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Oracle® Database Appliance X6-2-HAデプロイメントおよびユーザーズ・ガイド
リリース12.1.2.9.0 for Linux x86-64
E85928-01
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8 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの管理

この章では、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの概念とそのプロシージャについて説明します。

これらのトピックでは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャの概念、およびOracle Database Appliance仮想化プラットフォームのゲスト仮想マシンのデプロイ、可用性の管理、CPUプールの管理、ネットワーク設定方法の手順について説明します。また、これらのトピックにはOracle Databaseドメイン(ODA_BASE)、特権のある仮想マシンのサイズ変更に関する情報も含まれます。

トピック:

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームについて

Oracle VMを使用して、データベースとアプリケーションのシステム・リソースの使用を最適化できます。

Oracle Database Applianceで仮想化されたプラットフォームをデプロイできます。仮想化プラットフォームは、Oracle VMに基づきます。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでは、Oracle VMの機能を使用して、同一の物理Oracle Database Appliance上で実行されているデータベースとアプリケーションに効果的にリソースを割り当てることができます。単に不要なサーバー・コアを無効にするのでなく、他のワークロードをホスティングするために余剰の容量を使用できます。これによりデータベースとアプリケーションを統合できる一方で、Oracle Database Applianceに関連するデプロイメントと管理は容易なままに保たれます。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームは、Oracle Database Applianceハードウェアのすべてのバージョン上でサポートされます。Oracle VMによってサポートされるテンプレートとオペレーティング・システムは、すべてOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上でもサポートされます。サポートされるオペレーティング・システムは、Linux、Windows、Solaris x86などです。

注意:

現在、新しいシステムは、すべて仮想化されていないISOイメージで工場から出荷されています。

現在Oracle Database Applianceの仮想化されていないデプロイメントを使用しており、Oracle Database Applianceを仮想化プラットフォームとして使用する場合は、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームISOイメージを使用してサーバーを再イメージ化する必要があります。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームISOイメージをダウンロードするためのリンクは、MOSノート888888.1を参照してください。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャ

これらのトピックを確認し、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム、およびプラットフォームのシステム・リソース使用量の最適化への使用方法を理解します。

内容は次のとおりです。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャについて

このトピックを確認し、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームがOracle Database Applianceハードウェアで機能する方法を理解します。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームが提供する仮想化テクノロジを使用すると、分離された複数のデータベースとアプリケーションが同じ物理サーバーを共有できます。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームISOイメージは、Oracle Database Applianceハードウェア機能を活用するように特に設計されています。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャは次の図に示す仮想マシン・コンポーネントを使用します。

図8-1 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャ

図8-1の説明が続きます
「図8-1 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・アーキテクチャ」の説明
  • Oracle Database Applianceベース・ドメイン(ODA_BASE): 特にデータベース用の、ベア・メタル・デプロイメントに類似したデータベース・パフォーマンスを提供する、特権を持つ仮想マシン・ドメイン。PCIパススルー・ドライバは、共有ストレージにODA_BASE直接アクセスを提供します。

  • ドメイン0 (Dom0): Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのプロビジョニング・プロセスを開始し、仮想マシン・テンプレートをホスティングするデフォルトのドメイン。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム環境でのハードウェア検出業務の大部分は、ドメイン・ゼロ(Dom0)と呼ばれる管理ドメインに渡されます。x86ベースのサーバーでは、Dom0カーネルは、様々なデバイス、ファイル・システムおよびソフトウェアRAIDとボリューム管理をサポートするフットプリントの小さいLinuxカーネルです。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでは、Dom0は、多くのシステム・ハードウェアへのアクセスを提供し、ゲスト・オペレーティング・システムを作成、削除、管理し、これらのゲストに対して共通の仮想ハードウェアを使用可能にします。

  • ゲスト・ドメイン(ドメインU): アプリケーションやミドルウェアなどの、非データベース・ワークロードをホスティングするためにプロビジョニングされる仮想マシン。各ゲスト・オペレーティング・システムには、「ユーザー・ドメイン」と呼ばれるそのシステムの管理ドメインがあり、「ドメインU」と省略されます。このドメインは、ハードウェアまたはデバイス・ドライバに直接アクセスする権限を持たないドメインです。各ドメインUは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上でDom0が実行された後に開始されます。

仮想マシンとOracle Database Appliance仮想化プラットフォームについて

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームは、仮想マシンを実行、デプロイしてシステム・リソースを管理するように設計されています。

共有リポジトリのリソース(CPUプール、メモリーおよびその他の共有リソース)のアプリケーションによる使用を管理するようにOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上の仮想マシンを構成します。

仮想マシン・テンプレート

仮想マシンは、事前に構成された仮想マシンを含むテンプレートまたはアセンブリから作成できます。テンプレートからの仮想マシンの作成は、クローニングに基づきます。テンプレートはアーカイブとしてインポートされ、解凍されて、ディスク・イメージを使用して仮想マシン構成ファイルとして格納されます。これらのディスク・イメージはクローニングされ、仮想マシンの形で新しいインスタンスを作成します。同様に、既存の仮想マシンは、クローニングされて新しい仮想マシンを作成するか、クローニングされて新しいテンプレートを作成できます。

仮想マシンのアセンブリ

アセンブリは、しばしば仮想マシンのグループのテンプレート(複数の仮想マシン・テンプレートの集まり)と説明されます。アセンブリは、単一の仮想マシンまたは仮想マシン・テンプレートの集まりを含むことができます。

ドメイン、ゲストおよび仮想マシン

ドメインゲスト,および仮想マシンは、ほぼ同じ意味に使用されていますが、若干の違いがあります。ドメインは、構成可能な一連のリソースで、メモリー、仮想CPU、仮想マシンを実行するネットワーク・デバイスおよびディスク・デバイスを含みます。ゲストは、ドメイン内で実行される仮想化されたオペレーティング・システムです。複数のゲストが、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの同一インスタンス上、それぞれ自身のドメイン内で実行できます。仮想マシンには仮想リソースが割り当てられ、独立して起動、停止、再起動ができます。

仮想ディスク

仮想マシンのほかに、共有リポジトリでは仮想ディスクを作成できます。仮想マシンに追加のブロック記憶域をアタッチすることで、仮想ディスクは仮想マシンに追加の記憶域オプションを提供します。同様に、追加の領域が不要になった場合は、記憶域をデタッチできます。記憶域ボリュームを仮想ディスクに拡張するか、または新規ファイル・システムを仮想ディスクに作成することで、仮想ディスクを使用して、既存のファイル・システム記憶域を仮想マシン内に拡張できます。仮想ディスクは、同じ共有リポジトリ上で実行されている複数の仮想マシンの共有もできます。

ドライバ・ドメインは、特定のハードウェアに対して特別な権限および責務を持つユーザー・ドメインです。ドライバ・ドメイン・オプションを使用すると、新しく作成された仮想ディスクがODA_BASEから直接ゲスト仮想マシンにマウントされます。このオプションは、ゲスト仮想マシンがDom0ではなくODA_BASEを使用して仮想ディスクにアクセスできるようにすることで、パフォーマンスを向上させます。このドライバ・ドメイン・オプションは12.1.2.7.0以降で利用でき、Oracle Linux、WindowsおよびOracle Solaris x86ゲスト・オペレーティング・システムでサポートされます。仮想マシンのライブ移行はサポートされていません。

共有リポジトリ

共有リポジトリは、仮想マシンの作成と管理にとって最重要のリソースを格納するための中心的な場所です。こういったリソースには、仮想マシン・テンプレートおよびアセンブリ、ISOファイル(仮想DVDイメージ)、仮想マシン構成ファイルおよび仮想ディスクがあります。共有リポジトリは、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)で構成され、その後、それらのリソースへのアクセスが必要なOracle Database Applianceノードに提供されます。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームは共有リポジトリを使用して、環境で使用可能なディスク・スペースの使用量を最適化し、物理サーバーで障害が発生したときに仮想マシンを簡単に再割当てできるようにします。仮想マシン・ファイルは共有ディスクに格納できるため、仮想マシンに共有ストレージを提供します。さらに、CPUプールおよびサイズ変更可能なOracle Databaseドメイン(ODA_BASE)を構成して、仮想マシンでは、互いのCPUコアからまたは割当て済のデータベースCPUコアからサイクルが消費されないようにできます。

  • Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上の共有ディスクはODA_BASEに直接接続されています。

  • ODA_BASEには、fs1、fs2およびfs3という名前の3つの共有リポジトリがあります。

  • 各共有リポジトリは、共有リポジトリの作成時に選択されたOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループ(DATAまたはRECO)の最上位に作成されたODA_BASEのOracle ACFSです。

  • 共有リポジトリを作成するプロセスでは、プライベート・ネットワークを使用するそれぞれのDom0への共有リポジトリのネットワーク・ファイル・システム(NFS)エクスポートも実行します。

  • エクスポートは、仮想マシン・ファイル用の共有ストレージを有効化します。

図8-2 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム(共有リポジトリあり)のアーキテクチャの概要

図8-2の説明が続きます。
「図8-2 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム(共有リポジトリあり)のアーキテクチャの概要」の説明

図に示された構成を使用すると、次のことができます。

  • 複数のリポジトリを作成します。

  • これらのリポジトリを、仮想マシンの実行が必要なノード(図のfs2およびfs3など)または両方のノード(図のfs1など)にマウントします。

  • 共有リポジトリで、1つ以上の仮想マシンまたは仮想マシン・テンプレートを作成します。

  • OAKCLIコマンドを使用して、共有リポジトリ、仮想ディスクおよびそれらの仮想マシン、および図に示されている基礎アーキテクチャを作成および管理します。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのデプロイメントについて

このトピックを確認して、Oracle Database Appliance 仮想化プラットフォームのデプロイメントを実行する手順を理解します。

ドメインのデプロイメントの構成

Oracle Appliance Kitコマンドライン・インタフェース(OAKCLIとも呼ばれる)を使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームをデプロイします。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームをデプロイすると、システムは各サーバー・ノードで、Dom0ODA_BASE (Dom1とも呼ばれる)の2つのドメインを使用して構成されます。仮想マシン(Domain Uと呼ばれる)には、Oracle Database (ODA_BASE)に割り当てられていないCPUコアを使用できます。

仮想ディスクおよびvm.cfgファイルは次のディレクトリに格納されます。

  • Dom0 /Repositories/vm_repo_name/.ACFS/snaps/vm_name/VirtualMachines/vm_name

  • ODA_BASE/app/sharedrepo/vm_repo_name/.ACFS/snaps/vm_name/VirtualMachines/vm_name

ドライバ・ドメインは特別な権限があるユーザー・ドメインです。ドライバ・ドメイン機能により、ゲスト仮想マシンは、仮想ディスクにアクセスするためのドライバ・ドメインとしてODA_BASEを使用できます。デフォルトでは、ドライバ・ドメイン機能は非システム・ディスクに適用されます。ドライバ・ドメイン・モードで仮想マシンを作成すると、新しいvDiskがドライバ・ドメイン・モードで追加されます。

ユーザー・ドメインがドライバ・ドメイン・モードで構成されている場合、DomUのvm.cfgファイルのストレージは次のようになります。

vm.cfg: disk = [u'file:/OVS/Repositories/myreposh1/.ACFS/snaps/v1_shared/VirtualMachines/v1_shared/System.img,xvda,w', u'file:/u01/app/sharedrepo/Repositories/myreposh1/.ACFS/snaps/v1_shared/VirtualMachines/v1_shared/u01.img,xvdb,w,oakDom1'] 

注意:

2番目の仮想ディスクは(共有リポジトリ内の)共有ストレージ上のファイルとして指定され、ドライバ・ドメインとしてODA_BASEドメイン(oakDom1)が使用されます。

ゲスト仮想マシンのデプロイメントの概要

ゲスト仮想マシンのデプロイメントには、次の手順が必要です。

  1. 必要に応じて新規リポジトリを作成します。「共有リポジトリの作成および管理方法」を参照してください。

  2. 必要なテンプレートまたはアセンブリをインポートします。「仮想マシン・テンプレートの管理方法」を参照してください。

  3. テンプレートまたはアセンブリを構成します。「仮想マシン・テンプレートの構成」を参照してください。

  4. テンプレートまたはアセンブリをクローニングします。「テンプレートのクローンおよびスナップ・クローンの作成方法」を参照してください。

  5. 必要に応じて仮想マシンを更新します。「仮想マシン・テンプレート構成の変更」を参照してください。

  6. 仮想マシンを起動します。oakcli startコマンドを参照してください。

  7. 仮想マシン・コンソールを使用して仮想マシンを管理します。oakcli show vmconsoleコマンドを参照してください。

共有リポジトリの作成と管理方法

これらのトピックでは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでOAKCLIを使用して共有リポジトリを作成および管理する方法について説明します。

内容は次のとおりです。

共有リポジトリの作成

oakcli create repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで共有リポジトリを作成します。

oakcli create repoコマンドを実行する場合、repoオプションを使用してリポジトリ名を指定し、-dgオプションを使用してストレージ(DATAまたはRECO)に使用するディスク・グループを指定し、-sizeオプションを使用してリポジトリのサイズをGBまたはMB単位で指定します(デフォルトのサイズ単位はGBです)。

既存のリポジトリを表示および停止(ディスマウント)するコマンドを含め、その他のOracle Appliance Manager共有リポジトリのコマンドは、非共有リポジトリで使用するコマンドに似ています。デフォルトの永続的なリポジトリとは異なり、アクティブな(マウント済の)仮想マシンがない共有リポジトリは削除できます。

共有リポジトリの作成の例

次のコマンドでは、repo1という名前の共有リポジトリがASM DATAディスク・グループ(data)に30GBの使用可能なストレージで作成されます。

oakcli create repo repo1 -dg data -size 30

共有リポジトリのステータスの表示

oakcli show repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシンのリポジトリに関する情報を表示します。

すべてのリポジトリを参照するには、リポジトリ名およびノード番号を省略します。特定の共有リポジトリを参照するには、リポジトリ名およびノード番号を指定します。

例8-1 すべての共有リポジトリのステータスの表示の例

すべての共有リポジトリのステータスを表示するには、oakcli show repoコマンドを使用します。

oakcli show repo
      NAME                      TYPE          NODENUM  FREE SPACE     STATE
      ----                      ----          -------  ---------      -----
      odarepo1                  local          0              N/A     N/A
      odarepo2                  local          1              N/A     N/A
      repo1                     shared         0           68.25%     ONLINE
      repo1                     shared         1           68.25%     ONLINE
      repo2                     shared         0              N/A     OFFLINE
      repo2                     shared         1           89.83%     ONLINE

例8-2 選択した共有リポジトリのステータスの表示の例

共有リポジトリの特定のノードの情報を表示するには、コマンド構文の一部としてリポジトリ名とノード番号を指定します。次の例では、repo1共有リポジトリの1の情報が表示されます。

oakcli show repo repo1 -node 1

Resource: repo1_1
        AutoStart       :       restore       
        DG              :       DATA          
        Device          :       /dev/asm/repo1-286
        ExpectedState   :       Online        
        FreeSpace       :       87.703125M        
        MountPoint      :       /u01/app/repo1
        Name            :       repo1_0       
        Node            :       all           
        RepoType        :       shared        
        Size            :       30720         
        State           :       Online
        Version         :       2

共有リポジトリの起動

oakcli start repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシンを起動して、共有リポジトリに割り当てます

共有リポジトリに仮想マシンを割り当てるには、その前にoakcli start repoコマンドを使用してリポジトリを起動し、ストレージを使用可能にします。oakcli start repoコマンドにより、自動的に起動するように定義したリポジトリに割り当てられている仮想マシンも起動されます。

リポジトリを事前に構成しておく必要があります。オプションreponameを使用して、起動するリポジトリを識別します。nameはリポジトリ名です。オプション-node nodenameを使用して、リポジトリがあるノードを識別します。nodenameはリポジトリがあるノードの名前です。

例8-3 共有リポジトリの起動の例

このコマンドでは、ノード1上のrepo1という名前の共有リポジトリを起動します。

oakcli start repo repo1 -node 1

共有リポジトリの停止

oakcli stop repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのノード上の共有リポジトリを停止します。

repo reponameオプションを使用して、停止するリポジトリを識別します。reponameは停止するリポジトリの名前です。-node numberオプションを使用して、停止するリポジトリが実行されているノードを識別します。numberは停止するノード番号です。

注意:

選択したノードのリポジトリで仮想マシンがアクティブなままである間は、oakcli stop repoコマンドを発行しないでください。

例8-4 共有リポジトリの停止の例

次の例では、ノード0上のrepo1という名前の共有リポジトリを停止します。

oakcli stop repo repo1 -node 0

共有リポジトリの削除

oakcli delete repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで新規共有リポジトリを削除します。

repo reponameオプションを使用して、削除するリポジトリを識別します。reponameは削除するリポジトリの名前です。

注意:

共有リポジトリの削除を試行するには、その前に両方のノード上でオフライン(停止)にする必要があります。

例8-5 共有リポジトリの削除の例

次のコマンドでは、両方のノード上のrepo1という名前の共有リポジトリを削除します。

oakcli delete repo repo1

共有リポジトリのサイズの増加

oakcli configure repoコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで共有リポジトリのサイズを増やします。

-repo reponameオプションを使用して、拡張するリポジトリを指定します。ここで、reponameは拡張するリポジトリを指定します。-incsize sizeオプションを使用して、構成する増加のサイズを指定します。ここで、sizeは構成されたサイズに追加するサイズ(GB単位)です。

例8-6 共有リポジトリのサイズの増加の例

次のコマンドは、repo1共有リポジトリのサイズを2GB増やします。

# oakcli configure repo repo1 -incsize 2G

Configured Shared Repo : repo1 with new size 3712.0.

共有リポジトリでの仮想ディスクの管理方法

これらのトピックでは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでOAKCLIを使用して仮想ディスクを作成、表示、クローニング、アタッチおよび削除する方法について説明します。

内容は次のとおりです。

共有リポジトリで使用するための仮想ディスクの作成

oakcli create vdisk コマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで共有リポジトリに仮想ディスクを作成します。

oakcli create vdiskコマンドは、仮想ディスクのサイズ、ディスクが作成される共有リポジトリの定義、共有リポジトリ内のそのディスクの一意の名前の定義、およびディスクが1つの仮想マシンで使用されるか、複数の仮想マシンで共有できるかの定義をします。

作成するvdiskの名前は、oakcli create vdisk nameコマンドによって定義されます。ここで、nameは作成するvdiskの名前です。-repo reponameオプションを使用して、vdiskを作成するリポジトリを指定します。ここで、reponameはvdiskを作成するリポジトリを指定します。-size sizeGオプションを使用して、vdiskのサイズを指定します(GB単位)。ここで、sizeGは構成されたサイズに追加するサイズ(GB単位)です。vdiskを共有ディスクとして構成する場合は、-type sharedオプションを使用して、vdiskを共有ディスクとして指定します。

例 8-7 共有仮想ディスクの作成の例

この例では、repo2共有リポジトリにsdisk1という名前の仮想ディスクをサイズ1GBで作成し、複数の仮想マシンが共有できるようにします。

oakcli create vdisk sdisk1 -repo repo2 -size 1G -type shared

仮想ディスクに関する情報の表示

oakcli show vdiskコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想ディスクに関する情報を表示します。

oakcli show vdiskを単独で使用して、構成済のすべての仮想マシンの情報を表示できます。各仮想マシンの情報を表示するには、oakcli show vdisk diskname -repo reponameコマンドを入力します。ここで、disknameは確認するディスクの名前、reponameは仮想ディスクが配置されている共有リポジトリの名前です。

例8-8 すべてのvdiskの情報の表示の例

この例では、Oracle Database Appliance上に構成されたすべての仮想ディスクに関する情報を表示します。

# oakcli show vdisk

    NAME                         SIZE     TYPE    REPOSITORY
    ----                         ----     ----    ----------
    myvdisk                      10G      local   vdiskrepo
    newv                         1G       local   vdiskrepo

例8-9 単一のvdiskの情報の表示の例

この例では、myvdisk1:という名前の仮想ディスクに関する情報を表示します。

# oakcli show vdisk myvdisk1
Resource: myvdisk_vdiskrepo
        Name         :     myvdisk_vdiskrepo
        RepoName     :     vdiskrepo
        Size         :     10G
        Type         :     local
        VmAttached   :     0

仮想ディスクのクローニング

oakcli clone vdisk コマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの仮想ディスクのクローンを作成します。

コマンドoakcli clone vdiskは、仮想ディスクのサイズ、そのディスクが作成される共有リポジトリ、その共有リポジトリ内のそのディスクの一意の名前、ディスクが1台の仮想マシンで使用されるか、または複数の仮想マシンによって共有できるかを定義します。

作成するvdiskの名前は、コマンドoakcli clone vdisk nameによって定義されます。nameは作成するvdiskの名前です。-repo reponameオプションを使用して、vdiskを作成するリポジトリを識別します。reponameは元のvdiskがあるリポジトリの名前です。オプション-src sourcevdisknameを使用します。sourcevdisknameはクローニングする仮想ディスクの名前です。オプション-hを追加して、このコマンドのヘルプを表示します。

注意:

仮想ディスクが仮想マシンにアタッチされると、システム管理者は新しく追加されたストレージをその仮想マシンで使用できるよう、オペレーティング・システムにおいて通常のディスク追加タスクを実行する必要があります。

構文

oakcli clone vdisk name -repo reponame -src sourcevdiskname [-h]

例8-10 仮想ディスクのクローニングの例

この例は、vrepo1というリポジトリに格納されたvdisk1という既存の仮想ディスクからmy_vdisk2という仮想ディスクのクローンを作成します。

oakcli clone vdisk my_vdisk2 -repo vrepo1 -src vdisk1

仮想マシンへの仮想ディスクのアタッチ

oakcli modify vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシンに仮想ディスクをアタッチします。

oakcli modify vm nameコマンドにより、仮想マシンを変更できます。ここで、nameは変更する仮想マシンの名前です。ディスクを仮想マシンにアタッチするには、-attachvdisk vdisknameオプションを使用します。ここで、vdisknameは仮想マシンにアタッチする仮想ディスクの名前です。

例8-11 仮想マシンへの仮想ディスクのアタッチの例

この例では、sdisk1という仮想ディスクをmyol6u_testという仮想マシンにアタッチします。

oakcli modify vm myo16u_test -attachvdisk sdisk1

仮想ディスクの削除

oakcli delete vdiskコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで共有リポジトリから仮想ディスクを削除します。

oakcli delete vdisk vdisknameコマンドは仮想ディスクを削除しますが、vdisknameは削除する仮想ディスクの名前です。-repo reponameオプションは、仮想ディスクがある共有リポジトリを示します。ここで、reponameは共有リポジトリの名前です。

例8-12 共有リポジトリからの仮想ディスクの削除の例

この例では、repoprod1という共有リポジトリからt2gという仮想ディスクを削除します。

oakcli delete vdisk t2g -repo repoprod1

仮想マシン・テンプレートの管理方法

これらのトピックでは、OAKCLIを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシン・テンプレートをインポート、構成、変更およびチェックする方法について説明します。

内容は次のとおりです。

仮想マシン・テンプレートの管理について

仮想マシン・テンプレートは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームにデプロイされている仮想マシンのソースとしてインポートして構成します。

共有リポジトリの作成が完了したら、共有リポジトリのいずれかにテンプレートをインポートします。共有リポジトリを作成していない場合は、いずれかのローカル・ノード上のローカル・リポジトリにテンプレートをインポートします。

また、1つ以上のテンプレートを格納できるアセンブリをインポートできます。共有リポジトリにテンプレートまたはアセンブリをインポートするときに、操作を実行するノードを選択します。ノードは慎重に選択して、ノードの過負荷を避けてください。リポジトリを作成すると、どちらのノードがインポートを実行するかに関係なく、リポジトリが両方のノードで利用できるようになります。

ローカル・ノードにインポートされたテンプレートでは、importコマンドで指定されたリポジトリ名を使用し、インポートを完了してストレージを提供する対象のノードを識別します。ノード0上のローカル・リポジトリの名前はodarepo1、ノード1上のローカル・リポジトリの名前はodarepo2です。両方のローカル・リポジトリにテンプレートをインポートする場合は、第2ノードにテンプレートをインポートするときに異なるテンプレート名を指定する必要があります。

注意:

テンプレートは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで直接作成またはクローニングできません。次のURLで仮想マシン・テンプレートを探します。

http://edelivery.oracle.com/linux

複数のテンプレートが格納されたアセンブリをインポートすると、すべてのテンプレート名を一意に保つように、指定したテンプレート名が自動的に変更されます。最初にインポートするテンプレートは、名前に数字「1」が追加されます。2番目のテンプレートには「2」が追加され、追加されるテンプレートに3、4、5のように順に追加されていきます。

仮想マシン・テンプレートをインポートした後、OAKCLIコマンドを使用してテンプレートをカスタマイズできます。

仮想マシン・テンプレートの一覧表示

oakcli show vmtemplateコマンドを使用して、仮想マシン・テンプレートの詳細を表示します。

oakcli show vmtemplateコマンドは、各仮想マシン・テンプレートの名前およびリポジトリと、テンプレートから作成された仮想マシンにOracle Database Appliance仮想化プラットフォームによって割り当てられるデフォルトのCPUの数およびメモリー容量を表示します。

仮想テンプレートsample1_odarepo1の情報を表示します。

oakcli show vmtemplate sample_odarepo1
Resource: sample1_odarepo1
        CPUPriority     :       100           
        Disks           :       |file:/OVS/Repositories/odarepo1/Te
                                mplates/otml_sample1_odarepo1/Syste
                                m.img,xvda,w||file:/OVS/Repositorie
                                s/odarepo1/Templates/otml_sample1_o
                                darepo1/u01.img,xvdb,w|
        Domain          :       XEN_PVM       
        Keyboard        :       en-us         
        MaxMemory       :       2048          
        MaxVcpu         :       2             
        Memory          :       2048          
        Mouse           :       OS_DEFAULT    
        Name            :       sample1_odarepo1
        Networks        :       |bridge=priv1||bridge=net1||bridge=
                                net2|         
        NodeNum         :       0             
        OS              :       OL_5          
        ProcessorCap    :       100           
        RepoName        :       odarepo1      
        Vcpu            :       2 

仮想マシン・テンプレートのインポート

oakcli import vmtemplateコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシン・テンプレートおよびアセンブリをインポートします。

外部テンプレート・リポジトリのアセンブリ・ファイルに格納されている仮想マシン・テンプレートおよびアセンブリがインポートされます。共有リポジトリの名前を使用し、テンプレートまたはアセンブリをインポートするノードを識別するには-node句を指定します。

仮想マシン・テンプレートおよびアセンブリは、ファイルのソースを特定するURLを使用して、リモート・リポジトリから直接インポートできます。リモート・コピー・コマンドの使用を選択してリモート・リポジトリからDom0 /OVSディレクトリにファイルをコピーし、ダウンロード済ファイルを特定するパスおよび名前を使用してファイルをインポートします。

注意:

ローカル・リポジトリにテンプレートまたはアセンブリをインポートするときは、-nodeオプションを使用しないでください。ターゲット・ノードは、リポジトリの名前で暗黙的に決まります。

構文

oakcli import vmtemplate vmtemplatename -files image_files | -assembly assembly_file -repo repo_name [- node 0 | 1 ]

例8-13 外部リポジトリのアセンブリ・ファイルからの仮想マシン・テンプレートのインポート例

oakcli import vmteplate vmtemplatename -assembly assembly_file -repo repo_nameコマンドを使用して、外部テンプレート・リポジトリのアセンブリ・ファイルに仮想マシン・テンプレートをインポートします。

この例では、URL 'http://example.com/assemblies/OEL6/OVM_OL6U1_x86_PVHVM.ova'にある外部テンプレート・リポジトリのアセンブリ・ファイルのテンプレートを、odarepo1という名の新しいリポジトリにあるOL6U1という名の新しいテンプレートにインポートします。

oakcli import vmtemplate OL6U1 -assembly 'http://example.com/assemblies/OEL6/OVM_OL6U1_x86_PVHVM.ova' -repo odarepo1

URLを囲む一重引用符に注意してください。

例8-14 Dom0からの仮想マシン・テンプレートのインポート例

このコマンド構文を使用して、仮想マシン・テンプレートをDom0上の/OVSファイル・システムからインポートします。

oakcli import vmtemplate vmtemplatename -files image_files -repo repo_name

この例では、Dom0/OVS からOVM_OL5U7_X86_64_PVM_10GB.tgzという名の仮想マシン・テンプレートをodarepo1リポジトリにインポートします。テンプレートには、OL5U7という名前が割り当てられます。

oakcli import vmtemplate OL5U7 -files /OVS/OVM_OL5U7_X86_64_PVM_10GB.tgz -repo odarepo1

例8-15 外部リポジトリURLを使用した仮想マシン・テンプレートのインポート例

oakcli import vmtemplate vmtemplatename -files image_files -repo repo_name コマンドを使用して、外部テンプレート・リポジトリから仮想マシン・テンプレート・ファイルをインポートします。

この例では、URL 'http://example.com/assemblies/OEL6/OVM_OL6U1_x86_PVHVM.tgz'にある外部テンプレート・リポジトリからOVM_OL5U7_X86_64_PVM_10GB.tgzという名の仮想マシン・テンプレートをインポートします。URLを囲んでいる一重引用符に注意してください。テンプレートには名前OL5U7が割り当てられ、odarpo1リポジトリにインポートされます。

oakcli import vmtemplate OL5U7 -files 'http://example.com/assemblies/OEL6/OVM_OL6U1_x86_PVHVM.tgz'-repo odarepo1

仮想マシン・テンプレートの構成

oakcli configure vmtemplateコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシン・テンプレートを構成します。

これらの値は、このテンプレートからクローニングされるすべての仮想マシンのデフォルト値になります。それらはすべて、oakcli configure vmコマンドで後から変更できます。

myol5u7_10gbという名の仮想マシン・テンプレートの値を設定します。

oakcli configure vmtemplate myol5u7_10gb -vcpu 2 -maxvcpu 4 -cpucap 40
-memory 1536M -maxmemory 2G -os OTHER_LINUX
  • -vcpu 2は、仮想マシンの起動時に割り当てられるCPUの数を最大2に設定します。

  • -maxvcpu 4は、仮想マシンに割り当てることができるCPUの最大数を4に設定します。

  • -cpucap 40は、仮想マシンに割り当てられるCPUの容量の最大比率を40%に設定します。

  • -memory 1536Mは、仮想マシンの起動時に割り当てられるメモリー容量を、最高1536MBに設定します。

  • -maxmemory 2Gは、仮想マシンに割り当てることができるメモリーの最大容量を2GBに設定します。

  • -os OTHER_LINUXは、仮想マシンにより使用されるオペレーティング・システムとしてOTHER_LINUXを設定します。

仮想マシン・テンプレートの構成済値の表示

oakcli show vmtemplateコマンドを使用して、仮想マシン・テンプレートの構成可能オプションの値を表示します。

仮想テンプレートsample1_odarepo1の情報を表示します。

oakcli show vmtemplate sample_odarepo1
Resource: sample1_odarepo1
        CPUPriority     :       100           
        Disks           :       |file:/OVS/Repositories/odarepo1/Te
                                mplates/otml_sample1_odarepo1/Syste
                                m.img,xvda,w||file:/OVS/Repositorie
                                s/odarepo1/Templates/otml_sample1_o
                                darepo1/u01.img,xvdb,w|
        Domain          :       XEN_PVM       
        Keyboard        :       en-us         
        MaxMemory       :       2048          
        MaxVcpu         :       2             
        Memory          :       2048          
        Mouse           :       OS_DEFAULT    
        Name            :       sample1_odarepo1
        Networks        :       |bridge=priv1||bridge=net1||bridge=
                                net2|         
        NodeNum         :       0             
        OS              :       OL_5          
        ProcessorCap    :       100           
        RepoName        :       odarepo1      
        Vcpu            :       2 

仮想マシン・テンプレート構成の変更

記憶域リポジトリに仮想マシン・テンプレートをインポートした後で、oakcli show vmtemplateコマンドでテンプレート構成パラメータを調べます。特定の要件に合せてテンプレートを再構成する必要がある場合、oakcli configure vmtemplateコマンドを使用します。これは、単一のテンプレートから同じ特性を持つ複数の仮想マシンをデプロイする場合に使用すると便利です。仮想マシンを1つしかデプロイしない場合、または異なる特性の複数の仮想マシンをデプロイする場合は、テンプレートをデプロイした後で、oakcli configure vmコマンドを使用して必要な値を仮想マシンに設定します。

仮想マシン・テンプレートの構成に満足したら、oakcli modifyコマンドを使用して、新しいネットワークを仮想マシン・テンプレートに割り当てます。

gc_11g仮想マシン・テンプレートに割り当てられているネットワークをnet1ネットワークに置き換えます。

oakcli modify vmtemplate gc_11g -addnetwork net1

仮想マシン・テンプレートの削除

以前に保存済のテンプレートが不要になった場合は、oakcli delete vmtemplateコマンドを使用してリポジトリからテンプレートを削除します。

myol6u_15gb3という名前の仮想マシン・テンプレートをOracle Database Appliance仮想化プラットフォームから削除します。

oakcli delete vmtemplate my0l6u_15gb3

テンプレートのクローンおよびスナップ・クローンの作成方法

クローンおよびスナップ・クローンの概要、およびそのクローンの作成に使用する手順については、これらのトピックを確認してください。

内容は次のとおりです。

テンプレートのクローンおよびスナップ・クローンの作成について

インポートしたテンプレート(またはアセンブリ)から、またはOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上の既存の仮想マシンから仮想マシンを作成(クローニング)できます。

クローンおよびスナップ・クローンは、新しいデータベースをテストおよび開発のシステムにプロビジョニングおよびクローニングする効果的な方法の1つです。これはRMANスクリプト、またはその他のクローニング方法を使用するより効果的な作成方法です。

テンプレートまたはアセンブリの完全なクローンとして仮想マシンを作成するか、スナップ・クローンとして仮想マシンを作成できます。スナップ・クローンには仮想マシンで定義したメタデータのみが含まれています。

スナップ・クローンの作成は、テンプレートまたはアセンブリ全体のクローニングと比較して、非常に高速な処理です。ただし、スナップ・クローンの内容を更新する場合は、記憶域の要件を確認する必要があります。スナップ・クローンの変更が共有仮想ディスクで行われないかぎり、元の内容と変更された内容の両方を保持するため、クローン用に追加の記憶域が必要になります。

OAKCLIを使用したテンプレートのクローニング

oakcli clone vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想ディスクをアタッチしている仮想マシンをクローニングします。

仮想ディスクがアタッチされている仮想マシンをクローニングする場合、仮想マシンのクローンには、ローカルにアタッチされた仮想ディスクの内容が含まれますが、共有モードでアタッチされた仮想ディスクは含まれません。必要に応じて、別の手順で、クローニングされた仮想マシンに必要な仮想ディスクをクローニングできます。

oakcli clone vmコマンドを使用して、仮想マシン・テンプレートから仮想マシンを作成します。-repo nameオプションを使用して、共有リポジトリの名前を指定します。ここで、nameはリポジトリの名前です。-node numberオプションを使用して、クローニング・プロセスを実行するノードを指定するための句を指定します。ここで、numberはノードの番号です。

注意:

-nodeオプションは、クローニング・アクティビティが実行されるノードを指定します。このノード値は、仮想マシンのデフォルトの起動ノードを割り当てません。oakcli configure vmコマンドを使用して、起動の割当てを設定します。

例8-16 仮想マシン・テンプレートから仮想マシンのクローンを作成する例

この例では、Node 0repo2という名前の共有リポジトリにあるmyol6u_15gb1という名前の仮想マシン・テンプレートから、myol6u_testという名前の仮想マシンを作成します。

oakcli clone vm myol6u_test -vmtemplate myol6u_15gb1 -repo repo2 -node 0

OAKCLIを使用したテンプレートからのスナップ・クローンの作成

oakcli clone vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで、仮想マシン・テンプレートのスナップ・クローンを作成します。

-vmtemplate nameオプションを使用して、クローニングする仮想マシン・テンプレートの名前を指定します。ここで、nameはそのテンプレートの名前です。-snapオプションを使用して、スナップ・クローンの作成を指定します。

例8-17 仮想マシン・テンプレートからスナップ・クローンを作成する例

この例では、myol15u_snapという名前のスナップ・クローンを、myol5uという名前の仮想マシン・テンプレートから作成します。

oakcli clone vm myol15u_snap -vmtemplate myol5u -snap

OAKCLIを使用した既存の仮想マシンのスナップ・クローンの作成

oakcli clone vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで既存の仮想マシンのスナップ・クローンを作成します。

-vm nameオプションを使用して、クローニングする仮想マシンの名前を指定します。ここで、nameは仮想マシンの名前です。-snapオプションを使用して、スナップ・クローンの作成を指定します。

例8-18 既存の仮想マシンからスナップ・クローンを作成する例

この例では、myol15u_test1という名前のスナップ・クローンを、myol15u_testという名前の仮想マシンから作成します。

oakcli clone vm myol15u_test1 -vm myol15u_test1 -snap

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでの仮想マシンの管理方法

仮想マシンの概要、および仮想マシンの作成と管理の手順についてこれらのトピックを確認します。

内容は次のとおりです。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでの仮想マシンの管理について

ODA_BASEで稼働しているデータベースとは無関係にその他のワークロードを実行するには、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームに仮想マシンをデプロイします

OAKCLIコマンドを使用して、仮想マシンを作成および管理します(起動、停止、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)用のコンソールのオープンなど)。

注意:

仮想ネットワーク・コンピューティング(VNC)セッションを使用して、仮想マシンのGUIコンソールを開くことができます。

アクティブな仮想マシンを再構成できます。ただし、変更内容は仮想マシンを停止して再起動するまで有効になりません。すべての仮想マシンの概要情報や、単一仮想マシンの構成に関する詳細情報を表示できます。特定の仮想マシンが不要になった場合は、記憶域を回復するために仮想マシンを削除します。

リポジトリ内の仮想マシンの一覧表示

oakcli show vmコマンドを使用して、既存の仮想マシンのリストを表示します。

このコマンドでは、各仮想マシンの名前、リポジトリおよび現在の状態(オンラインまたはオフライン)が表示されます。出力には、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームによって各仮想マシンに割り当てられるデフォルトのCPUの数およびメモリー容量も含まれます。

すべての仮想マシンの詳細の表示

すべての仮想マシンの仮想マシン名、メモリーとvCPUの割当て、ステータス、仮想ディスクおよびリポジトリ名を次のように表示します。

oakcli show vm

NAME                    MEMORY          VCPU         STATE           REPOSITORY
----                    ------          ----         -----           ----------
sample5_odarepo1          2048             2         OFFLINE         odarepo1      
sample6_odarepo1          2048             2         OFFLINE         odarepo2      
test1_odarepo1            2048             2         OFFLINE         odarepo1      
test2_odarepo2            2048             2         OFFLINE         odarepo2      
vm1_odarepo1              4096             4         ONLINE          odarepo1      
vm2_odarepo2              2048             2         OFFLINE         odarepo2      
win_vm1                   1500             1         ONLINE          odarepo1

単一の仮想マシンの情報の表示

仮想マシンvm1_odarepo1の情報を表示します。

oakcli show vm vm1_odarepo1
Resource: vm1_odarepo1
        AutoStart       :       restore       
        CPUPriority     :       100           
        Disks           :       |file:/OVS/Repositories/odarepo1/Vi
                                rtualMachines/vm1_odarepo1/System.i
                                mg,xvda,w||file:/OVS/Repositories/o
                                darepo1/VirtualMachines/vm1_odarepo
                                1/u01.img,xvdb,w|
        Domain          :       XEN_PVM       
        ExpectedState   :       online       
        FailOver        :       false
        IsSharedRepo    :       false
        Keyboard        :       en-us         
        MaxMemory       :       3000           
        MaxVcpu         :       4             
        Memory          :       4096          
        Mouse           :       OS_DEFAULT    
        Name            :       vm1_odarepo1  
        Networks        :       |mac=00:21:F6:00:00:E4|         
        NodeNum         :       0             
        NodeNumStart    :       
        OS              :       OL_5          
        PrivateIP       :       None          
        ProcessorCap    :       100           
        RepoName        :       odarepo1      
        State           :       Online        
        TemplateName    :       otml_sample1_odarepo1
        Vcpu            :       4             
        cpupool         :       twocpu        
        vncport         :       5901              

仮想マシンの作成

インポートしたテンプレート(またはアセンブリ)から、または既存の仮想マシンから仮想マシンを作成(クローニング)できます。仮想マシンは、テンプレートまたはアセンブリの完全なクローンにすることも、仮想マシンに定義されているメタデータのみを含むスナップ・クローンにすることもできます。

詳細は、「テンプレートのクローンおよびスナップ・クローンの作成方法」を参照してください。

仮想マシンの構成

oakcli configure vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシンを構成します。

デフォルトで仮想マシンを実行するノードを指定するには-prefnode 句を、(起動時またはすでにアクティブであるとき)優先ノードが使用不可能な場合に仮想マシンで他のノードを使用するかどうかを指定するには-failover句を指定します。

現在稼働している仮想マシンを再構成した場合、変更は仮想マシンを停止して再起動するまで有効になりません。

パラメータ 説明

-vcpu 2

起動時に仮想マシンに割り当てられるCPU数として、2を設定します

-cpuprio 150

CPUアクセスの優先度を150に設定します

-cpucap 20

仮想マシンに割り当てられるCPUの容量の最大比率を20%に設定します

-memory 1G

仮想マシンの起動時に割り当てられるメモリー容量を1GBに設定します

-cpupool linpool

仮想マシンに割り当てられるCPUプールに、linpoolを指定します

-keyboard en-us

仮想マシンにアクセスするために使用されるキーボード・タイプをen-usと定義します

-mouse USB_MOUSE

仮想マシンにアクセスするために使用されるマウス・タイプをUSBマウスと定義します

これらの値は、この仮想マシンの導出元となった仮想マシン・テンプレートの同じパラメータに割り当てられた値に優先します。仮想マシンは、親テンプレートまたは構成コマンドのいずれにも定義されていないパラメータにデフォルト値を使用します。

注意:

CPUの容量は、-cpupoolパラメータで仮想マシンに割り当てられるCPUプールによって、または(-cpupoolパラメータで仮想マシンが構成されていない場合は)、default_unpinned_poolによって制御されます。-vcpuパラメータと-maxvcpuパラメータの値が割当済のCPUプール内のCPUの数より大きい場合は無視されます。

仮想マシンの構成の例

myol15u_testという名前の仮想マシンにある特定のリソースに値を設定します。

oakcli configure vm myol5u_test
-vcpu 2 -cpuprio 150 -cpucap 20 -memory 1G 
-cpupool linpool -keyboard en-us -mouse USB_MOUSE

仮想マシンの起動および停止

oakcli start vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで仮想マシンを起動します。同様に、oakcli stop vmコマンドを使用して、仮想マシンを停止します。

注意:

現在稼働している仮想マシンを再構成した場合、変更は仮想マシンを停止して再起動するまで有効になりません。

外部での仮想マシンの構成

最初は、仮想マシンを仮想マシン・コンソール経由で接続せず、外部に構成できます。これは、Oracle VM Guest Additionsを使用して、仮想マシンにキーと値のペアを渡すことによって実現されます。oakcli modify vm -sコマンドを使用して、仮想マシンにパラメータを渡します。

# oakcli modify vm vmname-s 'key1:value1;key2:value2...'

次の例には、2つの値ペアが含まれています。

oakcli modify vm vmo16u3 -s 'com.oracle.linux.network.device.0:eth0;com.oracle.linux.network.ipaddr.0:192.1.2.18'

注意:

  • Oracle VM Guest Additionsの詳細は、Oracle VMユーティリティ(for x86)に関するガイドOracle VM Guest Additionsの使用に関する項

  • 詳細は、ホワイトペーパーOracle Database Appliance: 仮想マシンの自動プロビジョニングを参照してください。

    http://www.oracle.com/technetwork/database/database-appliance/overview/oda-automatedvmprovisioning-2348232.pdf

仮想マシン用の仮想マシン・コンソールのオープン

アクティブな仮想マシンの仮想マシン・コンソール・ウィンドウを開くには、Oracle Appliance Managerのoakcli show vmconsoleコマンドを実行します。コンソールが正しく表示されない場合は、コンソールを閉じ、DISPLAY環境変数をモニターに適した値に設定した後、oakcli show vmconsoleコマンドを再実行します。

ご使用の仮想マシンを構成して(oakcli modify vmコマンドで-sパラメータを指定します)、GUI仮想マシンのコンソールからではなくOAKCLIコマンドラインからのアクセスを許可することもできます。

vm1_odarepo1という仮想マシンのコンソールを開きます。

oakcli show vmconsole vm1_odarepo1

新規仮想マシンのイメージの作成

oakcli clone vmコマンドを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上に、新しい仮想マシンのイメージを作成します。デフォルトでは、このイメージは、テンプレートまたはクローニングする仮想マシンからコンテンツおよび構成情報を継承し、ソースと同じリポジトリに格納されます。仮想マシンにローカル・リポジトリを使用している場合を除き、oakcli cloneコマンドに-node句を指定して、クローニング・プロセスを実行する必要があるノードを指定します。構成メタデータのみを含むスナップ・クローンを作成するには、oakcli cloneコマンドに-snap句を指定します。

IPアドレスを使用した、eth0からのアクセスに対する仮想マシンの設定

次の一連のコマンドは、eth0インタフェースにIPアドレス192.168.16.51を設定して仮想マシンvmol6u3 (ovmdあり)を構成し、password123arootパスワードを設定します。

oakcli clone vm vmol6u3 -vmtemplate ol6u3 -repo shrepo -node 0
oakcli modify vm vmol6u3 -addnetwork priv1
oakcli start vm vmol6u3
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.network.device.0:eth0'
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.network.onboot.0:yes'
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.network.bootproto.0:static'
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.network.ipaddr.0:192.168.16.51'
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.network.netmask.0:255.255.255.0'
oakcli modify vm vmol6u3 -s 'com.oracle.linux.root-password:password123'
oakcli modify vm myol5u_test -attachvdisk sdisk1
oakcli delete vm my0l5u_test

仮想マシンに対する仮想ディスクの追加または削除

仮想ディスクを追加または削除するには、oakcli modify vm vm_nameコマンドで-attachvdiskを指定するか、仮想ディスクを指定して-detachvdisk句を使用します。

仮想マシンの共有リポジトリからの削除

個別の仮想マシンを使用しない場合、oakcli delete vmコマンドを使用して仮想マシンを削除し、記憶域とリソースを再利用できます。

ノード1から仮想マシンovu22を削除します。

oakcli delete vm ovu22 -server 1

Oracle Database Applianceのライブ・マイグレーションの実行

システムがライブ・マイグレーションの要件を満たしている場合は、oakcli migrate vmコマンドを使用して、現在実行中のノードから別のノードに仮想マシンを移行できます。

ライブ・マイグレーションは、仮想マシンで実行しているクライアントやアプリケーションを切断することなく、稼働している仮想マシンを別の物理マシンに移動するプロセスを指します。仮想マシンのメモリー、記憶域およびネットワーク接続は、元のホスト・マシンから移動先に転送されます。

ライブ・マイグレーションを実行する前に、次の要件を満たすことが必要です。

  • 仮想マシンは共有リポジトリ上にある必要があり、リポジトリは両方のノード上でオンラインである必要があります。

  • 仮想マシンが動作している必要があります。

  • 以降が成功するには、宛先ホストに、必要なリソース(メモリー、CPUなど)がある必要があります。

  • 宛先ホストには、移行する仮想マシンのCPUプールと同名のCPUプールが必要です。

現在実行しているノードから別のノードに仮想マシンを移行するには、oakcli migrate vm vmnameコマンドを使用します。vnameは、移行する仮想マシンの名前です。

このコマンドを実行する場合、仮想マシンがオンラインで、応答している必要があり、共有リポジトリは両方のノード上でオンラインである必要があります。仮想マシンが移行の過程にある場合、OAKCLIでは仮想マシンの状態が「MIGRATING」と表示されます。

例8-19 現在実行しているノードから別のノードへの仮想マシンの移行の例

この例は、myvm1 という名前の仮想マシンを移行します。

oakcli migrate vm myvm1 

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームで高可用性を管理する方法

oakcli configure vmコマンドを使用して、ご使用の仮想マシンの高可用性を構成します。

1年を通して重要な期間、1日のほとんどの時間および1週間のほとんどの曜日に中断されることのないコンピューティング・サービスを提供するために、可用性の高いシステムが設計されています。信頼性、リカバリ可能性、タイムリなエラー検出および継続的な操作は、高可用性ソリューションの主な特性です。高可用性の2つの重要な要素は、自動再起動とフェイルオーバーです。

ローカル・リポジトリを使用している場合を除き、仮想マシンの高可用性オプションを設定できます。高可用性オプションは、デフォルトで仮想マシンを起動する必要があるノードと、仮想マシンが他のノードにフェイルオーバーする必要があるかどうかを指定します。フェイルオーバーは、仮想マシンがすでに稼働しているノードに障害が発生した場合や仮想マシンが起動しようとしたときに優先ノードが使用不可能である場合に発生する可能性があります。

高可用性のための自動再起動の構成

仮想マシンは、ハードウェア障害またはソフトウェア障害の後に、またはデータベース・ホスト・コンピュータが再起動されたときに、自動的に再起動されます。oakcli configure vmコマンドを使用して優先ノードで仮想マシンを起動するには、-prefnodeオプションを使用します。

高可用性のためのフェイルオーバーの構成

不測の失敗の後、手動で介入しなくても仮想マシンを他のノードで起動できるようフェイルオーバーを構成することで、高可用性が実現されます。コマンドoakcli configure vm-failoverオプションを使用して、あるノードから別のノードへのフェイルオーバーを構成します。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのCPUプールの管理方法

これらのトピックでは、OAKCLIを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでCPUプールを作成および管理する方法について説明します。

内容は次のとおりです。

リソース割当て用のCPUプールの管理について

CPUプールを使用して、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでの仮想マシンのワークロードに対してリソース割当てをケージングし、管理します。

ワークロードを分離するには、CPUプールを作成して特定のCPUプールに仮想マシンを割り当て(ピン留め)ます。CPUプールに仮想マシンをピン留めすると、仮想マシンがそのCPUプールのCPUのみを使用するようになります。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームを初めて構成すると、default-unpinned-poolが各ノードに作成されます。このプールのサイズは、ハードウェア・モデルによって異なります。

  • Oracle Database Appliance X5-2仮想化プラットフォーム: default-unpinned-poolには72個のCPUが含まれます。

  • Oracle Database Appliance X4-2仮想化プラットフォーム: default-unpinned-poolには48個のCPUが含まれます。

  • Oracle Database Appliance X3-2仮想化プラットフォーム: default-unpinned-poolには32個のCPUが含まれます。

  • Oracle Database Applianceバージョン1仮想化プラットフォーム: default-unpinned-poolには24個のCPUが含まれます。

ODA_BASEドメインを作成する場合は、新しいCPUプールが両方のノードに作成されます。プールはodaBaseCpuPoolという名前になります。このプールに必要なCPUは、default-unpinned-poolから削除されます。ODA_BASEは、odaBaseCpuPoolのCPUを使用できる唯一のドメインです。他の仮想マシンを起動すると、仮想マシンはdefault-unpinned-poolに残されたCPUで稼働し、これらの仮想マシンで実行される作業では事実上、ODA_BASEが除外されます。

仮想マシンは、CPUプールを追加作成してグループでケージングすることもできます。これらの追加プールを使用すると、1つ以上の仮想マシンを独自のCPUプールにピン留めできます。特定のCPUプールで稼働している仮想マシンは、他のCPUプールで稼働している仮想マシンとCPUサイクルを共有しません。CPUプールは必要な数だけ定義できます(上限はシステムの使用可能なCPUの数です)。

アプリケーション要件が時間とともに変化する場合は、必要に応じてCPUプールのサイズを変更したり、プールを追加または削除してリソースを最大限に活用することをお薦めします。ODA_BASEのサイズを変更することもできます。ただし、ODA_BASEのサイズを変更する場合、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・ライセンスの更新も行う特殊なコマンドを使用する必要があります。

例8-20 ノード上のCPUプールの表示例

次のoakcli show cpupoolコマンドでノードごとに示しているように、各ノードのCPUプールは同じサイズでなくてもかまいません(odaBaseCpuPoolを除く)。

oakcli show cpupool -node 0
                 Pool                         Cpu List
default-unpinned-pool   [14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 2
                                            1, 22, 23]
               twocpu                         [12, 13]
       odaBaseCpuPool   [0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9,
                                               10, 11]
oakcli show cpupool -node 1
                 Pool                         Cpu List
default-unpinned-pool   [12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 1
                                    9, 20, 21, 22, 23]
       odaBaseCpuPool   [0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9,
                                                10,11]

オーバーサブスクライブされたCPUプールについて

CPUプールで利用できるリソースよりも多くのCPUリソースをサブスクライブしないように仮想マシンを構成します。

CPUリソースを1つのCPUプールに割り当てることはできますが、1つのCPUプールにしか属せません。複数の仮想マシンを、同じCPUプールに割り当てることができます。CPUプールは、プール内のアクティブな仮想マシンがプールに構成された数を超えるCPUを必要とする場合、オーバーサブスクライブになります。たとえば、CPUプールに4つのCPUがある場合、それぞれ4つのCPUを使用するように定義された2つの仮想マシンを起動できます。この場合、4つのCPUそれぞれが2つの仮想マシンをサポートしているため、CPUプールはオーバーサブスクライブされます。

これらの仮想マシンのいずれかを停止したとしても、2つのCPUが必要な別の仮想マシンを起動する場合、CPUプールはオーバーサブスクライブされたままになります。これは、CPUの2つが両方の仮想マシンをサポートしているためです。CPUプールをオーバーサブスクライブした場合、そのプール内の仮想マシンのパフォーマンスを評価します。オーバーサブスクライブされたプールの共有によって許容できないレベルまでパフォーマンスが低下している場合は、1つ以上の仮想マシンを異なるCPUプールに再度割り当てます。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・ノードでの新規CPUプールの作成

oakcli create cpupoolコマンドを使用して、CPUプールを作成します。

CPUプールを作成することによってリソースの使用量を管理し、このリソースを仮想マシンに割り当てます。

例8-21 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・ノードでの新規CPUプールの作成の例

この例では、4つのCPUが割り当てられているwinpoolという名のCPUプールをノード0上に作成します。

oakcli create cpupool winpool -numcpu 4 -node 0

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのノードで構成されたCPUプールの表示

oakcli show cpupoolコマンドを使用して、定義済の各CPUプールに割り当てられたCPUを表示します。

oakcli show cpupoolを使用すると、各CPUプールに割り当てられている仮想マシンを表示できます。

例8-22 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・ノードで定義済のCPUプールに割り当てられたCPUの数の表示例

このoakcli show cpupoolの例は、ノード0で定義済の各CPUプールに割り当てられたCPUを示しています。

oakcli show cpupool -node 0

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのCPUプールに割り当てられるCPUの数の変更

oakcli configure cpupoolコマンドを使用して、CPUプールに割り当てられるCPUの数を変更します。

Oracle VM Serverは、1つの仮想プールにのみ割り当てることができます。しかし、仮想プールに割り当てられているリソースを変更して、仮想マシンで使用できるCPUリソースを増やすことができます。

例8-23 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのCPUプールに割り当てられるCPUの数の変更の例

このoakcli configure cpupoolの例は、ノード1のlinpoolという名前のCPUプールに割り当てられるCPUの数を変更します。コマンドを実行すると、CPUに割り当てられる新しいCPUリソースの数は6になります。

oakcli configure cpupool linpool -numcpu 6 -node 1

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのCPUプールへの仮想マシンの割当て

oakcli configure vmコマンドを使用して、仮想マシンをCPUプールに割り当てます。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでの仮想マシンの配置ポリシーの一環として、ノード上のCPUプールの可用性を確認します。

仮想マシンが特定のCPUプールに割り当てられており、フェイルオーバーが可能な場合、この仮想マシンはセカンダリ・ノードで同じCPUプールを使用しようとします。他のノードにCPUプールが存在してもサイズが異なる場合、仮想マシンがセカンダリ・ノードで稼働すると、その仮想マシンのパフォーマンスに影響することがあります。割り当てられたCPUプールがセカンダリ・ノードに存在しない場合、仮想マシンはフェイルオーバーできません。

注意:

oakcli cpupoolコマンドを使用してodaBaseCpuPoolを管理しないでください。かわりに、「ODA_BASEのサイズ変更方法」で説明されているように、ODA_BASEを構成するコマンドを使用します。

例8-24 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのCPUプールへの仮想マシンの割当て例

このoakcli configure vm例では、wintestという名の仮想マシンをwinpoolという名のCPUプールにピン留めする方法を示しています。

oakcli configure vm wintest -cpupool winpool

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのネットワーク・インフラストラクチャおよび仮想ローカル・エリア・ネットワークについて

仮想マシンにアクセスするために使用するネットワークを指定するには、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのネットワーク・インフラストラクチャ・コンポーネントを使用します。

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームは、すべてのネットワークにブリッジを事前に作成して、上位レベルのネットワーク・インフラストラクチャ・コンポーネントをすべて管理します。仮想マシンにアクセスするためのフロント・エンド・ポイントは、Dom0に定義されたブリッジの1つになります。

ネットワーク・インタフェースは、Oracle Database Applianceのハードウェアに応じて異なります。いずれの場合も、ユーザー・ドメインへの接続は、選択したインタフェースを介して行われます。Oracle Database Applianceの表を参照してください。ネットワーク・インタフェースの構成の概要は、「基本的な仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワーク」を参照してください。

Oracle Database Applianceバージョン1仮想化プラットフォームのネットワーク・インタフェース

次の表は、Oracle Database Applianceバージョン1 (外部ストレージ・シェルフがないシステム)上のOracle Database Appliance仮想化プラットフォームのデフォルト・ネットワーク・インタフェースを示します。

表8-1 Oracle Database Applianceバージョン1仮想化プラットフォームのネットワーク・インタフェース

タイプ Dom0でのインタフェース Dom0でのボンド・デバイス Dom0のブリッジ ODA_BASEドメインのインタフェース

プライベート

eth0

eth1

bond0

priv1

eth0

オンボード・パブリック

eth2

eth3

bond1

net1

eth1

第1ペア・クアッド・ポート

eth4

eth5

bond2

net2

eth2

第2ペア・クアッド・ポート

eth6

eth7

bond3

net3

eth3

10-GbEインタフェース

eth8

eth9

xbond0

net4

eth4

注意:

(銅線でなく)ファイバーのパブリック・ネットワーク接続を定義すると、PCIeボードにbond0が構成されます。

Oracle Database Applianceの仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワークの構成の概要

仮想マシンの構成時に、関連ブリッジを指定して、仮想マシンが使用するネットワークを定義します。

たとえば、myvm1という名前の仮想マシンをnet1ネットワークに接続するには、次のコマンドを使用します。

oakcli modify vm myvm1 -addnetwork net1

「基本的な仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワーク」の図は、この仮想マシン・ネットワーク構成の結果である標準的なOracle Database Applianceローカル・エリア・ネットワークの構成を示しています。

図8-3 基本的な仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワーク

図8-3の説明が続きます。
「図8-3 基本的な仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワーク」の説明

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのインストールと構成の際に、デフォルトの仮想ローカル・エリア・ネットワーク(VLAN)をODA_BASEに割り当てます。「仮想ローカル・エリア・ネットワークを使用するOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム」の図では、VLANを使用した標準的なOracle Database Appliance構成を示します。図は「基本的な仮想マシン・ローカル・エリア・ネットワーク」と同じ構成を示していますが、バックアップ用(backup)、アプリケーション用(application)および管理用(mgnt)の3つのタグ付きVLANが追加されています。

図8-4 仮想ローカル・エリア・ネットワークを使用するOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム

図8-4の説明が続きます。
「図8-4 仮想ローカル・エリア・ネットワークを使用するOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム」の説明

ユーザー・ドメインおよびODA_BASEでの仮想ローカル・エリア・ネットワークの管理

これらの例を使用して、仮想ローカル・エリア・ネットワーク(VLAN)を構成および管理する方法を理解します。

ユーザー・ドメインのVLANを管理するには、ODA_BASEにログインします。ODA_BASEのVLANを管理するには、Dom0にログインします。この項の例では、sample10という名前のVLANを使用します。

注意:

Oracle Database ApplianceまたはOracle Database Appliance仮想化プラットフォームのデプロイ前に、Dom0から物理スイッチにVLANを構成できます。

例8-25 仮想ローカル・エリア・ネットワークの作成の例

  1. VLANを作成するには、次の情報を準備します。

    • VLAN名。VLANの作成先のノード上で一意(ただし、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの他のノード上にあるVLAN名と同じ名前にすることは可能)。

    • VLANタグ番号。2から4096 (境界値を含む).の値で、VLANの作成先のノード上で一意(ただし、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームの他のノード上にあるVLANタグ番号と同じ番号にすることは可能)。

    • VLANを作成するインタフェースの名前。「Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのネットワーク・インフラストラクチャおよび仮想ローカル・エリア・ネットワークについて」の表のDom0でのボンド・デバイス列にリストされているハードウェアで使用可能なインタフェースを見つけます。

    • VLANの作成先のノード。

  2. 次のコマンドを入力して、VLANの作成を開始します。プロンプトが表示されたら、準備した情報を入力します。

    oakcli create vlan

注意:

両方のノードに同じVLANを作成する必要がある場合、コマンドoakcli create vlanを2回(ノード0用に1回とノード1用に1回)入力します。

次のoakcli create vlanの例は、ノード0でVLAN sample10を作成します。

oakcli create vlan sample10 -vlanid 10 -if bond0 -node 0

注意:

共有リポジトリに作成した仮想マシンでVLANを使用する予定の場合は、両方のノードでそのVLANを作成します。仮想マシンがデフォルトで稼働するように構成されているノードで割り当てられたネットワークが使用不可能な場合、またはフェイルオーバーの後に起動するよう仮想マシンが構成されているノードで割り当てられたネットワークが使用不可能な場合には、仮想マシンに障害が発生します。

例8-26 ユーザー・ドメインの仮想ローカル・エリア・ネットワークの割当ておよび削除の例

既存のVLANを仮想マシンに割り当てるには-addnetwork句を指定して、仮想マシンからVLANを削除するには-deletenetwork句を指定してoakcli modify vmコマンドを使用します。句にはVLAN名も指定する必要があります。

次のoakcli modify vmの例は、sample10 VLANを仮想マシンmyol5u_testに割り当てます。

oakcli modify vm myol5u_test -addnetwork sample10

例8-27 ODA_BASEの仮想ローカル・エリア・ネットワークの割当ておよび削除の例

ODA_BASEに既存のVLANを追加したり、ODA_BASEからVLANを削除するには、コマンドoakcli configure oda_baseを使用します。このコマンドでは、ODA_BASEおよびドメイン・メモリーのサイズ変更もできます。VLANの管理のみ行う場合は、現在のCPUコア数に対応する番号と現在のメモリー数を入力します。

次の例(抜粋)では、CPUコア数とデフォルトのメモリー値は変更されないままですが、ODA_BASEにVLAN test01が割り当てられます。現在のCPUコア数6は、コア・ライセンス・オプションの値リストの選択番号3に対応しています。

# oakcli configure oda_base
Core Licensing Options:
        1. 2 CPU Cores
        2. 4 CPU Cores
        3. 6 CPU Cores
        4. 8 CPU Cores
        5. 10 CPU Cores
        6. 12 CPU Cores
        Current CPU Cores       :6
        Selection[1 : 6](default 12 CPU Cores) : 3
        ODA base domain memory in GB(min 8, max 88)(Current Memory 48G)[default 64]     : 48
INFO: Using default memory size i.e. 64 GB
Additional vlan networks to be assigned to oda_base? (y/n) [n]: y
Select the network to assign (test00,test01,test02,test03): test01
Additional vlan networks to be assigned to oda_base? (y/n) [n]:
Vlan network to be removed from oda_base (y/n) [n]:
INFO: . . .

例8-28 仮想ローカル・エリア・ネットワークの表示の例

ODA_BASEに現在存在するVLANを表示するには、oakcli show vlanコマンドを実行します。

次の例では、前述の例で使用したsample10 VLAN以外のVLANが表示されています。

oakcli show vlan

NAME                  ID    INTERFACE   NODENUM
----                  --    ---------   -------
net1                  1     bond0       0
net1                  1     bond0       1
net2                  1     bond1       0
net2                  1     bond1       1
net3                  2     bond1       0
net3                  4     bond0       1
net10                 20    bond1       0
net10                 20    bond1       1

例8-29 仮想ローカル・エリア・ネットワークの削除の例

ノードから不要なVLANを削除するには、oakcli delete vlanコマンドでVLAN名と当該ノード番号を指定します。

この例では、(前述のoakcli create vlanの例でVLANが割り当てられた)ノード0からVLAN sample10が削除されます。

oakcli delete vlan sample10 -node 0

注意:

ネイティブVLANは削除できません。ネイティブVLANは、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・ソフトウェアのデプロイ中に構成される仮想ローカル・エリア・ネットワークです。

ODA_BASEのサイズを変更する方法

ODA_BASEドメインを割り当てるCPUコア数を増減し、必要に応じてワークロードに対する演算能力およびメモリーを増減できます。

内容は次のとおりです。

ODA_BASEのサイズ変更について

ODA_BASEリソース割当てを確認したりサイズ変更を実行したりする際は、次のガイドラインを使用することをお薦めします。

インストール済のOracleデータベースの演算能力またはメモリーを増強する必要がある場合、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでODA_BASEドメインに割り当てられているCPUコアの数を増やします。または、仮想マシン・ドメインに割り当てられるCPUを増やす必要がある場合はCPUコアを減らします。各ノードの割当て済CPUコア数は、2または2の倍数ずつ増減する必要があります。

『Oracle Database Applianceスタート・ガイド』の付録Aのガイドラインに従って、テンプレートを使用して、ODA_BASEにデプロイするデータベースをサイズ設定することをお薦めします。その付録の表を使用して、これらのデータベースに必要なCPUの数を合計し、その値を2で割ると、ODA_BASEに必要なCPUコアの数を判断できます。

サイズ変更プロセス中、ODA_BASEドメインが停止します。そのため、Oracleデータベースで必須のアクティビティが実行されていない場合、または予定されたメンテナンス作業をスケジュールする場合は、ODA_BASEコア数の変更を計画してください。

ODA_BASEコア数の変更

これまでに説明した前提条件を実行したら、次の手順を実行して、ODA_BASEコア数を変更します。

  1. Dom0にログインし、次の例に示すようにoakcli configure oda_baseコマンドを実行します。ODA_BASEのCPUコア数が6から8に変更されます。
    # oakcli configure oda_base
    Core Licensing Options:
            1. 2 CPU Cores
            2. 4 CPU Cores
            3. 6 CPU Cores
            4. 8 CPU Cores
            5. 10 CPU Cores
            6. 12 CPU Cores
            Current CPU Cores       :6
            Selection[1 : 6](default 12 CPU Cores) : 10
            ODA base domain memory in GB(min 8, max 88)(Current Memory 64G)[default
    32]     :
    INFO: Using default memory size i.e. 32 GB
    Additional vlan networks to be assigned to oda_base? (y/n) [n]:
    Vlan network to be removed from oda_base (y/n) [n]
    INFO: Node 0:Configured oda base pool
    INFO: Node 1:Configured oda base pool
    INFO: Node 0:ODA Base configured with new memory
    INFO: Node 0:ODA Base configured with new vcpus
    INFO: Changes will be incorporated after the domain is restarted on Node 0
    INFO: Node 1:ODA Base configured with new memory
    INFO: Node 1:ODA Base configured with new vcpus
    INFO: Changes will be incorporated after the domain is restarted on Node 1
    
  2. コマンドの出力に示されるアクションを実行します。前の例で示したバージョンのように、すべてのバージョンのソフトウェアで、ODA_BASEを再起動する前に追加のアクションが要求されるわけではありません。
  3. 両方のノードのDom0で次のrestartコマンドを実行し、ドメインを再起動してODA_BASEの変更後の構成を実装します。
    oakcli restart oda_base