アクティブ-パッシブまたはアクティブ-アクティブ・モードのフェイルオーバー・グループのOracle Traffic Directorインスタンスを構成する方法を確認します。
この項では、次の項目について説明します。
フェイルオーバー・グループを作成してOracle Traffic Directorインスタンスの高可用性ペアを実装する方法を確認します。
始める前に
フェイルオーバー・グループに割り当てる一意のVIPアドレスを決定します。
VIPアドレスは、フェイルオーバー・グループ内のノードと同じサブネットに属している必要があります。
クライアントはこれらのVIPアドレスにアクセスできる必要があります。
フェイルオーバー・グループの一部になるインスタンスを識別します。これらのノードは同じサブネットに属している必要があります。
各ノードのネットワーク・インタフェースを識別します。
VIPを管理する必要のある、インスタンスが実行されているノード上のネットワーク・インタフェース。結果が一致した最初のネットワーク・インタフェースが、VIPのネットワーク・インタフェースとして使用されます。
この管理サーバーによる比較では、フェイルオーバー・グループ用に指定されたVIPがIPv4アドレスであるかIPv6アドレスであるかに応じて、それぞれIPv4アドレスまたはIPv6アドレスで構成されたホスト上のネットワーク・インタフェースのみが検証されます。
存在しないアドレスにバインドできるようにする(転送バインディングのような)システム構成を実行することで、HTTPリスナーのVIP IPアドレスにバインドできます。次のシステム構成のどちらかを実行します。
echo 1 > /proc/sys/net/ipv4/ip_nonlocal_bind
または
sysctl net.ipv4.ip_nonlocal_bind=1
(リブート後に保持する/etc/sysctl.conf
の変更)
フェイルオーバー・グループを作成する構成では、リスナーのIPアドレスがアスタリスク(*
)またはVIPと同じアドレスであることを確認してください。それ以外の場合、VIPに送信されたリクエストが仮想サーバーにルーティングされません。
各フェイルオーバー・グループのルーターIDは一意である必要があります。
ルーターIDが指定されていない場合、デフォルトのルーターIDは1から255の間のランダムな数値になります。Fusion Middleware Controlを使用してフェイルオーバー・グループを作成するには、次を実行します。
「グラフィカル・ユーザー・インタフェース - Fusion Middleware Control」の説明に従って、Fusion Middleware Controlにログインします。
ページの左上隅にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
「管理」→「OTD構成」を選択します。
使用可能な構成のリストが表示されます。
フェイルオーバー・グループを作成する構成を選択します。
「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
「管理」→「フェイルオーバー・グループ」を選択します。
フェイルオーバー・グループ・ページが表示されます。これには、構成に定義されているフェールオーバー・グループのリストが表示されます。
「作成」をクリックします。
新規フェイルオーバー・グループ・ウィザードが表示されます。
画面上のプロンプトに従って、仮想IPアドレス、ネットワーク・インタフェース、プライマリ・インスタンス、バックアップ・インスタンスなど、前に決定した詳細を使用してフェイルオーバー・グループの作成を完了します。
フェイルオーバー・グループが作成されたら、新規フェイルオーバー・グループ・ウィザードの結果画面に、フェイルオーバー・グループの作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。
結果画面で、「閉じる」をクリックします。
フェイルオーバー・グループ・ページに、作成したフェイルオーバー・グループの詳細が表示されます。
フェイルオーバー・グループを作成するには、otd_createFailoverGroup
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、次の詳細でアクティブ-パッシブ・フェイルオーバー・グループが作成されます。
構成: ha
プライマリ・インスタンス: 1.example.com
バックアップ・インスタンス: 2.example.com
仮想IPアドレス: 192.0.2.1
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '192.0.2.1' props['primary-instance'] = '1.example.com' props['backup-instance'] = '2.example.com' props['primary-nic'] = 'eth0' props['backup-nic'] = 'eth0' props['failover-type'] = 'active-passive' otd_createFailoverGroup(props)
注意:
フェイルオーバー・グループを作成後、それらのマシン上でroot
ユーザーとしてotd_startFailover
を実行する必要があります。これはフェイルオーバーを手動で起動する操作です。このコマンドを実行しない場合、フェイルオーバーは起動せず、高可用性は得られません。
たとえば、次のコマンドでは、次の詳細でアクティブ-アクティブ・フェイルオーバー・グループが作成されます。
構成: ha
プライマリ・インスタンス: 1.example.com
バックアップ・インスタンス: 2.example.com
仮想IPアドレス: 192.0.2.1
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '192.0.2.1' props['failover-type'] = 'active-active' otd_createFailoverGroup(props)
フェイルオーバー・グループを作成したら、それをリストしたり、設定を表示したり、フェイルオーバー・グループのプライマリ・インスタンスを変更したり、プライマリ・インスタンスとバックアップ・インスタンスを切り替えたり、削除したりできます。
フェイルオーバー・グループを管理するには、フェイルオーバー・デーモンを特権ユーザー(通常はroot)で実行する必要があり、フェイルオーバー・グループのプライマリおよびバックアップ・インスタンスが実行されるマシン上で、otd_startFailover
コマンドを特権ユーザーで実行する必要があります。同様に、デーモンを停止するには、otd_stopFailover
を実行する必要があります。keepalived
デーモンの構成パラメータは、フェイルオーバー・グループの一部である各インスタンスのconfig
ディレクトリにあるkeepalived.conf
というファイルに格納されます。『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のotd_startFailover
およびotd_stopFailover
コマンドに関する項を参照してください。
Fusion Middleware ControlまたはWLSTのいずれかを使用して、フェイルオーバー・グループを表示、変更および削除できます。フェイルオーバー・グループのVIPまたは任意のプロパティを変更するには、フェイルオーバー・グループを削除してから新たに作成しなおす必要があることに注意してください。
Fusion Middleware Controlを使用したフェイルオーバー・グループの管理
Fusion Middleware Controlを使用してフェイルオーバー・グループを表示、変更および削除するには、次を実行します。
注意:
フェイルオーバー・グループ内の異なるプライマリ・インスタンスまたはバックアップ・インスタンスを割り当てる場合は、フェイルオーバー・グループを新たに作成しなおす必要があります。
複数の構成にわたって最大255個のフェイルオーバー・グループを作成できます。
WLSTを使用したフェイルオーバー・グループの管理
たとえば、フェイルオーバー・グループをリストするには、otd_listFailoverGroups
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' otd_listFailoverGroups(props)
たとえば、フェイルオーバー・グループを切り替えるには、otd_toggleFailovergroupPrimary
コマンドを実行します。
props = {}
props['configuration'] = 'ha'
props['virtual-ip'] = '10.128.67.44
'
otd_toggleFailovergroupPrimary(props)
たとえば、フェイルオーバー・グループのプロパティを変更するには、otd_getFailoverGroupProperties
コマンドを実行します。
props = {}
props['configuration'] = 'ha'
props['primary-instance'] = '1.example.com
'
otd_getFailoverGroupProperties(props)
たとえば、フェイルオーバー・グループを削除するには、otd_deleteFailoverGroup
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '10.128.67.44' otd_deleteFailoverGroup(props)
アクティブ-アクティブHAに固有のWLSTコマンド
たとえば、フェイルオーバー・インスタンスを追加するには、otd_addFailoverInstance
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '10.128.67.44' props['instance'] = '1.example.com' props['nic'] = 'eth0' otd_addFailoverInstance(props)
たとえば、フェイルオーバー・インスタンスを削除するには、otd_removeFailoverInstance
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '10.128.67.44' props['instance'] = '1.example.com' otd_removeFailoverInstance(props)
たとえば、フェイルオーバー・インスタンスをリストするには、otd_listFailoverInstances
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '10.128.67.44' otd_listFailoverInstances(props)
たとえば、フェイルオーバー・インスタンスの順序を変更するには、otd_setFailoverInstanceOrder
コマンドを実行します。
props = {} props['configuration'] = 'ha' props['virtual-ip'] = '10.128.67.44' props['instances'] = '1.example.com, 2.example.com' otd_setFailoverInstanceOrder(props)