アプリケーションは、Oracle WebCenter Content: Imagingの中心となります。Imagingでは、アプリケーションは独立したソフトウェア・パッケージではなく、アップロードされたドキュメントの一種の管理コンテナです。
要するに、アプリケーションはドキュメントが分類されるカテゴリです。アプリケーションを定義する際には、名前を付け、ドキュメントの保存に使用するリポジトリ、各ドキュメントのメタデータ値の追跡に使用するメタデータ・フィールド、アプリケーション定義を操作するための権限やアプリケーションに保存されているドキュメントに対する権限を持つユーザー、およびドキュメントをワークフロー・プロセスに接続するかどうかを決定します。
たとえば、XYZカンパニーの買掛管理部門が請求書を保存するためのアプリケーションを必要としているとします。一般的な請求書アプリケーションには、ベンダー名と住所、ベンダーID、請求書番号、請求書で処理する元の発注番号、支払条件および合計請求額を追跡するためのメタデータ・フィールドが格納されます。XYZカンパニーのIT管理者は、買掛管理部門のマネージャのみにアプリケーションを作成する権限を付与します。マネージャは、アプリケーションを作成し、メタデータ・フィールドを定義して、アプリケーションにアクセスする権限を買掛管理部門の担当者に付与します。買掛管理部門の担当者は、アプリケーションにドキュメントを追加できますが、ドキュメントを削除することはできません。また、マネージャは、請求書がアップロードされると、ワークフローを通じて送信されるように、アプリケーションをワークフロー・プロセスに接続します。さらに、「承認済」、「保留中」、「受信済」または「却下済」のスタンプを必要に応じて請求書に付けることができるように、アプリケーション内のドキュメントを表示して注釈を付ける権限を担当者に付与します。
ほとんどの場合、アプリケーションを本番環境に実装する前に、開発システムで定義およびテストします。これを容易にするために、既存のアプリケーション定義をImaging内で再利用できます。そのためには、XMLを使用して、目的の定義を転送可能な形式にエクスポートします。その後、エクスポートした定義ファイルを本番システムなどの他のシステムにインポートできます。また、作成するアプリケーション定義に似た定義をインポートし、インポートした定義を必要に応じて変更することもできます。エクスポートとインポートの詳細は、「定義のエクスポートおよびインポート」を参照してください。
アプリケーションは、元の電子ファイル形式のドキュメントまたは物理ドキュメントのイメージとしてのドキュメントの保存およびドキュメントへのアクセスの制御に使用されます。Imagingのドキュメントとそのアップロード方法を理解すれば、アプリケーションを完全に理解できます。
Imagingのドキュメントは、ファイルおよびそのファイルを記述する次の情報で構成されます。
ID: 一意の識別子
名前: システムに追加されたときの元のファイル名。
プロパティ: ファイル・サイズ、MIMEタイプ、ファイル名、作成者、ロック、バージョン、アプリケーションIDおよびアプリケーション名。
アプリケーションID: ドキュメントを保存するアプリケーションの一意のシステム識別子。
アプリケーション名: ドキュメントを保存するアプリケーションの名前。
フィールド値: アプリケーション・メタデータ。
セキュリティ権限: ドキュメントへのアクセス権。
サポートするドキュメント: テキストやイメージなどの関連ファイル。たとえば、XYZカンパニーでは、ドキュメントをスキャンしたスキャン・ステーションを追跡しますが、その情報がアプリケーションのメタデータ・フィールドに表示されないようにしたいと考えています。この場合、その情報をXMLまたはテキスト・ファイルに出力し、サポートするドキュメントとしてImagingにアップロードできます。
注釈: 承認スタンプやテキストなど、ドキュメント内のオンライン・メモ。
アップロード(取込みとも呼ばれる)は、ドキュメントをImagingシステムに取得して、各ドキュメントに固有の値をアプリケーションのメタデータ・フィールドに挿入し、検索を使用してドキュメントを取得できるように値の索引を作成するプロセスです。アップロード時には、ドキュメントのメタデータの索引が作成されます。ドキュメントの全文索引が作成されることもあります。索引作成プロセスは、リポジトリの設定やドキュメントの形式によって異なります。
ドキュメントをアップロードすると、検索および検索対象のアプリケーション内のドキュメントに対するセキュリティ権限を持っているすべてのユーザーが検索および取得できるようになります。権限があれば、取得したドキュメントを印刷、表示またはダウンロードしたり、ドキュメントに注釈を付けることができます。表示には、500を超えるファイル形式をサポートするOracleOutside In Technologyを使用するImagingビューアが使用されます。Oracle Outside In Technologyの詳細は、Oracle Outside In TechnologyのWebサイト(http://www.oracle.com/us/technologies/embedded/025613.htm
)を参照してください。
ドキュメントは、次のいずれかの方法でアップロードします。
個々のドキュメントをアップロードするには、「ドキュメントのアップロード」ツールのインタフェースを使用します。
ドキュメントを一括でアップロードするには、Imaging入力エージェントを使用します。詳細は、「入力の管理」を参照してください。
Imaging APIを使用してドキュメントをアップロードするには、カスタム・アプリケーションを使用します。Imaging APIの使用方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Content: Imagingの開発』を参照してください。
ドキュメントのアップロードの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Content Imagingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
注意:
Imagingユーザー・インタフェースのナビゲータ・ペインには、権限に基づいて様々なパネルが表示されます。アプリケーション・システム権限、または少なくとも1つのアプリケーションに対する管理権限を持っていなければ、ナビゲータ・ペインに「アプリケーションの管理」パネルは表示されません。アプリケーションを作成するには、「作成」または「管理者」権限が必要です。また、アプリケーションを作成するユーザーには、使用する接続(リポジトリ)に対する「表示」権限が少なくとも必要です。
アプリケーションの定義プロセスを開始するには、Imagingユーザー・インタフェースのナビゲータ・ペインで「アプリケーションの管理」パネルを開きます。
次のタスクを次の順序で実行します。
注意:
アプリケーションを作成、削除または変更することによってリポジトリのDOCMETA表が変更されると、他の操作もこの表に影響している場合、アクティブなリポジトリ・サーバーで問題が発生する可能性があります。このような状況はあまり起こりそうにありませんが、この結果、ドキュメントのアップロードに問題が生じる場合があるので、Content Serverリポジトリ・サーバーのアイドル時間に合わせてアプリケーションを変更することをお薦めします。
発生する可能性がある問題を軽減するには、アプリケーションの変更によるエンタープライズ組織への影響が少なくなるように、複数のContent Serverリポジトリ・インスタンスを使用してビジネス部門を分離します。
各アプリケーションに名前を指定する必要があります。アプリケーションが作成されると、指定したアプリケーション名がナビゲーション・ペインの「アプリケーション」パネルに表示されます。アプリケーションのリポジトリも指定する必要があります。アプリケーションを作成した後、リポジトリの選択を変更することはできません。必要に応じて、アプリケーションを選択したときにアプリケーション・サマリー・ページに表示されるアプリケーションの簡単な説明を入力できます。このページを表示する手順は、「アプリケーション一般プロパティ・ページ」を参照してください。
アプリケーションの一般プロパティを指定する手順は次のとおりです。
アプリケーションに定義されたフィールドによって、アプリケーション内のコンテンツに関連付けられたメタデータが追跡されます。4種類のフィールド定義のいずれか、必須であるかどうか、および検索速度を向上させるために索引を作成するかどうかを指定できます。少なくとも1つのフィールドを定義する必要があります。使用可能な4つのフィールド・タイプは次のとおりです。
テキスト: フィールドは、テキスト文字列を受け入れます。有効な文字列長は、「長さ」要素で指定します。サポートされる最大文字数は200です。
番号: フィールドは、-2147483649から2147483648までの整数を受け入れます。
小数: フィールドは、小数点の前後の数字を含め、合計1から15桁の数値を受け入れます。たとえば、スケール係数が5の場合、範囲は-9999999999.99999から9999999999.99999になります。10進法は、「スケール」要素で設定されます。
日付: フィールドは、日付の値を受け入れます。
日時: フィールドは、日時の値を受け入れます。
すべてのフィールド・タイプについて、索引を作成できます。メタデータ・フィールドの索引付けの有効化は、そのフィールドにのみ適用されます。指定した情報は、アプリケーション・サマリー・ページの「フィールド定義」カテゴリに表示されます。索引は、基になるリポジトリ・データベース表に適用されます。適用される索引が多すぎても少なすぎても、システムのパフォーマンスに悪影響を及ぼします。通常は、実行されるドキュメント検索の中心となるフィールドに索引を適用してください。データベース管理者の支援を受け、ビジネス・プロセス分析の一環として、このフィールド・リストを定義する必要があります。
サポートしているContent Serverが全文索引をサポートするように構成されており、アプリケーションで全文検索オプションが有効になっている場合は、フィールドの索引付けを選択すると全文索引に送信され、検索可能になります。Imagingのフィールドをドキュメントで全文検索できるように選択するときには、数値フィールド、小数点フィールド、日付フィールドで正しいデータ型検索を実行するためにOracle Text Searchで使用できるSDATAフィールドの数が限られていることに留意してください。これらの限られた数のフィールドが、Content ServerとImagingの両方で共有されます。使用可能なSDATAフィールドの数がわからない場合は、データベース管理者にお問い合せください。テキスト文字列は常に全文検索に含まれ、数の限られたSDATAフィールドは使用しません。
Oracleデータベースを使用してImagingコンテンツを保存する場合、Imagingのメタデータ検索では大/小文字が区別されます。ただし、大/小文字を区別しないメカニズムに変更することもできます。大/小文字を区別しないメタデータ検索を構成する方法の詳細は、「大/小文字を区別しない検索の有効化」を参照してください。
アプリケーションを作成および変更する際に、アプリケーション内のフィールドを追加および削除できます。アプリケーションを追加または変更する場合、既存のフィールドを削除した後、そのプロセス中に同じ名前で新しいフィールドを追加できないという制限があります。このような状況が発生した場合は、「取消」をクリックし、アプリケーション・フィールドの定義を再度開始して、正しい名前でフィールドを追加してください。
使用可能なフィールド・タイプおよびオプションの詳細は、「アプリケーション・フィールド定義ページ」を参照してください。
XYZカンパニーのInvoices_USアプリケーションの例についてフィールドを定義する手順は、次のとおりです。
アプリケーションの表示、変更、削除およびアクセス権の付与を行うためのセキュリティ権限は、アプリケーションを定義する際にアプリケーション・セキュリティ・ページでユーザーまたはグループ・レベルで割り当てます。アプリケーションのセキュリティ権限を割り当てる手順は次のとおりです。
ユーザー間で権限をコピーする手順は次のとおりです。
ドキュメントに対するアクセス権および変更セキュリティ権限の割当ては、アプリケーションに対するアクセス権およびセキュリティ権限の割当てとは別に管理されます。これによって、コンテンツに対する上位のアクセス権を必要とするユーザーによって誤って変更されることがないようアプリケーションが保護されます。同様に、アプリケーションに対するアクセス権および変更権限を持っているユーザーから機密ドキュメントが保護されます。
ドキュメントに対する表示、書込み、削除、アクセス権の付与、ロックおよび注釈付けセキュリティ権限は、アプリケーション・ドキュメント・セキュリティ・ページでグループ・レベルで割り当てます。
ドキュメントのセキュリティ権限を割り当てる手順は次のとおりです。
Content Serverでは時間に基づいたコンテンツの保存がサポートされていないため、現時点では、期間が無期限の記憶域ステージが1つ存在します。ユーザーは、適用するボリュームを選択することしかできません。コンテンツは、選択したボリュームに永久に保存されます。選択したボリュームのステータスは、アプリケーションを作成する際のユーザー・インタフェースには表示されません。
アプリケーションの記憶域ポリシーを作成する手順は次のとおりです。
ワークフロー・プロセスでは、Webサービス・インタフェースを使用して情報をエクスポートおよびインポートします。ワークフロー・サーバーによって、他のアプリケーションで使用可能なサービスが定義されます。ワークフロー・サーバーへの接続が定義されている場合、アプリケーション定義のナビゲーション・トレインで「ワークフロー構成」オプションが有効になり、ワークフロー・サーバーのコンポーネントを選択して、ビジネス・ニーズを満たすワークフローとアプリケーションを統合できます。
たとえば、XYZカンパニーの請求書をInvoices_USアプリケーションにアップロードする際、承認のために該当する担当者に請求書をルーティングするワークフローを開始する必要があるとします。まず、受領書と比較して、請求書に記載されているすべての品目を受け取っていることを確認するために、購買部門に請求書が送信されます。その後、発注書が有効であることを確認するために、該当する部門長に請求書が送信されます。続いて、請求額の支払を承認するために、買掛管理部門の該当する担当者に請求書が送信されます。担当者は、請求書の金額によって異なる場合があります。承認されると、買掛管理部門の担当者は、小切手を切って請求書に対する支払いを行うことができます。
ワークフローは、Imagingで定義されるわけではありません。Imagingは、Imagingの外部で定義されたワークフロー・コンポーネントを使用してワークフロー・サーバーに接続します。ワークフローの複雑さは、Imagingでは処理されません。アプリケーションをワークフローと統合するには、ワークフロー・サーバーへの接続、統合する定義済のワークフロー・コンポーネントの指定、コンポーネント・プロパティの選択、およびImagingアプリケーションとワークフロー・コンポジットのペイロード間の値のマッピングが必要です。
ワークフロー構成をアプリケーションに追加する手順は次のとおりです。
アプリケーション・ワークフロー構成ページで、「追加」をクリックします。ワークフロー・サーバー・プロパティ・ページが表示されます。
「接続」フィールドから接続を選択し、「次」をクリックします。ワークフロー・コンポーネント・プロパティ・ページが表示されます。
注意:
アプリケーションを作成するユーザーには、使用するワークフロー接続に対する「表示」セキュリティ権限も必要です。
構成するビジネス・プロセスのコンポーネント・プロパティを選択します。「コンポジット」、「サービス」および「操作」は必須値です。「次へ」をクリックします。ワークフロー・ペイロード・プロパティ・ページが表示されます。
それぞれのペイロード要素について、マップされた値を選択します。「フォーマット値」を選択すると、フォーマット値の編集ページを使用して、テキストおよびアプリケーション・フィールドの一部から値を作成できます。たとえば、このページを使用してカスタムURLを作成したり、複数の値を1つの値に連結できます。
「終了」をクリックしてワークフロー構成を終了し、アプリケーション定義のメインのナビゲーション・トレインに戻ります。アプリケーション・ワークフロー構成ページが表示されます。
「次」をクリックして、アプリケーション設定の確認ページに移動します。
次の手順を実行して、既存のアプリケーション内の既存のワークフロー構成を変更または削除することもできます。
アプリケーション設定を確認する手順は次のとおりです。
アプリケーションを作成した後、使用されているリポジトリと小数フィールドの定義に使用されているスケールを除く、アプリケーションのすべての要素を変更できます。アプリケーションを変更するには、アプリケーションに対する「変更」権限を持っているとともに、アプリケーションで使用されているリポジトリ接続に対する「表示」権限を少なくとも持っている必要があります。
警告:
アプリケーションを作成、削除または変更することによってリポジトリのDOCMETA表が変更されると、他の操作もこの表に影響している場合、アクティブなリポジトリ・サーバーで問題が発生する可能性があります。このような状況はあまり起こりそうにありませんが、Content Serverリポジトリ・サーバーのアイドル時間に合わせてアプリケーションを変更することをお薦めします。
発生する可能性がある問題を軽減するには、アプリケーションの変更によるエンタープライズ組織への影響が少なくなるように、複数のContent Serverリポジトリ・インスタンスを使用してビジネス部門を分離します。
注意:
ドキュメントとは異なり、変更中に定義をロックすることはできません。そのため、異なるユーザーが同じ定義を同時に変更している場合、最後に送信された変更のみが保存されます。
既存のアプリケーションを変更する手順は次のとおりです。
注意:
Content Serverでは、数値フィールドにNULL値を保存することはできません。ドキュメントを格納するアプリケーションを変更して数値フィールドを追加した場合、新しいフィールドを追加する前にContent Serverに保存されていたドキュメントの新しいフィールドについては、検索結果に-1が表示されます。フィールドを追加した後で新しいドキュメントがアップロードされた場合、数値フィールドが空白のままであれば、数値フィールドの値として、検索結果に0が表示されます。