内容は次のとおりです。
ここでの手順では、トランザクション・データ変更をDB2 for iソースからDB2 for iターゲットまたは異なるタイプのデータベースにレプリケートするプロセスごとに1つの、基本的なOracle GoldenGateパラメータ(構成)ファイル・セットを構成する方法を示します。ビジネス要件によってはより複雑なトポロジが必要ですが、この手順がその他の構成手順の基礎となります。
この章では、『Oracle GoldenGateの管理』の手順の一部を示します。ここでは、DB2 for iに固有の基本パラメータに重点を置いて説明します。
手順を実行することで、次のことが可能です。
基本的な構成ファイルが作成されます。
後で環境に適用する機能や要件について決定を下してパラメータを追加し、それらを拡張します。
コピーを使用して、一から作成するよりも短時間で追加パラメータ・ファイルを作成します。
構成プロセスを進める前に、Oracle GoldenGateアーキテクチャ、コマンド・インタフェースおよびプロセスに対する入力および指示の指定方法についてよく理解しておく必要があります。詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
各Oracle GoldenGateインストールは、Managerプロセスをベースとします。これが、Oracle GoldenGateプロセスのインスタンス化、ポート番号の割当ておよびファイル・メンテナンスを行うコントローラ・プロセスです。Managerプロセスとその子プロセス、およびそれに関連するプログラムとファイルを合せてOracle GoldenGateインスタンスを構成します。
Oracle GoldenGateを実行するには、Oracle GoldenGate環境に含まれるすべてのシステムでManagerプロセスが実行されている必要があります。Managerを実行するには、まず、そのパラメータ・ファイルを作成します。Managerの構成およびネットワーク接続の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
GLOBALS
ファイルの作成GLOBALS
パラメータ・ファイルには、Oracle GoldenGateインスタンス内のすべてのプロセスに影響するパラメータが含まれています。GLOBALS
パラメータのNAMECCSID
は、DB2 for iに固有であり、システムCCSIDとは異なるCCSIDによって参照されるオブジェクト名がSQLカタログに含まれる場合は必須となります。SQLカタログはシステムCCSIDで作成されますが、問合せ時にこの違いは示されません。NAMECCSID
を使用して正しいCCSID値を指定しないかぎり、Oracle GoldenGateはカタログに対して誤った問合せを実行し、その名前を検索する可能性があります。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
ある表から別の表にデータをレプリケートする場合、ソース表とターゲット表の列構造(メタデータ)が同一かどうかは重要な問題です。Oracle GoldenGateは、次の目的でメタデータを参照します。
ソースで、取得された操作に関する完全な情報をReplicatプロセスに提供するため。
ターゲットで、レプリケートされたデータがReplicatによって正しくマップされ、(必要に応じて)変換されるよう、ターゲット表の構造を決めるため。
ソース表とターゲット表の定義が異なる場合、Oracle GoldenGateでは、ある形式から別の形式への変換を実行する必要があります。変換を実行するには、Oracle GoldenGateが両方の定義セットを認識していることが必要です。Oracle GoldenGateは、ローカル・データベースに問い合せて一方の定義セットを取得できますが、リモート・データベースから定義を取得するにはデータ定義ファイルが必要になります。データ定義ファイルには、レプリケート対象データのメタデータに関する情報が含まれています。
定義ファイルを作成するには、DEFGEN
ユーティリティを構成して実行し、定義ファイルをターゲット・システムに転送します。手順については、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。このファイルは、Oracle GoldenGateプロセスを初めて起動するより前に、ターゲット・システムに配置する必要があります。
プライマリExtract、データ・ポンプExtractおよびReplicatプロセスに使用されるユーザー・プロファイルのパスワードを暗号化することをお薦めします。DB2 for iプラットフォームでは、Oracle GoldenGateはBlowfish暗号化を使用する必要があります。Oracle GoldenGateの標準的な暗号化方法であるAES (Advanced Encryption Standard)は、IMB iプラットフォームではサポートされません。パスワードを暗号化する場合は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。このドキュメントには、ディスク・ストレージ内のデータの暗号化方法やTCP/IP経由のデータの暗号化方法に関する情報も記載されています。
注意:
Oracle GoldenGate資格証明ストアは、iSeriesプラットフォームではサポートされません。
次の手順をソース・システムで実行し、変更の取得とネットワーク経由の転送をサポートするプライマリExtractとデータ・ポンプExtractを構成します。
次の手順では、トランザクション・データをソースDB2 LUWデータベースから取得し、一時的な格納のためにデータをローカル証跡に書き込むプライマリExtractを構成します。
次の手順では、ターゲット・システムまたはリモートのWindowsまたはLinuxシステムで稼働しながら、DB2 for iターゲット・データベースにデータを適用するように、Replicatを構成します。異なるタイプのデータベース(Oracleデータベースなど)に変更を配信するようReplicatを構成するには、そのデータベース用のOracle GoldenGateインストレーションおよび構成ガイドの説明に従います。そのデータベース・タイプへの配信用に追加のパラメータや要件がある場合があります。
注意:
ReplicatによるODBCを使用した接続をサポートするために、WindowsまたはLinuxマシン上にデータベースが存在する必要はありません。
Replicatは、DB2 for iターゲット・データベースのチェックポイント表にチェックポイントを保持します。各チェックポイントは、Replicatトランザクション内で、ジャーナル処理される必要があるチェックポイント表に書き込まれます。チェックポイントはトランザクションに対して成功または失敗のいずれかであるため、プロセスまたはデータベースで障害が発生した場合でも、トランザクションは一度のみ適用されることがReplicatにより保証されます。
ジャーナル処理を指定してチェックポイント表を作成する一般的な方法は、次のとおりです。
チェックポイント表の作成の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
その柔軟性から、Oracle GoldenGateには、プロセスを起動する前に検討する必要のある機能やオプションが数多くあります。ビジネス・ニーズに合せてOracle GoldenGateをさらに構成するには、次のものを参照してください。
特定のレプリケーション・トポロジを実現するためのその他の構成のガイドラインについては、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。このガイドには、次の点に関する情報も含まれています。
Oracle GoldenGateのアーキテクチャ
Oracle GoldenGateのコマンド
Oracle GoldenGateの初期ロード方式
セキュリティの構成
カスタマイズ機能の使用
異なるデータを含む列のマッピング
データのフィルタリングと操作
このガイドで示されたOracle GoldenGate GGSCIコマンドおよびOracle GoldenGateパラメータの構文オプションとその詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
ソース・データとターゲット・データが同期している状態、つまり、ソース表とターゲット表の対応する行に同一のデータ値が含まれる場合にレプリケーションを開始する必要があります。現在のユーザー・アクティビティがない完全に新規のソース・データベースとターゲット・データベースから始める場合以外、変更取得プロセスおよび変更適用プロセスをアクティブにし、初期ロードをターゲットに適用する間に進行中のトランザクション変更を処理する必要があります。このプロセスは、初期同期またはインスタンス化と呼ばれます。初期ロードでは、ソース・データのポイントインタイム・スナップショットが取得されてターゲットに適用されると同時に、その時点以降に行われた変更がOracle GoldenGateによって保持されます。
インスタンス化オプションは、Oracle GoldenGateの管理の初期ロードによるOracle GoldenGateのインスタンス化を参照してください。
インスタンス化プロセス中にExtractを初めて起動してデータの取得を開始すると、指定された開始点より後に出現するすべてのトランザクション・データが取得されますが、それより前に出現するデータは取得されません。破棄される可能性のある進行中のトランザクションの途中でExtractが起動されないことを保証するには、取得対象の表を非アクティブ状態に設定します。ALCOBJ
コマンドを使用してシステムを制限付きの状態にしてオブジェクトまたはライブラリをロックするか、それらの表の現在のトランザクションをすべて特定の時点で停止します。
初期化の完了後、ロックしたオブジェクトのロックを解除することを忘れないでください。これを行うには、オブジェクトをロックしたセッションからログオフするか、OS/400コマンドラインからDLCOBJ
コマンドを使用します。
親トピック: トランザクション変更のレプリケートを開始するタイミング
Extractの実行中ある時点で、データ・ストリーム内のExtractの位置を手動で設定する必要が生じることがあります。Extractの位置を再設定するには、GGSCIでALTER EXTRACT
コマンドを使用します。任意のExtractの読取り位置の特定には、INFO EXTRACT
コマンドで、ジャーナル・レシーバ情報を含め、Extract構成の各ジャーナルの位置を表示すると便利です。これらのコマンドの詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
注意:
ジャーナルにトランザクション分割がある場合があるため、任意のジャーナルの位置が単独で過去に再設定された場合、項目の再処理によるレイテンシが原因で、遅行しているジャーナルの読取りが追い付くまで、すでに読み取られたジャーナルがストールすることがあります。
親トピック: トランザクション変更のレプリケートを開始するタイミング