoldenGate Veridataタスクの実行の調整

  • 行のソート(オプション)

  • データの比較

  • 非同期データの確認

  • 確認用レポートの生成

Oracle GoldenGate Veridata Webユーザー・インタフェース

Oracle GoldenGate Veridata Webユーザー・インタフェースは、次のアクティビティに対するブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。

  • 比較オブジェクトおよびルールの構成

  • 比較の開始

  • 比較のステータスおよび出力の確認

  • 非同期データの修復

  • 非同期データの確認

Oracle GoldenGate Veridataリポジトリ

Oracle GoldenGate Veridataリポジトリは、構成情報をディスクに保持し、ユーザー環境として永久的に保存するデータベース・オブジェクトの集まりです。

注意:

非同期データは、リポジトリには格納されません。このデータは、サーバーのファイル・システムに格納されます。

Oracle GoldenGate Veridataエージェント

Oracle GoldenGate Veridataエージェント(エージェント)は、Oracle GoldenGate Veridataサーバーにかわって次のデータベース関連リクエストを実行します。

  • 初回比較のハッシュ行

  • 行をフェッチおよび更新して、非同期データを修復します。

  • 非同期行の列レベル詳細の戻し

Oracle GoldenGate Veridata Manager

Oracle GoldenGate Veridataマネージャは、NonStopプラットフォームに必要なCコード・エージェントの一部です。これは、エージェント・プロセスを制御します。

Managerは、Oracle GoldenGate Veridataによってサポートされている他のデータベースで使用されるJavaエージェントでは使用されません。

Oracle GoldenGate Veridataコマンドライン・ユーティリティ

Oracle GoldenGate Veridataには、次のコマンドライン・ユーティリティが含まれています。

表1-1 コマンドライン・ユーティリティ

名前 説明

vericom

自動化されたプログラムを使用して、比較を実行できるようにします。「アイデンティティの管理とデータの比較」を参照してください。

veridata_import

XMLファイルの比較オブジェクトおよびルールをマップし、リポジトリにインポートします。Veridataインポート・ユーティリティとエクスポート・ユーティリティの使用方法を参照してください。

veridata_export

リポジトリの比較オブジェクトおよびルールをマップし、XMLファイルにエクスポートします。Veridataインポート・ユーティリティとエクスポート・ユーティリティの使用方法を参照してください。

veridata_param_process

Oracle GoldenGateのパラメータ・ファイルを使用するのに役立ちます。Oracle GoldenGate Veridataの概要を参照してください。

reportutil

暗号化されたレポート・ファイルおよび非同期データの表示をサポートします。

Oracle GoldenGate Veridataのシングル・サインオンの構成

Oracle GoldenGate Veridata 12c (12.2.1)では、認証のシングル・サインオン(SSO)をサポートしています。SSOを構成するとき、サーバーのSSOプロパティを設定し、SSOセッションのサインアウトURLを構成します。

Oracle GoldenGate Veridataサーバー用にSSOを構成する手順:
  1. DOMAIN_HOME/config/veridata/ veridata.cfgファイルで、web.singleSignOutUrlパラメータを設定します。

  2. configureVeridataスクリプトを実行します: DOMAIN_HOME/veridata/bin/configureVeridata.sh -pUweb.singleSignOutUrl=Single sign out URL

ドメインですでにSSOを使用していない場合は、SSOログアウト構成を削除します: DOMAIN_HOME/veridata/bin/configureVeridata.sh -pUweb.singleSignOutUrl=default

パラメータの使用方法は、veridata.cfgファイルに説明されています。

# (web.singleSignOutUrl) as
# web.singleSignOutUrl - Specify the Single Sign Out URL here:
# Formats: /oamsso/logout.html?end_url=/veridata
# http://myoamserverhost:port/oam/server/logout?end_url=http://my.veridata.site.com:veridata-port/veridata
# http://myoamserverhost:port/oamsso/logout.html?end_url==http://my.veridata.site.com:veridata-port/veridata
 
# This URL must conform to the grammar in RFC 2396, except the few deviations mentioned in the java documentation for construction of a URI by parsing the given string.
 
web.singleSignOutUrl default 

Oracle GoldenGate Veridataを使用したデータの比較

この項では、比較対象のオブジェクトの構成方法およびOracle GoldenGate Veridataプロセスによる比較方法について説明します。

Oracle GoldenGate Veridata比較オブジェクト

Oracle GoldenGate Veridataの使用を開始するには、作業を管理し、比較するデータを識別する際に役立つ次のオブジェクトを作成します。

  • データソース接続

  • グループ

  • 比較ペア

  • プロファイル

  • ジョブ

比較用に行を順序付けるために、Oracle GoldenGate Veridataは一意の識別子(主キー、一意キー、ユーザー定義キー)を利用します。

詳細は、Oracle GoldenGate Veridataのオンライン・ヘルプを参照してください。

一意性要件

Oracle GoldenGate Veridataは、一意な識別子を使用して比較用に行を順序付けます。

  • 主キー: デフォルトでは、主キーが使用可能な場合、Oracle GoldenGate Veridataは主キーを使用します。

  • 一意キー: 主キーが定義されていない場合、Oracle GoldenGate Veridataは最小の一意索引を使用します。

  • ユーザー定義キー: 表またはファイルに主キーも一意キーもない場合、比較ペアを定義する際、既存の索引または列のセットを比較用に定義できます。ただし、主キーまたは一意キーは自動的にマップされますが、ユーザー定義キーは手動でマップする必要があります。別の順序付け方法を使用する場合は、ユーザー定義のキーを使用して、既存のキーまたは索引を上書きすることもできます。

比較用のキーの選択とマッピングの詳細は、オンライン・ヘルプを参照してください。

Oracle GoldenGate Veridataによるデータの比較方法

比較アクティビティは、初回比較手順と確認手順で構成されます。段階ごとの観点を変更するには、Oracle GoldenGate VeridataWebユーザー・インタフェースでパラメータを変更します。

初回比較手順

初回比較(または行ハッシュ)手順で、行は問合せによってソース表およびターゲット表から取得されます。ソース・データベースとターゲット・データベースの型が異なる場合、列は正確に比較するために標準データ型形式に変換されます。デフォルトでは、Oracle GoldenGate Veridataは主キーのすべての列を逐語的(値対値)に比較し、すべての非キー列についてはハッシュ値を使用して行を比較します。ハッシュ値の計算に使用する一意のデジタル署名によって、比較用にネットワーク上で転送されるデータを縮小します。2つの行に含まれる列値が同じか異なるかを決定するために、署名は依然として信頼が高く(絶対的ではない)効率的なメカニズムです。

同期していない行を間違いなく検出するために、非キー行を列ごとに比較するようOracle GoldenGate Veridataを構成できます。全列比較は列数に比例して処理パフォーマンスが下がり、ネットワーク使用量は増えます。

サポート対象のすべてのデータベースについて、サーバー側ソートを使用する場合、デルタ処理機能を使用できます。この処理のために、Oracle GoldenGate Veridataは前の比較以降に変更されたデータ・ブロックを検出し、そのブロックの行のみを比較します。変更されていないブロックの行はスキップされます。デフォルトでは、すべての行が比較されます。

デルタ処理は、2つの手順で構成されます。

  • 後続デルタ比較の前回実行の基準変更時間の収集。比較ペアのデルタ処理を有効化すると、常にこの手順が含まれています。

  • 最初の手順で収集された情報を使用した基準比較以降変更されたデータの比較。この手順を有効にするには、Oracle GoldenGate VeridataWebユーザー・インタフェースで、「比較ペア構成」ページと実行/ジョブの実行ページで「デルタ処理の有効化」をクリックします。表の再編成などの変更によって、収集したデルタ・ベースの情報を無効が無効になる場合、デルタ比較を無効にします。

デルタ処理の詳細は、『Oracle GoldenGate Veridataユーザーズ・ガイド』デルタ処理の使用に関する項、またはOracle GoldenGate Veridataのオンライン・ヘルプを参照してください。

初回比較後、同期していないとみなされた行はメモリー内のmaybe out-of-sync (MOOS)キューに格納されます。これは、比較結果が出ていないためです。レプリケーションが比較と同時に稼働している場合、特にレプリケーション・レイテンシがあると、行は同期しない可能性があります。ただし、現在のデータは途上(レプリケーション・フローのどこか)にあり、レプリケーションによってそれらが再同期化されます。

確認手順

確認または非同期確認(COOS)手順は、変わりつつある環境内の行ステータスを確認して正確な結果が得られるようにします。この手順では、MOOSキューから抽出された行を使用したソースまたはターゲット・データベースでの問合せを前提とします。ステータスは次のいずれかとして評価されます。

  • 処理中: 行は初回比較手順では非同期でしたが、その後更新されました。レプリケーションまたは別のメカニズムが変更を適用したが、Oracle GoldenGate Veridataは行が同期していたことを確認できなかったとみなされます。

  • 同期: ソース行の値はレプリケーションまたは別の方法でターゲット行に適用されました。基礎となる表が継続して変更されている場合、同期ステータスは常に行が同期されていることを保証しませんが、レプリケーションが進行中であることを示しています。

  • 永続的非同期: 行は初回比較を実施以降更新されておらず、非同期と考えられます。

デフォルトでは、確認処理は初回比較手順と並行するスレッドで行われますが、各行の確認は指定したレプリケーション・レイテンシのしきい値を過ぎるまで待機します。たとえば、レイテンシが60秒で、初回比較手順で9:30に非同期行であることが公開された場合、その行の確認手順は処理中であった変更を適用できるように9:31まで実行されません。レイテンシの計算が済んだら行は永続的非同期として確認でき、1つ以上の非同期レポートに格納されます。

比較結果の表示

ジョブが完了すると、Oracle GoldenGate Veridata Webユーザー・インタフェースを使用するか、ファイル自体を表示して、非同期レポートと比較結果を表示できます。

レポートの暗号化がサーバーで有効化されている場合は、reportutilツールを使用してレポート・ファイルを表示できます。レポート・ファイルの暗号化を参照してください。Oracle GoldenGate Veridata Webユーザー・インタフェースでは、ファイルを表示する前に自動的に復号化します。

OOSレポートは、バイナリ形式、XML形式または両方(またはなし)で格納できます。
  • OOSファイル: バイナリ形式で格納すると、OOSレポートには、Oracle GoldenGate Veridata Webユーザー・インタフェースを使用して、行の差異の表示に使用される非同期比較結果が含まれます。また、レポートを使用して、後で非同期の行を再比較することもできます。行を再比較するには、実行オプションを選択して別の確認手順を実行します。このステップでは、その行だけの現在の状態を比較し、レプリケーション後または別の修復プロシージャの適用後に非同期のままである行が報告されます。

  • OOSXMLファイル: XMLとして格納する場合、OOSレポートはOOSXMLファイルに書き込まれ、内部XMLスキーマに適合するように格納されます。XMLの多くの利点のうち、最も重要なのは、多くのツールで簡単に操作できるという点です。XML形式の場合、ファイルには、メタデータなど、外部プログラムで再同期化する場合に行を選択する必要があるすべての情報が含まれます。

終了した各ジョブ、グループおよび比較ペアは、次のタイプの情報を使用して比較レポートを生成します。
  • 使用した比較パラメータ

  • 比較した行数および非同期行数

  • 比較のタイミング

  • パフォーマンス統計

  • ソース・データ値およびターゲット・データ値

デフォルトでは、OOSファイルはサーバーのインストール・ディレクトリの次のサブディレクトリにあります。veridata.cfgファイルのserver.veridata_dataプロパティに別のパスを指定することで、デフォルトの場所を変更できます。
  • OOSファイル: VERIDATA_DOMAIN_HOME/veridata/reports/oos

  • OOSXMLファイル: VERIDATA_DOMAIN_HOME/veridata/reports/oosxml

これらのサブディレクトリは、さらに実行ID、ジョブ名、グループ名および比較ペア別に編成されます。OOSXMLディレクトリでは、.oosxmlファイルが制御ファイルです。順次ファイル拡張子が付いたファイルはOOSXMLチャンクです。XMLデータは、パフォーマンス上の理由で「チャンク」という複数のファイルにまたがっています。比較レポートを暗号化できます。詳細は、「レポート・ファイルの暗号化」を参照してください。