Linux環境用のOracle ACFSコマンドライン・ツール

このトピックでは、Linux環境用のOracle ACFSコマンドの概要を示します。

表16-1に、Linux環境用のOracle ACFSコマンドと簡単な説明を示します。表16-1に示すコマンドは、Oracle ACFSをサポートする追加オプションによって拡張されています。その他のLinuxファイルシステム・コマンドはすべて、Oracle ACFS用の変更なしで動作します。

たとえば、Oracle ACFSにより、基本のオペレーティング・システム・プラットフォームに備わっているマウント・オプションに、Oracle ACFS固有のマウント・オプション・セットが追加されます。ファイルシステム・マウント・オプションの完全なセットとして、Linuxプラットフォームのマウント・オプションとともに、Oracle ACFS固有のオプションも確認する必要があります。

Oracle ACFSファイルシステムではないOracle ADVMボリューム上のファイルシステム(ext3など)は、表16-1に示したのと同じLinuxコマンドで該当するタイプのファイルシステム用のファイル固有のオプションを使用して管理します。表16-1のLinuxコマンドで使用可能なオプションについては、manページを参照できます。

注意:

Security-Enhanced Linux (SELinux)を強制モードでOracle ACFSと併用している場合、Oracle ACFSファイルシステムがSELinuxデフォルト・コンテキストでマウントされていることを確認してください。コンテキスト・マウント・オプションの詳細は、Linuxベンダーのドキュメントを参照してください。

表16-1 Linux環境用のOracle ACFSコマンドの概要

コマンド 説明

fsck

Oracle ACFSファイルシステムをチェックおよび修復します。

mkfs

Oracle ACFSファイルシステムを作成します。

mount

Oracle ACFSファイルシステムをマウントします。

umount

Oracle ACFSファイルシステムをディスマウントします。

fsck

目的

Oracle ACFSファイルシステムをチェックおよび修復します。

構文および説明

fsck -t acfs -h /dev/null
fsck [-a|-f] [-v]  -t acfs [-n|-y] [-x file_name] volume_device

fsck -t acfs -h /dev/nullは、使用方法のテキストを表示して終了します。

表16-2に、fsckコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-2 Linux fsckコマンドのオプション

オプション 説明

-a

ファイルシステムを自動的に修正することを指定します。

-f

ファイルシステムのチェックまたは修正を完了せずに、ファイルシステムを強制的にマウント可能な状態にします。

-v

verboseモードを指定します。操作が発生すると、進捗状況が表示されます。verboseモードで実行すると、パフォーマンスに影響を及ぼす場合があります。

-h

使用方法のヘルプ・テキストを表示して終了します。

-n

すべてのプロンプトに対してnoと答えます。

-y

すべてのプロンプトに対してyesと答えます。

-x file_name

acfsutil metaで収集されたアクセラレータ・データに対して指定します。このタイプのデータに対してのみ使用します。

volume_device

プライマリOracle ADVMボリューム・デバイスを指定します。

fsckは、既存のOracle ACFSをチェックおよび修復します。このコマンドは、ディスマウント済のファイルシステムでのみ実行できます。fsckを実行するにはroot権限が必要です。fsckを機能させるには、Oracle ACFSドライバをロードする必要があります。

デフォルトでは、fsckはエラーがないかチェックし、エラーを報告するのみです。-aフラグは、fsckにファイルシステムでのエラーの修正を指示するために指定する必要があります。修復操作中にfsckを中断しないでください。

場合によっては、fsckでは、ファイルシステムのチェックに進む前に、質問に対する答えを要求されます。次の場合があります。

  • fsckにより、ファイルシステム上で別のfsckが進行中であることが検出された場合

  • fsckにより、Oracle ACFSドライバがロードされていないことが検出された場合

  • ファイルシステムがOracle ACFSではない可能性がある場合

チェック・モードでは、fsckでは不完全な終了のために完全に処理されていないトランザクション・ログがある場合にも要求されます。非対話モードで実行するには、-yまたは-nオプションを含めて、質問に対してyesまたはnoと答えます。

fsckでは、ファイルシステムをチェックする前に、作業ファイルを作成します。これらの作業ファイルは、領域が使用可能な場合、/usr/tmpに作成されます。/tmpは、/usr/tmpが存在しない場合に使用されます。tmpディレクトリで使用可能な領域が不十分な場合、fsckでは、現在の作業ディレクトリに書込みを試みます。fsckで作成するファイルは、およそチェック対象のファイルシステムを32Kで割ったサイズです。そのようなファイルは多くても3つ割り当てられます。たとえば、チェックされている2GBのファイルシステムによって、fsckでは/usr/tmpディレクトリに1つから3つの64Kの作業ファイルが生成されます。これらのファイルは、fsckの終了後に削除されます。

fsckでファイルシステムで(親ディレクトリ内の破損などにより)名前または目的の場所を特定できないファイルまたはディレクトリが検出された場合、fsckを修正モードで実行していると、そのオブジェクトは/lost+foundディレクトリに配置されます。セキュリティ上の理由で、Linuxではrootユーザーのみが/lost+found内のファイルを読み取ることができます。内容に基づいてファイルの元の名前および場所を管理者が後で特定できた場合は、そのファイルを目的の場所に移動またはコピーできます。

/lost+foundディレクトリ内のファイル名の書式は、次のとおりです。

parent.id.file.id.time-in-sec-since-1970
parent.id.dir.id.time-in-sec-since-1970

idフィールドは、ファイルシステムでのファイルおよびディレクトリそれぞれのOracle ACFSの内部数値識別子です。

acfsutil info id id mount_pointを使用すると、parent.idに関連付けられたディレクトリの特定を試みることができます。このディレクトリは、削除されたオブジェクトの元の場所とみなされます。acfsutil infoの詳細は、「acfsutil info file」を参照してください。

親ディレクトリが不明な場合は、親のidフィールドをUNKNOWNと設定します。

注意:

/lost+foundディレクトリの内容は、スナップショットから表示できません。

次の例は、Oracle ACFSファイルシステムのチェックおよび修復の方法を示しています。

例16-2 fsckコマンドの使用方法

# /sbin/fsck -a -y -t acfs /dev/asm/volume1-123

mkfs

目的

Oracle ACFSファイルシステムを作成します。

構文および説明

mkfs -t acfs -h
mkfs [-v] [-f] -t acfs [-i {512 | 4096}] [-n name ] [-a accelerator_volume] [-c release_version] 
      volume_device [size]

mkfs -t acfs -hは使用方法のテキストを表示して終了します。

表16-3に、mkfsコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-3 Linux mkfsコマンドのオプション

オプション 説明

-t acfs

Linuxでのファイルシステムのタイプを指定します。acfsは、Oracle ACFSタイプを指定します。

-v

verboseモードを指定します。操作が発生すると、進捗状況が表示されます。

-i {512 | 4096}

512バイトまたは4096バイトのメタデータ・ブロック・サイズでファイルシステムを指定します。

-n name

ファイルシステムの名前を指定します。名前は最大64文字です。acfsutil info fsは、名前が指定された場合、その名前を戻します。

-f

forceオプションを指定します。このアクションで、ボリューム・デバイスに既存のOracle ACFSがあっても、ファイルシステムが作成されます。ただし、フィアル・システムがディスマウントされている場合にかぎります。このオプションは、元のファイルシステム上の構造を上書きします。慎重に使用してください。

-h

使用方法のヘルプ・テキストを表示して終了します。

size

指定したデバイスでファイルシステムが消費するサイズを指定します。量は、K(KB)、M(MB)、G(GB)、T(TB)またはP(PB)の単位で指定できます。単位が指定されていない場合、デフォルトはバイトです。

このオプションを指定しない場合、デバイス全体が消費されます。

-a accelerator_volume

Oracle ACFSによって重要なメタデータの格納に使用されるセカンダリOracle ACFSアクセラレータ・ボリュームを指定します。

-c release_version

release_versionの値に設定されたOracle ACFSリリースの互換性でOracle ACFSファイルシステムを作成します。

volume_device

フォーマットする既存のOracle ADVMデバイス・ファイルを指定します。このデバイスはプライマリ・ボリュームです。

mkfsは、Oracle ACFSファイルシステムのマウントに必要なディスク上の構造を作成するために使用できます。mkfsコマンドは、ファイルシステムの作成に使用される従来のLinuxコマンドです。mkfsの実行に成功すると、V$ASM_VOLUMEビューのUSAGE列にはACFSと表示されます。Oracle ADVMボリュームは、ASMCMD volcreateコマンドを使用して作成されます。volcreateコマンドの詳細は、volcreateを参照してください。

-c release_versionオプションで指定する値は、ディスク・グループのCOMPATIBLE.ADVM値以上にする必要があり、実行中のOracle Grid Infrastructureリリースのバージョン以下にする必要があります。—c release_versionを指定しないと、COMPATIBLE.ADVM値が使用されます。互換性は、設定するとダウングレードできません。—c release_versionオプションは、ディスク・グループのCOMPATIBLE.ADVMおよびCOMPATIBLE.ASMの更新ができない、または望ましくない状況で、互換性の向上が必要なOracle ACFS機能を使用する場合に使用できます。Oracle ACFSの互換性を更新すると、以前のOracle Grid Infrastructureリリースを使用してファイルシステムをマウントできなくなります。既存のファイルシステムの互換性を変更するには、「acfsutil compat set」を参照してください。Oracle ASMディスク・グループの互換性属性の詳細は、ディスク・グループの互換性を参照してください。

最小ファイルシステム・サイズは、512バイトのメタデータ・ブロック・サイズ・フォーマットの場合は200 MB、4 KBのメタデータ・ブロック・サイズ・フォーマットの場合は512 MBです。

mkfsが正常に機能するには、Oracle ACFSドライバをロードする必要があります。

root権限は必要ありません。ボリューム・デバイス・ファイルの所有者が、このコマンドを実行できます。

Oracle ACFSアクセラレータ・ボリューム

アクセラレータ・ボリュームを使用すると、Oracle ACFSメタデータへのアクセスおよび更新にかかる時間が短縮され、パフォーマンスが向上する可能性があります。アクセラレータ・ボリュームは、プライマリ・ボリュームのストレージよりも大幅に高速なストレージを使用してディスク・グループに作成する必要があります。アクセラレータ・ボリュームは、mkfsコマンドの-aオプションを使用して作成します。詳細は、「Oracle ACFSアクセラレータ・ボリューム」を参照してください。

4 KBのセクター/メタデータ

次に、COMPATIBLE.ADVMディスク・グループ属性値に基づいた-iオプションおよびメタデータ・ブロック・サイズの使用についてまとめます。

  • COMPATIBLE.ADVM12.2以上に設定されている場合、メタデータ・ブロック・サイズはデフォルトで4096バイトです。

  • COMPATIBLE.ADVM12.2未満に設定されている場合、ブロック・サイズは512バイトに設定されます。

  • COMPATIBLE.ADVM12.2未満に設定されているのに、論理セクター・サイズが512バイトでない場合、コマンドは失敗します。

ユーザー・データIOでは、標準ユーザーIOリクエストに対して512バイトの小規模な転送が引き続きサポートされます。ファイルシステムのOracle ADVMボリュームの論理ディスク・セクター・サイズが4 Kの場合、最良のパフォーマンスを得るには、ユーザー直接IOリクエストを4 Kファイル・オフセットに揃えて、4 KBの倍数の長さにする必要があります。4 Kメタデータ・ブロック・サイズ・フォーマットでのみ、論理ディスク・セクターが4 KのADVMボリュームがサポートされます。

論理ディスク・サイズが4096のOracle ADVMボリュームをフォーマットしたり、-i 4096オプションを使用して論理ディスク・セクター・サイズが512バイトのOracle ADVMボリュームをフォーマットするには、COMPATIBLE.ADVM値を12.2以上に設定する必要があります。

Oracle ACFSファイルシステムを作成する前に、まずOracle ADVMボリューム・デバイスが使用可能かどうか確認します。ASMCMD volinfoコマンドを使用すれば、ボリュームおよびボリューム・デバイスの情報を表示できます。次に例を示します。

ASMCMD [+] > volinfo -a
...
         Volume Name: VOLUME1
         Volume Device: /dev/asm/volume1-123
         State: ENABLED
... 

volcreateコマンドおよびvolinfoコマンドの詳細は、「ASMCMDによるOracle ADVMの管理」を参照してください。

このコマンドでは、ボリューム・デバイス・ファイルにOracle ACFSファイルシステムを作成します。

例16-3 mkfsコマンドの使用方法

$ /sbin/mkfs -t acfs /dev/asm/volume1-123

例16-4 mkfsコマンドを使用したアクセラレータ・ボリュームの作成

このコマンドでは、アクセラレータ・ボリュームを使用してOracle ACFSファイルシステムを作成します。

$ /sbin/mkfs -t acfs -a /dev/asm/volume2-130 /dev/asm/volume1-127 

mount

目的

Oracle ACFSファイルシステムをマウントします。

構文および説明

mount -h
mount [-v] -n -t acfs [-o options] volume_device mount_point
mount

mount -hは使用方法のテキストを表示して終了します。

表16-4に、mountコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-4 Linux mountコマンドのオプション

オプション 説明

-h

使用方法のヘルプ・テキストを表示して終了します。

-t acfs

Linuxでのファイルシステムのタイプを指定します。acfsは、Oracle ACFSタイプを指定します。

-v

verboseモードを指定します。操作が発生すると、進捗状況が表示されます。

-n

/etc/mtabファイルが更新されないように指定します。

-o

オプションは-oフラグで指定し、その後にカンマで区切られたオプションの文字列が続きます。次のオプションを使用できます。

  • all

    AUTO_START=alwaysですべてのファイルシステムをマウントして、Oracle Clusterwareネームスペース内のOracle ACFSによって管理されるファイルシステムを読み取ります。

    -o allオプションを指定すると、他の-oオプションは無視されます。

    レジストリ・エントリ用のマウント・オプションを指定するには、レジストリにエントリを追加するときにacfsutil registryコマンドでそれらのオプションを指定します。

  • ro

    読取り専用モードでファイルシステムをマウントします。

  • norootsuid

    rootが所有する、set-user-ID実行を許可する権限を持つ非rootユーザーによるバイナリの実行を失敗させます。非rootユーザーとしてこれらの実行可能ファイルを実行しようとすると、「許可されませんでした。」エラーで失敗します。

  • rootsuid

    rootが所有するset-user-IDファイルの非rootユーザーによるバイナリの実行を可能にします。これはデフォルト・アクションです。

  • nodeleteopen

    開いているファイルの削除はいずれも失敗します。

volume_device

mkfsでフォーマットされたプライマリOracle ADVMボリューム・デバイス・ファイルを指定します。deviceは必須ですが、ダミー値でもかまいません。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。mountコマンドを実行するには、このディレクトリが存在している必要があります。

mountは、ディレクトリの名前であるマウント・ポイントでOracle ACFS階層にファイルシステムをアタッチします。マウントは、mountコマンドが発行されたノードで起こります。ファイルシステムがこのノードでディスマウントの状態でない場合、mountコマンドはエラーを戻します。

マウント失敗の原因をmount mountコマンドに戻すことは、いつでもできるわけではありません。これが起こると、Oracle ACFSは失敗の原因をシステム・コンソールおよび関連付けられたシステム・ログ・ファイルに書き込みます。

mountの実行に成功すると、V$ASM_VOLUMEビューのMOUNTPATHフィールドに、ファイルシステムがマウントされたディレクトリ名が表示されます。

Oracle ACFSファイルシステムは1つのマウント・ポイントにのみマウントされます。同じマウント・ポイント名をすべてのクラスタ・メンバーで使用する必要があります。

mountコマンドをパラメータなしで実行すると、マウント済のすべてのファイルシステムがリストされます。

mountを実行するにはroot権限が必要です。

1つ目の例は、マウント・ポイント/acfsmounts/acfs1volume1-123をマウントする方法を示しています。2つ目の例は、登録済のOracle ACFSファイルシステムをすべてマウントする方法を示しています。allオプションを指定する場合、デバイスおよびディレクトリは必須ですが、使用しないのでダミー名(none)を入力します。

例16-5 mountコマンドの使用方法

# /bin/mount -t acfs /dev/asm/volume1-123 /acfsmounts/acfs1

# /bin/mount -t acfs -o all none none

umount

目的

Oracle ACFSファイルシステムをディスマウントします。

構文および説明

umount -h
umount [-v] -l -n volume_device |mount_point
umount -a -l -n [-t acfs]

umount -hは使用方法のテキストを表示して終了します。

表16-5に、umountコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-5 Linux umountコマンドのオプション

オプション 説明

-h

使用方法のヘルプ・テキストを表示して終了します。

-t acfs

Linuxでのファイルシステムのタイプを指定します。acfsは、Oracle ACFSタイプを指定します。

-v

verboseモードを指定します。操作が発生すると、進捗状況が表示されます。

-a

このノードのすべてのOracle ACFSファイルシステムをディスマウントすることを指定します。

-l

遅延アンマウントを指定します。Oracle ACFSファイルシステムがディスマウントされますが、ファイルシステムへのすべての参照のクリーンアップはシステムがビジーでなくなったときに発生します。

-n

/etc/mtabファイルが更新されないように指定します。

volume_device

mkfsでフォーマットされたOracle ADVMボリューム・デバイス・ファイルを指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。mountコマンドを実行するには、このディレクトリが存在している必要があります。

umountは、現在のノード上のファイルシステム階層からOracle ACFSをデタッチします。

umountコマンドは、ファイルシステムが完全にアンマウントされるまで、オペレーティング・システム・プロンプトに制御を戻しません。

ファイルシステムがビジーである場合、umountは失敗します。

umountコマンドを実行するには、root権限が必要です。

次の例は、Oracle ACFSファイルシステムのディスマウント方法を示しています。1つ目の例では、ボリューム・デバイス・ファイルを使用し、2つ目の例ではファイルシステムを使用しています。

例16-6 umountコマンドの使用方法

# /bin/umount /dev/asm/volume1-123

# /bin/umount /acfsmounts/acfs1