3 完全バックアップの作成

アップグレードを開始する前に、Oracle Fusion Middlewareスキーマをホストするすべてのデータベースを含め、システムに重要なファイルをすべてバックアップします。

アップグレードが失敗した場合にアップグレード前の状態にコンテンツを戻せるように、バックアップにはSYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表を含める必要があります。

実際のアップグレードを続行する前に、バックアップを実行したことを確認するプロンプトが「Upgrade Assistant Prerequisites」画面に表示されます。ただし、アップグレード・アシスタントはバックアップが作成されていることを確認しません。

参照:

3.1 スキーマ・バージョン・レジストリ表のバックアップ

システム・バックアップには、SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表またはFMWREGISTRY.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表を含める必要があります。

SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表には、Fusion Middlewareスキーマごとに1行含まれています。アップグレード・アシスタントを実行して既存のスキーマを更新し、失敗した場合、再試行するには元のスキーマをリストアする必要があります。アップグレード・アシスタントを実行する前に、既存のデータベース・スキーマおよびスキーマ・バージョン・レジストリのバックアップを必ず作成してください。

ノート:

アップグレード・アシスタントを使用してスキーマをアップグレードする前に、データベースの完全バックアップを実行する必要があります。アップグレード時には、バックアップが実行されていることを確認する必要があります。

3.2 カスタム・ドメインおよび環境設定のメンテナンス

アップグレード前の環境でドメイン生成のサーバー起動スクリプトまたは構成ファイルを変更している場合、インストール操作やドメインのアップグレード操作、再構成操作の際にその変更が上書きされる点に注意してください。アップグレード後に引き続き使用できるように、カスタマイズしたファイルを共有ライブラリの場所に保存します。

ドメイン・インストールごとに、動的に生成されるドメインおよびサーバーの起動スクリプト、たとえばsetDomainEnvなどが含まれます。これらのファイルは、インストールおよびアップグレード・プロセスの間に新しいバージョンに置き換えられます。ドメインレベルのカスタム環境設定を保持するには、直接スクリプトを変更するのではなく、アップグレード前に別のファイルを作成してカスタムのドメイン情報を格納することをお薦めします。

たとえば、ドメインのすべてのサーバーに適用されるサーバー起動パラメータをカスタマイズする場合は、setUserOverrides.cmd (Windowsの場合)またはsetUserOverrides.sh (UNIXの場合)という名前のファイルを作成したうえで、WebLogic Serverクラスパスにカスタム・ライブラリを追加するか、サーバー実行用の追加のコマンドライン・オプションを指定する、または追加の環境変数を指定するなどの構成が可能です。packおよびunpackコマンドを使用すると、このファイルに追加したカスタム設定はドメインのアップグレード操作中に保存され、リモート・サーバーに継承されます。

次の例は、setUserOverridesファイルでの起動のカスタマイズを示しています。
# add custom libraries to the WebLogic Server system claspath
  if [ "${POST_CLASSPATH}" != "" ] ; then
    POST_CLASSPATH="${POST_CLASSPATH}${CLASSPATHSEP}${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  else
    POST_CLASSPATH="${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  fi
 
# specify additional java command-line options for servers
JAVA_OPTIONS="${JAVA_OPTIONS}  -Dcustom.property.key=custom.value"

サーバーの起動時にsetUserOverridesファイルが存在する場合、このファイルは起動シーケンスに含まれ、このファイルにオーバーライドがあれば有効になります。setUserOverridesファイルは、EXISTING_DOMAIN_HOME/binディレクトリに格納する必要があります。

ノート:

アップグレード前に、setUserOverridesスクリプトを作成できない場合は、Oracle WebLogic Serverのアップグレード起動スクリプトへのカスタマイズの再適用で説明されているように、設定を再適用する必要があります。