1 Oracle XML Developer's Kitの概要
Oracle XML Developer's Kit (XDK)の概要を示します。
1.1 XDKの概要
Oracle XML Developer's Kit (XDK)は様々な用途に使用できるコンポーネントのセットです。これらのコンポーネントを使用して、Extensible Markup Language (XML)を処理するC、C++およびJavaのソフトウェア・プログラムを構築およびデプロイできます。ビジネスのニーズに応じて、これらのコンポーネントをXMLアプリケーションに組み込むことができます。
注意:
XDKとPL/SQLを併用し、Oracle Databaseリリース8.1または9.2から移行する場合、データベース・キャラクタ・セットにAL32UTF8を使用することを強くお薦めします。そうしないと、PL/SQLでエスケープされたエンティティを含むXMLを処理する際、問題が発生する可能性があります。
Oracle XML Developer's Kit (XDK)は、Oracle XML DBをサポートしています。これは、Oracle DatabaseにXMLを格納して処理するために使用する一連のテクノロジです。XDKをOracle XML DBとともに使用して、Oracle Databaseで実行するアプリケーションを構築できます。XDKは、Oracle XML DBと関係なく使用することもできます。
生成されたXML内の日付およびタイムスタンプは、XML Schemaによって指定された形式になっています。Oracle XML DB開発者ガイドを参照してください。
XDKは、Oracleによってフル・サポートされ、商用再配布ライセンスが含まれています。Oracle Databaseの標準インストールにXDKが含まれています。
表1-1に、XDKコンポーネントの簡単な説明、サポートされているプログラミング言語、および使用方法が記載されているこのドキュメントの項を示します。
表1-1 Oracle XML Developer's Kitコンポーネントの概要
コンポーネント | 説明 | 言語 | 参照先 |
---|---|---|---|
業界標準のSimple API for XML (SAX)インタフェースおよびDocument Object Model (DOM)インタフェースを使用してXMLを作成および解析します。 |
Java、C、C++ |
||
XML Compressor |
XML文書をバイナリで圧縮および解凍できるようにします。XML CompressorはXML Parser for Javaに組み込まれています。 |
Java |
|
JavaアプリケーションでのSAX、DOM、XML Schema Processor、Extensible Stylesheet Language Transformations (XSLT) Processorまたは代替プロセッサの使用を可能にします。 |
Java |
||
XSLTプロセッサ |
XMLをHypertext Markup Language (HTML)などの他のテキストベースの形式に変換します。 |
Java、C、C++ |
|
XQuery Processor for Java |
Javaアプリケーションが、Java仮想マシン(JVM)で直接XMLを問合せ、変換、更新できるようにします。 |
Java |
|
XML Schema Processor |
スキーマを検証し、単純および複雑なXMLデータ型を使用可能にします。 |
Java、C、C++ |
|
XML Class Generator |
Document Type Definition (DTD)またはXMLスキーマからJavaまたはC++のクラスを生成し、WebフォームまたはアプリケーションからXMLデータを送信できるようにします。Java実装では、Java Architecture for XML Binding(JAXB)がサポートされます。 |
Java、C++ |
|
XML Pipeline Processor |
XML Pipeline宣言文書に指定されたXMLプロセスを適用します。 |
Java |
|
XML JavaBeans |
統合開発環境(IDE)、Java Server Pages(JSP)およびアプレットの使用を簡単にする、XDKコンポーネントをBeanでカプセル化したものです。 |
Java |
|
XML Diffing Library for Java |
中間層のPure Javaプログラムが、XMLDiff出力をCプログラムまたはOracle Databaseを使用するプログラムと交換して、XMLDiff操作を実行できるようにします。 |
Java |
|
Structured Query Language (SQL)問合せからXML文書、DTDおよびスキーマを生成します。SQL問合せの結果をXMLに(またはその逆に)マップします。XSUのJavaクラスは、PL/SQLパッケージでミラー化されます。 |
Java、PL/SQL |
||
XMLを使用して、変換されたシード・データおよびメッセージをデータベースにロードします。 |
Java |
||
サーバー内のXML、SQLおよびXSLTを組み合せて、動的Webコンテンツを配信します。 |
Java |
||
Oracle SOAPサーバー |
リクエストおよびレスポンスをインターネット経由で送受信するための軽量なSimple Object Access Protocol(SOAP)メッセージング・プロトコルを提供します。 |
C |
|
コンパイルされたXSLスタイルシートをサポートする、高パフォーマンスのXSLT変換エンジンを提供します。 |
C、C++ |
関連項目:
-
表1-1の各コンポーネントに関する詳細な説明は、「XDKコンポーネント」を参照してください
-
XDKによるXML関連の標準のサポートの詳細は、「Oracle XML Developer's Kit標準」を参照してください
1.2 XDKコンポーネント
プログラムでXDKコンポーネントを使用して、様々なXML処理を実行できます。
図1-1に、次のタスクを実行するXMLプロセッサの例を示します。
-
XMLを解析します
-
XMLをDTDまたはXMLスキーマと照合して検証します。
-
XSLTスタイルシートを適用してXML文書を別のXML文書に変換します。
-
入力XMLスキーマおよびDTDからJavaクラスおよびC++クラスを生成します。
1.2.1 XMLパーサー
XMLパーサーは、XML文書を読み取り、データの構造とプロパティを決定します。データを複数の部分に分割し、他のXDKコンポーネントに提供します。
XMLパーサーは、次のAPIを使用して解析されたXMLデータにプログラムでアクセスできます。
-
SAX
データ要素ごとに順次アクセスする場合は、SAX APIを使用します。イベント・ハンドラをSAXパーサーに登録し、特定のイベントが発生したらコールバック・メソッドを起動するようにできます。
-
DOM
DOM APIを使用してXML文書をインメモリー・ツリーとして表し、操作またはナビゲートします。
XDKには、XML Parser for Java、XML Parser for CおよびXML Parser for C++が含まれています。どのパーサーもDOM APIとSAX APIの両方をサポートしています。
XML Parser for JavaはJava API for XML Processing (JAXP)バージョン1.2をサポートしています。これは、プロセッサの実装に関係なくDOM、SAX、XML SchemaおよびXSLTを使用可能にする標準APIです。これによって、プログラムに影響を与えることなくXMLプロセッサの実装を変更できます。
XML CompressorはXML Parser for Javaに統合されています。DOMインタフェースおよびSAXインタフェースでの要素レベルのXML圧縮および解凍が提供されます。XML Compressorは、DOMツリーの構造情報と階層情報を失うことなく、XML文書を圧縮します。XML文書の解析後に、DOMまたはSAXでバイナリ・ストリームにシリアライズし、後で再構築できます。
XML Compressorを使用してXMLメッセージ・ペイロードのサイズを小さくすることができ、スループットが向上します。アプリケーション内部でのXML文書へのアクセスに使用すると、高速アクセスを維持しながらメモリー使用量が大幅に減少します。
図1-2に、XDK Parser for Java、XDK Parser for CおよびXDK Parser for C++の機能を示します。
図1-2 XML Parser for Java、XML Parser for CおよびXML Parser for C++
「図1-2 XML Parser for Java、XML Parser for CおよびXML Parser for C++」の説明
1.2.2 XSLTプロセッサ
XSLTは、プロセッサがXML文書を別のXML文書に変換するためのスタイルシート言語です。XSLTドキュメントは、このような変換を制御するテンプレート・ルールを含むスタイルシートです。XDKを使用すると、すべてのオペレーティング・システム上で、データベース内外のXMLデータのXSLT変換が可能になります。
各Oracle XML Parserには、XSLTスタイルシートを使用してXMLデータを変換するためのXSLTプロセッサが統合されています。XSLTプロセッサを使用すると、XML文書をXMLやExtensible Hypertext Markup Language (XHTML)など、ほぼすべてのテキスト形式に変換できます。
関連項目
関連項目:
•仕様およびその他の情報は、W3Cのサイトの「The Extensible Stylesheet Language Family (XSL)」にあります
1.2.3 XML Schema Processor
XML Schema言語はW3Cで作成された言語で、XML文書のコンテンツおよび構造をXML自体で記述します。
XMLスキーマには、XMLアプリケーションの妥当性を定義するルールが含まれおり、これがDTDよりXMLスキーマが優れている点です。
XMLスキーマは、組込みデータ型のセット(string、float、dateなど)を指定します。ユーザーは、組込みデータ型から独自のデータ型を導出できます。たとえば、スキーマで、日付を2000年以降の日付に制限したり、有効な値のリストを指定できます。
XDKには、XML Schema Processor for Java、XML Schema Processor for CおよびXML Schema Processor for C++が含まれています。
1.2.4 XML Class Generator
XML Class Generatorは、解析済のXMLスキーマまたはDTDを入力とし、JavaまたはC++ソース・クラス・ファイルを出力として生成します。XDKには、Java Architecture for XML Binding (JAXB) Class GeneratorとC++ Class Generatorの2つが含まれています。
JAXBは、XMLデータからJavaオブジェクトへのマップおよびその逆のマップを行うJava APIおよびツール・セットです。JAXBは、XML文書をJava形式でJavaプログラムに提供するため、SAXパーサーを使用したりコールバック・メソッドを記述することなく、XMLデータを処理するJavaプログラムを作成できます。各Javaオブジェクトは、入力XML文書内のスキーマ・コンポーネントのインスタンスから導出されます。JAXBはDTDを直接サポートしていませんが、DTDをJAXBで使用可能なXMLスキーマに変換できます。XML Class Generator for C++は、DTDとXML Schemaの両方を直接サポートしています。
JAXBの使用方法の例としては、生成されたJavaクラスを使用してXML文書を段階的に構築するJavaプログラムを作成できます。人事部で使用するXMLスキーマを記述し、自分の個人データを変更するユーザーに応答するJavaプログラムを作成するとします。このプログラムは、JAXBを使用して確認用のXML文書を断片的に構築し、この文書をXSLTプロセッサでXHTMLに変換してブラウザに配信できます。
1.2.5 XML Pipeline Processor
XML Pipeline Definition Languageは、XMLリソース間の処理関係を記述するためのXMLボキャブラリです。Oracle XML Pipeline Processorは、XML Pipeline Definition Language 1.0標準に準拠しています。
XML Pipeline ProcessorはXMLパイプライン文書(プロセス間の関係を定義する)を入力とし、派生した依存性に応じてパイプライン・プロセスを実行します。たとえば、プログラムで入力XML文書を検証して、文書が有効である場合に変換するように、入力パイプライン文書で指定できます。
XML Pipeline Processorは、カスタムJavaコードのかわりに簡単なXML宣言構文を使用するので、XMLを処理するアプリケーションを構築するJava開発者にとって有効なツールです。
1.2.6 Oracle XML SQL Utility
Oracle XML SQL Utility (XSU)は、SQL問合せの結果を正規のXMLにレンダリングしたり、XML文書から既存のデータベース・スキーマまたはビューにデータをロードするために使用できる、一連のJavaクラス・ライブラリです。
XSUを使用して次のタスクを実行できます。
-
任意のSQL問合せの結果を自動的かつ動的に正規のXMLにレンダリングします。
XSUは、
XMLType
を含む豊富な構造のユーザー定義オブジェクト型およびオブジェクト・ビューでの問合せをサポートします。XSUは、次のようにリレーショナル・データをXMLに変換します。-
列は、最上位の要素になります。
-
スカラー値は、内容がテキストのみの要素になります。
-
オブジェクト型は属性をサブ要素とする要素になります。
-
コレクション型は、要素のリストにマップします。
-
-
XML文書のデータを既存のデータベース・スキーマまたはビューにロードします。
図1-4に、XSUでSQL問合せがどのように処理されて結果がXML文書として戻されるかを示します。
1.2.6.1 XML文書の表現形式
XML文書の生成に使用できるXSU表現形式と、それらの一般的な使用例について説明します。
XML文書の表現形式 | この表現形式を使用する場合 |
---|---|
文字列 |
XML文書をリクエスタに戻す場合 |
インメモリーDOMツリー |
プログラムでXMLを操作する場合(たとえば、XSLTプロセッサを使用してXMLを変換し、DOMメソッドでXMLを検索または変更する場合) |
一連のSAXイベント |
XML(特に大規模な文書や結果セット)を取得する場合 |
1.2.6.2 XML Class GeneratorでのXSUの使用
XSUを使用すると、問合せ対象である基礎となる表またはビューのリレーショナル・スキーマに基づいて、XMLスキーマを生成できます。生成されたXMLスキーマをJAXB Class GeneratorまたはC++ Class Generatorへの入力として使用できます。
その後、生成されたクラスを使用するコードを作成し、Webベースのフォームのインフラストラクチャを生成します。このインフラストラクチャに基づいて、フォームではユーザー・データが取得され、データベース・スキーマと互換性のあるXML文書が作成されます。プログラムでは、追加の処理を行わずに、対応する表またはオブジェクト・ビューにXMLを直接書き込むことができます。
関連項目
1.2.7 TransX Utilityの概要
Oracle TransX Utilityは、多言語のXMLデータのデータベースへの移入を可能にします。ユーティリティでは、開発者と翻訳者の両方が直感的に使用できるデータ形式、および以前の方法よりエラーの発生が軽減される検証機能が使用されます。
TransX Utilityは、翻訳されたシード・データおよびメッセージをデータベース・スキーマにロードするXSUのアプリケーションです。データベースに複数言語のデータを移入する場合、TransX Utilityを使用すると、通常はXSUを使用して開発する必要がある機能を利用できます。
関連項目
1.2.8 XSQLページ・パブリッシング・フレームワーク
XSQLページ・パブリッシング・フレームワーク(XSQLサーブレット)はサーバー・コンポーネントであり、XSQLファイル(特定の構造と文法を持つXMLファイル)を取り込み、データ・オブジェクトに対する1つ以上のSQL問合せから動的XML文書を生成します。
図1-5に、XSQLサーブレットの起動方法を示します。
XSQLサーブレットはOracle XML Parserを使用してXSQLファイルを処理し、XSLT処理文を内部プロセッサに渡す一方で、タグ間のパラメータおよびSQL問合せをXSUに渡します。それらの問合せの結果はXML形式のテキストまたはJava Database Connectivity (JDBC) ResultSet
オブジェクトとして受け取られます。必要に応じて、組込みのXSLTプロセッサを使用して、問合せの結果をさらに変換することもできます。
XSQLサーブレットの1つの例として、空港名のバインド変数を使用した航空会社のフライト・スケジュールの問合せを含むページがあります。ユーザーはWebフォームで空港名をパラメータとして渡すことができます。サーブレットはデータベースへの問合せ内のパラメータ値をバインドし、出力XMLをブラウザで表示できるようにHTMLに変換します。
1.2.9 SOAPサービス
Simple Object Access Protocol (SOAP)は、プラットフォームに依存しないメッセージング・プロトコルで、プログラムでサービス、オブジェクトおよびサーバーにアクセスできるようにします。Oracle SOAPサービスは、Webを介して公開および実行されます。これは、すべてのプログラムに標準XMLメッセージ書式を提供します。
SOAPサービスでは、XML標準を使用するメッセージング、リモート・プロシージャ・コール(RPC)およびWebサービス・プログラムをXDKを使用して開発できます。
1.2.10 XSLT Virtual Machine
XSLT Virtual Machine (XVM) for C/C++は、コンパイル済のXSLTコードの実行用に設計された、CPUのソフトウェア実装です。このコードを実行するには、XSLTスタイルシートを、XVMエンジンが理解するバイトコードにコンパイルする必要があります。
図1-6は、XVMによるXMLおよびXSLの処理を示しています。
XDKには、XSLT 1.0標準に準拠したXSLTコンパイラが含まれています。コンパイルは実行時に行うことも、格納して実行時に取得することもできます。アプリケーションでは、スタイルシートを解析する必要がなく、XML操作ではなく索引検索を使用してテンプレートが適用されるため、変換をより迅速に実行でき、スループットが上がります。
関連項目
1.3 XDKを使用したXML文書の生成
XDKでは、XML文書の構造をリレーショナル・スキーマにマップできます。XDKを使用すると、データベース表からXML文書を作成し、XMLタグ付きデータを表に挿入できます。各XDKプログラミング言語は、リレーショナル・データからXML文書を生成するプログラムの開発をサポートしています。
1.3.1 JavaによるXML文書の生成
Javaを使用してXML文書を生成するためのXDKコンポーネントは、XSL、XSU、JDBC、JAXB、JavaBeansおよびXSLTです。
図1-7に、XDK for Javaコンポーネントを使用したリレーショナル・データからのXML文書の生成を示します。SQL問合せからXML文書を生成するためのコンポーネントとしては3つの選択肢があり、A、B、Cのラベルが付けられています。XML文書をさらに処理するためにプログラムで使用できるコンポーネントには、D、EおよびFのラベルが付けられています。
表1-2で、XDK for Javaコンポーネントについて説明します。
表1-2 XMLを生成するためのXDK for Javaコンポーネント
コンポーネント | ラベル | 説明 |
---|---|---|
XSQLサーブレット |
A |
XSUとXMLパーサーを含みます。 |
XSU |
B |
XMLパーサーを含みます |
JDBC |
C |
出力データをXMLパーサーに送信します。 |
JAXB |
D |
入力XMLスキーマに対応したJavaクラス・ファイルを生成します。 |
JavaBeans |
E |
XML文書を別のXML文書と比較できます。 |
XSLT |
F |
XSLTスタイルシートを使用してXML文書をXHTMLに変換します。 |
図1-7 Java Oracle XML Developer's Kitコンポーネントを使用して構築したXMLプロセッサの例
「図1-7 ava Oracle XML Developer's Kitコンポーネントを使用して構築したXMLプロセッサの例」の説明
1.3.2 CによるXML文書の生成
XDK for Cコンポーネントを使用したXML文書の生成の概要を示します。
図1-8に、XDK for Cコンポーネントを使用したリレーショナル・データからのXML文書の生成を示します。コンポーネントの説明については、表1-1を参照してください。
図1-8 Oracle XML Developer's Kit Cコンポーネントを使用したXML文書の生成
「図1-8 Oracle XML Developer's Kit Cコンポーネントを使用したXML文書の生成」の説明
XML文書を処理するCプログラムを開発するには、次のようにします。
-
Oracle Call Interface(OCI)またはPro*C/C++プリコンパイラを使用して、SQL問合せをデータベースに送信します。プログラムではOracle XML DBのXMLビュー機能を利用する必要があります。
-
結果のXMLデータをXMLパーサーで処理するか、CLOBからXML文書として処理します。
-
XSLTプロセッサでXML文書を変換してXML対応ブラウザに送信するか、ソフトウェア・プログラムに送信してさらなる処理を行います。
1.3.3 C++によるXML文書の生成
XDK for C++コンポーネントを使用したXML文書の生成の概要を示します。
図1-9に、XDK for C++コンポーネントを使用したリレーショナル・データからのXML文書の生成を示します。コンポーネントの説明については、表1-1を参照してください。
図1-9 Oracle XML Developer's Kit C++コンポーネントを使用したXML文書の生成
「図1-9 Oracle XML Developer's Kit C++コンポーネントを使用したXML文書の生成」の説明
XML文書を処理するC++プログラムを開発するには、次のようにします。
-
Oracle C++ Call Interface(OCCI)またはPro*C/C++プリコンパイラを使用して、SQL問合せをデータベースに送信します。
-
結果のXMLデータをXMLパーサーで処理するか、CLOBからXML文書として処理します。
-
XSLTプロセッサでXML文書を変換してXML対応ブラウザに送信するか、ソフトウェア・プログラムに送信してさらなる処理を行います。
1.4 XDK用の開発ツールと開発フレームワーク
XDKコンポーネントを使用するソフトウェア・プログラムを開発するために使用できる、ツールとフレームワークの一部を示します。
図1-10に、これを示します。
たとえば、Oracle JDeveloperを使用すると、データベースに問合せを実行し、XMLを生成して追加の処理を実行するJavaクライアントを作成できます。従業員がこのプログラムを使用してOracle Databaseに問合せを送信できます。プログラムでXML文書をXMLベースのビジネス・ソリューションに転送し、他のユーザーとのデータ交換、コンテンツやデータの管理などを実行できます。
1.4.1 Oracle JDeveloper
Oracle JDeveloperは、E-Businessアプリケーションの開発、デバッグおよびデプロイをエンドツーエンドでサポートするJava Platform, Enterprise Edition (Java EE)開発環境です。これは、ソース・コードの制御、モデリングおよびコーディングからデバッグ、テスト、プロファイリングおよびデプロイまでの一連の開発ライフ・サイクルをサポートする統合ツールを提供します。
Oracle JDeveloperを使用すると、次のようなJava EEコンポーネントを作成するデプロイメント・ツールが提供され、開発が簡単になります。
-
アプレット
-
JavaBeans
-
Java Server Pages(JSP)
-
サーブレット
-
Enterprise JavaBeans (EJB)
Oracle JDeveloperは、開発環境を拡張およびカスタマイズし、外部製品と統合するためのパブリックなAPIも提供します。
XDKはOracle JDeveloperに統合され、XMLを管理する多くの方法を提供します。たとえば、XSQLサーブレットを使用して次のタスクを実行できます。
-
データベース情報の問合せと操作
-
XML文書の生成
-
XSLTスタイルシートを使用したXMLの変換
-
Web上でのXMLの配信
Oracle JDeveloperには、XMLスキーマやXSLTスタイルシートなどのXMLスキーマベース文書に使用できる、統合されたXMLスキーマ駆動のコード・エディタが搭載されています。エディタでは、特定の言語のスキーマを指定することで、そのマークアップ言語のドキュメントを効率的に作成できます。Code Insight機能を使用すると、XML文書内の要素や属性に対する有効な代替の要素や属性のリストをリストできます。
Oracle JDeveloperによって、Javaアプリケーション・コードと、XMLデータおよびXML文書の同時使用が簡単になります。次のようなXML開発モジュールをドラッグ・アンド・ドロップで使用できます。
-
XMLのカラー化された構文ハイライト表示
-
XMLおよびXSL用の組込み構文確認
-
XMLスキーマ文書の編集サポート
-
XSQLページおよびサーブレットのサポート
-
Oracle XML Parser for Java
-
XSLTプロセッサ
-
XDK for JavaBeansのコンポーネント
-
XSQLページ・ウィザード
-
XSQLアクション・ハンドラ
-
スキーマ駆動XMLエディタ
関連項目:
Oracle JDeveloperのドキュメントおよびチュートリアルへのリンクは、OTNのOracle JDeveloperを参照してください
1.4.2 Oracle Data Provider for .NET。
Oracle Data Provider for .NET(ODP.NET)は、Oracle Database用の.NETデータ・プロバイダの実装です。これにより、Oracle固有のAPIを使用して、任意の.NETアプリケーションからOracleのデータおよび機能に迅速かつ信頼性の高い方法でアクセスできます。Microsoft .NET Frameworkクラス・ライブラリからクラスとインタフェースが使用および継承されます。
ODP.NETとXDKを使用すると、リレーショナルおよびオブジェクト・リレーショナルの表およびビューからXML文書としてデータを抽出できます。データベース・サーバーへの挿入、更新および削除操作にXML文書を使用することもできます。ODP.NETでは、Oracle XML DBを介して、データベースでXMLがネイティブにサポートされます。
ODP.NETは、次の機能を使用してXMLをサポートします。
-
Oracleにネイティブのタイプ
XMLType
として、データベース・サーバーにネイティブのXMLデータを格納します。 -
データベース・インスタンスからMicrosoft .NET環境へのXMLデータとして、リレーショナル・データおよびオブジェクト・リレーショナル・データにアクセスし、Microsoft .NETフレームワークを使用してXMLを処理します。
-
XMLデータを使用して、変更をデータベース・サーバーに保存します。
ODP .NETアプリケーション開発者用に次の機能が含まれています。
-
OracleCommand
、OracleConnection
およびOracleDataReader
クラスへの拡張機能 -
XML固有のクラス:
-
OracleXmlType
-
OracleXmlStream
-
OracleXmlQueryProperties
-
OracleXmlSaveProperties
-
1.5 XDKのインストールについて
Oracle Databaseの標準インストールにXDK(そのすべてのコンポーネント)が含まれています。
注意:
Oracle XML Developer's Kit (XDK)のコンポーネントを使用してソフトウェア・プログラムを構築すると、外部エンティティ拡張や再帰的拡張など、強力だが危険を伴う可能性のある機能が使用可能になります。XDKを安全に使用する方法の詳細は、「Oracle XML Developer's Kitのセキュリティ上の考慮事項」を参照してください。
この項では、次のことを前提にしています。
-
CD-ROMから、またはOracle Technology Network(OTN)よりダウンロードしたアーカイブからOracle Databaseをインストールしました。
Oracle Database CD-ROMを使用すると、XDKがデフォルトでインストールされます。
-
Oracle Database ExamplesメディアからXDKデモ・プログラムをインストールしました。
例1-1に、Oracle DatabaseおよびXDKデモ・プログラムのインストール後のOracle Databaseホーム・ディレクトリを示します。
XDKが含まれるディレクトリをXDKホームと呼びます。環境変数$XDK_HOME
(UNIX)または%XDK_HOME%
(Windows)の値をOracleホーム・ディレクトリのxdk
ディレクトリに設定します。たとえば、UNIXでcsh
を使用し、次のコマンドでXDKホーム・ディレクトリを設定します。
setenv XDK_HOME $ORACLE_HOME/xdk
例1-1 Oracle XML Developer's Kitコンポーネント
- $ORACLE_HOME: Oracle home directory
| - bin: includes XDK executables
| - lib: includes XDK libraries
| - jlib: includes Globalization Support libraries for the XDK
| - nls: includes binary files used as part of globalization support
| - xdk: XDK scripts, message files, documentation, and demos
readme.html
| - admin: SQL scripts and XSL Servlet Configuration
file (XSQLConfig.xml)
| - demo: sample programs (installed from Oracle Database Examples media)
| - c
| - cpp
| - java
| - jsp
| - doc: release notes and readme
content.html
index.html
license.html
title.html
| - cpp
| - images
| - java
| - include: header files
| - mesg: error message files