8.2 Oracle Data Miningのアップグレードまたはダウングレード

Oracle Data Miningのアップグレードまたはダウングレードの方法を理解します。

8.2.1 アップグレード前のステップ

アップグレード前に、Javaで作成したデータ・マイニング・モデルおよびOracle Data Miner Classic (以前のバージョンのOracle Data Miner)で作成したマイニング操作を削除する必要があります。

注意:

Oracle Database 12cでは、Oracle Data MiningはJava APIをサポートしておらず、Oracle Data Miner ClassicをOracle Database 12cに対して実行することはできません。

8.2.1.1 Javaで作成されたモデルの削除

10gまたは11gデータベースにJavaで作成されたモデルが含まれている場合は、データベースのアップグレード前に、DBMS_DATA_MINING.DROP_MODELルーチンを使用してモデルを削除します。

8.2.1.2 Oracle Data Miner Classicで作成されたマイニング操作の削除

データベースにOracle Data Miner Classicからのマイニング操作が含まれている場合は、データベースのアップグレード前に、マイニング操作の削除とリポジトリの削除を行います。次のステップを実行します。

  1. Data Miner Classicユーザー・インタフェースを使用して、マイニング操作を削除します。

  2. SQL*PlusまたはSQL Developerで、次の表を削除します。

    DM4J$ACTIVITIES
    DM4J$RESULTS
    DM4J$TRANSFORMS
    

    さらに次の表も削除します。

    DM4J$MODEL_RESULTS_V
    DM4J$RESULTS_STATE_V
    

これらのステップの完了後は、データベースのスキーマ内に接頭辞DM4J$を使用する表またはビューは存在しなくなります。

8.2.2 Oracle Data Miningのアップグレード

Oracle Data Miningをアップグレードする方法を説明します。

アップグレード前のステップを完了すると、11gまたは10gのどちらのリリースからのアップグレードの場合でも、すべてのモデルとマイニング・メタデータはOracle Databaseのアップグレード・プロセスに完全に統合されます。

アップグレードされたモデルは、引き続き以前のリリースの場合と同様に機能します。アップグレードされたモデルおよびアップグレードされた環境で作成した新しいモデルの両方が、新しいリリースで導入された新しいマイニング機能を利用できます。

データベースのアップグレードには、Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用することも、エクスポートおよびインポート・ユーティリティを使用して手動アップグレードを実行することもできます。

8.2.2.1 Database Upgrade Assistantを使用したOracle Data Miningのアップグレード

Oracle Database Upgrade Assistantには、アップグレード・プロセスをインタラクティブに順を追って説明するグラフィカル・ユーザー・インタフェースが用意されています。

Windowsプラットフォームでは、次のステップに従ってUpgrade Assistantを起動します。

  1. Windowsの「スタート」メニューに移動し、Oracleホーム・ディレクトリを選択します。

  2. 「コンフィグレーションおよび移行ツール」メニューを選択します。

  3. Upgrade Assistantを起動します。

Linuxプラットフォームでは、DBUAユーティリティを使用してOracle Databaseをアップグレードします。

8.2.2.1.1 リリース10gからのアップグレード

Oracle Data Mining 10gでは、データ・マイニング・メタデータおよびPL/SQLパッケージはDMSYSスキーマに格納されます。Oracle Data Mining 11gおよび12cにはDMSYSが存在せず、データ・マイニング・メタデータ・オブジェクトはSYSに格納されます。

Oracle Database 10gを12cにアップグレードする場合、すべてのデータ・マイニング・メタデータ・オブジェクトおよびPL/SQLパッケージは、DMSYSからSYSに移行されます。DMSYSスキーマとその関連オブジェクトは、移行が成功すると削除されます。DMSYSが削除されると、SYS.DBA_REGISTRYビューには、コンポーネントとしてOracle Data Miningがリストされなくなります。

Oracle Database 12cへのアップグレード後は、Data Mining Scoring Engine (DMSE)に切り替えられなくなります。スコアリング・エンジンは、Oracle Database 11gまたは12cには存在しません。

8.2.2.1.2 リリース11gからのアップグレード

Oracle Database 11gをOracle Database 12cにアップグレードする際に、データベースが以前にOracle Database 10gからアップグレードしたものである場合は、DMSYSスキーマがまだ存在している可能性があります。アップグレード・プロセスでDMSYSが検出されると、警告メッセージが表示され、アップグレード中にDMSYSが削除されます。

8.2.2.2 エクスポートとインポートを使用したデータ・マイニング・モデルのアップグレード

必要に応じて、自動化の程度を下げた方法でデータ・マイニング・モデルをアップグレードできます。以前のリリースのOracle Databaseで作成したモデルをエクスポートし、それらをOracle Database 12cのインスタンスにインポートできます。

注意:

Javaで作成されたデータ・マイニング・モデルはインポートしないでください。これらはOracle Database 12cでサポートされていません。

8.2.2.2.1 リリース10gのデータ・マイニング・モデルのエクスポートとインポート

データ・マイニング・モデルをエクスポートおよびインポートするには、次の手順に従います。

モデルをOracle Database 10gのインスタンスからダンプ・ファイルへエクスポートするには、「マイニング・モデルのエクスポートおよびインポート」の手順に従いますダンプ・ファイルからモデルをインポートする前に、DMEIDMSYSスクリプトを実行して、Oracle Database 12cDMSYSスキーマを作成します。

SQL>CONNECT / as sysdba;
SQL>@ORACLE_HOME\RDBMS\admin\dmeidmsys.sql
SQL>EXIT;

ノート:

TEMP表領域がすでにOracle Database 12gデータベースに存在している必要があります。DMEIDMSYSスクリプトは、TEMP表領域およびSYSAUX表領域を使用してDMSYSスキーマを作成します。

Oracle Database 12cデータベースにダンプ・ファイルをインポートするには、次のようにします。

%ORACLE_HOME\bin\impdp system\<password> 
       dumpfile=<dumpfile_name> 
       directory=<directory_name> 
       logfile=<logfile_name> .....
SQL>CONNECT / as sysdba;
SQL>EXECUTE dmp_sys.upgrade_models();
SQL>ALTER SYSTEM FLUSH SHARED_POOL;
SQL>ALTER SYSTEM FLUSH BUFFER_CACHE;
SQL>EXIT;

upgrade_modelsスクリプトは、すべてのデータ・マイニング・メタデータ・オブジェクトおよびPL/SQLパッケージをDMSYSからSYSへ移行し、モデルのアップグレード前にDMSYSを削除します。

ALTER SYSTEM文

データベース・スマート・フラッシュ・キャッシュをフラッシュするには、ALTER SYSTEM FLUSH FLASH_CACHE文を発行します。データベース・スマート・フラッシュ・キャッシュのフラッシュは、リライトされた問合せ、または同一の開始点からの一連の問合せのパフォーマンスを測定する必要がある場合に有効です。

8.2.2.2.2 リリース11gのデータ・マイニング・モデルのエクスポートとインポート

モデルをOracle Database 11gのインスタンスからダンプ・ファイルへエクスポートするには、「マイニング・モデルのエクスポートおよびインポート」の手順に従います

注意:

Javaで作成されたデータ・マイニング・モデルはインポートしないでください。これらはOracle Database 12cでサポートされていません。

Oracle Database 12cデータベースにダンプ・ファイルをインポートするには、次のようにします。

%ORACLE_HOME\bin\impdp system\<password> 
       dumpfile=<dumpfile_name> 
       directory=<directory_name> 
       logfile=<logfile_name> .....
SQL>CONNECT / as sysdba;
SQL>EXECUTE dmp_sys.upgrade_models();
SQL>ALTER SYSTEM flush shared_pool;
SQL>ALTER SYSTEM flush buffer_cache;
SQL>EXIT;

ALTER SYSTEM文

データベース・スマート・フラッシュ・キャッシュをフラッシュするには、ALTER SYSTEM FLUSH FLASH_CACHE文を発行します。データベース・スマート・フラッシュ・キャッシュのフラッシュは、リライトされた問合せ、または同一の開始点からの一連の問合せのパフォーマンスを測定する必要がある場合に有効です。

8.2.3 アップグレード後のステップ

アップグレードされたデータベースを表示するステップを実行します。

データベースのアップグレード後、アップグレードされたデータベースのDBA_MINING_MODELSビューをチェックします。このビューには、新しくアップグレードされたマイニング・モデルがリストされます。

アップグレードを検証し、ダウングレードの必要がないことを確認したら、初期化パラメータCOMPATIBLE12.1に設定する必要があります。

ノート:

マイニング・モデルの作成に使用されるデータ・マイニングのユーザー・アカウントにCREATE MINING MODEL権限を付与する必要があります。

8.2.4 Oracle Data Miningのダウングレード

Oracle Database 12cデータベースを以前のリリースにダウングレードする前に、特異値分解モデルまたは期待値最大化モデルが存在しないことを確認します。これらのアルゴリズムは、Oracle Database 12cでのみ使用できます。ダウングレードする前に、DBMS_DATA_MINING.DROP_MODELルーチンを使用して、これらのモデルを削除します。削除しないと、データベースのダウングレード・プロセスは終了します。

SYSで次のSQL文を発行して、ダウングレードを検証します。

SQL>SELECT o.name FROM sys.model$ m, sys.obj$ o 
                  WHERE m.obj#=o.obj# AND m.version=2;