3 保護されたデータベースの構成
この章では、リカバリ・アプライアンスを使用したバックアップおよびリカバリ操作用に保護されたデータベースを構成する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
リカバリ・アプライアンス用に保護されたデータベースを構成する方法の概要
保護されたデータベースのバックアップの中央リポジトリとしてリカバリ・アプライアンスを使用する場合は、リカバリ・アプライアンスと保護されたデータベースの両方を構成する必要があります。保護されたデーベースを構成するには、Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)またはRMANを使用できます。
リカバリ・アプライアンスの構成手順では、保護されたデータベースに割り当てる保護ポリシーの作成、仮想プライベート・カタログを所有するリカバリ・アプライアンス・ユーザーの作成、リカバリ・アプライアンス・ユーザーへの保護されたデータベースのアクセス権の付与などを行います。これらの手順については、『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』を参照してください。
保護されたデータベースの構成では、保護されたデータベースからリカバリ・アプライアンスへのアクセスの有効化、保護されたデータベースのメタデータのリカバリ・アプライアンスへの追加、バックアップおよびリカバリ操作時に使用する設定の指定などを行います。
注意:
保護されたデータベースにはサーバー・パラメータ・ファイルを使用することをお薦めします。
注意:
Cloud Controlで作成したOracleウォレットはHTTPトランスポートのみをサポートします。HTTPSトランスポートを使用するには、Cloud Controlの外部にウォレットを設定する必要があります。
リカバリ・アプライアンス用に保護されたデータベースを構成する手順
保護されたデータベースの構成では、リカバリ・アプライアンスを使用して保護されたデータベースをバックアップおよびリカバリするために必要なセットアップ・タスクを実行します。
リカバリ・アプライアンス用に保護されたデータベースを構成する手順:
-
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録します。
登録は1回かぎりのタスクであり、保護されたデータベースでリカバリ・アプライアンスを使用するための初回セットアップ時に実行する必要があります。
-
保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定を構成します。
これらの設定は、保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ操作中に使用されます。実行するバックアップまたはリカバリ・タスクに応じて設定を変更することが可能です。
-
「Cloud Controlを使用したテスト・バックアップの実行」の説明に従って、テスト・バックアップを実行し、保護されたデータベースの構成が正常であることを確認します。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの概要
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールはOracleが提供するSBTライブラリで、メディア管理ライブラリとして機能します。RMANではリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを使用して、バックアップ・データをネットワーク経由でリカバリ・アプライアンスに転送します。バックアップ・モジュールは、リカバリ・アプライアンスへのバックアップまたはリカバリ操作で使用するRMAN SBTチャネルの割当て/構成を行う際に参照されます。リカバリ・アプライアンスへのバックアップ操作および完全バックアップ・セットのリストア操作はすべてこのバックアップ・モジュールを介して実行されます。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール場所
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールは次の場所にインストールする必要があります。
-
RMANを使用してリカバリ・アプライアンスにバックアップされるすべての保護されたデータベースのOracleホーム内
特定のOracleホームが複数の保護されたデータベースによって使用されている場合、このOracleホームにはバックアップ・モジュールを1回だけインストールする必要があります。
-
レプリケーション環境でバックアップをダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスに送信するすべてのアップストリーム・リカバリ・アプライアンス上
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのライブラリ(
libra.so
)は、リカバリ・アプライアンスに事前インストールされています。ただし、レプリケーション・ユーザー資格証明が含まれているOracleウォレットが、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで構成されている必要があります。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの構成ファイル
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの構成ファイルには、保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスとの通信で使用する構成設定が含まれています。リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールが保護されたデータベースのホストにインストールされる際に、構成ファイルが自動的に作成されます。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの一部の構成パラメータは、リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルを構成または割り当てる際にインラインで設定することもできます(例3-3および例3-4を参照)。
関連項目:
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール時に指定可能な構成パラメータについては、「リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの構成パラメータ」を参照してください
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの構成パラメータ
表3-1に、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール時に使用される構成パラメータを示します。これらのパラメータは、リカバリ・アプライアンスへのバックアップ時とリカバリ・アプライアンスからのリストア時に、保護されたデータベースで使用します。
表3-1 リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラ・パラメータ
パラメータ名 | 必須/オプション | 説明 |
---|---|---|
dbUser |
必須 |
保護されたデータベースのバックアップへの接続や送受信に必要な権限を持つリカバリ・アプライアンス・ユーザーのユーザー名。 |
dbPass |
必須 |
|
host |
必須 |
リカバリ・アプライアンスのSCANホスト名。 |
port |
必須 |
リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースのリスナー・ポート番号。 |
serviceName |
必須 |
リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースのサービス名。 |
walletDir |
必須 |
リカバリ・アプライアンスへの接続に使用するリカバリ・アプライアンス・ユーザーの資格証明とプロキシ情報が格納されるOracleウォレットの場所。 注意: このディレクトリ内にOracleウォレットがすでに存在する場合、Recovery Applianceバックアップ・モジュールのインストーラによって既存のウォレットが上書きされます。 |
proxyHost |
オプション |
リカバリ・アプライアンスへのHTTP接続に使用するプロキシ・サーバーのホスト名(IPアドレス)およびTCPポート(書式: host:port)。 |
configFile |
オプション |
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの構成パラメータが格納されている構成ファイルの場所。 Linux/UNIXでは、デフォルトの場所は |
libDir |
オプション |
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの共有ライブラリの格納場所。このライブラリを使用して、バックアップ・データをネットワーク経由でリカバリ・アプライアンスに転送します。 共有ライブラリは、 このパラメータを省略すると、インストーラは共有ライブラリをダウンロードしません。以前にバックアップ・モジュールをインストール済のOracleホームにOracleウォレットと構成ファイルを再生成する場合は、ライブラリをダウンロードする必要はありません。 |
libPlatform |
オプション |
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールする必要がある保護されたデータベースのホストのプラットフォーム名。 通常、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラが、実行中のプラットフォームを自動的に判断します。このパラメータを設定する必要があるのは、プラットフォームを特定できないことを示すエラーがインストーラによって表示された場合のみです。 プラットフォーム名として有効な値は、linux64、windows64、solaris_sparc64、solaris_sparcx64、zlinux64、aix_ppc64およびhpux_ia64です。 |
argFile |
オプション |
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール時に読み取る必要のある他のコマンドライン・パラメータの読取り元ファイル。 |
保護されたデータベースの登録の概要
保護されたデータベースを登録すると、特定のリカバリ・アプライアンスが保護されたデータベースからバックアップを受信できるようになります。これは1回かぎりのタスクであり、保護されたデータベースでリカバリ・アプライアンスを使用するための初回セットアップ時に実行する必要があります。登録の手順は、リカバリ・アプライアンスと保護されたデータベースの両方で実行する必要があります。
保護されたデータベースの登録では、次のタスクを実行します。
-
保護されたデータベースがリカバリ・アプライアンスにアクセスするために必要な資格証明の構成
保護されたデータベースの管理者には、リカバリ・アプライアンスとの認証とバックアップおよびリカバリ操作を実行するための資格証明が必要です。そのためには、保護されたデータベースの管理ユーザーをリカバリ・アプライアンス・ユーザーに関連付けます(リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースを使用)。これらの資格証明は、保護されたデータベース上に作成されるOracleウォレットに格納されます。
-
保護されたデータベースに適切な保護ポリシーを関連付けることによる、リカバリ・アプライアンスでのリカバリ・ウィンドウ目標の定義と予約済領域の割当て
-
リカバリ・アプライアンス・ユーザーに対する保護されたデータベースへのアクセス権の付与
-
保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンス・カタログへの登録
保護されたデータベースのバックアップに関するメタデータは、リカバリ・アプライアンス・カタログに格納する必要があります。リカバリ・アプライアンス・カタログには複数の仮想プライベート・カタログがあります。この保護されたデータベースのメタデータを操作する仮想プライベート・カタログの所有者を指定する必要があります。
-
Cloud Controlを使用する場合は、Cloud Controlからリカバリ・アプライアンスへの接続に使用する名前付き資格証明へのアクセス権がEnterprise Manager管理者に付与されている必要があります。保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップおよびリカバリ・アプライアンスからリストアするように構成している場合、保護されたデータベースのバックアップやリストア操作を管理するEnterprise Manager管理者がリカバリ・アプライアンスに接続するためには、これらの資格証明へのアクセス権が必要です。
保護されたデータベースのバックアップ設定の概要
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップする前に、保護されたデータベースのバックアップ設定を構成する必要があります。これらの設定(表3-2を参照)では、保護されたデータベースのバックアップ環境のデフォルトの動作を定義します。各バックアップ設定のデフォルト値はRMANによって割り当てられます。ただし、保護されたデータベースのバックアップ要件に応じて設定を構成することをお薦めします。
表3-2 保護されたデータベースのバックアップ設定
バックアップ設定 | 説明 |
---|---|
制御ファイルの自動バックアップ |
バックアップ・レコードが追加されたり制御ファイルのデータベース構造メタデータが変更された場合に、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルを自動的にバックアップする必要があることを指定します。 |
ディスク・バックアップの場所 |
リカバリ・アプライアンスのバックアップを構成する際、バックアップのポーリングが必要な場合は、バックアップのポーリング位置を指定します。 |
バックアップの最適化 |
同じファイルがすでにリカバリ・アプライアンスにバックアップされている場合は、ファイルのバックアップをスキップします。 |
保存ポリシー |
リカバリ目標を満たすために保存しておく必要のあるバックアップを指定します。リカバリ・ウィンドウまたは冗長性の値を指定できます。 パラレル・バックアップ計画を使用していて、既存の(リカバリ・アプライアンス以外の)バックアップ計画によって作成された不要なバックアップを削除する必要がある場合に、この設定を指定する必要があります。 |
アーカイブREDOログの削除ポリシー |
アーカイブREDOログを削除できる条件を指定します。このポリシーは、すべてのアーカイブ先(高速リカバリ領域も含む)に適用されます。 |
保護されたデータベースのリカバリ設定の概要
表3-3に、保護されたデータベースのリカバリ設定を示します。一部の設定(高速リカバリ領域など)の値は、リカバリ・アプライアンス用の保護されたデータベースの構成内容に基づいて割り当てられます。
表3-3 保護されたデータベースのリカバリ設定
リカバリ設定 | 説明 |
---|---|
必要な平均リカバリ時間 |
平均リカバリ時間(MTTR)は、保護されたデータベースのリカバリの所要時間です。保護されたデータベースで許容可能なMTTRに基づいてバックアップ計画を立てます。 |
|
必要に応じて、保護されたデータベースに次の追加プロパティを構成します。
注意: REDOデータをリカバリ・アプライアンスに送信する場合、 関連項目: |
高速リカバリ領域 |
高速リカバリ領域は、バックアップ関連ファイル(RMANバックアップ、アーカイブREDOログ・ファイル、制御ファイルとオンラインREDOログ・ファイルのコピーなど)を格納するディスクの場所です。高速リカバリ領域を使用すると、バックアップ関連ファイルの管理が自動化され、バックアップ関連ファイルのディスク領域の手動管理が必要最小限になります。 関連項目: 高速リカバリ領域の構成の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。 |
保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンスへの登録(Cloud Control)
Cloud Controlを使用して保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録するための概要手順を次に示します。
-
保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリに必要な権限を持つEnterprise Manager管理ユーザーを作成します。
-
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録します。
保護されたデータベースの操作を管理するEnterprise Manager管理者の作成
protdb_adminという名前のEnterprise Manager管理者を作成する手順:
-
他のEnterprise Manager管理者アカウントを作成する権限を持つEnterprise Manager管理者として、Cloud Controlにログインします。
-
「設定」メニューから、「セキュリティ」、「管理者」の順に選択します。
管理者ページが表示されます。
-
「作成」をクリックして、「管理者の作成: プロパティ」ページを表示します。
-
「名前」および「パスワード」の各フィールドに、新しいEnterprise Manager管理者の資格証明を入力します。この例では、Enterprise Manager管理者の名前は
protdb_admin
です。「パスワード・プロファイル」フィールドではDEFAULTが選択されています。この値を変更する必要はありません。このページの他のフィールドには必要に応じて情報を入力します。
-
「次へ」をクリックして、「管理者protdb_adminの作成: ロール」ページを表示します。
-
EM_USERロールを「使用可能なロール」リストから「選択したロール」リストに移動して、「次へ」をクリックします。
「管理者protdb_adminの作成: ターゲット権限」ページが表示されます。
-
「ターゲット権限」セクションで、新しいEnterprise Manager管理者がアクセスする必要があるすべてのターゲットの権限を追加します。保護されたデータベースの操作を管理する管理者に必要なターゲット権限は次のとおりです。
-
このEnterprise Manager管理ユーザーによって管理される保護されたデータベースに対応するターゲット: 完全権限
-
このEnterprise Manager管理ユーザーによって管理される各保護されたデータベースのホストに対応するターゲット: 完全権限
-
保護されたデータベースのバックアップの送信先になるリカバリ・アプライアンスに対応するターゲット: 表示権限。
これらのターゲットに対して権限を追加するには、次のようにします。
-
「追加」をクリックして、「検索と追加: ターゲット」ダイアログを表示します。
-
「ターゲット名」、「ターゲット・タイプ」、「ホスト上」の各フィルタを使用して、ターゲットを検索します。ターゲットを選択し、「選択」をクリックします。
選択した保護されたデータベースが「ターゲット権限」セクションのターゲットのリストに追加されます。
-
権限は、「すべてに付与」ボタンを使用してリスト内のすべてのターゲットに指定するか、個々のターゲットを選択し、「選択したものに付与」ボタンをクリックして指定できます。いずれの場合も、上で指定したターゲットに適切な権限を後続の権限の割当て画面で選択し、「続行」をクリックして「ターゲット権限」ページに戻ります。
新しいEnterprise Managerユーザーによって管理されるターゲットごとに、必要に応じてこれらの手順を繰り返します。
-
-
「次へ」をクリックして、「管理者protdb_adminの作成: EMリソース権限」ページを表示します。
-
次の手順を実行してください。
-
ジョブ・システム権限の場合は、「権限付与の管理」列の「編集」アイコンをクリックします。「リソース・タイプ権限」セクションで、「作成」を選択してから、「続行」をクリックします。
-
EM管理ユーザーに既存の資格証明へのアクセス権を付与するには、「名前付き資格証明」列の「編集」アイコンをクリックします。「リソース権限」セクションで「追加」をクリックし、このEnterprise Manager管理者に関連付ける必要がある名前付き資格証明を選択します。
-
-
「確認」をクリックして、「管理者protdb_adminの作成: 確認」ページを表示します。
この新しいユーザーのプロパティ、ロールおよび権限が表示されます。設定を確認し、修正する場合は「戻る」をクリックします。
-
「終了」をクリックすると、Enterprise Manager管理者が作成されます。
Cloud Controlを使用した保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンスへの登録
Cloud Controlでは、一部のタスクを自動的に実行することで、保護されたデータベースの登録処理が簡素化されます。
関連項目:
注意:
保護されたデータベースの登録に使用するリカバリ・アプライアンス設定セクションが表示されるのは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上を使用している保護されたデータベースのみです。保護されたデータベースのリリースが11.2より前の場合は、コマンドラインを使用して保護されたデータベースを登録し、仮想プライベート・カタログのユーザー資格証明を構成してください。
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録する手順:
保護されたデータベースがリカバリ・アプライアンスに登録されると、保護されたデータベースのホーム・ページ(図3-1を参照)を使用して、保護されたデータベースの構成、バックアップおよびリカバリ操作を実行できるようになります。
保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンスへの登録(コマンドライン)
リカバリ・アプライアンスでの登録手順は、DBMS_RA
パッケージ内のプロシージャを使用して実行します。保護されたデータベースで実行する手順には、RMANまたはオペレーティング・システム・コマンドを使用します。
RMANを使用して保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録する手順:
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール
保護されたデータベースは、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを介してリカバリ・アプライアンスと通信します。保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録する前に、保護されたデータベースのホストにバックアップ・モジュールをインストールする必要があります。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール時に、保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスとの認証に必要な資格証明が格納されるOracleウォレットが作成されます。追加のOracleウォレットも作成できます。
注意:
保護されたOracle 10gデータベースでは、ライブラリをインストールしてウォレットを作成する手動の手順が別に必要です。これらのタスクを完了する手順は、「保護されたOracle 10gデータベースの登録」を参照してください。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールする手順:
- 「リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストールの準備」で説明している準備タスクを完了します。
- 「リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラの入手」の説明に従って、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラをダウンロードします。
- 「リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラの実行」の説明に従って、1つ以上の保護されたデータベースが含まれている各Oracleホームに、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールします。
関連項目:
-
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールする必要がある場所については、「リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの概要」を参照してください
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストールの準備
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールする前に、次の手順を完了してください。
-
Javaバージョン1.5以上が搭載されていることを確認します。
-
リカバリ・アプライアンス管理者に問い合せて、次の情報を入手します。
-
リカバリ・アプライアンスのホスト名およびポート番号
-
保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスとの認証で使用するリカバリ・アプライアンス・ユーザーの資格証明
保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ操作の実行に必要な権限を、リカバリ・アプライアンス・ユーザーに割り当てる必要があります。
-
-
保護されたデータベースのリリースがOracle Database 10gリリース2以上であることを確認します。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラの入手
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラは、Oracle Technology Network (OTN)からダウンロードするか、リカバリ・アプライアンスから入手できます。
リカバリ・アプライアンスでは、インストーラはra_installer.zip
という名前で、ORACLE_HOME
/lib
ディレクトリ内にあります。インストール時、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールはまず、ご使用のプラットフォームに必要なモジュールをOTNからダウンロードしようとします。OTNにアクセスできない場合、インストーラは必要なライブラリをリカバリ・アプライアンスから取得します。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラをOTNからダウンロードする手順:
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラの実行
保護されたデータベースのホスト・ファイル・システムにリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールします。リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールは共有ライブラリなので、保護されたデータベースのすべてのインスタンスが参照できる共有ライブラリの検索パス内の場所にインストールする必要があります。たとえばOracleデータベースでは、$ORACLE_HOME/lib
が共有ライブラリのデフォルトの場所です。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの場所は、ALLOCATE CHANNEL
またはCONFIGURE CHANNEL
コマンドで、SBT_LIBRARY
パラメータを指定して使用できます。
リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストーラを実行する手順:
関連項目:
-
Oracleウォレットを手動で作成する手順については、「保護されたデータベースでのOracleウォレットの作成」を参照してください
保護されたOracle 10gデータベースの登録
保護されたOracle 10gデータベースを登録するには、登録プロセスの前半で手動の構成手順が別に必要です。
保護されたデータベース・サーバーで次のタスクを実行します。
保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンス・カタログへの登録
すべての保護されたデータベースは、ターゲットのリカバリ・アプライアンスのリカバリ・アプライアンス・カタログを使用して、保護されたデータベースのバックアップ・メタデータを格納する必要があります。保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンス・カタログに登録すると、保護されたデータベースのメタデータとそのバックアップがリカバリ・アプライアンス・カタログに格納されるようになります。ただし、RMANリカバリ・カタログに格納されている既存のバックアップ・メタデータは、RMANリカバリ・カタログをリカバリ・アプライアンス・カタログにインポートしないと、リカバリ・アプライアンス・カタログで使用可能になりません。
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録するには、REGISTER DATABASE
コマンドを使用します。
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録する手順:
関連項目:
-
REGISTER
DATABASE
コマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。 -
RMANリカバリ・カタログの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
-
ネット・サービス名の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定の構成(Cloud Control)
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップする前に、保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定を構成する必要があります。これらの構成済設定は、後続のバックアップおよびリカバリ操作で使用されます。
注意:
Cloud Controlを使用して登録できる保護されたデータベースは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上です。リリース11.2より前のOracle Databaseでは、コマンドラインを使用してバックアップおよびリカバリ設定を構成してください。
Cloud Controlを使用した保護されたデータベースのバックアップ設定の構成
バックアップ設定では、保護されたデータベースのデフォルトのバックアップ環境を定義します。リアルタイムREDOトランスポートとポーリング位置を構成する設定では、リカバリ・アプライアンスへのバックアップの作成方法を定義します。その他の設定(制御ファイルの自動バックアップやバックアップの最適化など)では、保護されたデータベースのバックアップに関するベスト・プラクティスとパフォーマンス改善を定義します。これらの設定は、要件に基づいて構成できます。
Cloud Controlを使用して保護されたデータベースのバックアップ設定を構成する手順:
Cloud Controlを使用した保護されたデータベースのリカバリ設定の構成
リカバリ設定では、保護されたデータベースのデフォルトのリカバリ環境を定義します。リカバリ・アプライアンスの必須設定は、ログのアーカイブ・ファイル名の書式のみです。他のリカバリ設定は必要に応じて構成してください。
Cloud Controlを使用して保護されたデータベースのリカバリ設定を構成する手順:
関連項目:
-
表3-3 リカバリ設定の簡単な説明
保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定の構成(コマンドライン)
通常のRMANコマンドを使用して、保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定を構成できます。これらの構成済設定は、後続のバックアップおよびリカバリ操作で使用されます。
この項には次のトピックが含まれます:
コマンドラインを使用した保護されたデータベースのバックアップ設定の構成
保護されたデータベースのバックアップ設定のデフォルト値はRMANによって割り当てられます。CONFIGURE
コマンドを使用すると、保護されたデータベースのバックアップ要件に応じて、これらの設定を変更できます。
コマンドラインを使用して保護されたデータベースのバックアップ設定を構成する手順:
関連項目:
-
バックアップの最適化の構成の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
リアルタイムREDOトランスポートの構成
リアルタイムREDOトランスポートを構成すると、保護されたデータベースのREDOデータはリカバリ・アプライアンスに直接トランスポートされて格納されます。これにより、連続するアーカイブ・ログ・バックアップ間に存在する潜在的なデータ損失の期間が最小限に抑えられます。
保護されたデータベースのリアルタイムREDOトランスポートを構成する手順は1回かぎりです。設定すると、保護されたデータベースのREDOデータはリカバリ・アプライアンスへ非同期にトランスポートされます。
注意:
-
REDOトランスポートに使用するユーザーは、リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するために構成したのと同じユーザーである必要があります。
-
保護されたデータベースのリアルタイムREDOトランスポート構成をクリアする場合、保護されたデータベースの正確な状態を維持するよう手動でREDOログ・スイッチに強制する必要があります。ログ・スイッチはリモート・サーバー・プロセス(RFS)を強制して、REDOデータのリカバリ・アプライアンスへの送信を停止します。
保護されたデータベースのリアルタイムREDOトランスポートを有効にする手順:
関連項目:
-
REDOトランスポートがサポートされているOracle Databaseのリリースの詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』を参照してください。
-
Oracle Data Guardが装備されているリカバリ・アプライアンス用にREDOトランスポートを構成する方法の詳細は、『Data Guard構成へのZero Data Loss Recovery Applianceのデプロイ』を参照してください。
保護されたデータベースでのOracleウォレットの作成
Oracleウォレットには、保護されたデータベースがリカバリ・アプライアンスとの認証に使用するリカバリ・アプライアンス・ユーザーの資格証明が格納されます。これらの同じ資格証明は、構成されていればバックアップとREDOの送信にも使用されます。リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールすると、Oracleウォレットは自動的に作成されます。ウォレットと必須エントリの追加は、手動で行うこともできます。
注意:
保護されたデータベースのsqlnet.ora
ファイルには、Oracleウォレットの場所が含まれている必要があります。ウォレットの場所は通常、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールのインストール時に、このファイルに自動的に追加されます。
複数のZDLRAの場合、単一のウォレットを一元的な場所に格納し、各ZDLRA参照上にsqlnet.ora
ファイルを用意してウォレットの場所を一元管理します。
ウォレットを複数のZDLRA用の一元化された場所に格納できない場合は、すべてのインスタンスにコピーする必要があります。最初のインスタンスにウォレットおよびマスター・キーを作成し、そのウォレットを他のインスタンスにコピーします。さらに、データベース・ウォレットを分離するために環境変数ORACLE_UNQNAME
を設定します。その後、UNIX / Linuxの場合、sqlnet.ora
から次のように動的に参照できます。
WALLET_LOCATION = (SOURCE=(METHOD=FILE) (METHOD_DATA = (DIRECTORY=/etc/oracle/wallets/$ORACLE_UNQNAME/)))
Windowsベースのシステムでは、次のようにデータベースを動的に参照できます。
WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = FILE) (METHOD_DATA = (DIRECTORY = E:\oracle\%ORACLE_UNQNAME%)))
Windowsに加えて、データベースORACLE_UNQNAME=<dbname>
のWindowsレジストリ・キーを設定します。ただし、このレジストリ・キーはWindows上の1つのデータベースに対してしか設定できないため、このアプローチは現在、Windowsサーバー上でデータベースが1つしか実行されていない環境に制限されます。
例3-1 保護されたデータベースでのOracleウォレットの作成
次のコマンドでは、ravpc1
という名前のリカバリ・アプライアンスのユーザーの資格証明を格納するOracleウォレットを作成します。
$ mkstore \ -wrl $ORACLE_HOME/oracle/wallet \ -createALO \ -createCredential zdlra01ingest-scan.acme.com:1521/zdlra01:dedicated ravpc1
ravpc1
ユーザーのパスワードを要求された場合は入力します。ここで、zdlra01
はリカバリ・アプライアンス・データベースのネット・サービス名です。mkstore
コマンドを実行する前に、ディレクトリ$
ORACLE_HOME
/oracle/wallet
が作成されている必要があります。
例3-2 複数のユーザー資格証明が含まれるOracleウォレットの作成
次のコマンドでは、保護されたデータベースのOracleウォレットに2組の資格証明を作成します。このシナリオの場合、ra_user
は、通常のバックアップおよびリカバリ操作(さらに、有効な場合はリアルタイムREDO)の際にリカバリ・アプライアンスによっても使用され、データ同期の際にData Guardスタンバイ・データベースによっても使用されます。リカバリ・アプライアンスのサービス名はzdlra2
で、Data Guard設定のプライマリ・データベースのサービス名はchicago
です。
$ mkstore \ -wrl $ORACLE_HOME/oracle/wallet \ -createALO \ -createCredential chicagoingest-scan.acme.com:1521/chicago:dedicated ra_user \ -createCredential zdlra02ingest-scan.acme.com:1521/zdlra02:dedicated ra_user
プロンプト表示されたら、ra_user
のパスワードを入力します。mkstore
コマンドを実行する前に、ディレクトリ$
ORACLE_HOME
/oracle/wallet
が作成されている必要があります。
コマンドラインを使用した保護されたデータベースのリカバリ設定の構成
RMANによって割り当てられた、保護されたデータベースのリカバリ設定のデフォルト値を変更するには、CONFIGURE
コマンドを使用します。
コマンドラインを使用して保護されたデータベースのリカバリ設定を構成する手順:
リカバリ・アプライアンスのバックアップおよびリカバリ操作でのRMANチャネルの使用方法
Recovery Applianceとの間でバックアップをやり取りするには、Recovery Applianceバックアップ・モジュールに対応するRMAN SBT (テープへのシステム・バックアップ)チャネルを使用する必要があります。
保護されたデータベースの操作にRMANチャネルを使用する場合、次の方法を使用できます。
リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルの構成
リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルを構成するには、RMAN CONFIGURE
コマンドを使用します。保護されたデータベースにチャネルを構成すると、その保護されたデータベースでのバックアップ、リストアおよびメンテナンスのすべての操作に適用可能な永続設定が作成されます。構成済の設定は、特定の操作でALLOCATE
コマンドを使用して明示的に削除、変更またはオーバーライドされるまで有効なままです。
例3-3では、リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルを構成します。これを構成した後は、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールに対応するSBTチャネルをバックアップまたはリカバリ操作ごとに明示的に割り当てる必要はありません。
例3-3 リカバリ・アプライアンスで使用するRMANチャネルの構成
この例では、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを指しているSBT_LIBRARY
パラメータを使用して、RMAN SBTチャネルを構成します。共有ライブラリlibra.so
の完全パスが指定されています。RA_WALLET
パラメータは、この保護されたデータベースとリカバリ・アプライアンスとの認証に使用する資格証明が格納されているOracleウォレットの場所を表します。ra-scan
はリカバリ・アプライアンスのSCANで、zdlra5
はリカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースのサービス名です。
CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE 'SBT_TAPE' PARMS 'SBT_LIBRARY=/u01/app/oracle/product/11.2.0.4.0/dbhome_1/lib/libra.so, ENV=(RA_WALLET=location=file:/u01/app/oracle/product/11.2.0.4.0/dbhome_1/dbs/zdlra credential_alias=ra-scan:1521/zdlra5:dedicated)' FORMAT '%U_%d';
リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルの割当て
リカバリ・アプライアンスへのバックアップまたはリカバリ・アプライアンスからのリカバリに使用するRMAN SBTチャネルを割り当てるには、RMAN ALLOCATE
コマンドを使用します。特定の操作では、操作前にRMAN SBTチャネルを明示的に割り当てることにより、CONFIGURE
コマンドで設定済の永続構成をオーバーライドできます。ALLOCATE
コマンドとその他のコマンドをRUN
ブロックで囲みます。
例3-4では、リカバリ・アプライアンスで使用するRMAN SBTチャネルを割り当ててから、アーカイブREDOログを含む保護されたデータベースの全体バックアップを作成します。
例3-4 リカバリ・アプライアンスで使用するRMANチャネルの割当て
この例では、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの完全パスを指定するSBT_LIBRARY
パラメータを使用して、RMAN SBTチャネルを割り当てます。ENV
設定では、リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールで使用する構成パラメータを指定します。ra-scan
はリカバリ・アプライアンスのSCANで、zdlra5
はリカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースのサービス名です。
RUN { ALLOCATE CHANNEL c1 DEVICE TYPE sbt_tape PARMS='SBT_LIBRARY=/u01/app/oracle/product/12.1.0.2/dbhome_1/lib/libra.so, ENV=(RA_WALLET=location=file:/u01/app/oracle/product/12.1.0.2/dbhome_1/dbs credential_alias=ra-scan:1521/zdlra5:dedicated)' FORMAT '%U_%d'; BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 DATABASE PLUS ARCHIVELOG; }
テスト・バックアップおよびリカバリ操作の実行
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録した後で、テスト・バックアップおよびリカバリ操作を実行することをお薦めします。このテストにより、構成設定が正確であること、およびリカバリ・アプライアンスへのバックアップとリカバリ・アプライアンスからのリカバリが正常に実行されることを確認できます。テスト・バックアップまたはリカバリでなんらかの問題が発生した場合は、設定を修正して保護されたデータベースを再構成できます。
コマンドラインを使用したテスト・バックアップの実行
保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンス用に構成した後でテスト・バックアップを試行することにより、リカバリ・アプライアンスへの接続をテストできます。
保護されたデータベースのテスト・バックアップを作成する手順:
コマンドラインを使用したテスト・リカバリの実行
保護されたデータベースのテスト・バックアップをリカバリ・アプライアンスに作成した後で、テスト・リカバリを実行してこのバックアップを検証できます。
保護されたデータベースのテスト・リカバリを実行する手順:
これらのバックアップおよびリカバリ手順が正常に実行されたら、クライアント・データベースではリカバリ・アプライアンスへの定期バックアップをいつでも実行できます。
リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するための複数の保護されたデータベースの構成
リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するように構成されている場合、データベースはリカバリ・アプライアンスによって保護されます。
この手順は、Enterprise Manager (EM)の「バックアップ設定」ページを使用して個々のデータベースで実行できます。ただし、Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EMCLI)のconfigure_db_ha
コマンドを使用すると、複数のデータベースを同時に構成しやすくなります。
保護されたデータベースは様々なハードウェア・プラットフォームでホストできるため、各プラットフォームに対応したRMANバックアップ・モジュールが必要です。このモジュールの新しいバージョンが使用可能になり、多数のシステムにインストールする必要がある場合、同じemcli configure_db_ha
コマンドによって、この複雑なメンテナンス・タスクが大幅に簡略化されます。
- 最新バージョンのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを使用したEMソフトウェア・ライブラリの更新。このタスクはシナリオ#2に必須で、シナリオ#1のいくつかのバリエーションに必須です。
- シナリオ#1: リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するための複数の保護されたデータベースの構成。
- シナリオ#2: 複数の保護されたデータベースのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの更新
これらのシナリオは独立しています。EMで保護されたデータベース管理が処理されると、保護されたデータベースごとにシナリオ#1が1回実行された後、これらのシナリオのバリエーションを使用して定期的なメンテナンスが実行されます。
シナリオ#2では、最新バージョンのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをEMソフトウェア・ライブラリにアップロードする必要があります。これは必要に応じて手動で、またはスケジュールされたジョブで実行できます。
最新バージョンのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを使用したEMソフトウェア・ライブラリの更新
この項は、保護されたデータベースによって使用されるRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールがEnterprise Manager (EM)で管理されている場合に必須です。これは、EMのソフトウェア・ライブラリに最新のRMANモジュールを提供するためです。
RMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールは、保護されたデータベースがホストされているサポート対象のオペレーティング・システムごとに異なります。
この項の手順では、最新バージョンのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールでソフトウェア・ライブラリを更新します。その後、EMは、保護されたデータベースごとに適切なRMANモジュールをソフトウェア・ライブラリからインストールします。
- オプション1: ソフトウェア・ライブラリへのRMANモジュールの自動アップロードのためのEMの構成。このオプションを使用すると、最新のRMANバックアップ・モジュールでソフトウェア・ライブラリを自動的に維持できます。
- オプション2: EMCLIを使用したRMANバックアップ・モジュールのソフトウェア・ライブラリへの手動アップロード。このオプションは、EMがOracle Cloudに直接アクセスできない場合(オフライン・モード)に使用します。
オプション1: ソフトウェア・ライブラリへのRMANモジュールの自動アップロードのためのEMの構成
このオプションでは、Oracle Cloud上のRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの新しいバージョンを検索してEMにダウンロードする、繰返しのジョブをEMで作成します。
このオプションは、RMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを検索してダウンロードするために、EMがOracle Cloudに直接アクセスできることを前提としています。「ソフトウェア・ライブラリ内の高可用性ソフトウェアの更新」のジョブをEMでスケジュールします
その後、このジョブがスケジュールされた時間に実行されると、サポートされているすべてのデータベース・プラットフォーム用のRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの最新バージョンが格納される、Oracle Cloud内の指定の場所がスキャンされます。そのバージョンがEMソフトウェア・ライブラリで保持されている最新バージョンと比較されます。Oracle Cloudで検出されたバージョンのほうが新しい場合、サポートされているすべてのプラットフォームのバージョンがソフトウェア・ライブラリにダウンロードされます。古いバージョンのRMANバックアップは、ソフトウェア・ライブラリにアーカイブされます。
emcli config_db_ha
コマンドを使用すると、EMによって管理されている保護されたデータベースのRMANバックアップ・モジュールがこの新しいバージョンに更新されます。
新しいバックアップ・モジュール・バージョンが検出され、ソフトウェア・ライブラリにダウンロードされた場合のジョブ出力の例を次に示します。
オプション2: EMCLIを使用したRMANバックアップ・モジュールのソフトウェア・ライブラリへの手動アップロード
このオプションは、新しいバージョンのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをEMソフトウェア・ライブラリに配布することが必要になるたびに繰り返される手動の手順です。
このオプションは、EMがOracle Cloudに直接アクセスできない場合のオフライン・モード用です。
このコマンドの使用方法と、次に説明するconfigure_db_ha
動詞のその他の形式は、Cloud Controlコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。
シナリオ#1: リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するための複数の保護されたデータベースの構成
Enterprise Managerを使用して、複数の保護されたデータベースの構成を管理します。
リカバリ・アプライアンス管理者が保護されたデータベースを登録した後、バックアップおよびREDOをリカバリ・アプライアンスに送信するためにデータベースをローカルで構成する必要があります。この構成手順は、Enterprise Manage (EM)の「バックアップ設定」ページから個々のデータベースに対して実行できます。ただし、EMユーザー・インタフェースを介して複数のデータベースに対してこの手順を実行するのは実用に向かない場合もあります。
複数のデータベースの登録は、EMコマンドライン・インタフェース(EMCLI)およびconfigure_db_ha -configureRABackup
コマンドを使用することでより簡単に実現できます。これは複数のデータベースの構成手順を同時に実行します。
次の例では、個々のデータベースおよび複数のデータベースの初期構成を実行するための、このコマンドの様々な使用方法を示します。
単一インスタンス・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackup
の例では、バックアップおよびREDOをリカバリ・アプライアンスに送信する単一インスタンス・データベースを構成します。
RMANバックアップ・モジュールがデータベースのOracleホームにすでにインストールされている場合、ソフトウェア・ライブラリから最新のRMANバックアップ・モジュールはインストールされません。このコマンドは、EM名前付きデータベースおよびホスト資格証明を使用します。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –target_name="Finance" –target_type="oracle_database" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred="DB_HOST_USER" –enable_redo_ship
1つのクラスタ・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackup
の例では、バックアップをリカバリ・アプライアンスに送信する1つのクラスタ・データベースを構成します。
このコマンドでは–enable_redo_ship
オプションを使用しないため、REDOログは送信されません。–force_backup_module_install
オプションは、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各クラスタ・データベース・インスタンスのOracleホームにインストールすることを指定します。このコマンドは、EM名前付きデータベースおよびホスト資格証明を使用します。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –target_name="Finance" –target_type="rac_database" –force_backup_module_install
単一インスタンスおよびクラスタ・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackup
の例では、入力ファイル–input_file="/tmp/dblist"
を使用して、構成する単一インスタンスおよびクラスタ・データベースを指定します。
–enable_redo_ship
オプションを指定すると、バックアップおよびREDOログがリカバリ・アプライアンスに送信されます。–force_backup_module_install
オプションは、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各データベースのOracleホームにインストールすることを指定します。このコマンドでは、すべてのデータベースで同じEM名前付きデータベースとホスト資格証明が使用されます。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –input_file="/tmp/dblist" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred=" DB_HOST_USER" –enable_redo_ship –force_backup_module_install –staging_directory=”/tmp/stage"
この例で使用されている入力ファイル/tmp/dblist
の内容は、単一インスタンス・データベースおよびクラスタ・データベースを指定します
target.0.target_name=db1
target.0.target_type=oracle_database
target.1.target_name=rac1
target.1.target_type=rac_database
入力ファイルからの複数のデータベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackup
の例では、入力ファイル–input_file="/tmp/dblist"
を使用して、構成するデータベースを指定します。
–enable_redo_ship
オプションを指定すると、バックアップおよびREDOログがリカバリ・アプライアンスに送信されます。RMANバックアップ・モジュールがデータベースのOracleホームにすでにインストールされている場合、ソフトウェア・ライブラリから最新のRMANバックアップ・モジュールはインストールされません。-schedule
オプションは、操作の将来の時間を設定します。このコマンドでは、すべてのデータベースで同じEM名前付きデータベースとホスト資格証明が使用されます。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –input_file="/tmp/dblist" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred="DB_HOST_USER" –enable_redo_ship -schedule="start_time:2016/06/28 18:31;tz:PST;"
保護されたデータベースの構成のメンテナンス
emcli configure_db_ha -configureRABackup
コマンドのバリエーションを必要に応じて同じデータベースに対して再実行して、構成を更新することもできます。
ローカル・データベース構成のすべての側面(ウォレット、バックアップ・モジュール、RMAN構成など)は、コマンドによって起動されるEMデプロイメント・プロシージャによって必要に応じて自動的に更新されます。このようにして、複数のデータベースの構成の継続的なメンテナンスを1つのコマンドで行うことができます。
メンテナンス・シナリオの例を次に示します。
-
VPCユーザー・パスワードの変更後に、保護されたデータベースごとに使用される仮想プライベート・カタログ(VPC)資格証明を更新して、リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信します。VPCユーザーに対応するEM名前付き資格証明が更新済(このVPCユーザーを使用するEM操作に必要)であることを前提として、EMデプロイメント・プロシージャによって、すべての保護されたデータベースのウォレットが新しい資格証明で自動的に更新されます。
-
保護されたデータベースごとのすべてのOracleホームでリカバリ・アプライアンスRMANバックアップ・モジュールを更新します。これは、保護されたデータベース構成全体の一部として、またはスタンドアロン操作として個別に実行できます。データベース構成時に
-force_backup_module_install
オプションが指定された場合、EMデプロイメント・プロシージャは、各Oracleホームのバックアップ・モジュールをEMソフトウェア・ライブラリに存在する最新バージョンで更新します。 -
リカバリ・アプライアンスへのREDO送信がまだ有効になっていないデータベースで、REDO送信を有効にします。これは、
-enable_redo_ship
オプションと、REDO送信を有効にするデータベースをリストした入力ファイルを指定してコマンドを再実行することで行うことができます。
完全な構文および入力ファイルの形式については、Cloud Controlコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。
シナリオ#2: 複数の保護されたデータベースのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールの更新
このシナリオでは、コマンドemcli configure_db_ha -installSoftware
を使用して、複数の保護されたデータベースのRMANリカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを更新します。
次の例では、個々のデータベースと複数のデータベースに対するこのコマンドの様々な使用方法を示します。
単一インスタンス・データベースへのRMANバックアップ・モジュールのインストール
次のemcli configure_db_ha –installSoftware
の例では、RMANモジュールが存在しない場合、最新のRMANバックアップ・モジュールが、ソフトウェア・ライブラリから単一インスタンス・データベースのOracleホームにインストールされます。
このコマンドは、EM名前付きデータベースおよびホスト資格証明を使用します。
emcli configure_db_ha –installSoftware –install_backup_module –module_type=“ra" –target_name=“db1" –target_type="oracle_database" –db_host_cred="OMS_HOST_CRED"
クラスタ・データベースへのRMANバックアップ・モジュールのインストール
次のemcli configure_db_ha –installSoftware
の例では、最新のRMANバックアップ・モジュールが、ソフトウェア・ライブラリから1つのクラスタ・データベースの各インスタンスのOracleホームにインストールされます。
–force_backup_module_install
オプションは、モジュールがすでにインストールされているかどうかにかかわらず、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各データベースのOracleホームにインストールすることを指定します。このコマンドでは、すべてのデータベースで同じEM名前付きデータベースとホスト資格証明が使用されます。
emcli configure_db_ha –installSoftware –install_backup_module –module_type=”ra” –target_name="Finance" –target_type="rac_database" –force_backup_module_install –db_host_cred="DB_HOST_USER"
複数のデータベースへのRMANバックアップ・モジュールのインストール
次のemcli configure_db_ha –installSoftware
の例では、入力ファイルを使用して、最新のRMANバックアップ・モジュールを受信するデータベースを指定します。
–force_backup_module_install
オプションは、モジュールがすでにインストールされているかどうかにかかわらず、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各データベースのOracleホームにインストールすることを指定します。操作は、将来のスケジュール開始時間です。
emcli configure_db_ha –installSoftware –install_backup_module –module_type=“ra“ –force_backup_module_install –input_file=“/tmp/dblist“ -schedule="start_time:2016/06/28 18:31;tz:PST;
–input_file="/tmp/dblist"
の内容は、このコマンドで使用される単一インスタンスおよびクラスタ・データベースを指定します。
target.0.target_name=db1
target.0.target_type=oracle_database
target.0.db_cred=DB_SYS_CRED
target.0.db_host_cred=HOST__CRED1
target.1.target_name=rac1
target.1.target_type=rac_database
target.1.db_cred=DB_SYS_CRED2
target.1.db_host_cred=HOST_CRED2
入力ファイルでは、各データベースに対して異なるデータベースとホストの名前付き資格証明を指定します。これは、複数のデータベースに1つの入力ファイルを使用することで提供される柔軟性を示しています。