2 Oracle Instant ClientおよびOracle Instant Client Light
この章のトピックは、次のとおりです:
Oracle Instant Clientについて
Oracle Instant Clientでは、OCI、OCCI、ODBCおよびJDBC OCIアプリケーションを作成および実行するために必要なOracle Databaseのクライアント側ファイルが提供されます。SQL*Plus、SQL*Loader、Oracle Data Pumpなどの便利なコマンドライン・ユーティリティも用意されています。Oracle Instant Clientでは、クライアント・マシン上のOracleホームの必要性をなくすことで、アプリケーションのデプロイメントを単純化します。
Instant Clientモードで実行されるOCIアプリケーションの記憶領域の所要量は、クライアント側の完全インストールで実行される同じアプリケーションに比べて、大幅に少なくなります。Instant Client共有ライブラリの最小インストールは、完全なクライアント側インストールで占める領域の10%未満を占有します。Instant Clientは、インストールも簡単です。
Instant Clientを使用するのはなぜか。
-
インストールには、いくつかのファイルの解凍またはRPMパッケージのインストールが必要です。
-
Oracle Databaseのクライアント側で必要なファイル数およびディスク領域の合計が、大幅に少なくなります。
-
Instant Clientを使用してデプロイされたアプリケーションでは、機能またはパフォーマンスに損失がありません。
-
独立したソフトウェア・ベンダーは、アプリケーションを簡単にパッケージ化できます。
READMEは、Instant Clientインストールに付属しています。このファイルには、Instant Clientが生成されたバージョン、日時およびオペレーティング・システムが記載されています。
OCIアプリケーションは、デフォルトで、ランタイム・ライブラリ検索パス(たとえば、LinuxではLD_LIBRARY_PATH
、WindowsではPATH
)内でOCIデータ共有ライブラリlibociei.so
(WindowsではOraociei18.1.dll
)を検索し、アプリケーションがInstant Clientモードで動作するかどうかを判断します。このライブラリが見つからない場合、OCIではInstant Client Lightデータ共有ライブラリ(表2-3 および表2-4を参照) libociicus.so
(WindowsではOraociicus18.1.dll
)のロードを試みます。Instant Client Lightのライブラリが見つかった場合、アプリケーションはInstant Client Lightモードで動作します。それ以外の場合は、Oracleホームでの完全インストールが想定されます。
Instant Clientについて、次の表に、Linux、UNIXおよびMicrosoft Windows用のOCIアプリケーションのデプロイに必要なOracle Databaseクライアント側ファイルを示します。他のライブラリとユーティリティがインストールされますが、OCIランタイムの使用には必要ありません。たとえば、jdbc.jar
などのファイルを削除できます。
表2-1 LinuxおよびUNIX用のInstant Client共有ライブラリ
LinuxおよびUNIX | LinuxおよびUNIXでの説明 |
---|---|
|
クライアント・コード・ライブラリ |
|
OCI Instant Clientデータの共有ライブラリ |
|
セキュリティ・ライブラリ |
|
Oracle Notification Service (ONS)ライプラリ |
libmql1.so |
軽量IPCライブラリ |
libipc1.so |
メッセージ・キュー軽量ライブラリ |
脚注 1
Instant Clientを使用するには、ライブラリlibclntsh.so.18.1、libclntshcore.so.18.1およびlibociei.soが同じディレクトリ内に存在する必要があります。
表2-2 Microsoft Windows用のInstant Client共有ライブラリ
Microsoft Windows | Microsoft Windowsでの説明 |
---|---|
|
アプリケーションがリンクする転送機能 |
|
データとコード |
|
セキュリティ・ライブラリ |
|
OCIによって内部的に使用されるONSライブラリ |
|
シンボル表 |
表ではOracle Database 18cのライブラリ名が使用されており、それらはOracle Databaseリリース18c、バージョン18.1に対して最新です。
Microsoft Windowsでは、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)ごとに.sym
ファイルが提供されます。.sym
ファイルがDLLと同じ場所にある場合、Microsoft WindowsでOCIに障害が発生した際に、関数名を含むスタック・トレースが生成されます。
一般的に、Instant Clientがクライアント側の動作専用でないかぎり、Instant Clientを使用して実行されているアプリケーションではすべてのOCI機能を使用できます。したがって、サーバー側の外部プロシージャは、Instant Clientライブラリを使用できません。
開発には、Instant Client SDKを使用することもできます。
ZIPファイルから、RPMから、およびOracle Universal Installerからのインストール
Oracle Instant Clientは、いくつかの方法でインストールできます。
Instant Clientライブラリは、Oracle Universal InstallerからInstant Clientオプションを選択するか、Oracle Technology NetworkのWebサイトOracle Instant ClientのOCIページからZIPファイルまたはRPMのどちらかをダウンロードしてインストールするかのいずれかでインストールできます。
Oracle Technology NetworkのWebサイトからInstant Clientライブラリをダウンロードしてインストールするには、次のようにします。
Linux、UNIXおよびWindows環境では、次のステップを使用します。
-
Oracle Technology Networkから、必要なZIPパッケージをOTNからOracle Databaseリリース18c、バージョン18.1用の
instantclient_18_1
などの空のディレクトリにダウンロードして解凍します。すべてのInstant Client ZIPインストールには、基本または基本軽量パッケージが必要です。 -
または、RPMファイルをインストールするには、次の手順に従います。
-
su
を実行し、スーパーユーザーのパスワードを入力して、rootになります。 -
インストール先のディレクトリに移動します。
-
以前のすべてのインストール内容をアンインストールします。
# rpm -e package-name
-
yumを使用して各パッケージをインストールします。yumでは、
libaio
などの必要な依存物が自動的にインストールされます。# yum remove package-name # yum install package-name.rpm
または、rpmを使用して各パッケージをインストールします。
# rpm -ivh package-name.rpm
-
ディスク領域を節約する場合は、
.rpm
ファイルを削除します。 -
rootシェルを終了します。再起動の必要はありません。
-
-
オペレーティング・システム共有ライブラリ・パス環境変数を、ステップ1のディレクトリに設定します。たとえば、LinuxまたはUNIXでのZIPファイルの場合、
LD_LIBRARY_PATH
をinstantclient_18_1
に設定します。export LD_LIBRARY_PATH=/opt/oracle/instantclient_18_1:$LD_LIBRARY_PATH
LinuxのRPMの場合、LD_LIBRARY_PATH
を次のように設定します。export LD_LIBRARY_PATH=/usr/lib/oracle/18.1/client64/lib:$LD_LIBRARY_PATH
Windowsでは、
PATH
をinstantclient_18_1
ディレクトリに設定します。たとえば、Windows 7では、「コントロール パネル」→「システム」→「システムの詳細設定」→「詳細設定」→「環境変数」→「システム環境変数」→「PATH」でPATHを更新します。 -
必要ならば、
NLS_LANG
環境変数を設定して、クライアント・アプリケーションとそのアプリケーションでオープンされたデータベース接続で使用される言語と地域、およびクライアントの文字セット(クライアント・プログラムで入力または表示されるデータ用の文字セット)を指定します。NLS_LANG
は、UNIXプラットフォームでは環境変数として設定され、Windowsプラットフォームではレジストリで設定されます。NLS_LANG
環境変数設定の詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。 -
Instant Clientで
tnsnames.ora
、sqlnet.ora
、ldap.ora
、oraaccess.xml
などのオプションのOracleクライアント構成ファイルを同じ場所に配置する場合、Instant Clientのnetwork/admin
サブディレクトリ内に配置します。これは、Instant ClientにリンクされたアプリケーションのデフォルトのOracleクライアント構成ディレクトリです。または、Oracleクライアント構成ファイルを別のアクセス可能なディレクトリに配置できます。その後、環境変数TNS_ADMINをそのディレクトリ名に設定します。
前述のステップを完了すると、OCIアプリケーションを実行できるようになります。
オペレーティング・システムのライブラリ・パス変数によってOCI共有ライブラリにアクセスできる場合、OCIアプリケーションは、Instant Clientを使用します。この方法では、Oracleホームへの依存性はなく、Oracleホームに指定された他のコードおよびデータ・ファイルはどれもOCIでは不要です。
Oracle Universal InstallerからのInstant Clientのインストール
Oracle Universal Installerの場合は、Oracle Universal Installerを起動してInstant Clientオプションを選択し、Instant Client共有ライブラリをOracle Databaseリリース18c、バージョン18.1の空のディレクトリ(instantclient_18_1
など)にインストールします。
環境変数の設定の詳細は、「Oracle Technology NetworkのWebサイトからInstant Clientライブラリをダウンロードしてインストールするには、次のようにします。」のステップ3から5を参照してください。
完全なクライアント・インストールを行った場合(Oracle Universal InstallerでAdmin
オプションを選択)、完全なクライアント・インストール環境内のInstant Client共有ライブラリの場所は次のようになります。
LinuxまたはUNIXの場合:
libociei.so
ライブラリは、$ORACLE_HOME/instantclient
にあります。
libclntsh.so.18.1
、libclntshcore.so.18.1
およびlibnnz18.so
は、$ORACLE_HOME/lib
にあります。
Windowsの場合:
oraociei18.dll
ライブラリは、ORACLE_HOME\instantclient
にあります。
oci.dll
、ociw32.dll
およびorannzsbb18.dll
は、ORACLE_HOME¥bin
にあります。
Instant Clientを使用してOCIアプリケーションを実行できるようするには、前述のライブラリを別のディレクトリにコピーして、オペレーティング・システム共有ライブラリ・パスをこのディレクトリがある場所に設定します。
ノート:
すべてのライブラリを同じOracleホームからコピーして、同じディレクトリに配置する必要があります。Instant Clientライブラリへのsymlinkの関連付けは、ライブラリの物理的な関連付けに代わるものではありません。
オペレーティング・システムのLibrary Path変数に存在するOracleライブラリは1セットのみである必要があります。つまり、Instant Clientライブラリを含むディレクトリが複数ある場合、それらのディレクトリの1つのみをオペレーティング・システムのLibrary Path上に記載する必要があります。
同様に、Oracleホームベースのインストールを同じシステムに行う場合、オペレーティング・システムのLibrary PathにORACLE_HOME/lib
とInstant Clientディレクトリの両方を記載しないでください(Library Path上での順序も無関係です)。つまり、オペレーティング・システムのLibrary Path変数には、ORACLE_HOME/lib
ディレクトリ(非Instant Clientモードで操作する場合)またはInstant Clientディレクトリ(Instant Clientモードで操作する場合)のいずれかを記載します。
OCCIやJDBC OCIなどのその他の機能を有効にするには、いくつかの追加ファイルをコピーする必要があります。OCCIを有効にするには、OCCIライブラリ(LinuxまたはUNIXではlibocci.so.18.1
、Windowsではoraocci18.dll
)をInstant Clientディレクトリにインストールする必要があります。JDBC OCIドライバの場合、3つのOCI共有ライブラリ以外に、OCI JDBCライブラリ(LinuxまたはUNIXではlibocijdbc18.so
、Windowsではocijdbc18.dll
など)もダウンロードする必要があります。すべてのライブラリをInstant Clientディレクトリに配置します。
ノート:
Sparc64などのハイブリッド・プラットフォームでは、JDBC OCIドライバをInstant Clientモードで動作させるために、libociei.so
ライブラリをORACLE_HOME/instantclient32
ディレクトリからInstant Clientディレクトリにコピーします。JDBC OCI Instant Clientに必要なその他すべてのSparc64ライブラリを、ORACLE_HOME/lib32
ディレクトリからInstant Clientディレクトリにコピーします。
Oracle Instant Clientの環境変数
ORACLE_HOME
環境変数は、NLS、COREおよびエラー・メッセージ・ファイルの場所を決定しなくなりました。
OCI専用アプリケーションでは、ORACLE_HOME
を設定しないでください。ただし、設定されていても、OCIには影響はありません。OCIは、データ共有ライブラリからデータを常に取得します。データ共有ライブラリを使用できない場合のみORACLE_HOME
が使用され、完全なクライアント・インストールが前提となります。ORACLE_HOME
を設定する必要がなくても、設定する場合には、ディレクトリを識別する有効なオペレーティング・システム・パス名に設定する必要があります。
動的ユーザー・コールバック・ライブラリをロードする場合は、このマニュアルで指定されているように、ORACLE_HOME/lib
(WindowsではORACLE_HOME\bin
)にコールバック・パッケージが存在する必要があります。この場合、ORACLE_HOME
を設定します。
Instant Clientモードでは、環境変数ORA_NLS10
およびORA_NLS_PROFILE33
は無視されます。
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、Instant Clientライブラリを使用する場合、Instant Clientは、ORA_TZFILE
環境変数を使用して、ファイル・システムからタイム・ゾーン・ファイルを読み取ります(この環境変数が設定されている場合)。それ以外で、ORA_TZFILE
変数が設定されていない場合、データ共有ライブラリから、サイズの大きいデフォルトのtimezlrg_n.dat
ファイルが使用されます。サイズの小さいtimezone_n.dat
ファイルをデータ共有ライブラリから使用する場合は、絶対または相対パス名を付けずに、このファイルの名前をORA_TZFILE
環境変数に設定します。ファイルは、Instant Clientディレクトリのサブディレクトリoracore/zoneinfo
(UNIX/LINUXの場合)またはoracore\zoneinfo
(Microsoft Windowsの場合)にコピーする必要があります。genezi
ユーティリティを-v
オプション付きで使用して、タイム・ゾーン・ファイルおよび場所が有効であることを確認するか、SQL*Plusを実行します。
LinuxまたはUNIXの場合:
export ORA_TZFILE=timezone_n.dat
Windowsの場合:
set ORA_TZFILE=timezone_n.dat
これらの場合、nはタイムゾーン・データ・ファイルのバージョン番号です。
oracoei
またはoraociicus
DLLが存在する場所(通常はinstantclient_12_2
ディレクトリ)に必ずサブディレクトリoracore/zoneinfo
(UNIX/LINUXの場合)またはサブディレクトリoracore\zoneinfo
(Microsoft Windowsの場合)を作成し、そのディレクトリにtimezone_n.dat
ファイルをコピーします。
Instant Clientデータ共有ライブラリにパッケージされている大小のタイム・ゾーン・ファイルのバージョンを特定するには、次のコマンドを入力して、genezi
ユーティリティを実行します。
genezi -v
(データ共有ライブラリが使用できないために) OCIがInstant Clientモードで動作していない場合、以前のOracle Databaseのリリースと同様に、ORA_TZFILE
変数(設定されている場合)は、完全なパス名を付けます。
TNSNAMES
ローカル・ネーミング・パラメータが使用されている場合は、前述したように、TNS_ADMIN
ディレクトリにはTNSNAMES
構成ファイルを含める必要があります。TNS_ADMIN
が設定されていない場合は、ORACLE_HOME/network/admin
ディレクトリにOracle Net Services構成ファイルを含める必要があります。
Oracle Instant Clientのデータベース接続文字列
tnsnames.ora
、sqlnet.ora
、oraaccess.xml
などの構成ファイルを指定するためにORACLE_BASE_HOME
またはORACLE_HOME
を使用する必要のないOracle Netネーミング・メソッドは、すべてInstant Clientモードで動作します。
Instant Clientでtnsnames.ora
、sqlnet.ora
、ldap.ora
、oraaccess.xml
などのオプションのOracle構成ファイルを同じ場所に配置する場合は、Oracle Databaseリリース18c、バージョン18.1以上ではInstant Client の基本および基本軽量のzipおよびRPMで、これらのファイルを配置できるnetwork/admin
ディレクトリが事前作成されることに注意してください。以前のリリースでは、ユーザーが自分でnetwork/admin
ディレクトリを作成する必要がありました。
データベース接続文字列の詳細は、「データベース接続文字列」を参照してください。
関連項目:
接続記述子の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』の「ネーミング・メソッドの構成」を参照してください
この項には次のトピックが含まれます: Oracle Instant Client接続識別子の例。
Oracle Instant Client用のSDK
ソフトウェア開発キット(SDK)は、アプリケーションを作成できる開発ツールのセットで、次のOracle Technology Network WebサイトのInstant ClientのリンクURLからダウンロードできます。
-
Instant Client SDKパッケージには、CおよびC++のヘッダー・ファイルと、Instant Client環境でOCIおよびOCCIアプリケーションを開発するためのMakefileが含まれています。開発したアプリケーションは、あらゆるクライアント環境にデプロイできます。
-
SDKには、CおよびC++のデモ・プログラムが含まれています。
-
Windowsの場合、OCIまたはOCCIアプリケーションをリンクするために必要なライブラリも含まれています。デモをビルドするための、
Make.bat
が提供されています。 -
UNIXまたはLinuxの場合、デモをビルドするにはmakefile
demo.mk
を指定します。アプリケーションをリンクする前に、instantclient_18_1
ディレクトリがランタイム・ライブラリ検索パス(たとえば、LD_LIBRARY_PATH
)に存在する必要があります。OCIおよびOCCIプログラムでは、instantclient_18_1
ディレクトリにlibclntsh.so
およびlibocci.so
シンボリック・リンクを配置する必要があります。Oracle Database18c、バージョン18.1以上では、Linux、UNIX、およびmacOSのInstant Client の基本および基本軽量のzipファイルでlibclntsh
とlibocci
のシンボリック・リンクが事前作成されるようになりました。 -
また、SDKには、アプリケーション・ヘッダー・ファイルを生成するための、Object Type Translator (OTT)ユーティリティとそのクラスが含まれます。
Oracle Instant Client Lightについて
Instant ClientのInstant Client Lightバージョンでは、クライアントのインストールに必要なディスク領域が削減されています。
英語以外の言語のエラー・メッセージ・ファイルを削除し、サポートされる文字セット定義を約250の中からわずかな数のみ残すことで、ライブラリのサイズが削減されました。
このInstant Client Lightバージョンは、US7ASCII、WE8DEC、WE8ISO8859P1、WE8MSWIN1252またはUnicode文字セットのいずれかを使用するアプリケーション向けです。NLS_LANG
設定のLANGUAGE
およびTERRITORY
フィールドに制限がないため、Instant Client Lightはあらゆる言語および地域設定で動作します。Instant Client Lightでは英語のエラー・メッセージのみ提供されているため、NLS_LANG
がAMERICAN
以外の言語に設定されている場合でも、Net接続エラーなどのクライアント側で生成されたエラー・メッセージは常に英語でレポートされます。データベース・インスタンスのOracleホームに適切な翻訳済メッセージ・ファイルがインストールされている場合、SQL文の構文エラーなどのデータベース側で生成されたエラー・メッセージは、選択した言語となります。
グローバリゼーション設定
Instant Client Lightは、次のクライアント文字セットをサポートします。
シングルバイト
-
US7ASCII
-
WE8DEC
-
WE8MSWIN1252
-
WE8ISO8859P1
Unicode
-
UTF8
-
AL16UTF16
-
AL32UTF8
Instant Client Lightは、次のいずれかのデータベース文字セットを使用するデータベースに接続できます。
-
US7ASCII
-
WE8DEC
-
WE8MSWIN1252
-
WE8ISO8859P1
-
WE8EBCDIC37C
-
WE8EBCDIC1047
-
UTF8
-
AL32UTF8
Instant Client Lightは、前述のリストにない文字セットがクライアントまたはデータベースの文字セットとして使用された場合に、エラーを戻します。
Instant Client Lightは、OCI_UTF16
モードで作成されたOCI環境ハンドルを使用しても動作できます。
関連項目:
各国語サポート(NLS)の設定の詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください
Oracle Instant Client Lightのライブラリ
OCIアプリケーションは、デフォルトで、ランタイム・ライブラリ検索パス(たとえば、LinuxではLD_LIBRARY_PATH
、WindowsではPATH
)内でOCIデータ共有ライブラリlibociei.so
(WindowsではOraociei18.1.dll
)を検索し、アプリケーションがInstant Clientモードで動作するかどうかを判断します。
OCIデータ共有ライブラリが見つからない場合、OCIではInstant Client Lightデータ共有ライブラリ(表 2-3および and 表 2-4を参照)、libociicus.so
(WindowsではOraociicus18.1.dll
)のロードを試みます。Instant Client Lightのライブラリが見つかった場合、アプリケーションはInstant Client Lightモードで動作します。それ以外の場合は、Oracleホームでの完全インストールが想定されます。
表2-3 LinuxおよびUNIX用のInstant Client Light共有ライブラリ
LinuxおよびUNIX | LinuxおよびUNIXでの説明 |
---|---|
|
クライアント・コード・ライブラリ |
|
OCI Instant Client Lightデータの共有ライブラリ |
|
セキュリティ・ライブラリ |
libmql1.so |
軽量IPCライブラリ |
libipc1.so |
メッセージ・キュー軽量ライブラリ |
表2-4 Microsoft Windows用のInstant Client Light共有ライブラリ
Microsoft Windows | Microsoft Windowsでの説明 |
---|---|
|
アプリケーションがリンクする転送機能 |
|
データとコード |
|
セキュリティ・ライブラリ |
|
シンボル表 |
Oracle Instant Client Lightのインストール
Instant Client Lightのインストール方法を説明します。
Instant Client Lightのインストールは、次のいずれかの方法で行うことができます。
-
Oracle Technology Network (OTN)からのインストール
URL「Oracle Instant Client」は、Oracle Technology Network WebサイトのInstant Clientページです。
Instant Client Lightの場合、
basiclite.zip
パッケージを空のinstantclient_12_2
ディレクトリにダウンロードし、解凍します。 -
Instant Client Administratorインストールからのインストール
ORACLE_HOME/instantclient/light
サブディレクトリから、libociicus.so
(Windowsではoraociicus12.dll
)をコピーします。LD_LIBRARY_PATH
(WindowsではPATH
)のInstant Clientディレクトリに、サイズの大きいOCI Instant Clientデータ共有ライブラリlibociei.so
(Windowsではoraociei12.dll
)のかわりに、Instant Client Lightデータ共有ライブラリlibociicus.so
(Windowsではoraociicus12.dll
)を格納します。 -
Oracle Universal Installerインストールからのインストール
Oracle Universal InstallerでInstant Clientオプションを選択した場合、
libociei.so
(Windowsではoraociei12.dll
)はインストールのベース・ディレクトリにインストールされ、これらのファイルがLD_LIBRARY_PATH
(WindowsではPATH
)に置かれることになります。Instant Light Clientデータ共有ライブラリ
libociicus.so
(Windowsではoraociicus12.dll
)は、ベース・ディレクトリのlight
サブディレクトリにインストールされ、デフォルトでは無効です。したがって、Instant Client Lightモードを使用するには、OCIデータ共有ライブラリlibociei.so
(WindowsではOraociei12.dll
)を削除するか名前を変更し、Instant Client Lightのライブラリをその環境のlight
サブディレクトリからベース・ディレクトリにコピーする必要があります。たとえば、Oracle Universal InstallerでInstant Clientを
LD_LIBRARY_PATH
(WindowsではPATH
)のmy_oraic_12_2
ディレクトリにインストールした場合、Instant Client Lightモードを使用するには、次のコマンド・シーケンスを実行します。cd my_oraic_12_2 rm libociei.so mv light/libociicus.so .
ノート:
インストールに互換性のないバイナリが存在しないように、常に空のディレクトリにInstant Clientのファイルをコピーしインストールしてください。
LinuxまたはUNIXでのInstant Client共有ライブラリへのパッチの適用について
Instant Clientはデプロイメント用の機能であるため、OCIアプリケーションの実行に必要なファイルの数およびサイズ(クライアント・フットプリント)が減らされました。
したがって、Instant Client共有ライブラリにパッチを適用するために必要なファイルは、Instant Clientのデプロイメントですべて入手できるわけではありません。パッチの適用には、Oracleホームをベースとした完全なクライアント・インストールが必要です。パッチを適用するには、opatch
ユーティリティを使用します。
Oracleホーム環境にパッチを適用した後、「ZIPファイルから、RPMから、およびOracle Universal Installerからのインストール」の説明に従って、「Oracle Instant Clientについて」に記載されているファイルをInstant Clientディレクトリにコピーします。
個々のファイルをコピーするかわりに、「データ共有ライブラリ、zipおよびRPMファイルの再生成」の説明に従って、OCIとOCCI、JDBCおよびSQL*Plus用のInstant Client zipおよびRPMファイルを生成できます。次に、「ZIPファイルから、RPMから、およびOracle Universal Installerからのインストール」の説明に従って、zipおよびRPMファイルをターゲット・システムにコピーして解凍できます。
opatch
ユーティリティによって、ORACLE_HOME
インストールのパッチ適用情報がlibclntsh.so
に格納されます。この情報を取り出すには、次のコマンドを使用します。
genezi -v
Instant Clientのデプロイメント・システムにgenezi
ユーティリティがない場合、ORACLE_HOME
/bin
ディレクトリからそれをコピーできます。
ノート:
opatch
ユーティリティは、Windowsでは使用できません。
データ共有ライブラリ、zipおよびRPMファイルの再生成
データ共有ライブラリとzipおよびRPMファイルを再生成するプロセスは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)で変更されました。
データ共有ライブラリ、zipおよびRPMファイルを作成するために、別々のMakefileターゲットが個々にまたは一度に使用されます。現在、ilibociei
では、zipファイルおよびRPMファイルのみが作成されます。データ共有ライブラリの再生成には、コンパイラとリンカーの両方が必要で、これらはすべてのインストールで使用可能というわけではありません。後続の各項では、データ共有ライブラリ、zipおよびRPMファイルを再生成するために使用するMakefileターゲットを示します。
ノート:
再生成されたInstant Clientバイナリには、再生成を行ったOracle Client AdministratorホームでインストールされたInstant Clientファイルのみが含まれます。そのため、再生成環境に存在するエラー・メッセージ、文字セット・エンコーディングおよびタイムゾーン・ファイルは、データ共有ライブラリにパッケージされているもののみです。エラー・メッセージ、文字セット・エンコーディングおよびタイムゾーン・ファイルは、Oracle Client Administratorホームのインストールで選択された各国語に依存します。
データ共有ライブラリ、zipおよびRPMファイルの再生成は、Windowsプラットフォームでは使用できません。
データ共有ライブラリlibociei.soの再生成
OCI Instant Clientデータ共有ライブラリ(libociei.so
)は、ORACLE_HOME
の管理者インストールで次のコマンドを使用することで再生成できます。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk igenlibociei
新しく再生成されたlibociei.so
は、ORACLE_HOME
/instantclient
ディレクトリに置かれます。同じディレクトリにある元の既存のlibociei.so
は、libociei.so0
に名前が変更されます。
データ共有ライブラリlibociicus.soの再生成
Instant Client Lightデータ共有ライブラリ(libociicus.so
)を再生成するには、次のコマンドを使用します。
mkdir -p $ORACLE_HOME/rdbms/install/instantclient/light cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk igenlibociicus
新しく再生成されたlibociicus.so
は、ORACLE_HOME
/instantclient
/light
ディレクトリに置かれます。同じディレクトリにある元の既存のlibociicus.so
は、libociicus.so0
に名前が変更されます。
データ共有ライブラリlibociei.soおよびlibociicus.soの1ステップでの再生成
データ共有ライブラリlibociei.so
とlibociicus.soを再生成するには、次のコマンドを使用します。
mkdir -p $ORACLE_HOME/rdbms/install/instantclient/light cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk igenliboci
新しく再生成されたlibociei.so
は、ORACLE_HOME
/instantclient
ディレクトリに置かれます。同じディレクトリにある元の既存のlibociei.so
は、libociei.so0
に名前が変更されます。
新しく再生成されたlibociicus.so
は、ORACLE_HOME
/instantclient
/light
ディレクトリに置かれます。同じディレクトリにある元の既存のlibociicus.so
は、libociicus.so0
に名前が変更されます。
基本パッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
基本パッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_basic_zip
基本軽量パッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
基本軽量パッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_basiclite_zip
JDBCパッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
JDBCパッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_jdbc_zip
ODBCパッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
ODBCパッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_odbc_zip
SQL*Plusパッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
SQL*Plusパッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_sqlplus_zip
ツール・パッケージ用のzipおよびRPMファイルの再生成
ツール・パッケージ用にzipおよびRPMファイルを再生成するには、次のコマンドを使用します。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk ic_tools_zip